高次脳機能障害・アルツハイマー病でも、障害年金を受給できる可能性があります。
記憶力や注意力の低下、判断力の障害などによって、日常生活や仕事に支障がある場合は、障害年金の対象となることがあります。
ただし、受給できるかどうかは病名だけでは決まりません。原因となった病気やけがの初診日、日常生活で必要な援助、仕事への影響、診断書の内容などが重要になります。

このようなお悩みはありませんか。
- 高次脳機能障害やアルツハイマー病でも障害年金をもらえるのか
- 交通事故や脳の病気が原因でも申請できるのか
- 施設に入所していても障害年金の対象になるのか
- 実際の受給例や金額、認定基準を知りたい
高次脳機能障害は、交通事故や脳出血、脳梗塞、低酸素脳症などを原因として生じることがあります。
脳出血による後遺症については、脳出血の障害年金の受給例・認定基準もご覧ください。
また、アルツハイマー病などの認知症についても、障害の状態や初診日などの要件によって、障害年金を受給できる可能性があります。
この記事では、高次脳機能障害・アルツハイマー病の障害年金について、実際の受給事例、金額、認定基準、申請時の注意点を解説します。
高次脳機能障害・アルツハイマー病で障害年金は難しいのか
高次脳機能障害・アルツハイマー病でも、日常生活や仕事に大きな支障があり、障害年金の認定基準に該当すれば、受給できる可能性があります。

高次脳機能障害・アルツハイマー病で障害年金を受給するためには、症状名だけでなく、原因、初診日、日常生活や仕事への支障、診断書の内容を整理することが重要です。
特に高次脳機能障害では、外見から障害の程度が分かりにくいことがあります。
身体はある程度動かせても、記憶力や注意力、判断力、物事を計画して実行する能力などに支障があり、仕事や日常生活を一人で行うことが難しい場合があります。
高次脳機能障害で障害年金を受給できるケース
記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などによって、日常生活や社会生活に継続的な制限がある場合は、障害年金の対象となる可能性があります。
たとえば、次のような状態です。
- 大切な予定や約束を覚えておくことが難しい
- 一つのことに集中することができず、作業を続けられない
- 複数の手順がある仕事や家事を順序立てて行えない
- 感情や行動のコントロールが難しく、対人関係に支障がある
- 金銭管理、服薬管理、外出などで家族の援助が必要である
- 仕事を続けることが難しく、休職や退職に至っている
ただし、これらの症状があるだけで障害年金を受給できるわけではありません。
障害の程度が認定基準に該当するかどうか、日常生活や仕事の具体的な状況を確認する必要があります。
アルツハイマー病や若年性認知症でも障害年金はもらえるのか
アルツハイマー病をはじめとする認知症も、障害年金の対象となる場合があります。
認知症では、記憶力や判断力の低下などによって、日常生活にどの程度の援助が必要になっているかが重要です。
たとえば、次のような状況が考えられます。
- 服薬や通院の管理を一人で行うことが難しい
- 買い物や金銭管理に家族の援助が必要である
- 自宅で一人で安全に生活することが難しい
- 認知機能の低下により仕事を続けることができない
- 施設の職員や家族による継続的な援助が必要である
ただし、アルツハイマー病と診断されているという理由だけで受給できるわけではありません。
特に認知症では、発症時期や初診日の年齢、加入していた年金制度なども確認する必要があります。
なお、若年性認知症は、一般に65歳未満で発症した認知症を指します。アルツハイマー病以外の原因で生じる場合もあります。
高次脳機能障害の申請で大切な3つのポイント
高次脳機能障害で障害年金を申請する場合、特に次の3点が重要です。
- 初診日を特定すること(原因が事故か病気か、低酸素脳症かなど)
