うつ病で障害年金をもらい忘れていませんか?女性社労士が、金額や認定基準の解説!受給例も多数紹介。
はじめまして。東京でうつ病の障害年金申請サポートを行っている社労士の但田美奈子と申します。

うつ病で将来が見えてこない不安に日々悩まれ、押しつぶされそうになっていませんか?
うつ病で障害年金を申請するのは難しいという情報も、ネット上目立ちます。
どのような状態であれば、うつ病で障害年金を申請できるのでしょうか?
受給事例、年金額、認定基準、仕事・収入との関係を順番にお話します。
- 受給事例
- いくらもらえるのか(金額)
- 受給資格(認定基準)
- 仕事、収入との関係
この記事の目次
うつ病の障害年金受給事例
まず、受給例をいくつかご紹介しますのでご参考下さい
うつ病で障害基礎年金2級受給
- 相談者 50代男性 東京都江戸川区
- 傷病 うつ病
- 認定 障害基礎年金2級 事後重症請求
- 年金額 約80万円受給
奥さまからの相談依頼。ご自身でうつ病の障害基礎年金の遡及請求をした結果、障害認定日(初診日から1年半経ったとき)も現在の状態も、不支給という結果だったとのこと。
提出された書類をお持ち頂き、審査請求についての相談をお受けしました。
うつ病の診断書の日常生活能力の判定、日常生活能力の程度は充分基礎年金2級に該当している状態でしたが、コメント欄が就労の状況についての記載に終始していました。
診断書にご自身の実際の状況ではなく、ご本人があたかもうつ病でも仕事内容が順調であるかのごとく話したことが記載されており、審査途中でカルテの提出を求められたそうです。
就労の状況、それが不支給の判断の元になったと推測します。提出した診断書の力は絶大です。後から取り消すことはできません。
審査請求をしつつ、時期をみて再請求(事後重症請求)のご提案をいたしました。つまり両建てです。
審査請求は残念ながら認められませんでしたが、再請求では無事障害基礎年金2級になり、奥様にも喜んで頂けました。

一度ダメだったとしても、もう一度行う再請求という道もあります。
うつ病で障害厚生年金2級受給(遡及請求5年)
- 相談者 女性 東京都品川区
- 傷病 うつ病
- 認定 障害厚生年金2級 5年遡及請求
- 年金額 約170万円 遡及約930万円受給
障害厚生年金に加入されている時がうつ病の初診でした(6年程前)。
発症後、休職を経て現在は退職されています。うつ病の初診日は大阪でしたが、受診状況等申立書は問題なく取得できました。
障害認定日頃は現在のクリニックで受診されていましたので、そのこと現在、2枚の診断書を提出し申請しました。
大変だったのが、ご主人との事実婚及び生計同一の証明です。長く入籍されていないのと認定日頃住民票が別だった時期もあり、追加書類を求められ、当時の結婚式の証明書や請求書まで提出することに。
こういったところは、役所は考慮して頂けません・・・。各一的な処理というので仕方ないのでしょうね。その分私達社労士の出番です。

申請から決定まで243日。審査は照会が入った分、時間がかかりましたが、無事障害厚生年金2級(遡及5年)受給。配偶者の加給も認められています。一番いい結果となりました。
地域別受給事例集

うつ病の年金申請件数が多くなってきため、受給事例を地域別にわけました。
うつ病でもらえる障害年金額
うつ病で受給できる年金額は、いくらになるのでしょうか?
うつ病の障害年金は子供や配偶者加算もあり、年金生活者支援給付金も支給されます。
障害年金のもらえる金額にまとめました。
うつ病の受給資格
うつ病で障害年金の受給資格を得るために以下の3つが大切になります。
- 初診日
- 保険料納付要件
- 認定基準
初診日の確定と保険料納付要件は受給資格に詳しく記載しました。
精神疾患の認定基準の程度
受給資格を得るために大切なことは「うつ病がどのような状態であれば障害年金の認定基準に該当するのか」を十分に理解することです。
まず、精神疾患全体の認定基準、その後うつ病の認定基準を解説します。
※日本年金機構のうつ病障害年金認定基準を元に加筆・修正
ちなみに、うつ病は審査上、気分(感情)障害という名称で分類されています。気分の問題ではないとも思うのですが、医学的なものなので文句を言ってもはじまりません。
精神疾患全体の基準は、等級について次のように規定しています。

