発達障害で障害年金はもらえる?受給例・金額・受給資格・認定基準を解説

発達障害で障害年金はもらえる?受給例・金額・受給資格・認定基準を解説

発達障害で障害年金の受給まとめ

発達障害で障害年金はもらえる?

結論から申し上げますと、発達障害でも障害年金を受給できる可能性があります。

ただし、受給できるかどうかは病名だけでは決まりません。日常生活への支障、就労状況、診断書の内容、病歴・就労状況等申立書との整合性を総合的に確認する必要があります。

「発達障害で障害年金は難しいと聞いたが、もらえるのか」

「実際に受給した例を知りたい」

「もらえる金額や認定基準を確認したい」

このようなお悩みをお持ちの方に向けて、専門家の視点から解説します。

このページでわかること

  • 発達障害で障害年金を受給できるケース
  • 初診日と20歳前傷病の考え方
  • 認定基準と等級の考え方
  • 実際の受給事例
  • もらえる金額の目安
  • 働きながらの受給で注意する点

発達障害でも、適切に準備すれば障害年金を受給できる可能性があります。

実際に、年間60万円以上を受給している方もいらっしゃいます。1級に認定されれば、年額100万円を超えるケースもあります。

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執筆者紹介|障害年金専門社労士 但田美奈子

はじめまして。

当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。

経験15年以上・累計相談件数4,250件(令和8年8月末現在)・受給率97.8%。
発達障害をはじめ、さまざまな傷病のご相談に対応してまいりました。

発達障害で障害年金は難しいのか

発達障害で障害年金を申請するために大切なこと

発達障害は近年認知が進んだため相談も多くありますが、「受給するのは難しいのではないか」という声も多く寄せられています。

大切なことは、「発達障害という病名」ではなく、病状がどのような状態であれば認定基準に該当するのかを理解することです。

発達障害で障害年金を受給するためには、次の点を整理する必要があります。

  1. 初診日
  2. 日常生活能力と障害特性
  3. 病歴・就労状況等申立書と診断書の整合性
  4. 労働と日常生活のバランス

労働と日常生活のバランス

発達障害では、「どこまで、どのように働くことができるのか」という点が重要です。

仕事をしているという理由で、受給が難しくなったり、不支給や支給停止につながったりする場合があります。

ただし、就労していることだけをもって、直ちに日常生活能力が向上したとは判断されません。

就労系障害福祉サービスや障害者雇用など、保護的な環境下での単純・反復的な業務である場合は、就労の実態を具体的に伝えることが大切です。

発達障害で障害年金の金額はいくら?

発達障害の障害年金でもらえる金額の目安

発達障害で障害年金が受給できた場合、等級や初診日に加入していた年金制度により金額が変わります。

障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。

  1. 障害基礎年金:1級・2級
  2. 障害厚生年金:1級・2級・3級

初診日に国民年金に加入していた方は障害基礎年金、厚生年金に加入していた方は障害厚生年金の対象になります。

発達障害は通常低年齢で発症する疾患ですが、知的障害を伴わず、20歳以降に初めて受診した場合は、その受診日を初診日として扱うことがあります。

▶ 発達障害の障害年金の金額を詳しく見る

障害基礎年金額と子の加算

障害等級 金額
1級 1,059,125円/年
+子の加算
2級 847,300円/年
+子の加算

子の加算

発達障害の子の加算

18歳の年度末までの子がいる場合、子の加算がつきます。

子の人数 金額
1人目・2人目 1人につき 243,800円/年
3人目以降 1人につき 81,300円/年

障害厚生年金額と配偶者加給年金

発達障害で障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、障害基礎年金に加えて障害厚生年金が支給されます。

