
知的障害・精神遅滞で障害年金を受給した事例を紹介します
知的障害・精神遅滞は、日常生活への援助の必要性、就労状況、診断書と病歴・就労状況等申立書の内容を整理することで、障害年金を受給できる可能性があります。
このページでは、知的障害、自閉症、精神遅滞、発達障害を伴うケースなど、実際に障害基礎年金1級・2級を受給した事例を紹介します。
「知的障害で障害年金を受給した事例を知りたい」
「働いていても、障害基礎年金2級に認定された例を確認したい」
「20歳前傷病や病歴・就労状況等申立書の注意点を知りたい」
このような方に向けて、実際の受給事例を紹介します。
※このページは、知的障害・精神遅滞の障害年金について、受給例に特化したサブページです。受給資格、金額、認定基準などの全体像については、知的障害で障害年金はもらえる?受給例・金額・受給資格・認定基準を解説をご確認ください。
この記事の内容は以下からすぐ確認できます。
執筆者紹介:障害年金専門社労士 但田美奈子
はじめまして。
当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。
経験15年以上・累計相談件数4,250件(令和8年8月末現在)・受給率97.8%。
知的障害・精神遅滞をはじめ、精神疾患による障害年金のご相談にも対応してまいりました。
知的障害・精神遅滞の受給例は、申請を検討するうえで参考になります。
同じ知的障害でも、就労状況、支援の内容、診断書の内容、20歳前後の請求時期、家族の援助状況によって進め方は異なります。
知的障害を伴う自閉症で障害基礎年金2級に認定された事例
| 認定 | 障害基礎年金2級 |
| 相談者 | 20代男性 東京都江東区 |
| 傷病 | 知的障害と自閉症 |
| 金額 | 年額約80万円 |
お母さまからお電話をいただき、お祖母さまを交えて日本橋の事務所でご相談、ご依頼となりました。
すでに障害認定日、つまり20歳時点の診断書は取得されていました。
ただ、病歴・就労状況等申立書を書くのが難しく、手続きも大変なため、依頼したいとのことでした。
認定日、つまり20歳の誕生日前日から1年を超えて請求すると、現在の状態の診断書がもう1枚必要になることがあります。
ご依頼から4日後に障害基礎年金を請求し、何とか間に合いました。
請求から78日で、無事に障害基礎年金2級に認定されました。
愛の手帳4度・特例子会社勤務で障害基礎年金2級に認定された事例
| 認定 | 障害基礎年金2級 |
| 相談者 | 20代男性 東京都江東区 |
| 傷病 | 知的障害(精神遅滞) |
| 金額 | 年額約80万円 |
20歳の息子さんを持つお母さまからのご依頼でした。
軽度の精神遅滞、愛の手帳4度で、特例子会社で就労されていました。
就労しているため、年金の審査は難しいと聞いているとのことで、ご心配されていました。
就労されているとはいっても、障害者雇用で特例子会社勤務でした。
同じ精神遅滞の方たちとともに、保護された環境で就労されていました。
また、一人での通勤はできないため、ご両親が送り迎えをしていることなどを、病歴・就労状況等申立書で丁寧に説明しました。
認定日から1年以内でしたので、診断書は1枚のみ提出しました。
請求から45日で、無事に障害基礎年金2級に認定されました。

就労支援で働いていた精神遅滞の方が障害基礎年金2級に認定された事例
| 認定 | 障害基礎年金2級 |
| 相談者 | 20代男性 東京都中央区 |
| 傷病 | 知的障害(精神遅滞) |
| 金額 | 年額約80万円 |
東京都中央区の事例です。
お母さまからのご相談、ご依頼でした。
精神遅滞が軽度であること、就労支援により厚生年金に加入してお勤めされていることから、ご不安をお持ちでした。
就労している場合は、仕事の種類、仕事内容、就労状況、職場で受けている援助、他の従業員との意思疎通の状況などが認定の判断材料になります。
これらの状況を、病歴・就労状況等申立書に詳しく記載しました。
日常生活の状況も、具体的なエピソードを整理して記載しました。
働いている場合、認定は厳しくなる傾向があります。
そのため、状況判断を一つひとつ具体的に積み上げることが大切です。
請求から37日で、無事に障害基礎年金2級に認定されました。
障害者雇用で働く知的障害の方が障害基礎年金2級に認定された事例
| 認定 | 障害基礎年金2級 |
| 相談者 | 20代男性 東京都練馬区 |
| 傷病 | 知的障害(精神遅滞) |
| 金額 | 年額約80万円 |