- 記憶力低下、注意障害、失語症などにより、仕事や日常生活にどの程度の制限があるかを診断書に反映すること
- 病歴・就労状況等申立書と診断書の整合性をとること
特に、交通事故、脳出血、脳梗塞、急性硬膜下血腫、低酸素脳症、認知症など、原因によって初診日の考え方や必要書類が変わることがあります。
また、高次脳機能障害では、本人が日常生活の困難を十分に認識できていない場合もあります。
そのような場合は、ご家族などから普段の生活状況を確認することも大切です。
診断書と病歴・就労状況等申立書の整合性
診断書に記載された日常生活能力と、実際に必要としている援助の内容が一致していることが大切です。
高次脳機能障害や認知症では、診察室での受け答えだけでは、普段の生活上の困難が十分に伝わらない場合があります。
特に、ご家族や施設の職員が日常生活を支えている場合、その援助の内容を具体的に整理することが重要です。
病歴・就労状況等申立書についても、発症前の生活、事故や病気の経過、仕事への影響、現在必要としている援助などを、診断書と整合するように記載する必要があります。
高次脳機能障害・若年性認知症の障害年金受給例
実際に受給した例は、申請を検討するうえで参考になります。

ここでは、業務中の交通事故による高次脳機能障害と、施設入所中の若年性認知症の受給事例をご紹介します。
高次脳機能障害で障害厚生年金2級に認定された事例
業務中の交通事故によって高次脳機能障害となり、障害厚生年金2級・年額約110万円に認定された事例です。
| 認定 | 障害厚生年金2級 障害認定日請求 |
|---|---|
| 相談者 | 30代男性 神奈川県足柄下郡 |
| 傷病 | 高次脳機能障害 |
| 金額 | 年額約110万円(認定当時) |
原因は業務中の交通事故でした。
最初は腰痛などの症状でしたが、事故の際に頭部を打たれていました。
その後、記憶、注意、遂行機能、社会的行動、学習などの障害が現れ、仕事を続けることが難しくなりました。
日常生活でも援助が必要な状態でした。
交通事故の場合、加害者との関係で第三者行為災害の書類が必要になることがあります。
書類の準備は大変でしたが、障害認定日請求を行い、無事に障害厚生年金2級に決定しました。
交通事故による障害年金では、障害の状態だけでなく、第三者行為に関する書類や損害賠償との調整なども確認する必要があります。
若年性認知症で障害基礎年金2級に認定された事例
有料老人ホームで生活していた方が、診断書に実際の援助の必要性を反映し、障害基礎年金2級に認定された事例です。
| 認定 | 障害基礎年金2級 障害認定日請求 |
|---|---|
| 相談者 | 50代男性 千葉県市川市 |
| 傷病 | 急性硬膜下血腫(若年性認知症) |
| 金額 | 年額約80万円(認定当時) |
ご相談は弟さんからでした。
現在は有料老人ホームで生活されていました。
長年のアルコール依存症と転倒による急性硬膜下血腫により、若年性認知症と診断されていました。
取得した診断書は、大幅な訂正が必要な内容でした。
施設では介添えや設備がありますが、単身で生活するとしたらどうなのか、という観点で記載していただく必要がありました。
施設にいるから補助があり大丈夫と見られると、実際の生活能力が正しく伝わらないことがあります。
診断書を訂正していただき、無事に障害基礎年金2級に決定しました。
施設で生活されている方の場合、普段は職員の援助を受けているため、本人だけでどの程度のことができるのか分かりにくい場合があります。
今回も、施設で受けている援助の内容と、援助がなければどのような困難があるのかを確認することが重要でした。
老人ホームは費用もかなりかかるとのこと。年金が少しでも足しになればと思います。
※この事例は、アルツハイマー病と診断された事例ではなく、急性硬膜下血腫などを背景とする若年性認知症の事例です。
高次脳機能障害・アルツハイマー病の障害年金はいくら?
