うつ病の障害年金は、定められている認定基準に沿って審査されます。

しかし、うつ病や精神疾患がある方が働いていたり収入がある場合、審査やそのあとのお仕事が不安との声を頂きます。

障害年金の解説

収入との調整やうつ病の障害年金認定基準を解説します。

うつ病の受給例や金額はこちらにまとめています。

この記事の目次

働いている場合の審査は難しいのか

よく寄せられるご質問に「働いていて仕事をしている(収入がある)場合、障害年金の審査は難しいのか?」というものがあります。

結論から申し上げます。

パートタイムで働いている場合は問題ないことも多いです。

しかし、正社員としてのフルタイム勤務や、安定した収入がある場合には審査が難しくなる傾向があります。

障害年金が主に、生活の所得補償を目的として支給されるためです。

つまり、通常の仕事ができるほど回復していると判断される場合、審査が厳しくなるのです。

但田社労士より解説

この点については、感覚で理解いただけるかと思います。

「病歴・就労状況申立書」で詳しく、働いている経緯や状況を伝える必要があります。

障害者雇用など、いろいろな理由もありますので。

参考:病歴・就労状況申立書を提出するとき(日本年金機構)

受給できた後の収入との調整

日本年機構 上野年金事務所一方で受給できた後、障害基礎、厚生どちらの年金でも収入(所得)による制限はありません。

まず原則として、障害年金に所得による支給制限はありません。

所得による支給制限があり支給停止されるのは、20歳前傷病による障害基礎年金だけです。

ですから、受給後のお仕事や転職等で悩まれる必要はございません。

但田社労士より解説

お仕事ができればそれが一番いいことです。この後具体的な認定基準等をお話していきます。

受給資格

うつ病の受給資格

うつ病で障害年金を申請するために、絶対にはずせない3つの要件があります。

  1. 初診日~いつお医者さんに行ったか
  2. 保険料納付要件~保険料は納めていたか
  3. 認定基準

初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日に「うつ病の認定基準に該当」すれば、障害年金の受給ができます。

障害認定日は初診日から1年6か月経過したところになります。

精神疾患の認定基準

精神疾患で障害年金 認定基準

精神疾患全体の認定基準は共通のため、以下参照下さい。

精神疾患全体の基準は、等級について次のように規定しています。

障害の程度 障害の状態
1級 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの

身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできない又は行えない程度

2級 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの

家庭内の軽食・最低限の洗濯等はできるが、それ以上の活動はできない程度

3級 精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

〇精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

労働することはできるが、健常者と同等に労働することはできない程度

実際、この表を見てもいまいちピンとこないと思いますが、以下の文章が重要になります。

精神の疾患の程度は、その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとする。

精神疾患は、多種であり、かつその症状は同一原因であっても多様である。

したがって、認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断するとともに、その原因及び経過を考慮する。

但田社労士より

この内容が精神疾患の障害年金を請求する場合特有のもので、病歴や仕事、日常生活の状況により審査されるということになります。

うつ病がどの程度重いのか、うまくお医者さんとコミュニケーションが取れていないことも多く、診断書の内容が症状にあっていない場合が多くあります。

うつ病で障害年金が難しい大きな理由です。

解説

病歴、治療の経過、仕事や日常生活の状況などを主治医にうまく伝えることが大事です。

日常生活の用が不能 → 著しい制限 →労働に著しい制限という感覚がわかりますでしょうか。

うつ病の障害年金審査基準(認定基準)

うつ病で障害年金 認定基準とは?

続いて、うつ病の認定要領になります。

審査基準は障害年金では認定基準と言います。

うつ病は審査上「気分(感情)障害」という名称で分類されています。

社労士より

気分の問題でもないのですが、文句を言ってもはじまりません。

認定基準は上から、常時援助 → 著しい制限 → 労働制限となっていきます。

(1)うつ病で各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりです。

等級 状 態
1 級 高度の気分、意欲・行動及び高度の思考障害の病相期があり、かつこれが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
2級 気分、意欲・行動及び思考障害の病相期があり、かつこれが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限をうけるもの
3級 気分、意欲・行動及び思考障害の病相期があり、その症状は著しくないがこれが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの

(2)認定にあたっては、次の点を考慮のうえ慎重に行う。

イ うつ病は、本来、症状の著明な時期と症状が消失する時期を繰り返す。

したがって、現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮。

また、うつ病とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定。

(3)日常生活能力等の判定にあたっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。

また、うつ病で現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず。

その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分考慮したうえで日常生活能力を判断。

(4)人格障害は、原則としてうつ病の認定の対象とならない。

(5)神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則としてうつ病の認定の対象とならない。

ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取扱う。

詳しくは、神経症・パーソナル障害と障害年金。精神病の病態を示しているのかをご覧下さい。

なお、認定にあたっては、精神病の病態がICD-10コードによる病態区分のどの区分に属する病態であるかを考慮し判断すること。

障害年金で考える

精神の障害に係る等級判定ガイドライン

精神の障害に係る等級判定ガイドライン~判定平均と程度

うつ病など、精神疾患の審査に「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が運用されています。

審査で不支給と決定された割合が「都道府県間で異なる」ため、認定事務の実態を調査したところ、地域差があることがわかったためです。

地域差をなくし、統一する趣旨になり「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」で、等級を判定します。

うつ病に関する等級判定ガイドラインの具体的な等級や運用状況については、精神の障害に係る等級判定ガイドライン~精神疾患の審査は厳しいのかにまとめました。

参考引用:日本年金機構『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』等

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国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第8節 精神の障害

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