
悪性リンパ腫で障害年金を受給した事例を紹介します
がんは、病名やステージだけではなく、治療経過、再燃、疼痛、倦怠感、職場復帰の見込み、日常生活への支障などにより、障害年金を受給できる可能性があります。
このページでは、悪性リンパ腫により障害厚生年金2級に認定された事例を、診断書の一般状態区分、障害認定日請求、退職後の申請の注意点とあわせて解説します。
「悪性リンパ腫で障害年金を受給した事例を知りたい」
「がんで障害厚生年金2級に認定されるケースを確認したい」
「診断書の一般状態区分が軽く書かれている場合の注意点を知りたい」
このような方に向けて、実際の受給事例を紹介します。
※このページは、がんの障害年金について、悪性リンパ腫の受給例に特化したサブページです。受給資格、金額、認定基準などの全体像については、がんで障害年金はもらえる?受給例・金額・受給資格・認定基準を解説をご確認ください。
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執筆者紹介|障害年金専門社労士 但田美奈子
はじめまして。
当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。
経験15年以上・累計相談件数4,250件(令和8年8月末現在)・受給率97.8%。
悪性リンパ腫をはじめ、がんによる障害年金のご相談にも対応してまいりました。
悪性リンパ腫の障害年金では、治療内容や診断名だけでなく、再燃後の治療継続、疼痛、動悸、息切れ、慢性的な疲労感、職場復帰の可否などが重要になります。
診断書の一般状態区分が、実際の日常生活の状態に合っているかも大切な確認ポイントです。
悪性リンパ腫で障害厚生年金2級に認定された事例
| 認定 | 障害厚生年金2級 障害認定日請求 |
| 相談者 | 30代女性 東京都葛飾区 |
| 傷病 | 悪性リンパ腫 |
| 金額 | 年額約150万円 |
お問い合わせフォームからご連絡いただき、日本橋の事務所でご相談を承りました。
1年2か月ほど前から咳が出始め、最初は風邪だと思っていたそうです。
しかし、咳が止まらず、咳払いをした際に血が混じった痰が出るようになり、近所の内科を受診されました。
38.6度の熱と喀血が続いていたため総合病院を紹介され、検査の結果、悪性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断されました。
すぐに入院治療を開始し、R-CHOP療法を8コース行い、悪性リンパ腫はいったん寛解状態となりました。
しかし、お仕事に復帰して1か月ほどで悪性リンパ腫が再燃し、救援化学療法を開始されました。
腫瘍の縮小はみられず、放射線療法と救援化学療法を継続されていました。
今後も入院を伴う治療が続くため、職場復帰のめどが立たず退職されました。
現在も動悸、息切れ、肋骨への転移による疼痛、慢性的な疲労感があり、日常生活は非常に困難な状態でした。
診断書の一般状態区分が軽く書かれていた事例

ご依頼時は、まだ障害認定日前、つまり初診日から1年6か月経過前でした。
そのため、初診日の証明やその他の書類の準備を先に進めました。
障害認定日後に、すぐ悪性リンパ腫の診断書を作成していただけるよう依頼しました。
しかし、でき上がった診断書の一般状態区分は、次の内容でした。
一般状態区分「イ」
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行・軽労働や座業はできるもの。例えば、軽い家事、事務など。
しかし、実際の状態よりも明らかに軽い評価でした。
そこで、診察時の具体的な日常生活の状況を整理し、医師にお伝えいただくようアドバイスしました。
その結果、一般状態区分を「ウ」に訂正していただくことができました。
一般状態区分「ウ」
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの。
医師の見立てに対して感情的に「間違っている」と伝えるのではなく、実際の障害状態や日常生活の様子を、事実に即して丁寧に説明することが大切です。
一般状態区分による障害年金の目安