以下は読んでいくと相当な量です。うつ病の受給判定や申請相談はお電話やメールでも致します。ご相談ください。
精神の疾患の程度は、その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとする。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。 |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。 |
3級 | 労働が著しい制限を受けるか又は著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。 |
精神疾患は、多種でありかつその症状は同一原因であっても多様である。具体的な日常生活等の生活上の困難を判断するとともに、その原因及び経過を考慮するものとする。

日常生活の用が不能、著しい制限→労働に著しい制限という感覚がわかりますでしょうか。
うつ病の障害年金認定基準
受給資格を得るために認定基準を理解するのが大事なことです。
黄色部分で審査の感覚はつかめますでしょうか。うつ病の認定基準は上から、常時援助 → 著しい制限 → 労働制限となっていきます。
(1)うつ病で各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。
等級 | 障害の状態 |
1 級 | 高度の気分、意欲・行動及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの |
2級 | 気分、意欲・行動及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限をうけるもの |
3級 | 気分、意欲・行動及び思考障害の病相期があり、その症状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの |
(2)うつ病の障害年金の認定にあたっては、次の点を考慮のうえ慎重に行う。
イ うつ病は、本来、症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返す。
したがって、現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮。
また、うつ病とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定。
(3)うつ病の日常生活能力等の判定にあたっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。
また、うつ病で現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分考慮したうえで日常生活能力を判断。
(4)人格障害は、原則としてうつ病の認定の対象とならない。
(5)神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則としてうつ病の認定の対象とならない。
ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取扱う。
なお、認定にあたっては、精神病の病態がICD-10コードによる病態区分のどの区分に属する病態であるかを考慮し判断すること。
うつ病の障害年金審査ガイドライン

平成28年9月より、うつ病(精神の疾患)の審査にガイドラインが運用開始されました。
審査の地域格差をなくすためのものであり、精神の障害に係る等級判定ガイドライン導入。審査は厳しくなったのかにまとめました。
うつ病で障害年金を申請した場合、身体疾患に比べて難しい場合が多くなります。精神疾患は数値で表すことができないからです。
また、うつ病での障害年金認定はお医者さんの診断書と病歴就労状況等申立書によって決定されますが、うつ病の場合、ご本人の言い分とお医者さんの記載している内容がかなり乖離していることが多くあります。
コミュニケーション不足なのか、まだ診療期間が短いのか、本当に伝わっていないのか?お医者さんが元気づけるため、治療として「大丈夫!」といわれることもあるでしょうし。
簡単なように思えますが、うつ病は特に診断書と病歴就労状況等申立書両者の整合性をきちんととっていくことが、とても大事になります。
お医者さんのご意見を尊重したうえで、自分の現在の状況とあっているのか、細かく伝えていく必要があります。
仕事や収入と受給の関係
TVや新聞でも取り上げられており、パワハラ等含めてうつ病での障害年金申請の相談が大変増えておりますが、よくご質問を頂くのが「仕事をしていて収入があるが対象になるのか?」ということです。
精神疾患で障害年金を受給をするために神経症・仕事・収入との関係に相談事例など掲載しています。

うつ病の障害年金申請はいろいろと複雑な点もあり、女性社労士が受給資格の初回無料相談でサポートしています。メールやお電話で問合せ下さい。

精神の障害による障害の程度は、次により認定する。
引用元:日本年金機構国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第8節 精神の障害