「知的障害で障害年金を受給した例を知りたい。」
「今から障害年金を申請したいが、もらえる金額や認定基準を知りたい。」
そのようなご相談に向けて解説致します。
はじめまして。
社会保険労務士の但田美奈子(ただみなこ)と申します。
東京日本橋にて、12年以上(累計約3,500件)「知的障害など障害年金申請のサポート」に携わってまいりました。
知的障害の障害年金をもらい忘れていませんか?
専門の女性社労士が受給や、もらえる金額、認定基準を順番に解説します!

具体的にどうすれば、知的障害で受給できるのでしょうか?以下の順でお話します。
- 受給事例
- もらえる金額
- 受給資格(認定基準)
知的障害で障害年金を受給するために大事なこと
- 先天性か出生後の早い時期となるので、初診日証明は必要なし
- 20歳の誕生日前日を知的障害の認定日とするため、遡及請求は難しい
- 病歴・就労等申立書と診断書の整合性
受給例
いろいろなケースがございますが、実際に受給した例は参考になると思います。
障害者雇用で障害基礎年金2級
認定 | 障害基礎年金2級 認定日請求 |
相談者 | 10代男性 東京都大田区在住 |
傷病 | 知的障害 |
受給額 | 約80万円 |
以前、息子さんの基礎年金申請をサポートさせて頂いたお母さまからご連絡。
もうすぐ20歳になるもう1人の息子さんの年金申請についても、代理をお願いしたいとのご依頼。
軽度の知的障害(精神遅滞)で、就労されている為年金の認定がされるかどうかご心配とのこと。
たしかに就労されていると、認定が難しい傾向があります。
声を大にして言いたいところではありますが、本当に少しでも仕事をしていると認定がかなり厳しいのです・・・。
今回従事されているお仕事は、荷物の出し入れといった単純作業。
また常に職員からの指示・見守りの元同じ知的雇用の方たちと共に、保護された環境での就労です。
その点をしっかり病歴・就労状況等申立書に記載しました。
しかし・・・それでも駄目なことも多いのです。
職場での意思疎通がどれくらいできるかどうかも重要な要素です。
今回請求から35日で、無事基礎年金2級に決定しました。

ほんとうに私のことを思い出して頂き、ありがとうございました!
広汎性発達障害で障害基礎年金2級(遡及請求1.5年)
認定 | 障害基礎年金2級 認定日請求 |
相談者 | 障害基礎年金2級 遡及請求1.5年 |
傷病 | 軽度精神遅滞・広汎性発達障害 |
受給額 | 約80万円 遡及金額120万円 |
お母さまからのご相談で日本橋の事務所で面談。
軽度の精神遅滞と広汎性発達障害で、小学校中学校は特別支援学級。
高校は特別支援学校を卒業。
特に治療を要しない為、子供の頃以降受診はされていなかったそうです。
高校を卒業する頃から問題行動が目立ち受診を再開。
就職先でもトラブルで解雇、現在は就職を目指し訓練中ですが社会性が乏しく難しい状況。
基礎年金の請求をし、59日で基礎年金2級(遡及1年半)に認定。
神奈川県は東京都より少し決定に時間がかかる印象です。
精神遅滞など先天性とされる場合、出生時からの病歴・就労状況等申立書が必要となります。
親御さんから「何を書いていいのかわからない」「準備が進まず請求ができないので」とご依頼いただくことが多くあります。

悩む前にぜひ、ご相談ください。
受給事例集
件数が多くなってきたのでこちらにまとめました。
知的障害(精神遅滞)で障害基礎年金1級、2級を受給した事例をいくつかご紹介します。
知的障害で障害年金の金額はいくら?
障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?
等級ごとの金額や加算される手当を解説していきます。
知的障害の障害基礎年金額
知的障害で障害年金が認定され、もらえる金額は障害基礎年金か障害厚生年金かで異なります。
もし遡及請求できる場合、最大で5年間遡って受け取れます。
もちろん全員が該当するわけではないのですが、まだ障害年金を請求していないとき、最大5年分遡ることができるのです。これを遡及請求(そきゅうせいきゅう)といいます。
障害等級 | 金額 |
障害基礎年金
1級 |
993,750円/年
+子の加算 |
障害基礎年金
2級 |
795,000円/年
+子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
この金額を6等分して偶数月に受け取ります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。
子の加算
18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。

