
人工関節・人工骨頭で障害年金を受給した東京・神奈川の事例を紹介します
人工股関節・人工骨頭を挿入置換した場合、原則として障害厚生年金3級に該当する可能性があります。
ただし、初診日が厚生年金加入中かどうか、手術日と障害認定日の関係、遡及請求ができるかどうかによって、請求方法や受給額が変わります。
このページでは、大腿骨頭壊死症、変形性股関節症、悪性軟部腫瘍などで人工関節により障害年金を受給した事例をご紹介します。
「人工股関節で障害年金を受給した事例が知りたい」
「人工関節で遡及請求できるケースを知りたい」
「手術日が障害認定日になるのか知りたい」
このような方に向けて、実際の受給例をもとに解説します。
このページでわかること
- 人工関節・人工骨頭で障害年金を受給した事例
- 障害厚生年金3級に認定された事例
- 5年遡及請求が認められた事例
- 事後重症請求で認定された事例
- 初診日の証明が問題になった事例
- 人工股関節の手術日が障害認定日になる特例
人工関節・人工骨頭の認定基準や金額の全体像は、人工関節・人工骨頭の障害年金の解説ページで詳しく解説しています。
この記事の内容は以下からすぐ確認できます。
執筆者紹介|障害年金専門社労士 但田美奈子
はじめまして。
当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。
経験15年以上・累計相談件数4,193件(令和8年6月末現在)・受給率97.8%。
人工関節・人工骨頭をはじめ、肢体障害の障害年金のご相談にも対応してまいりました。
事例はさまざまなケースがありますので、ぜひ参考にしてください。
変形性股関節症で障害厚生年金3級(遡及請求5年)|約340万円
| 認定 | 障害厚生年金3級 遡及請求5年 |
| 相談者 | 女性 東京都足立区 |
| 傷病 | 右変形性股関節症 |
| 金額 | 約60万円 遡及約340万円 |
「障害厚生年金3級を、過去にさかのぼって受け取ることはできますか?」
そうご相談くださったのは、東京都足立区にお住まいの女性です。
約8年前に、右股関節の人工関節置換手術を受けておられました。
初診日は厚生年金加入中であり、現在も同じ病院で定期的に診察を受けておられました。
別の社労士からは「遡及は難しい」と言われてしまったそうです。
遡及請求が認められる可能性を検討
当事務所では、共済年金の類似事例で遡及が認められたケースを経験していました。
この方も「認められるべきケース」と判断し、申請準備を進めました。
初診日から1年6か月経過する時点で人工股関節の手術を受けている場合、遡って受給できる可能性があります。
この方の手術は初診日から1年7か月目であり、認定日要件を満たしていました。
診断書をそろえて遡及請求へ
現在の診断書と、手術後の障害認定日時点の診断書をそろえ、障害厚生年金を遡及請求しました。
申請から2か月後、追加資料の提出依頼がありました。その間、ご本人もかなりご不安だったと思います。
結果として、障害厚生年金3級(5年遡及)に認定されました。
請求から決定まで、203日間と7か月近くかかりました。
病院の診断書取得に時間がかかった影響もありますが、待った甲斐がありました。
お客様からいただいたお手紙
ご依頼者様にもとても喜んでいただき、後日うれしいお手紙を頂戴しました。

この度は大変お世話になりました。
おかげ様で、何軒かの事務所に問い合わせても、色々なHPを見ても無理と断られた遡及分迄の障害年金を無事にいただく事ができました。
何軒か断られて、先生の所へご相談に伺った際、「肢体の年金制度は複雑なんです。まずはやってみましょう!」とおっしゃって頂いた時の心強かったこと!
仕事の合間をぬってのやり取りでしたが、お忙しい中いつも迅速にていねいにご対応して下さいました。
何より、ドクターの診断書に添付したい文言、書類につきましても、的確なものを作成して下さり、多忙なドクターに、こちらの状況が正しく伝わった事も大きな要因だったと思っております。
但田先生にお願いして本当によかった!
心より感謝申し上げます。
こちらこそ、本当にありがとうございました。ご信頼いただき、準備がとてもスムーズに進みました。遡及も決定し、本当によかったです。
ステロイド投与後の右大腿骨頭壊死で障害厚生年金3級|約60万円

