「給与が増えると障害年金は減らされてしまうのか?」
「収入(所得)と障害年金の関係が知りたい」
そのようなご相談に向けてお話しします。
はじめまして。
社会保険労務士の但田美奈子(ただみなこ)と申します。
東京日本橋にて、10年以上「障害年金申請のサポート」を行っております。
原則的として、障害年金に所得制限はありません。
所得制限があるのは、20歳前傷病による障害基礎年金だけです。
知的障害や発達障害で子供の頃(20歳前)からの障害の場合問題となりますので、この後解説していきます(令和5年度)。
20歳前傷病による障害基礎年金と所得制限

収入(所得)による支給停止は、20歳前傷病の所得制限と言われるものです。質問を頂いたので、それに沿って解説していきます。
先日あるご相談を頂きました。
Q:平成8年(当時学生)にネフローゼ症候群で入院。
その後定期通院による温存療法を続けていたが、腎機能が低下し透析導入しました。
この場合、学生の頃(20歳前)が初診日かと思います。
現在は通院しながら働いており、所得の制限などはかかりますでしょうか?

初診当時は20歳前となりますね。20歳前傷病での障害年金には、所得制限があります。
障害年金の請求をして無事認定されても、所得制限にかかる場合支給停止となります。
20歳前に初診日のある障害基礎年金については、ご相談者が元々保険料を納付していないことから、所得制限が設けられているからです。
先ほど記載したように、特に知的障害や発達障害で子供の頃(20歳前)からの障害が対象の場合です。
初診日が20歳前となることから、この所得制限が問題となります。
所得制限にかかる金額(令和5年度)
前年の所得額が4,721,000円を超える場合、年金の全額が支給停止。
3,704,000円を超える場合、2分の1の年金額が支給停止となります。
67歳以下の方(昭和31年4月2日以後生まれ)
〇昭和31年4月2日以後生まれ
扶養家族がない場合の所得制限(扶養家族1人につき 380,000加算されます)
前年所得 | 支給 | 支給年金 |
4,721,000円超 | 全額停止 | – |
3,704,001~
4,721,000円 |
2分1停止 | 496,875円(1級)
397,500円(2級) |
3,704,000円以下 | 全額支給 | 993,750円(1級)
795,000円(2級) |
所得制限の期間
1年間(1月~12月)の所得の額が限度額を超えると、翌年10月分から翌々年9月分までの1年間につき、全額または半額の支給が停止されます。
ちなみに、支給の停止は1年1年で判断され、所得制限にかからなければ再び支給が開始されます.
いずれにしても請求はされておいた方がよろしいかと思います。
20歳前に傷病を負った人の障害基礎年金については、年金の加入を要件としていないことから、年金の支給に関して制限や調整があります。