3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。

障害厚生年金 金額
1級 報酬比例額×1.25
+配偶者加給年金
2級 報酬比例額
+配偶者加給年金
3級 最低保障額 635,500円/年

配偶者加給年金

発達障害の配偶者加給年金

障害厚生年金1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されることがあります。

障害等級 金額
1級・2級
※3級はなし
243,800円/年

年金生活者支援給付金

発達障害で障害基礎年金1級又は2級を受給する場合、要件を満たすと年金生活者支援給付金が加算されます。

等級 金額
1級 月額7,025円
2級 月額5,620円

発達障害で障害年金を受給した事例

発達障害で障害年金を受給した事例

実際に発達障害でご相談いただき、受給につながった事例を紹介します。

広汎性発達障害・注意欠陥多動性障害で障害厚生年金2級に認定された事例

認定 障害厚生年金2級 事後重症請求
相談者 50代男性 千葉県松戸市
傷病 広汎性発達障害・注意欠陥多動性障害
金額 年額約160万円

20年ほど前、会社の異動により業務内容が変更になりました。

複雑で臨機応変な対応が必要となりましたが、新しい業務を覚えられず、対人関係やコミュニケーションにも問題が生じました。

その後、医療機関を受診し、パニック障害・うつ病と診断されました。

退職後も、再就職してはトラブルやミスが多く、短期間で就職と解雇を繰り返していました。

その後、広汎性発達障害と診断されました。

初診日が厚生年金加入中でしたので、障害厚生年金を請求しました。

病歴・就労状況等申立書は、出生時から記載したため3枚に及びました。

請求から72日で、障害厚生年金2級に認定されました。

アスペルガー症候群で障害厚生年金2級・4年遡及請求が認められた事例

認定 障害厚生年金2級 遡及請求4年
相談者 30代男性 埼玉県和光市在住
傷病 アスペルガー症候群
金額 年額約120万円 遡及金額約480万円

子どもの頃から、同一性保持の傾向や対人関係の苦手さがありました。

特に受診することはなく、4年制大学を卒業し就職しました。

社会人になってからうつ病の症状が出始め、受診し、アスペルガー症候群と診断されました。

当初はご本人が年金事務所で手続きを進めていましたが、難しいとのことでご相談を受けました。

障害厚生年金の遡及請求を行い、障害認定日と現在の両方で障害厚生年金2級に認定されました。

発達障害の場合、初診が大人になってからでも、幼少期からの病歴の申立書を求められることがあります。

自閉症・アスペルガー症候群で障害基礎年金1級に認定された事例

認定 障害基礎年金1級 遡及請求1年
相談者 20代女性 東京都目黒区
傷病 自閉症・アスペルガー症候群
金額 年額約100万円 遡及金額約100万円

お母さまからのご依頼でした。

ご相談時、21歳の誕生日まであと2か月弱という時期でした。

20歳の誕生日前日が障害認定日になります。

しかし、1年を過ぎると診断書が2枚必要になるため、大急ぎで準備しました。

外出は一人では困難で、1人での留守番も2時間が限度とのことでした。

生後まもなくから触れられることを嫌がり、多動傾向で目が離せない状況が続いていました。

障害基礎年金1級に認められ、申請から決定までは41日でした。

発達障害の障害年金を受給できる条件

発達障害の障害年金の受給資格

発達障害で障害年金を申請するためには、次の3つの重要な要件があります。

  1. 初診日要件
  2. 保険料納付要件
  3. 障害状態要件

初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日に発達障害の認定基準に該当すれば、障害年金を受給できる可能性があります。

障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。

精神疾患の障害年金認定基準

精神疾患で障害年金の認定基準

発達障害は、精神の障害の認定基準により判断されます。

精神疾患全体の基準では、等級について次のように考えます。

障害の程度 障害の状態
1級

身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできない又は行えない程度

2級

家庭内の軽食・最低限の洗濯等はできるが、それ以上の活動はできない程度

3級

労働することはできるが、健常者と同等に労働することはできない程度

精神疾患は、原因、症状、治療、病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定されます。

発達障害では、社会性、コミュニケーション能力、対人関係、日常生活への適応、就労状況を具体的に整理することが重要です。

発達障害の認定要領

発達障害の障害年金の認定基準

発達障害で障害年金を受給するためには、発達障害の認定基準に該当するかどうかを理解することが大切です。

代表的な発達障害には、次のようなものがあります。

  1. 自閉症スペクトラム(ASD)
  2. 注意欠如多動性障害(ADHD)
  3. 学習障害(LD)

たとえ知能指数が高くても、社会行動やコミュニケーション能力の発達障害により、対人関係や意思疎通を円滑に行うことができず、日常生活に著しい制限を受けることがあります。

また、他の精神疾患が併存している場合も、諸症状を総合的に判断して認定されます。

等級 発達障害の状態
1級 社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
2級 社会性やコミュニケーション能力が乏しく、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応に援助が必要なもの
3級 社会性やコミュニケーション能力が不十分で、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの

働いている場合の注意点

発達障害で働いている場合、就労していることだけで直ちに対象外になるわけではありません。

就労支援施設や障害者雇用、配慮を受けた勤務などの場合は、働き方の実態を整理することが大切です。

審査では、仕事の種類、仕事内容、就労状況、職場で受けている援助、他の従業員との意思疎通、対人関係のトラブルなどを確認します。

「働いているかどうか」だけではなく、「どのような配慮や支援のもとで働いているか」を具体的に伝えることが重要です。

精神の障害に係る等級判定ガイドライン

発達障害の精神の障害に係る等級判定ガイドライン

発達障害など、精神疾患の審査では、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が運用されています。

地域差をなくし、認定を統一する趣旨で、「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」により等級の目安を確認します。

発達障害に関する等級判定ガイドラインの具体的な等級や運用状況については、精神の障害に係る等級判定ガイドライン~精神疾患の審査は厳しいのかでも解説しています。

よくあるご質問

Q. 発達障害でも障害年金はもらえますか?

発達障害でも、日常生活や就労に支障があり、認定基準に該当する場合は、障害年金を受給できる可能性があります。

Q. 発達障害の初診日はいつになりますか?

発達障害は通常低年齢で発症する疾患ですが、知的障害を伴わず、発達障害の症状により20歳以降に初めて受診した場合は、その受診日を初診日とすることがあります。

Q. 発達障害で障害厚生年金を受けられることはありますか?

あります。初診日が厚生年金加入中にあると判断され、認定基準に該当する場合は、障害厚生年金の対象になる可能性があります。

Q. 働いていると発達障害の障害年金は難しいですか?

働いていることだけで直ちに不支給になるわけではありません。ただし、仕事内容、職場での配慮、援助の内容、対人関係、勤務継続の状況などが確認されます。

Q. 発達障害で遡及請求はできますか?

障害認定日当時の診断書を取得でき、その時点の状態が障害等級に該当すると判断される場合は、遡及請求を検討できます。

発達障害で障害年金を検討中の方へ

発達障害の障害年金は、初診日、保険料納付要件、障害認定日の状態、現在の症状、診断書、病歴・就労状況等申立書、就労状況によって判断が分かれます。

特に、働いている場合、障害者雇用や就労支援を利用している場合、対人関係やコミュニケーションの困難がある場合は、早めに状況を整理することが大切です。

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発達障害で障害年金を申請できるか、初診日、働きながらの申請、診断書や申立書の内容に不安がある場合は、状況に応じて確認いたします。

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参考資料

国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第8節 精神の障害

令和6年版厚生労働白書-こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に-

令和8年4月分からの年金額等について

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