障害年金の等級は、病気やけがの状態だけでなく、日常生活がどの程度行えるか、つまり一般状態区分によっても判断されます。
以下は、診断書に記載される一般状態区分と、障害年金等級の目安です。
| 一般状態区分 | 日常生活の状態の目安 | 障害年金等級の目安 |
|---|---|---|
| ア | 無症状で社会活動ができ、制約を受けることなく、発症前と同様の生活が送れる状態 | 非該当となる可能性があります。 |
| イ | 軽度の症状があり、肉体労働には制限があるものの、歩行・軽作業・座業は可能。例:軽い家事、事務など | 3級となる可能性があります。 |
| ウ | 歩行や身のまわりのことは自分でできるが、ときどき軽い介助が必要となることがある。軽労働はできないが、日中の50%以上は起きて過ごしている状態 | 2級又は3級となる可能性があります。 |
| エ | 身のまわりのことはある程度できるものの、しばしば介助が必要。日中の50%以上は就床しており、自力での屋外外出がほぼ不可能な状態 | 2級となる可能性があります。 |
| オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とする。終日就床しており、活動範囲がおおむねベッド周辺に限られる状態 | 1級となる可能性があります。 |
※上記はあくまで目安であり、実際の等級は診断書、病歴・就労状況等申立書、治療経過、就労状況などを含めて総合的に判断されます。
無事、悪性リンパ腫で障害厚生年金として請求を行い、障害厚生年金2級に認定されました。
請求から決定までは104日間でした。
一般状態区分が「イ」のままだと、2級には該当しにくかったため、実際の状態に合う内容へ訂正していただけて本当によかった事例です。
悪性リンパ腫の受給例で大切なポイント
悪性リンパ腫の障害年金では、次の点が重要です。
- 悪性リンパ腫の診断名だけでなく、治療経過や再燃後の状態を整理すること
- 動悸、息切れ、疼痛、慢性的な疲労感など、日常生活への支障を具体的に伝えること
- 職場復帰の可否、退職に至った経緯を整理すること
- 障害認定日前から、初診日の証明や必要書類を準備しておくこと
- 診断書の一般状態区分が実際の状態に合っているか確認すること
- 医師に説明する際は、感情的ではなく、具体的な事実を整理して伝えること
悪性リンパ腫の障害年金では、検査結果や治療内容だけでなく、治療後にどの程度生活や仕事が制限されているかを丁寧に整理することが大切です。
よくあるご質問
Q. 悪性リンパ腫でも障害年金を受給できますか?
受給できる可能性があります。悪性リンパ腫の治療経過、再燃の有無、倦怠感、疼痛、息切れ、日常生活や仕事への支障などを確認して判断します。
Q. 悪性リンパ腫で障害厚生年金2級になることはありますか?
あります。初診日に厚生年金に加入しており、悪性リンパ腫により日常生活に著しい制限がある場合は、障害厚生年金2級に認定される可能性があります。
Q. 診断書の一般状態区分が軽く書かれている場合はどうすればよいですか?
実際の日常生活や就労状況と診断書の内容に差がある場合は、具体的な事実を整理して主治医に伝えることが大切です。必要に応じて訂正を相談します。
Q. 障害認定日前から準備できますか?
できます。初診日の証明、受診歴、治療経過、就労状況、日常生活状況など、障害認定日前から準備できる書類があります。
Q. 退職後でも悪性リンパ腫で障害年金を請求できますか?
退職後でも、初診日や保険料納付要件を満たし、障害の状態が認定基準に該当する場合は請求できる可能性があります。
悪性リンパ腫で障害年金を検討中の方へ
悪性リンパ腫の障害年金は、初診日、保険料納付要件、障害認定日の状態、現在の症状、診断書、病歴・就労状況等申立書、治療後の後遺症によって判断が分かれます。
特に、再燃後も治療が続いている場合、退職している場合、診断書の一般状態区分が実態と合っていない場合は、早めに状況を整理することが大切です。
参考資料
悪性新生物による障害の程度は、次により認定する。
がんと診断されてから必要なお金の一部は、公的医療保険などで負担が軽減できる場合があります。また、就業や収入の状況に合わせた支援制度も整備されています。
