「神経症と診断されましたが、障害年金の対象となるのでしょうか。」
「パーソナル障害(人格障害)は障害年金の対象にならないと言われました。」
このような疑問に、わかりやすくお答えします。
はじめまして。障害年金の専門社労士、但田美奈子(ただみなこ)と申します。
東京日本橋にて、13年以上にわたり、累計約3,600件の「精神疾患など障害年金申請のサポート」に携わってまいりました。
神経症と障害年金
「相談が非常に多い精神疾患ですが、主に精神病と神経症があります。」
以下のような神経症は、原則障害年金の対象外となります。
- パニック障害
- 強迫性障害
- 不安神経症
- 身体表現性障害
- 適応障害等
以下のような理由や、障害年金による保障が、患者さんの治療への意欲に影響を及ぼす可能性があるからとの見解もあります(実際にそうおっしゃる医師もいらっしゃいます)。
- 一般的に症状が比較的軽度とされ、治癒する可能性もある
- 病状が長期にわたって持続することはないと考えられる
- 神経症は原則治療可能である
パーソナル障害と障害年金
パーソナリティ障害(人格障害)とは、本人に重大な苦痛をもたらすか、日常生活に支障をきたしている思考、知覚、反応、対人関係のパターンが長期的かつ全般的にみられる人に対して用いられる用語です。
人格障害は性格の歪みであって病気とはとらえられない傾向があります。
障害認定基準によると、パーソナリティ障害(人格障害)も、原則として障害年金の対象とならないこととされています。
精神病の病態を示しているのか
「神経症やパーソナリティ障害の方が障害年金を申請する場合」
医師の診断書に「精神病の症状」が示されている場合には、統合失調症又は気分感情障害に準じて取り扱うこととなっています。
そうした場合には、障害年金を受給できる可能性もあります。
つまり、神経症や人格障害と診断されても、統合失調症や気分感情障害などの症状も併発している場合、その症状に応じて障害年金の対象となることがあります。
神経症と診断された場合、申請の前に必ず主治医に確認し、必要な情報を収集することが重要です。これが申請の鍵となります。
自律神経失調症
自律神経失調症に関する障害年金の相談も多く寄せられています。
以下に、具体的な質問事例をご紹介します。
Q: 2011年春に初めて診療内科に行きましたが、通院はあまり続きませんでした。
その後、体調が悪化し、2011年秋から半年間ほど休職しました(サラリーマンです)。
2012年3月末には症状が改善したと思い、受診を終了しました。
その後は会社に復帰しましたが、最近、仕事や人間関係のストレスで体調が悪化し、再度病院に行ったところ「自律神経失調症」と診断されました。
現在、1か月程度の休職を検討しています。
この場合、障害厚生年金を受給できますか?
神経症の範疇かどうか
A: 精神障害において、「神経症」と呼ばれる傷病のみでは、障害年金の認定対象外となることが一般的です。
自律神経失調症は「神経症」の一種です。
「神経症」であっても、精神病の症状が併発している場合などには、認定される可能性もありますが、実際には認定のハードルが高いのが現状です。
また会社への診断書では、医師が配慮して「うつ病」とは記載せず、「自律神経失調症」や「抑うつ状態」と記載されることがあります。
このため、病名については主治医に確認することが重要です。
会社向けの診断書が実際の病態と異なることもあるため、診断書の内容については慎重に確認してください。
障害年金は、労働や日常生活に制限があり、それが少なくとも1年以上続く状態に対して支給されます。
現実的には、1か月の休職で復帰できるようであれば、障害年金の認定は難しいと考えられます。
抑うつ状態
Q: 10年前から「抑うつ状態」(うつとパニック障害)と診断され、現在は求職中で傷病手当金を支給されながら生活しています。
このようなケースで精神障害者年金を受給することは可能でしょうか?
A: 「抑うつ状態」という表現は、具体的な傷病名ではありません。
そのため、まずは主治医に正確な傷病名を確認することが重要です。
もし「うつ病」と診断されている場合は、精神障害者年金の受給対象となる可能性があります。
ただし、「神経症」と呼ばれる傷病のみの場合、障害年金の認定対象外となることが一般的です。
しかし、精神病の症状が併発している場合には認定されることもあります。
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神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。