高次脳機能障害・アルツハイマー病の障害年金額は、初診日に加入していた年金制度や障害等級、家族構成などによって異なります。

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があります。
- 障害基礎年金:1級・2級
- 障害厚生年金:1級・2級・3級
初診日が国民年金加入中などの場合は障害基礎年金、厚生年金加入中の場合は障害厚生年金の対象となります。
障害厚生年金1級・2級では、原則として障害基礎年金もあわせて受給します。
令和8年度(2026年4月分~2027年3月分)の金額を確認しましょう。
障害基礎年金額と子の加算
| 障害等級 | 年額 | 月額換算 |
|---|---|---|
| 1級 | 1,059,125円 | 約88,260円 |
| 2級 | 847,300円 | 約70,608円 |
※昭和31年4月2日以後生まれの方の金額です。昭和31年4月1日以前生まれの方は金額が異なります。
※月額換算は年額を12で割った参考額です。子の加算は含みません。
年金は原則として偶数月に2か月分ずつ支給されます。
障害基礎年金の子の加算
障害基礎年金1級又は2級を受給している方に、生計を維持している対象年齢の子がいる場合は、子の加算がつくことがあります。
対象となるのは、18歳になった後の最初の3月31日までの子、又は20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子です。

| 子の人数 | 令和8年度の加算年額 |
|---|---|
| 1人目・2人目 | 1人につき243,800円 |
| 3人目以降 | 1人につき81,300円 |
たとえば、障害基礎年金2級で対象となる子が1人いる場合、年額は1,091,100円になります。
ただし、子の加算には年齢や生計維持関係などの要件があります。
障害厚生年金額と配偶者加給年金
高次脳機能障害・アルツハイマー病で障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、原則として障害基礎年金に加えて障害厚生年金が支給されます。
3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。
| 障害厚生年金 | 基本となる金額 |
|---|---|
| 1級 | 報酬比例額×1.25 |
| 2級 | 報酬比例額 |
| 3級 | 報酬比例額(最低保障あり) |
障害厚生年金は、過去の標準報酬や厚生年金の加入期間などにより金額が変わります。
障害厚生年金3級には最低保障があり、令和8年度は年635,500円です。
※昭和31年4月2日以後生まれの方の場合。昭和31年4月1日以前生まれの方は年633,700円です。
障害厚生年金の報酬比例部分を計算する際、厚生年金の被保険者期間が300月未満の場合は、原則として300月とみなして計算します。
また、障害認定日の属する月より後の被保険者期間は、原則として計算の基礎に含まれません。
配偶者加給年金

障害厚生年金1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されることがあります。
| 障害等級 | 令和8年度の加給年金額 |
|---|---|
| 1級・2級 ※3級はなし |
243,800円/年 |
ただし、配偶者自身の老齢厚生年金や障害年金の受給権などによって、加給年金が支給停止となる場合があります。
年金生活者支援給付金
高次脳機能障害・アルツハイマー病で障害基礎年金1級又は2級を受給する場合、要件を満たすと障害年金生活者支援給付金を受給できることがあります。
令和8年度の給付額は次のとおりです。
| 等級 | 月額 |
|---|---|
| 1級 | 7,025円 |
| 2級 | 5,620円 |
年金生活者支援給付金は、障害基礎年金を受給している方全員に支給されるものではありません。
前年所得など、別途定められた要件を満たす必要があります。
障害年金の遡及請求
障害認定日当時に障害年金の受給要件を満たしていた場合は、過去にさかのぼって請求できることがあります。
ただし、遡って受け取れる年金は、原則として時効により5年分が限度です。
障害認定日当時の障害状態を確認できる診断書などが必要になります。
また、交通事故など第三者の行為が原因となった場合は、損害賠償との調整が生じることがあります。
詳しくは、障害年金の遡及請求をご覧ください。
障害年金の金額全般については、障害年金はいくらもらえる?【2026年度】1級・2級・3級の金額目安と早見表でも詳しく解説しています。
高次脳機能障害・認知症で受け取れる年金額の目安:6つのモデルケース
再評価率、平成15年3月以前の加入期間などは反映していません。実際の年金額とは異なる簡易的な計算例です。
| ケース | 年収モデル | 等級 | 年金の種類 | 概算年額・月額換算 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① 自営業・専業主婦など | ― | 2級 | 障害基礎年金 | 847,300円/年 約70,608円/月 |
子の加算を除く基本額 |
| ② 自営業・専業主婦など | ― | 1級 | 障害基礎年金 | 1,059,125円/年 約88,260円/月 |
2級の1.25倍 |
