てんかんで障害年金をもらい忘れていませんか。受給例の紹介や認定基準、金額はいくらもらえるのか?専門の女性社労士が解説!
てんかんは近年認知が進んだため相談も多くありますが、受給するのは難しいという声も目立ちます。
具体的にどうすれば、てんかんで障害年金を受給できるのでしょうか?

以下の順でお話します。
- 受給事例
- もらえる金額
- 受給資格(認定基準)
てんかんで障害厚生年金3級受給
認定 | 障害厚生年金3級 |
相談者 | 女性 神奈川県川崎市 |
傷病 | てんかん |
受給額 | 約60万円 |
てんかんの発作が起こっていない時の日常生活に特に問題がないとのこと。
何年か前に、精神障害者保健福祉手帳の申請をしたが認められなかったそうです。
そのため、「障害年金を申請しても認められないのでは?」と迷っていらっしゃいました。
てんかんの為、お仕事に就くのも制限があるのは事実です。
総合的にお話しをお伺いした結果、厚生年金3級に認定される可能性をお話しをして、代理請求をしました。
無事、障害厚生年金3級に認定されたとご連絡を頂きました。
ご本人様「やってみるもんですね!」

その通りです。てんかんで障害年金が認められることもあるのです。
てんかんで障害年金の金額はいくら
てんかんで障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?
等級ごとの金額や加算される手当を解説していきます。
てんかんの障害基礎年金額
てんかんで障害年金が認定され、もらえる金額は障害基礎年金か障害厚生年金かで異なります。
もし遡及請求できる場合、最大で5年間遡って受け取れます。
もちろん全員が該当するわけではないのですが、まだ障害年金を請求していないとき、最大5年分遡ることができるのです。これを遡及請求(そきゅうせいきゅう)といいます。
障害等級 | 金額 |
障害基礎年金
1級 |
993,750円/年
+子の加算 |
障害基礎年金
2級 |
795,000円/年
+子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
この金額を6等分して偶数月に受け取ります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。
子の加算
18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。

一般的には高校卒業までということです
子の人数 | 金額 |
1人目
2人目 |
1人につき 228,700円 |
3人目以降 | 1人につき 76,200円 |
てんかんの障害厚生年金の金額
てんかんで障害年金1級、2級に認定された場合、障害基礎年金に厚生年金が加算されます。
3級は厚生年金しかありません。
障害厚生年金の金額は、給与や厚生年金を納めていた期間(年齢)に比例するため、人により金額はまったく違います(給与30万円と45万円で1.5倍違います)。
障害基礎年金
1級 |
報酬比例額加算×1.25
+配偶者加給年金 |
障害基礎年金
2級 |
報酬比例額加算×1.0
+配偶者加給年金 |
障害厚生年金
3級 |
596,300円
金額は一律 |
配偶者加給年金
てんかんで障害厚生年金の1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいるとき。
配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、配偶者である夫についても加給年金が支給されます。
※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。
障害等級 | 金額 |
1級・2級
(3級はなし) |
228,700円 |
年金生活者支援給付金
てんかんの障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
障害年金を受給した際「年金生活者支援給付金」が加算して支給されるようになりました。
年金生活者支援給付金は基礎年金も厚生年金も変わらず2級以上であれば支給されます。
金額は毎年変動します。
2級 | 月5,140円 |
1級 | 月6,425円 |
以上、もらえる金額には年収などにより、いろいろと例外もありますので概要をまとめました。
障害年金の受給が無事決まった後、金額はいくらもらえるのでしょうか?
受給資格と認定基準
大切なことは「てんかんがどのような状態であれば、認定基準に該当するのか」を十分に理解することです。
受給資格
てんかんで障害年金の受給資格を得るために、以下の3つが大切になります。
- 初診日
- 保険料納付要件
- 認定基準
初診日と保険料納付要件まとめ。
障害年金をもらうために大切な3つの要件(初診日・保険料納付・認定基準)
精神疾患の認定基準
※以下、「日本年金機構」に掲載されている認定基準をもとにわかりやすく加筆修正。
まず、精神疾患全体の障害年金認定基準です。
精神疾患で障害年金をもらうために大切なことは、どのような状態であれば精神疾患で障害年金の認定基準に該当するのかです。
てんかんの障害年金認定基準
てんかんで受給資格を得るために大切なことは、障害年金の認定基準に該当するかどうかを十分に理解することです。
てんかん発作は、部分・全般・未分類などに分類されますが、具体的に出現する臨床症状は多彩です。
(1)頻度に関しても、薬物療法によって完全に消失するものから、難治性てんかんと呼ばれる発作の抑制できないものまで様々となります。
てんかんは、その重症度や頻度以外に発作間欠期においても、それに起因する様々な程度の精神神経や認知症状などが、稀ならず出現することに留意する必要があります。
(2)各等級等に相当すると認められるものを一部例示

