「障害年金の種類は?」
「障害年金の請求方法を知りたい」
「障害年金はいつ申請すればいいの?」
そのようなご相談に向けてお話しします。
はじめまして。
東京日本橋にて「障害年金申請のサポート」を行っている、社会保険労務士の但田美奈子(ただみなこ)と申します。
障害者年金と呼ばれる方もいらっしゃいますが同じものです。
また、障害者手帳と混同される方が多くいらっしゃいますが、手帳とはまったく別の制度です。
障害年金と障害者手帳の、等級や認定の違いとは。
障害年金とは
障害年金とは、病気や怪我により精神又は身体に一定以上の障害が残り、働くことや日常生活を送ることに支障をきたす状態になったとき支給されます。
つまり働けなくなったり、生活が困難になったりしたことで支給されます。
年金というとお年寄りになった場合を想像しますが、それは老齢年金と言われるものです。
年齢が障害に置き換わっただけです。何も特別なことではありません。

もらうのは特別なことではないのです。何か少し心が軽くなったような気がしませんか?
老齢はまだまだ遠い将来という方も多いかもしれませんが、怪我や病気はいつどうなるかわかりません。
20代で対象になる場合もありえます。
傷病名ではなく実際の状態で審査
障害年金は、病気や怪我等で働けないときのために国で行っている保険制度ですが、病名で支給が決まるものではありません。
どれだけ「働くことや日常生活に不便があるか」により実態で審査されます。
例えば、うつ病だとしても外出できないレベルの人もいれば、薬の服用でほぼ通常の生活ができる人もいらっしゃいます。
体の状態は本人にしかわかりませんが、医師に的確にその内容は伝えることは大事です。
また、申立書にキチンと病状を落としこんで記載することも、非常に大事なこととなります。
1人でも多くの方が正しい情報を受け取れるように、お伝えしていきたいと思います。
障害年金をもらうために大切な3つの要件(初診日・保険料納付・認定基準)
障害年金の種類
病気や怪我で、初めて医師や歯科医師等の診察を受けた日(初診日) に、どの制度に加入していたかによって決まります。
そのときに加入していた年金により、基礎・厚生・共済の3種類があります。

選べるわけではなく、あくまでも初めて医師の診察を受けた日(初診日)を基準とします。
障害年金の初診日とは?障害の原因となった傷病について、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日のことです。
以下3つの種類があります。
障害基礎年金
一般的に基礎年金と言われますが、いわゆる国民年金です。
自営業か専業主婦が多いのですが、学生時代に初診日がある場合も対象となります。
以下のどれかに該当した場合に受け取れます。
- 初診日に国民年金に加入。
- 20歳前の病気やけがによる場合
- 国民年金に加入したことのある人で、60歳~65歳未満の間に初診日のある病気やケガによる場合
国民年金の加入期間は原則20歳から60歳までで、65歳からは老齢年金の対象になります。
そのため、3番の規定があります。
障害厚生年金
初診日に会社員やOLなどが加入する、厚生年金の被保険者であった場合に受け取れます(いわゆる社会保険)。
ちなみに、とんでもないことですが会社に勤めていても社会保険自体に未加入の会社もあります(強制的な加入です)。
くれぐれもお仕事をするとき、会社の福利厚生はご確認しておいて下さい。
後で後悔してもはじまりません。
障害共済年金
初診日において、公務員などが加入する共済組合の組合員であった場合に対象となります。
今は厚生年金と一緒になりましたが、その前の過去の請求分はすべて共済の窓口となります。
年金事務所ではありません。
障害年金の請求方法と、申請するタイミングはいつがいいのでしょうか?
請求方法
障害年金の請求方法は以下5つになります。
- 障害認定日請求
- 遡及請求
- 事後重症
- 初めて2級
- 20歳前傷病