| ③ 会社員 | 300万円相当 | 3級 | 障害厚生年金 | 635,500円/年 約52,958円/月 |
このモデルでは最低保障額を適用 |
| ④ 会社員 | 300万円相当 | 2級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約126万円/年 約10.5万円/月 |
基礎年金+報酬比例部分 |
| ⑤ 会社員 | 500万円相当 | 2級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約153万円/年 約12.8万円/月 |
基礎年金+報酬比例部分 |
| ⑥ 会社員 | 500万円相当 | 1級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約192万円/年 約16.0万円/月 |
1級の基礎年金+報酬比例部分の1.25倍 |
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高次脳機能障害・アルツハイマー病で障害年金を受け取る条件(受給資格)
障害年金を受給するためには、初診日、保険料納付要件、障害の状態を確認する必要があります。

主な受給要件は、次の3つです。
それぞれについて確認します。
高次脳機能障害の初診日はいつになるのか
障害年金の初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師などの診療を受けた日をいいます。
高次脳機能障害では、原因となる傷病によって初診日の確認方法が異なります。
たとえば、次のような原因があります。
- 交通事故などによる頭部外傷
- 脳出血や脳梗塞
- 急性硬膜下血腫
- 低酸素脳症
- そのほか脳の器質的な障害を引き起こす病気
交通事故で頭部を打ち、その後に高次脳機能障害が明らかになった場合は、事故当時の受診状況などを確認する必要があります。
高次脳機能障害と診断された日が、必ずしも障害年金の初診日になるわけではありません。
また、アルツハイマー病などの認知症についても、最終的に病名が確定した日ではなく、その傷病について最初に受診した日が初診日となる場合があります。
詳しくは、障害年金の初診日と証明方法をご覧ください。
保険料納付要件
障害年金を受給するには、原則として初診日の前日時点で、一定の国民年金保険料の納付要件を満たしている必要があります。
高次脳機能障害や認知症では、初診日が分かっても、その時点の年金加入状況や保険料の納付状況によって、請求できるかどうかが変わる場合があります。
保険料の未納がある場合も、一律に受給できないわけではありません。
詳しくは、障害年金の保険料納付要件をご覧ください。
障害認定日と事後重症請求
障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。
ただし、1年6か月以内に症状が固定した場合などは、それより前の日が障害認定日となることがあります。
特に脳血管障害による機能障害では、一定の条件のもとで、初診日から6か月を経過した日以後に障害認定を行う場合があります。
障害認定日当時に認定基準に該当する場合は、障害認定日による請求を検討します。
当時は認定基準に該当しなかったものの、その後障害の状態が重くなった場合は、事後重症請求を検討することがあります。
ただし、事後重症請求には原則として65歳到達前という年齢制限があるため、特に認知症では注意が必要です。
高齢になってから認知症になった場合
アルツハイマー病などの認知症では、初診日の年齢にも注意が必要です。
障害基礎年金は、原則として国民年金の加入期間中や、国内居住の60歳以上65歳未満の一定の未加入期間などに初診日がある場合が対象となります。
また、障害厚生年金は、原則として初診日が厚生年金の被保険者期間中にあることが必要です。
そのため、高齢になってから認知症と診断された方が、必ず障害年金を受給できるわけではありません。
初診日の年齢や当時の年金加入状況、すでに受給している年金などを確認する必要があります。
精神疾患の障害年金認定基準
高次脳機能障害や認知症は、障害年金の認定上、主として精神の障害のうち「症状性を含む器質性精神障害」の認定要領によって判断されます。

障害年金の認定基準では、症状の程度だけでなく、病状の経過、治療状況、日常生活や社会生活の制限などを総合的に確認します。
高次脳機能障害・アルツハイマー病の認定基準
高次脳機能障害・認知症では、記憶障害や注意障害、遂行機能障害などによって、日常生活や仕事にどの程度の制限があるかを確認します。

高次脳機能障害は、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、日常生活又は社会生活に制約があるものが障害年金の認定対象となります。
主な症状としては、失語、失行、失認のほか、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。
また、リハビリテーションや代償機能によって改善がみられる場合もあるため、療養や症状の経過も考慮されます。
障害年金の認定基準では、症状性を含む器質性精神障害について、次のような障害状態が例示されています。
| 等級 | 障害の状態 |
|---|---|
| 1級 | 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの |
| 2級 | 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの |
| 3級 | 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの。または、認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの |
※上記は障害認定基準に示された障害状態の例示です。実際の等級は個別に総合判断されます。
※3級は障害厚生年金の等級です。障害基礎年金には3級はありません。
認定にあたっては、脳の器質的な障害による多様な症状を総合して、全体像から判断します。
また、高次脳機能障害では、失語症などの症状について、別の認定要領により評価する場合があります。
記憶障害・注意障害・遂行機能障害の評価
高次脳機能障害では、具体的にどのようなことができなくなったかを整理することが大切です。
- 記憶障害:新しいことを覚えられない、約束や予定を忘れるなど
- 注意障害:集中力が続かない、複数のことに注意を向けられないなど
- 遂行機能障害:物事を計画し、順序立てて実行することが難しいなど
- 社会的行動障害:感情や行動のコントロールが難しく、対人関係に支障があるなど
同じ障害名でも、日常生活や就労に与える影響は一人ひとり異なります。
診断書では、これらの症状が生活や仕事にどの程度の制限をもたらしているのかが重要になります。
精神の障害に係る等級判定ガイドライン
精神の障害の認定では、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」も用いられています。
このガイドラインは、障害年金の認定における地域差を改善し、等級判定の標準的な考え方を示すために設けられたものです。
診断書に記載された「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」などをもとに、障害等級の目安や考慮すべき事項を確認します。
ただし、目安だけで機械的に等級が決まるわけではありません。
高次脳機能障害や認知症の場合も、原因や症状の経過、日常生活で受けている援助、就労状況などを含め、個別に障害の状態を確認することが大切です。
詳しくは、精神の障害に係る等級判定ガイドラインと審査の考え方をご覧ください。
交通事故が原因の場合の注意点
交通事故など第三者の行為によって高次脳機能障害となった場合は、障害年金の申請書類に加え、損害賠償との調整にも注意が必要です。
交通事故など第三者の行為によって高次脳機能障害となった場合、障害年金と損害賠償の調整が問題になることがあります。
第三者行為災害に該当する場合は、通常の障害年金の書類に加えて、事故や損害賠償に関する書類が必要になることがあります。
たとえば、第三者行為事故状況届、交通事故証明書、確認書、損害賠償の状況が分かる書類などです。
また、業務中の交通事故の場合は、労災保険との関係も確認する必要があります。
第三者から損害賠償を受けている場合などは、障害年金の支給調整が生じることがあります。
状況により必要書類や調整の内容が変わるため、早めに確認することが大切です。
今回ご紹介した神奈川県足柄下郡の男性の事例でも、業務中の交通事故が原因だったため、第三者行為に関する書類の準備が必要になりました。
施設入所中の場合の注意点
施設で生活できているという事実だけで、日常生活能力が高いと判断できるわけではありません。施設の支援がなければどの程度の援助が必要かを確認することが大切です。
有料老人ホームや施設で生活している場合、施設の支援を受けて生活が成り立っていることがあります。
そのため、診断書では「施設で生活できているか」だけでなく、「単身で生活するとしたらどうか」という観点も重要です。
施設には、食事の準備、服薬管理、見守り、日常生活上の介助など、さまざまな支援があります。
こうした援助があることで安定した生活を送れている場合、援助がなければどのような困難があるのかを確認する必要があります。
また、施設に入所しているからという理由だけで、障害年金の対象外になるわけではありません。
先ほどの千葉県市川市の受給事例でも、施設での生活状況を踏まえ、診断書を訂正していただいた結果、障害基礎年金2級に認定されました。
施設の介助や設備があるから生活できている場合、その支援がなければどの程度困難なのかを具体的に整理することが大切です。
働きながらの受給は難しいのか
高次脳機能障害で働いている場合でも、就労していることだけで障害年金の対象外になるわけではありません。
現に仕事に従事している場合でも、働いていることだけをもって、直ちに日常生活能力が向上したとは判断されません。
仕事内容や勤務状況、職場で受けている援助や配慮、ほかの従業員との意思疎通の状況などが確認されます。
高次脳機能障害では、たとえば次のような点が重要です。
- 仕事の内容や必要な作業手順
- 記憶や注意の問題による仕事上のミス
- 上司や同僚による指示・確認・見守り
- 勤務時間や業務内容の配慮
- 対人関係や感情のコントロールに関する問題
- 仕事を続けるために必要な援助
- 仕事をした後の日常生活への影響
高次脳機能障害では、事故や病気の前には問題なくできていた仕事が、発症後に難しくなることがあります。
そのため、発症前後で仕事内容や勤務状況がどのように変わったのかを整理することも大切です。
よくあるご質問
高次脳機能障害でも障害年金はもらえますか?