下のオレンジ色の部分でなんとなく感覚がつかめますでしょうか。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月に1回以上あり、かつ常時の介護が必要なもの |
2級 | 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月に1回以上あり、かつ常時の介護が必要なもの2級十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回以上、もしくは、C又はDが月に1回以上あり、かつ日常生活が著しい制限を受けるもの |
3級 | 分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回未満、もしくは、C又はDが月に1回未満あり、かつ労働が制限を受けるもの |
(注1)発作のタイプは以下の通り
A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す
B:意識障害の有無を問わず、転倒する
C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない
D:意識障害はないが、随意運動が失われる
(注2)発作と精神神経症状及び認知が相まって出現することに留意が必要。また、「症状性を含む器質性精神障害」に準じて認定。
(3)認定に当たっては、重症度(意識障害の有無、生命の危険性や社会生活での危険性の有無など)や頻度に加え、間欠期の精神神経症状や認知症状の結果、日常生活動作がどの程度損なわれ、そのためにどのような社会的不利益を被っているのかという、社会的活動能力の損減を重視した観点から認定。
様々なタイプのてんかん発作が出現し、間欠期に精神神経症状や認知症状を有する場合、治療及び病状の経過日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定。
また、抑うつ状態やうつ病の病態を示していて、関連がある症状と診断されれば、てんかん性精神障害で年金を申請可能な場合があります。

発作や日常生活の状態により認定される可能性はあります。詳しくはお問い合わせ下さい。
審査にガイドライン運用
平成28年9月より、精神の疾患の審査にガイドラインが運用されています。
審査の地域格差をなくすためのものであり下にまとめました。
精神疾患での、障害年金の審査が等級判定ガイドラインにより大きく変わりました。専門の女性社労士が解説。
薬や外科的治療による抑制は支給対象か
てんかんでのお問い合わせ自体は多いのですが、障害年金申請の対象にならないのではないか?と言われる場合が多くあります。
それは、抗てんかん薬の服用や外科的治療によって抑制される場合、原則として認定の対象にならないためです。
障害年金対象になるのは以下のものです。
- 難治性てんかん 発作が抗てんかん薬の服用で抑制できずに慢性化するもの。
- てんかん性精神病 てんかん発作は治まったがその後精神病様状態として、幻覚がみえる・妄想的になるなどの症状があるもの。
てんかん自体が障害年金の申請対象にならないという意味ではありません。
医師の診断書の内容や、上記2つの実際の症状によるということです。
つまり、薬により抑えきれないもの又は治まった後、精神病的な症状が続くものが障害年金の対象になります。
てんかんの障害年金申請はいろいろと複雑な点もあり、女性社労士が初回無料相談で受給判定と申請サポートを行っています。
メールやお電話で問合せ下さい。
てんかん発作は、部分発作、全般発作、未分類てんかん発作などに分類されるが、具体的に出現する臨床症状は多彩である。また、発作頻度に関しても、薬物療法によって完全に消失するものから、難治性てんかんと呼ばれる発作の抑制できないものまで様々である。
「てんかん」とは