請求するタイミングはなかなか難しいのです。まず請求方法を説明していきます。
障害認定日請求
初診日から1年6か月経過した障害認定日時点の診断書を取得し、その認定日から1年以内に請求することです。
もっとも一般的な請求です。
原則として障害認定日から3ヶ月以内の診断書が必要。
受給権の発生は認定日からとなります。
遡及請求
初診日から1年6か月経過した日(障害認定日)に(なんらかの理由で)請求しなかった場合、障害認定日から1年以上経過した後で、障害認定日時点に遡って請求することです。
これを遡及請求といいます。
原則として障害認定日から3ヶ月以内の診断書と、請求時の診断書計2枚が必要になります。
受給権発生は障害認定日からです。
(注意)障害年金の支給は認定日の翌月分からとなりますが、遡及請求は時効の関係で遡ってもらえるのは5年分までとなります。
もちろん全員が該当するわけではないのですが、まだ障害年金を請求していないとき、最大5年分遡ることができるのです。これを遡及請求(そきゅうせいきゅう)といいます。
事後重症
初診日から1年6か月を経過した日である認定日に、障害等級に該当していなかったとき。
その後65歳に達する日の前日までに悪化し、障害等級に該当する状態に至った場合請求することができます。
後で悪くなるので、事後重症と言います。
認定日時点で医療機関を受診されていなかったり、当時の診断書が保管されていなかったりした場合など。
障害認定日時点における診断書が取得できない場合、事後重症による請求となります。
請求時点での診断書が必要で、受給権発生時期は請求日からとなります。
請求期は65歳に達する日の前日までとなります(65歳になると老齢基礎年金の対象)。
初めて2級
2級以上の障害に満たない状態にあり、その後新たな傷病(基準傷病といいます)が発生。
65歳に達する日の前日までの間に基準傷病と前の障害を併せると、2級以上に該当する場合請求できます。
※65歳前に2級以上に該当しているため、珍しく65歳以後も請求できます。
20歳前障害
20歳前で年金制度に未加入であった期間に初診日のある傷病(一番多いのは学生時代など)等一定の障害状態にある方。
20歳に達した日(認定日が20歳以後の場合はその時点)、障害等級の2級以上に該当する場合請求できます。
原則として20歳に達した日から3ヶ月以内の診断書が必要です。
これも事後重症があり、例えば19歳のとき初診であれば認定日が20歳6ヶ月になりますので、その時の診断書が必要です。
受給権は20歳に達した日(認定日が20歳以後の場合その時)から発生。
ちなみに、20歳前でも厚生年金に加入していた(高卒で働いていたときなど)とき、障害厚生年金の対象となります。
必要書類
どのような請求であれ障害年金を請求する際、通常以下の書類が必要です(他にも必要となる場合がありますので、大体の例示になります)。
特に1.2.3は、障害年金の受給を得るためにとても重要な書類です。
- 受診状況等証明書(初診日の証明)
- 診断書
- 病歴・就労状況申立書
- 裁定請求書
- 戸籍謄本、住民票、所得証明など
障害年金を申請するタイミング
特に精神疾患の請求で多いのですが、先月まで「うつ病」で休職をしていたのですが、回復し復職しました。
休んでいた期間は本当にすごく病状が悪かったので、今からその期間の障害年金を請求したいといった趣旨のご相談を受けることがよくあります。
障害年金を申請する時期は、いつがいいのでしょうか?
実は障害年金の相談をはじめた当初、凄く不思議だったのです・・・。
なぜ回復した後で請求するのだろう?回復しているということは障害がないということなのに・・・と。
しかし、考えてみれば病状が悪かった期間や入院した期間を後で請求するというのは、一般の保険の考え方です。
健康保険の傷病手当金も同じです。
働けなかった期間分、後でお医者さんに診断書を書いてもらって請求となります。
働けなかったから収入保障の意味で請求することなので、実は常識的に間違っていない考え方なのです。
しかし・・・実は、障害年金はまったく反対の制度となります。
例えば、一定期間障害認定基準に該当するような病状であったとしても、現在病状が良くなっているのであれば、障害年金の認定はされないでしょう。
障害年金(特に精神疾患の場合)の認定は、請求時つまり現在のご病状や就労状況が大きく関わってきます。
現在働けるか?日常生活が通常に送ることができるかどうかが重要であり、過去の状態は参考となるだけとなります。
障害年金を請求する時、現在の障害の程度が最も重要なのです。
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。
引用元: 障害年金|日本年金機構
障害基礎年金は、次の1.または2.に該当する方が受けることができます。