もうすぐ20歳になる息子さんがいらっしゃるお母さまからのご依頼でした。
現在、障害者雇用で厚生年金に加入し、お勤めされていました。
働いていること、程度がそれほど重くはないこと、手続きが煩雑であることから、ご自身での請求は難しいとのことで当事務所にご依頼いただきました。
先天性の精神遅滞の請求ポイント
知的障害のように先天性とされる場合、出生時から現在までの病歴・就労状況等申立書が必要になります。
また、治療の必要がないため受診されていない場合でも、医師に診断書を書いていただく必要があります。
働いていることもあり、認定されるかご心配されていましたが、無事に障害基礎年金2級に認定されました。

うつ病と精神遅滞で障害基礎年金2級に認定された事例
| 認定 | 障害基礎年金2級 |
| 相談者 | 女性 東京都多摩市 |
| 傷病 | うつ病と精神遅滞 |
| 金額 | 年額約80万円 |
小学校6年生の頃に症状が出現しました。
学校恐怖症と診断され、中学校は情緒不安定で障害児施設で過ごされていました。
医療機関への受診は中学1年時までで、その後、成人後にうつ病と診断されるまでは受診されていませんでした。
医師の診断も「うつ病は発達障害からきている」という内容でしたので、20歳前傷病として障害基礎年金を請求しました。
無事、障害基礎年金2級が決定しました。
自閉症を伴う精神遅滞で障害基礎年金1級に認定された事例
| 認定 | 障害基礎年金1級 |
| 相談者 | 男性 千葉県千葉市 |
| 傷病 | 精神遅滞(自閉症) |
| 金額 | 年額約100万円 |
お父さまからご相談を受け、受任しました。
普段の本人の生活にはない、決まった生活の行動パターンから外れる「病院への受診」自体が大変な状況でした。
何とか受診したクリニックで作成された診断書は、精神遅滞のみで、自閉症については十分に反映されていない内容でした。
その後、他の病院を受診し、適切な診断書を書いていただくことができました。
時間はかかりましたが、無事に障害基礎年金1級に認定されました。
知的障害・精神遅滞の受給例で大切なポイント
知的障害・精神遅滞の受給例を見ると、次の点が重要であることがわかります。
- 20歳前傷病として障害基礎年金を請求するケースが多いこと
- 20歳の誕生日前日が障害認定日になること
- 障害認定日から1年を超えると、診断書が2枚必要になる場合があること
- 出生時から現在までの病歴・就労状況等申立書が重要であること
- 障害者雇用や就労支援で働いている場合、職場での援助や配慮を具体的に整理すること
- 一人での通勤、意思疎通、日常生活上の援助などを具体的に伝えること
- 診断書の内容が実態に合っていない場合は、修正や再取得を検討すること
知的障害・精神遅滞の障害年金では、働いているかどうかだけでなく、どのような援助や配慮のもとで生活・就労しているかを具体的に整理することが大切です。
よくあるご質問
Q. 知的障害で働いていても障害年金を受給できますか?
受給できる可能性があります。障害者雇用、特例子会社、就労支援など、援助や配慮のもとで働いている場合は、その実態を具体的に整理することが大切です。
Q. 知的障害の場合、診断書はいつのものが必要ですか?
20歳前傷病の場合、20歳の誕生日前日が障害認定日になります。認定日請求では、請求時期により障害認定日頃の診断書と現在の診断書が必要になることがあります。
Q. 病歴・就労状況等申立書はどこから書きますか?
知的障害や精神遅滞など先天性とされる場合、出生時から現在までの経過を整理して記載する必要があります。
Q. 療育手帳や愛の手帳が軽度でも障害年金を受給できますか?
手帳の等級だけで障害年金の可否が決まるわけではありません。日常生活への援助の必要性、就労状況、診断書の内容などを総合的に確認します。
Q. 診断書が実態と違う場合はどうすればよいですか?
診断書の内容が実際の生活状況や援助の必要性と合っていない場合は、主治医に状況を説明し、必要に応じて修正や再取得を検討します。
知的障害・精神遅滞で障害年金を検討中の方へ
知的障害・精神遅滞の障害年金は、20歳前傷病、診断書、病歴・就労状況等申立書、日常生活での援助、就労状況によって判断が分かれます。
特に、働いている場合、障害者雇用や就労支援を利用している場合、20歳前後での請求時期が近い場合は、早めに状況を整理することが大切です。
参考資料
国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第8節 精神の障害
知的障害(精神遅滞)
