
障害年金を受け取ったら、国民年金保険料は免除と納付のどちらがよい?
障害年金1級・2級を受給している国民年金第1号被保険者の方は、国民年金保険料の法定免除の対象です。
対象となったら、市区町村の国民年金担当窓口に届出をします。
法定免除のメリットは、今の保険料負担をなくせること。デメリットは、将来の老齢基礎年金が、全額納付した場合より少なくなることです。
将来、障害年金が支給停止となり、老齢基礎年金を受け取る場合には、納付した分が年金額に反映されます。家計と将来の備えの両方を考えて判断しましょう。
「免除した方がいいのか」「納付を続けた方が得なのか」「老齢年金はどれくらい変わるのか」。この記事では、法定免除と納付の違いを、メリット・デメリットから整理します。
法定免除と納付のメリット・デメリット
法定免除は今の家計負担を軽くでき、納付は将来の老齢基礎年金を増やすことにつながります。ただし、納めれば必ず実際の受取額が増える、というわけではありません。
※表は横にスクロールできます。
| 選択肢 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 法定免除 | 保険料の支払いが不要になり、生活費や治療費に充てられます。免除期間も老齢基礎年金の受給資格期間に含まれます。 | 老齢基礎年金額への反映は全額納付より少なくなります。平成21年4月以降の免除期間は、全額納付した場合の2分の1として計算されます。 |
| 納付申出により納付 | 納付した期間は、老齢基礎年金額に全額反映されます。障害年金が支給停止となった場合にも、老後に受け取る年金を確保する備えになります。 | 保険料負担が続きます。将来も障害基礎年金を選択する場合は、老齢基礎年金を増やしても実際の受取額に結びつかないことがあります。 |
「保険料を払わずに済むか」と「将来、どの年金を受け取るか」をあわせて考えることが大切です。目先の負担だけでなく、納付した場合の老齢年金の見込額も確認しましょう。
法定免除のメリット:今の生活を支えるお金を確保できる
療養中などで収入が限られているとき、毎月の保険料負担がなくなることは大きな利点です。
免除期間は未納とは異なり、老齢基礎年金を受け取るための期間に含まれ、年金額にも一定割合で反映されます。
法定免除を利用したこと自体を理由に、現在受給している障害基礎年金が減額されるわけではありません。
法定免除のデメリット:老齢基礎年金は全額納付より少なくなる
将来、老齢基礎年金を受け取る場合、免除期間の分は全額納付した場合より少なく計算されます。
障害の状態が改善し、障害基礎年金が支給停止となる可能性も考えながら判断することが大切です。
ただし、免除期間があると老齢年金全体が半額になる、という意味ではありません。少なく計算されるのは、その免除期間に対応する部分です。
納付のメリットとデメリット:老後への備えと現在の負担
納付のメリットは、老齢基礎年金を全額納付の場合の水準に近づけられることです。一方で、今の家計から保険料を支払う必要があります。
また、障害基礎年金と老齢基礎年金は同時には受け取れません。将来、障害基礎年金を選ぶ場合には、納付して増やした老齢基礎年金を受け取らない可能性があります。
法定免除とは
法定免除とは、障害基礎年金や被用者年金の障害年金を2級以上で受けている方などについて、国民年金保険料の納付が免除される制度です。

この記事で扱うのは、自営業の方や退職後の方など、国民年金第1号被保険者として納める国民年金保険料です。
所得が低いことなどを理由に申請する免除とは、対象となる理由が異なります。
厚生年金に加入している間の厚生年金保険料が、障害年金の受給によって免除される制度ではありません。
障害厚生年金3級のみの受給を理由に、新たにこの法定免除の対象となるわけではありません。
ただし、以前に1級・2級だった方は、等級変更や支給停止後も対象となる場合があります。
法定免除はいつから?届出はどこでする?
免除の対象は、法定免除に該当した日を含む月の前月分からです。障害年金がさかのぼって認められた場合などは、対象期間を窓口で確認しましょう。
届出先は、住民登録のある市区町村の国民年金担当窓口です。「国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届」を提出します。
必要書類は、あらかじめ窓口にご確認ください。
すでに納めた保険料も、法定免除に該当した年月日以降に納付したものは、原則として還付の対象になります。
納付申出の有無などによって扱いが異なるため、保険料を納付済みの方も確認してください。
法定免除の対象でも、納付を選ぶことができます
法定免除の対象となる方でも、納付申出をすることで、保険料を通常どおり納めることができます。
納付を希望する場合は、市区町村の国民年金担当窓口または年金事務所に「国民年金保険料免除期間納付申出書」を提出します。
対象期間や必要な書類を確認したうえで手続きしましょう。
納付を続けるかどうかは、現在の生活費や治療費を確保できるか、将来どの年金を受け取る見込みかを踏まえて考えます。
免除できるのに納付を選ぶ人がいるのはなぜ?
