「障害年金をもらいたいが、請求方法を知りたい」
「障害年金はいつ請求すればいいの。タイミングは?」
このような疑問に、わかりやすくお答えします。
はじめまして。障害年金専門社労士の但田美奈子(ただみなこ)と申します。
東京日本橋にて、13年以上にわたり累計約3,600件の「障害年金の無料相談から申請サポート」に携わってまいりました。
障害年金をもらうための請求方法や、申請するタイミングはいつがいいのでしょうか?
障害年金の請求方法
まず、障害年金の請求方法を説明していきます。
障害認定日請求
障害認定日請求とは、初診日から1年6か月経過した障害認定日時点の診断書を取得し、その認定日から1年以内に請求することです。
障害認定日とは「障害年金の認定状態にあるのかを定める日」のことです。
原則として、初診日から1年6か月を過ぎた日が障害認定日となります。
ただし、1年6か月以内にその病気や怪我が治った場合(症状が固定した場合)はその日が障害認定日となります。
もっとも一般的な請求で、原則として障害認定日から3か月以内の診断書が必要です。受給権の発生は認定日からとなります。
遡及請求
初診日から1年6か月経過した障害認定日に請求しなかった場合、1年以上経過した後で障害認定日時点に遡って請求することです。
つまり、何らかの理由で障害認定日請求から1年以上過ぎてしまった後に、遡って請求することになります。
これを遡及請求(そきゅうせいきゅう)といいます。
必要な書類
- 障害認定日から3か月以内の診断書
- 請求時の診断書
- 計2枚の診断書が必要です。
受給権の発生
- 障害認定日からです。
- (注意)障害年金の支給は認定日の翌月分からとなりますが、遡及請求は時効の関係で遡ってもらえるのは5年分までとなります。
遡及請求はお問合せが多いため、障害年金は遡及請求できると、最大5年分。数百万円受給できます!で詳しくまとめました。
事後重症請求
事後重症請求の条件
- 障害認定日時点で障害等級に該当していなかった。
- その後、65歳に達する日の前日までに障害等級に該当する状態になった場合。
初診日から1年6か月を経過した日である障害認定日に、障害等級に該当していなかった場合、その後65歳に達する日の前日までに悪化し、障害等級に該当する状態になったときに請求する方法です。
事後重症とは、後で状態が悪化したために請求することを意味します。
請求のポイント
- 障害認定日時点で医療機関を受診していなかったり、当時の診断書が保管されていない場合に適用されます。
- 認定日時点における診断書が取得できない場合、事後重症による請求となります。
必要な書類
- 請求時点での診断書。
受給権の発生時期
- 請求日からとなります。
請求時期
- 65歳に達する日の前日まで。
65歳になると老齢基礎年金の対象となるためです。
初めて2級
初めて2級とは、以下の条件を満たす場合に請求する方法です。
- 条件1: 初診日時点で2級以上の障害に満たない状態にあること。
- 条件2: その後、新たな傷病が発生。これを基準傷病と言います。
- 条件3: 65歳に達する日の前日までの間に基準傷病と前の障害を併せて、2級以上に該当する場合。
65歳前に2級以上に該当しているため、珍しく65歳以後も請求できます。
20歳前障害
20歳前障害とは、20歳前に初診日がある傷病により一定の障害状態にある方が対象となる請求方法です。
主に学生時代などに発症した場合が該当します。
条件
- 初診日が20歳前であり、その後20歳に達した日(もしくは認定日が20歳以降の場合、その認定日)に障害等級2級以上に該当すること。
初診日が学生などのため2級以上が必要になります。
必要な書類
- 20歳に達した日から3か月以内の診断書。
事後重症の場合
- 例えば、19歳で初診があった場合、障害認定日は20歳6か月になります。この時点の診断書が必要です。
受給権の発生時期
- 原則として20歳に達した日(認定日が20歳以後の場合、その認定日)から。
注意点
- 20歳前でも厚生年金に加入していた場合は、障害厚生年金の対象となり3級から対象になります(例:高卒で働いていた場合など)。
請求の考え方
精神疾患などの請求に関するご質問の中でも特に多いのが、以下のようなものです。
「先日まで「うつ病」で休職をしていたのですが、回復し復職しました。休んでいた期間は本当にすごく病状が悪かったので、今からその期間の障害年金を請求したいのです。」
実は、障害年金の相談を始めた当初、こうした質問に対して非常に不思議に感じていました。なぜ回復した後で請求するのだろう?回復しているということは障害がないということなのに、と。
しかし、一般の保険制度の考え方を考えれば理解できることです。健康保険の傷病手当金などは、働けなかった期間分を後でお医者さんに診断書を書いてもらって請求します。つまり、働けなかった期間の収入保障の意味で請求することです。ですので、実は常識的に間違っていない考え方なのです。
しかし、障害年金はこの考え方とはまったく反対の制度です。
例えば、一定期間障害認定基準に該当するような病状であったとしても、現在病状が良くなっているのであれば、障害年金の認定はされないでしょう。
障害年金(特に精神疾患の場合)の認定は、請求時つまり現在のご病状や就労状況が大きく関わってきます。
現在働けるのか?日常生活が通常に送ることができるかどうかが重要であり、過去の状態は参考となるだけとなります。
障害年金を請求する時、現在の障害の程度が最も重要なのです。
必要書類
障害年金を請求する際に必要な書類は以下の通りです。これらは大体の例示ですので、他にも必要になる場合があります。
特に1~3は、障害年金の受給を得るためにとても重要な書類です。
- 受診状況等証明書(初診日の証明)
- 診断書
- 病歴・就労状況申立書
- 裁定請求書
- 戸籍謄本、住民票、所得証明など
請求方法のまとめ
各請求方法について詳しく説明しましたが、どの方法が最適かは個別の状況により異なります。
以下に簡単にまとめます。
- 障害認定日請求:
- 初診日から1年6か月経過後の障害認定日時点で請求。
- 認定日から1年以内に請求。
- 遡及請求:
- 障害認定日から1年以上経過後に遡って請求。
- 認定日から3か月以内の診断書と請求時の診断書が必要。
- 事後重症請求:
- 認定日時点で障害等級に該当せず、その後悪化し障害等級に該当した場合に請求。
- 請求時の診断書が必要。
- 初めて2級:
- 2級以上の障害に満たない状態にあり、その後新たな傷病が発生し2級以上に該当する場合に請求。
- 65歳以後も請求可能。
- 20歳前障害:
- 20歳前に初診日がある傷病により2級以上の障害状態に該当する場合に請求。
- 20歳に達した日から3か月以内の診断書が必要。
ご自身の状況に応じた適切な請求方法を選び、しっかりと準備を進めることが重要です。
障害年金専門の社労士 経験13年、相談累計3,668件(令和6年8月末現在) 受給率97.8%。
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障害基礎年金は、20歳前または国民年金の被保険者期間中または被保険者でなくなった後でも、60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいる間に、障害の原因となった病気やけがの初診日がある方が対象になります。
障害厚生年金は、厚生年金保険の被保険者加入期間中に、障害の原因となった病気やけがの初診日がある方が対象になります。