| 認定 | 障害厚生年金3級 事後重症請求 |
| 相談者 | 東京都中央区 男性 |
| 傷病 | 右大腿骨頭壊死(人工関節) |
| 金額 | 約60万円 |
当初は「脊柱管狭窄症」と診断されていましたが、のちに大腿骨頭壊死症が判明しました。
その原因は、難治性肺炎や関節リウマチ治療のためのステロイド投与によるものでした。
4年前に右足の壊死が見つかり、当初は温存療法を選択されました。
しかし症状が悪化し、2年前に人工股関節置換術を受けられたそうです。
お知り合いから「障害年金の対象では?」と聞き、当事務所にご相談いただきました。
原疾患との相当因果関係と初診日
重要なのは「初診日」の考え方です。
この方の場合、整形外科を受診した日ではなく、原疾患である肺炎・リウマチで初めて受診した日が初診日になります。
このように、相当因果関係のある傷病がある場合、前段階の病気の初診日が障害年金上の初診日とされることがあります。
人工股関節置換術を受けられると、原則として障害厚生年金3級に該当します。
厚生年金加入中で、保険料納付要件や書類も問題ありませんでした。
ただし、初診日から1年6か月時点では人工関節を入れていなかったため、障害認定日時点では等級に該当しませんでした。
そのため今回は、事後重症請求の形で手続きを進めました。
請求から決定まで、91日間(約3か月)でした。
大腿骨頭壊死症による人工股関節置換の場合、多くは永久認定(更新なし)です。
ただし、永久認定だからといって安心しすぎないことも大切です。
その後、障害の程度が重くなり上の等級に該当する状態になった場合は、額改定請求を検討する必要があります。
変形性股関節症(人工股関節)で障害厚生年金3級|約60万円

| 認定 | 障害厚生年金3級 事後重症請求 |
| 相談者 | 女性 東京都板橋区 |
| 傷病 | 変形性股関節症(人工関節) |
| 金額 | 約60万円 |
ご相談者は、30年以上厚生年金に加入しながらお仕事を続けてこられた女性です。
4年前に変形性股関節症による人工股関節置換術を受けられ、「障害年金は受給できるのか?」というお問い合わせをいただきました。
受給できるなら代理をお願いしたいとのことで、正式にご依頼となりました。
当初は遡及請求の予定でした
障害認定日の特例により、人工股関節を入れた日が初診日から1年6か月以内であれば、手術日を障害認定日として請求できる可能性があります。
ご本人の記憶では、初診日は手術の約5か月前とのことで、特例として遡及請求をするべく準備を始めました。
しかし、診断書・受診状況等証明書を取得したところ、ご本人の記憶にはなかった別の病院での受診歴が記載されていました。
この結果、初診日は約5年前に遡ることになりました。
本来の予定とは異なり、遡及請求はできず、事後重症請求へ変更することになりました。
カルテがない場合の初診日証明
初診の病院は10年ほど前で、すでにカルテはなく、証明書の取得はできませんでした。
次の医療機関の受診状況等証明書には、「○○年頃から痛みがあり、△△病院で鎮痛剤の投与を受けていた」との記載がありました。
これを裏付けるため、当時のスケジュール帳や診察券を準備し、合理的な初診日の証明として提出しました。
請求から決定まで、64日間でした。
無事に初診日も認められ、障害厚生年金3級(事後重症)に認定されました。
厚生年金の加入歴や納付要件が万全だったことが、迅速な認定につながったと思われます。

悪性軟部腫瘍で障害厚生年金3級(遡及請求2年)|約120万円
| 認定 | 障害厚生年金3級 遡及請求2年 |
| 相談者 | 東京都板橋区 男性 |
| 傷病 | 悪性軟部腫瘍(人工股関節) |
| 金額 | 約60万円 遡及120万円 |
以前ご依頼いただいた方のご紹介で、今回のご相談をいただきました。
ご本人は現在もお仕事を続けておられる方で、厚生年金に加入中でした。
ご相談の内容は、「悪性軟部腫瘍により人工股関節を入れたが、障害年金を受給できるか?」というものでした。
障害認定日の特例
人工股関節を挿入置換した場合、1年6か月を待たずに手術日を障害認定日として申請できる場合があります。
人工股関節を挿入置換された日を障害認定日として、障害厚生年金を請求しました。
請求から93日で、障害厚生年金3級に認定されました。
人工股関節や人工骨頭の場合、多くは永年認定(更新不要)となります。
今回もその形で認定され、ご依頼者様の負担が少なく済みました。
ただし、永年認定だからといって安心しすぎないことが大切です。
状態が悪化し、上位等級に該当する状態になっても、国から自動的に案内があるわけではありません。
必要な場合は、ご自身から額改定請求を検討する必要があります。
変形性股関節症で障害厚生年金3級|約60万円