将来、老齢基礎年金を受け取る場合に備えて、年金額を増やしたいと考える方がいるためです。
法定免除期間は、老齢基礎年金の受給資格期間に含まれますが、金額の計算では次のように扱われます。
- 平成21年4月以降の免除期間:全額納付した場合の2分の1
- 平成21年3月以前の免除期間:全額納付した場合の3分の1
納付申出をして納付した期間や、後から追納した期間は、全額納付した期間として反映されます。
障害年金が支給停止となった場合の、老後の備えになります
将来、障害年金が支給停止となり、老齢基礎年金を受け取る場合には、免除のままにした場合より、納付や追納をした分だけ老齢基礎年金が増えます。
これが、免除の対象でも納付を選ぶ理由の一つです。
増えるのは老齢基礎年金であり、現在の障害基礎年金の額ではありません。
また、支給停止になった時点ですぐ老齢基礎年金に切り替わるわけではなく、原則65歳からの受給に備えるものです。
障害年金の額については、障害年金の金額と等級別の早見表をご参照ください。
65歳以降にどの年金を受け取るかも重要です
65歳以降、障害基礎年金と老齢基礎年金の両方の受給資格があっても、受け取る基礎年金はいずれか一方を選びます。
なお、要件を満たせば「障害基礎年金と老齢厚生年金」を組み合わせて受け取ることはできます。厚生年金の加入歴がある方は、基礎年金だけでなく、組み合わせた受取額も確認しましょう。
永久認定であっても、付加年金や振替加算などによって老齢基礎年金を選ぶ方が有利になる場合があります。
「永久認定だから納付は必ず不要」と決めつけず、ご自身の見込額で比較することが大切です。
更新・支給停止との関係
将来の障害の状態によっては、障害年金の更新で等級が変わったり、支給停止となったりする場合があります。
その後、老齢基礎年金を受け取る場合には、法定免除期間があることが年金額に影響します。症状に変動がある方も、現在の家計に無理のない範囲で、納付や追納を検討しましょう。
ただし、障害年金が支給停止になったからといって、直ちに法定免除が終了するとは限りません。
以前に1級・2級の障害年金の受給権がある方は、障害の程度や経過期間によって、引き続き法定免除の対象となる場合があります。
等級変更や支給停止の通知が届いたときは、年金事務所や市区町村に、法定免除がいつまで続くのかを確認してください。法定免除の事由がなくなった場合には、消滅の届出が必要です。
法定免除と納付、どちらを選ぶかの考え方
まず今の家計を確認し、次に将来の年金見込額を比べると、判断しやすくなります。

- 生活費や治療費の確保を優先したい場合:法定免除を利用して、現在の負担を軽くすることを考えます。
- 家計に余裕があり、老齢基礎年金への備えを増やしたい場合:納付申出による納付を検討します。
- 将来も障害基礎年金を選ぶ可能性が高い場合:納付しても受取額が増えない可能性を含め、納付の必要性を確認します。
- 今すぐ納める余裕はない場合:法定免除を利用し、後で追納を検討する方法もあります。
将来の受給や症状の変化を確実に予測することはできません。
まずは年金事務所で、納付した場合と免除を続けた場合の老齢年金の見込額を確認すると、比較の材料になります。
免除した保険料は、後から追納することもできます
法定免除を受けた期間の保険料は、一定の要件のもと、後から納める「追納」ができます。
追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除期間です。
免除期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料に加算額が上乗せされます。
また、老齢基礎年金を受け取ることができる方は追納できないため、期限と条件を確認してください。
「今は免除、余裕ができたら追納」という方法もありますが、いつまでもさかのぼって納められるわけではありません。
納付を選択した場合の注意点
納付申出の対象とした期間について保険料を納めなかった場合は、未納期間となり、将来の年金額や受給資格に影響します。
支払いが難しくなったときは、自己判断で止めず、年金事務所や市区町村にご相談ください。
納付申出をやめる手続きや、過去の未納月の扱いを確認することが大切です。
よくあるご質問
障害年金を受給すると国民年金保険料は免除されますか?
障害年金1級・2級を受給している国民年金第1号被保険者の方は、法定免除の対象です。市区町村の国民年金担当窓口に届出をします。厚生年金加入中の厚生年金保険料が免除されるわけではありません。
法定免除のメリット・デメリットは何ですか?
メリットは、今の保険料負担がなくなり、免除期間も老齢基礎年金の受給資格期間に含まれることです。デメリットは、将来の老齢基礎年金額が全額納付した場合より少なくなることです。
法定免除になると、将来の老齢年金は半額になりますか?
老齢年金全体が半額になるわけではありません。平成21年4月以降の法定免除期間に対応する部分が、全額納付した場合の2分の1として計算されます。平成21年3月以前の免除期間は3分の1です。
法定免除ではなく、国民年金保険料を納付し続けることはできますか?
納付申出をすることで、通常どおり納めることができます。将来の老齢基礎年金を増やすための選択肢ですが、現在の障害基礎年金が増えるわけではありません。
納付を選んだ後に払わなかった月はどうなりますか?
納付申出の対象とした期間に保険料を納めなかった場合は、未納期間となります。支払いが難しくなったら、年金事務所や市区町村に、納付申出をやめる手続きと未納月の扱いを確認してください。
法定免除と納付のどちらを選べばよいですか?
現在の家計と将来受け取る年金の見込みをあわせて考えます。生活費を確保したい場合は法定免除が役立ちます。一方、老齢基礎年金に備えたい場合は納付が選択肢です。将来も障害基礎年金を選ぶ場合には、納付しても実際の受取額が増えないことがあります。
法定免除の保険料は後から納められますか?
一定の要件のもと、追納が承認された月の前10年以内の免除期間について追納できます。免除期間の翌年度から数えて3年度目以降は加算額がかかります。
老齢基礎年金を受け取ることができる方は追納できないため、条件を確認してください。
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※無料相談は65歳未満の方が対象です。
法定免除の届出や、ご自身の老齢年金の見込額については、市区町村の国民年金担当窓口や年金事務所でご確認いただけます。
執筆者紹介|障害年金専門社労士 但田美奈子
はじめまして。当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。
経験15年以上・累計相談件数4,322件(令和8年10月末現在)・受給率97.8%。
さまざまな傷病のご相談に対応してまいりました。
障害年金を受け取った後の保険料についても、今の生活と将来の年金の両方を考えることが大切です。この記事が、ご自身に合った選択を考える際の参考になれば幸いです。
障害年金の制度について詳しく知りたい方へ
法定免除だけでなく、障害年金の制度全体について知りたい方は、以下のページもご参照ください。