一般的には高校卒業までということです
子の人数 | 金額 |
1人目
2人目 |
1人につき 228,700円 |
3人目以降 | 1人につき 76,200円 |
知的障害の障害厚生年金額
知的障害で障害年金1級、2級に認定された場合、障害基礎年金に厚生年金が加算されます。
3級は厚生年金しかありません。
障害厚生年金の金額は、給与や厚生年金を納めていた期間(年齢)に比例するため、人により金額はまったく違います(給与30万円と45万円で1.5倍違います)。
障害基礎年金
1級 |
報酬比例額加算×1.25
+配偶者加給年金 |
障害基礎年金
2級 |
報酬比例額加算×1.0
+配偶者加給年金 |
障害厚生年金
3級 |
596,300円
金額は一律 |
配偶者加給年金
知的障害で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいるとき、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、配偶者である夫についても加給年金が支給されます。
※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。
障害等級 | 金額 |
1級・2級
(3級はなし) |
228,700円 |
年金生活者支援給付金
知的障害の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
障害年金を受給した際「年金生活者支援給付金」が加算して支給されるようになりました。
年金生活者支援給付金は基礎年金も厚生年金も変わらず2級以上であれば支給されます。
金額は毎年変動します。
2級 | 月5,140円 |
1級 | 月6,425円 |
以上、もらえる金額には年収などにより、いろいろと例外もあります。
障害年金の受給が無事決まった後、金額はいくらもらえるのでしょうか?
受給資格
知的障害(精神遅滞)で受給資格を得るために以下の3つが大切になります。
- 初診日
- 保険料納付要件
- 認定基準
初診日と保険料納付はこちらにまとめました。
障害年金をもらうために大切な3つの要件(初診日・保険料納付・認定基準)
精神疾患の認定基準
※以下、「日本年金機構」に掲載されている認定基準をもとにわかりやすく加筆修正。
まず、精神疾患全体の認定基準です。
精神疾患で障害年金をもらうために大切なことは、どのような状態であれば精神疾患で障害年金の認定基準に該当するのかです。
認定基準
受給資格を得るために大切なことは、知的障害(精神遅滞)の認定基準に該当するかどうか十分に理解することです。
(1)知的障害(精神遅滞)とは、発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に持続的な支障が生じている。
何らかの特別な援助を必要とする状態にある。
(2)各等級に相当すると認められるものを一部例示。
等級 | 知的状態 |
1級 | 食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で、常時援助を必要とするもの |
2級 | 食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの |
3級 | 労働が著しい制限をうけるもの |
(3)認定にあたっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断。
その他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。
(4)日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮のうえ、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。
(5)就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。
労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えない。
労働に従事している者の日常生活能力の判断
- その療養状況を考慮するとともに
- 仕事の種類
- 内容
- 就労状況
- 仕事場で受けている援助の内容
- 他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認
日常生活の程度、日常生活能力で判断。

しかし、近年、知的障害者雇用や就労支援施設で就労されている方の再認定(更新)時に、支給停止になる方が多くみられるのが実情です。
審査基準のガイドライン
精神遅滞や精神の疾患の審査にガイドラインがあります。
審査の地域格差をなくすためのものです。
精神疾患で障害年金をもらうために大切なことは、どのような状態であれば精神疾患で障害年金の認定基準に該当するのかです。
知的障害の認定で大切なこと
知的障害(精神遅滞)は他の傷病とは違います。
初診日に厚生年金加入でもその日が20歳未満であれば、厚生年金の申請は認められません。

産まれた日が初診日であり先天性のためです。
産まれたときからの先天性の傷病は、基礎年金の申請となり厚生年金のように3級がありません。
そのため、かなり認定のハードルが高くなります。
申立書も、産まれたときから続けて記載していくことが大切であり、重要なこととなります(ただ、これが結構大変・・・)。
知的障害の年金申請はいろいろと複雑な点もあり、女性社労士が初回無料相談で受給判定と申請サポートを行っています。
精神の障害による程度は、次により認定する。1 認定基準 精神については、次のとおりである。D 知的障害
知的障害とは