変形性股関節症で障害厚生年金3級の受給例(神奈川)をご紹介します。
| 認定 | 障害厚生年金3級 事後重症請求 |
| 相談者 | 男性 神奈川県横浜市 |
| 傷病 | 変形性股関節症(人工関節) |
| 金額 | 約60万円 |
お問い合わせフォームからご連絡をくださり、その後、事務所にお越しいただいてご面談・ご依頼となりました。
経過と診断
6年ほど前から、前触れもなく右股関節に痛みを感じるようになったとのことでした。
しばらくは我慢されていたそうですが、徐々に痛みが強くなり、仕事にも支障が出てきたため整形外科を受診されました。
診断は変形性股関節症でした。
今後手術の可能性もあるとのことで、大きな病院を紹介され転院されました。
その後、経過観察を続ける中で痛みが落ち着き、治療をいったん中止されました。
およそ3年間は、特に問題なく生活できていたようです。
ところが1年ほど前に再び強い痛みがあり、再度受診されました。
その後、人工股関節置換術を受けることになりました。
現在も製造現場でのお仕事を続けておられますが、動作には一部制限や痛みが残っているとのことです。
初診日は厚生年金に加入していた時期で、納付要件にも問題がなかったため、障害厚生年金を請求しました。
請求から65日で、無事に障害厚生年金3級に認定されました。
人工股関節では手術日が認定日になる特例があります
今回のご依頼では、受診状況等証明書の取得時に、病院から「障害年金はもらえないから、書いても無駄になる」と言われてしまったそうです。
理由は「まだ認定日に達していないから」というものでした。
確かに、障害年金は初診日から1年6か月経過した日を障害認定日とするのが基本です。
しかし、人工股関節の置換手術を受けた場合は例外があり、手術日がそのまま障害認定日とされることがあります。
つまり、1年6か月を待たずに請求できる特例があるのです。
この特例について、医療機関の方に十分知られていないこともあります。
お医者さんは医療の専門家ですが、障害年金は別の制度です。
不安なことや不明な点があれば、専門家に確認することをおすすめします。
人工関節・人工骨頭の受給例からわかること
人工関節・人工骨頭の受給例を見ると、次の点が重要であることがわかります。
- 初診日が厚生年金加入中かどうか
- 初診日と人工関節置換術の時期
- 障害認定日の特例に該当するか
- 遡及請求ができるか
- 事後重症請求になるか
- 初診の病院にカルテがない場合の証明方法
- 相当因果関係のある傷病がある場合の初診日の整理
- 永年認定後に状態が悪化した場合の額改定請求
人工股関節や人工骨頭は、制度上の特例がある一方で、初診日の整理や診断書の取得でつまずきやすい分野です。
特に、遡及請求や初診日が古い場合は、事前の確認が大切です。
よくあるご質問
Q. 人工関節・人工骨頭で障害年金を受給した事例はありますか?
あります。変形性股関節症、大腿骨頭壊死症、悪性軟部腫瘍などで人工股関節を挿入置換し、障害厚生年金3級に認定された事例があります。
Q. 人工股関節で遡及請求できることはありますか?
あります。初診日、手術日、障害認定日の関係によっては、遡及請求が認められることがあります。ただし、診断書や初診日の証明が重要です。
Q. 人工股関節の手術日は障害認定日になりますか?
人工股関節を挿入置換した場合、手術日が障害認定日とされることがあります。そのため、初診日から1年6か月を待たずに請求できるケースがあります。
Q. 初診の病院にカルテがない場合でも申請できますか?
申請できる可能性はあります。次の医療機関の受診状況等証明書、診察券、スケジュール帳など、初診日を合理的に示す資料を準備して申請することがあります。
Q. 永年認定後に状態が悪化した場合はどうなりますか?
上位等級に該当するほど状態が悪化した場合は、額改定請求を検討できることがあります。国から自動的に案内されるわけではないため、ご自身で確認する必要があります。
人工関節・人工骨頭で障害年金を検討中の方へ
人工関節・人工骨頭の障害年金は、初診日、手術日、障害認定日の特例、厚生年金加入の有無、診断書の内容によって判断が分かれます。
遡及請求や初診日が古い場合は、個別の整理が重要です。
人工関節・人工骨頭で障害年金を検討されている方は、まずは無料相談をご利用ください。
参考資料
第2 下肢の障害1 認定基準 下肢の障害については、次のとおりである。
股関節症の主な症状は、関節の痛みと機能障害です。
