障害年金の解説

結論から申しますと同時に申請する必要もございません。

双方の等級や認定審査基準の違いを解説します。

この記事の目次

障害年金の認定基準

日本年金機構 中央年金事務所

まず、障害者手帳の等級がそのまま障害年金の等級に該当するわけではありません。

障害年金独自の認定基準で審査されます。

認定基準は、傷病ごとに決まっています。

また、障害年金は受給のため初診日の証明が必要だったり、初診日前の期間キチンと保険料を納めてきたり等の要件があります。

それを別に確認する必要もあります。

しかし、そうは言っても障害者手帳=障害年金の等級は違うのか?とのご質問をかなり頂きます。

解説

心配なのはわかります。例えば、障害者手帳で2級だから障害年金も2級ではないかというものです。

障害者手帳と障害年金の違い

まず、違いを整理してみましょう。

障害年金 病気や怪我による障害があったとき、生活を支えるため2か月に一度定期的・継続的に年金を受け取ります。
障害者手帳 各地方自治体で交付しており、地域によって異なりますが公共料金の割引サービスなどを受けることができます。

受けられるサービスの一例

  1. 所得税、住民税など税の控除
  2. NHK受信料の減免
  3. 交通機関の運賃割引
  4. 公共施設(美術館など)の利用料割引
  5. 上下水道料金の割引
  6. 公営住宅の優先入居 など

ちなみに、障害者手帳が無くても障害年金の申請はできますので、障害者手帳を持っていないことは障害年金の請求と関係ありません(ただし、参考程度にはなります)。

年金と障害者手帳

障害者手帳の種類

障害者手帳は以下の3種類があります。順番に説明します。

  1. 身体障害者手帳
  2. 精神障害者保健福祉手帳(精神障害)
  3. 療育手帳(知的障害の方)

身体障害者手帳

病気やケガが、身体障害者福祉法が定める身体障害の種類・程度にあてはまり、その障害が一定以上持続する場合に限って取得できます。

以下の9つの障害が申請の対象となり、障害の程度や日常生活にどれほど支障をきたすかにより、7つの障害程度等級に分けられています。

  1. 視覚障害
  2. 聴覚又は平衡機能の障害
  3. 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
  4. 肢体不自由
  5. 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害
  6. ぼうこう又は直腸の機能の障害
  7. 小腸の機能の障害
  8. ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害
  9. 肝臓の機能の障害

この表をみると、かなり障害年金と被ってはいますが手帳=年金の障害等級となりません。

ちなみに障害厚生年金は3級以上が対象となります。

相談中

そのため手帳の等級が4級以下だと障害年金は出ないと思い込んでしまい、請求していないこともあるのです。必ず一度ご相談下さい。

精神障害者保健福祉手帳

何らかの精神疾患(てんかん、発達障害を含みます)により、長期にわたり日常生活または社会生活への制約がある方の社会復帰や自立を支援することを目的として作られました。

精神疾患があるために生活に支障がある方が取得できます。

ちなみに、知的障害があり精神疾患が無い方については療育手帳の対象です。

また知的障害と精神疾患を両方有する方は、両方の手帳を申請することができます。

以下の精神疾患などが例となります。

  1. 統合失調症
  2. うつ病そううつ病などの気分障害
  3. てんかん
  4. 薬物やアルコールによる急性中毒またはその依存症
  5. 高次脳機能障害
  6. 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
  7. その他の精神疾患(ストレス関連障害など)
障害の程度により1から3級に区別します。
1級 精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級 精神障害であって、日常生活が著しく制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級 精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの

身体障害者手帳とは違い、精神障害者手帳の1.2級は障害年金とほぼ同じ基準とされております。診断書の内容が似ているからです。

ただし、実際には2級をもっていても働いていると3級になったりする場合もありえますので、これも参考ということになります。

ちなみに、精神障害で障害年金の支給が決定された後、精神障害者手帳取得の手続きをすれば、同じ等級の手帳がもらえます。

しかし、これとは逆にすでに精神障害者手帳を持っているからといって、同じ等級で障害年金の支給が決定されるわけではありません。

ただ社労士

その結果、手帳とは違う等級で決定される可能性はあります。本当に複雑になっているものです。

療育手帳

知的障害のあるために日常生活に支障がある方に、適切な支援をすることを目的として作られました。

東京都や横浜市は「愛の手帳」、埼玉県は「みどりの手帳」と呼ばれています。

障害の程度はIQや日常生活動作(身辺処理、移動、コミュニケーションなどの能力のこと)などを総合的に判断して認定されます。

認定区分や基準は自治体により若干異なります。東京都の場合は1度(最重度)2度(重度)3度(中度)4度(軽度)と表記します。

繰り返しになりますが障害者手帳の等級=障害年金の等級とはなりませんので、必ず事前にご相談下さいね。

ただ相談

次にご質問頂いたものを参考に掲載します。

障害年金と障害者手帳は同時申請した方がいいのか

年金の相談

障害年金と障害者手帳は、同時に申請しなければならないものではありません。

述べてきたように全く別の制度です。

ご質問を頂いたことがあるので、掲載します。

Q:動脈弁閉鎖不全症(弁置換手術で人工弁を入れています)で、判明より経過観察をしてきましたが、昨年に弁置換(機械弁)の手術を受けました。

会社はその後復職していますが、まだ、フルタイムで働かず時間を短くして働いています。

症状としてはたまに不整脈がでるくらいで、特に日常生活には支障はないのですが。

障害厚生年金の申請は終了していますが、障害者基礎年金はもらえるのでしょうか?

また、区役所で障害者手帳の申請をして現在、1級身体障害者手帳をもらっていますが、これは何か別の手当などはあるものでしょうか?

解説

A:障害厚生年金を既に請求されたとのこと。障害厚生年金を請求し、2級以上に認定された場合、障害基礎年金は自動的に支給されるものです。

障害年金が決定されると、国民年金・厚生年金保険年金証書が送られてきます。

別の手続は特に必要ありませんので大丈夫です。

また、障害者手帳も別の制度ですが、手帳に関しての国からの年金はありません。

ただ、お住まいの自治体によりいろいろな支援制度がありますので、詳しくはもよりの市役所へお問い合わせ下さい。

但田社労士より

ここまでお読み頂いていれば、まったく別の制度だとご理解頂けたと思います。

年金手帳と通帳

障害者手帳との等級差

うつ病で障害基礎年金2級(遡及5年)を受給されたお客様から頂いた、うれしいメールをご紹介させて頂きます。

障害者手帳との等級差も気にしていらっしゃいましたので、参考になるかと思います。

その折は大変お世話になりました。おかげさまで生活できております。

今、あの頃を思いかえすと、診断書の作成内容を主治医へリクエストしているうちに関係が気まずくなってしまいました。

それが嫌で、また申請自体も通らないような気持ちになっていたので途中で何度も投げ出してしまおうかと思いました。

申請も通る見込みがなさそうなので、手続き自体を全て止めてしまおうかと思いました。

その時に但田様が、諦めないように私を説得して、助言をくださったおかげで最後までやり遂げられました。

但田様の実績を信じて、諦めずに続けて本当に良かったです。

何かとご面倒をお掛けいたしましたが、文章の校正を含め、ご指摘は正解でした。

解説

本当にうれしいです。ありがとうございます。以下のような症状でしたが、参考になる方もいらっしゃると思いますので、少し詳しく記載します。

年金手帳と通帳

うつ病と現在の症状

  1. 身体がだるく、ほぼ一日中ベッドで横になってる。
  2. 食欲もなく楽しいこともないので、夜9時ごろになると睡眠剤を飲んで就寝。
  3. 夜中に何度も目が覚め、朝から身体がだるく、同じ過ごし方を繰り返している。
  4. 勤めを辞めてから既に5年超。
  5. 現在、精神障害者保健福祉手帳3級。

このような状態で障害年金受給の可能性はありそうでしょうか?というご質問でした。

当初、精神障害者保健福祉手帳が3級というのを非常に気にしていらっしゃいました。

精神障害者保健福祉手帳と障害年金の審査は目安にはなるのですが、別物です。

そのため、精神障害者保健福祉手帳が3級であっても、十分可能性があることをお伝えしました。

ちなみに、初診日(12年前)は国民年金加入時でしたので、障害の程度が2級以上であれば障害基礎年金の受給が可能です。

今回、初診時からずっと同じ病院だった為障害認定日が10年前でしたが、問題なく取得でき、遡及請求を行いました。

請求から決定まで65日。無事、障害基礎年金2級(遡及5年)に認定。

ずっと同じ病院だったのも幸いしています。病院を転々としていたりすると、診断書を記載いただくのもなかなか骨が折れますので。

診断書を作成していただくのに時間がかり、また記載内容でご心配されていたことを思い出します。

しっかり病歴・就労状況等申立書で補足し、無事認定されました。

無料相談中

ほっとして力が抜けたとの連絡を頂き、とても嬉しかったです。こういったご連絡をいただくと、今後もあきらめずに頑張っていこうと思います。ありがとうございました!

障害年金申請はいろいろと複雑な点もあり、初回無料相談を行っております。

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障害者手帳の等級がそのまま障害年金の等級に該当するわけではありません。受給するためには保険料の納付状況等の確認や診断書などの審査を受けなければなりません。

身体障害者が、各種の福祉サービスや援護を受けるために必要なものです。手帳には、1級から6級までの障害程度等が記載されます。

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