高次脳機能障害でも、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などによって日常生活や仕事に支障があり、認定基準に該当する場合は、障害年金を受給できる可能性があります。
アルツハイマー病や若年性認知症でも障害年金の対象になりますか?
対象になる可能性があります。ただし、初診日の年齢や加入していた年金制度、日常生活能力、診断書の内容などを確認する必要があります。高齢になってから初診日がある場合は、年金制度上の要件にも注意が必要です。
交通事故が原因の高次脳機能障害でも請求できますか?
請求できる可能性があります。ただし、第三者行為災害に該当する場合は、事故や損害賠償に関する書類が必要になることがあります。業務中の事故では、労災保険との関係も確認します。
働いていると高次脳機能障害の障害年金は難しいですか?
働いていることだけで直ちに対象外になるわけではありません。仕事内容、職場での援助、意思疎通、記憶や注意の問題、業務上の制限などを確認します。
施設に入っている場合、診断書で注意することはありますか?
施設の支援によって生活が成り立っている場合があります。そのため、単身で生活した場合にどの程度の援助が必要になるか、施設で受けている援助の内容を具体的に確認することが大切です。
高次脳機能障害で障害厚生年金3級になることはありますか?
初診日が厚生年金加入中にあり、認定基準に該当する場合は、障害厚生年金3級の対象になる可能性があります。3級は主として労働に制限がある状態を対象とし、障害基礎年金には3級がありません。
高次脳機能障害で遡及請求はできますか?
障害認定日当時の障害状態が認定基準に該当し、必要な診断書などをそろえることができる場合は、遡及請求を検討できます。ただし、過去に受け取れる年金は、原則として時効により5年分が限度です。
執筆者紹介:障害年金専門社労士 但田美奈子
はじめまして。
当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。
経験15年以上・累計相談件数4,250件(令和8年8月末現在)・受給率97.8%。
高次脳機能障害・アルツハイマー病をはじめ、さまざまな傷病のご相談に対応してまいりました。
高次脳機能障害の障害年金では、記憶力や注意力の低下など、外見からは分かりにくい障害が日常生活や仕事にどのような影響を与えているのかを、丁寧に整理することが大切です。
また、交通事故が原因の場合や施設で生活されている場合は、初診日の確認や診断書の記載など、申請にあたって注意すべき点があります。
ご本人だけでなく、ご家族が障害年金の申請に悩まれているケースも少なくありません。
これまでの経験を活かし、お一人おひとりの生活状況やご家族のお気持ちも大切にしながら、障害年金の受給につながるよう丁寧にサポートしてまいります。
高次脳機能障害・アルツハイマー病で障害年金を検討中の方へ
高次脳機能障害・アルツハイマー病の障害年金では、原因、初診日、保険料納付要件、日常生活や仕事への支障、診断書の内容などを確認する必要があります。
特に、交通事故が原因の場合、施設入所中の場合、診断書の内容が実際の生活状況と合っていない場合は、早めに状況を整理することが大切です。
ご本人の状況だけでなく、ご家族が普段どのような援助を行っているかも重要になります。
初回のメール・電話相談は無料です
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高次脳機能障害やアルツハイマー病で障害年金を申請できるか、初診日や診断書、交通事故、施設入所中の申請などについて、状況に応じて確認いたします。
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参考資料
高次脳機能障害・認知症の障害年金の認定基準、受給要件、金額については、以下の公的資料をご参照ください。