
人工関節・人工骨頭で障害年金はもらえる?
結論から申し上げますと、人工関節・人工骨頭を挿入置換された場合、障害年金を受給できる可能性があります。
特に、初診日が厚生年金加入中にある場合は、障害厚生年金3級に該当する可能性があります。
- 初診日の確認
- 保険料納付要件
- 人工関節・人工骨頭の挿入置換日と認定基準
この3点が重要で、同じ人工関節・人工骨頭の手術でも受給できる方とできない方に分かれます。
「人工関節・人工骨頭で障害年金は難しいと聞くが、私はもらえるのか?」
「実際に受給した例を知りたい」
「もらえる金額はどのくらいだろう」
このようなお悩みをお持ちの方に向けて、専門家の視点から詳しく解説します。
このページでわかること
- 人工関節・人工骨頭で障害年金を受給できるケース
- 実際の受給事例
- もらえる金額の目安
- 受給資格と初診日の考え方
- 人工関節・人工骨頭の認定基準
- 障害認定日の特例
人工関節・人工骨頭でも、適切に準備すれば障害年金を受給できる可能性があります。
障害厚生年金3級に認定されれば、令和8年度では年額635,500円の最低保障があります。
過去に遡って請求できる場合には、数百万円単位の遡及が認められるケースもあります。
この記事の内容は以下からすぐ確認できます。
執筆者紹介|障害年金専門社労士 但田美奈子
はじめまして。
当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。
経験15年以上・累計相談件数4,193件(令和8年3月末現在)・受給率97.8%。
人工関節・人工骨頭をはじめ、肢体の障害やさまざまな傷病のご相談に対応してまいりました。
障害年金は、病気やケガで日常生活や仕事が難しくなったときに支給される大切な制度です。
この記事では、人工関節・人工骨頭で障害年金を受給するためのポイントや実際の事例、もらえる金額の目安を詳しく解説します。
申請を迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
人工関節・人工骨頭で障害年金は難しいのか

人工関節・人工骨頭の手術を受けた方から、障害年金のご相談をいただくことがあります。
では、人工関節・人工骨頭で障害年金を受け取ることは難しいのでしょうか。
結論から申し上げますと、人工関節・人工骨頭を挿入置換された場合、障害年金を受給できる可能性があります。
ただし、人工関節・人工骨頭の手術を受けたことだけで、すべての方が同じ年金を受け取れるわけではありません。
初診日に加入していた年金制度、保険料納付要件、手術日、診断書の内容が重要になります。
人工関節・人工骨頭で障害年金を受給できるケース
- 初診日が厚生年金加入中にある
- 保険料納付要件を満たしている
- 人工関節又は人工骨頭を挿入置換している
- 手術日など、障害認定日の特例に該当する
特に、初診日が厚生年金加入中にある場合、障害厚生年金3級に該当する可能性があります。
人工関節・人工骨頭で障害年金が難しいケース
- 初診日が厚生年金加入中でない
- 保険料納付要件を満たしていない
- 初診日の証明ができない
- 先天性の傷病などで、20歳前傷病として判断される可能性がある
- 障害基礎年金のみで、2級以上に該当しない
重要なのは、人工関節・人工骨頭を挿入置換した事実だけでなく、初診日と加入年金制度、認定基準に該当する状態を、書類上正確に伝えることです。
以下の2点が特に重要です。
- 初診日と加入年金制度の確認
- 診断書・病歴就労状況等申立書・医療記録の整合性
人工関節・人工骨頭は原則として3級に該当するため、初診日が厚生年金加入中かどうかが大きな分かれ目になります。
- 受給例
- 金額はいくらもらえるのか
- 受給資格
- 認定基準
人工関節・人工骨頭の障害年金受給例

実際に人工関節・人工骨頭で障害年金を受給した例をご紹介します。
永久認定やカルテが破棄されたものなど、いろいろなケースがございますが、実際に受給した例は参考になると思います。
障害厚生年金3級永久認定(遡及請求2年)-120万円
| 認定 | 障害厚生年金3級 遡及請求2年 |
| 相談者 | 女性 東京都江戸川区 |
| 傷病 | 変形性股関節症(人工関節) |
| 金額 | 約60万円 遡及金額120万円 |

ご相談者は子供の頃に骨端軟骨異形成症と診断されました。
その後、就職して厚生年金に加入した後、股関節に痛みを感じ、医師の診察を受けました。
診断から1年も経たないうちに、右股関節の人工関節置換手術を受けることになりました。
人工関節や人工骨頭に置換された場合、障害厚生年金の3級に認定されることはご存じだったとのことです。
当初はご自身で手続きを進める予定でしたが、初診日が認められるかどうか不安を感じ、最終的に当事務所にご依頼いただきました。
障害厚生年金の初診日が認められるよう、最善を尽くしました。
その結果、人工関節により障害厚生年金3級の認定を受けることができました。
さらに、遡及認定が認められ、永久認定という最良の結果となりました。
子供の頃からの障害の場合、障害基礎年金(先天性の働く前のため)での認定になる可能性もあります。
この場合、障害厚生年金にしか3級がないため、認定されない可能性が高いという現実があります。
これは非常に理不尽な状況ですが、現行の法制度では避けられません。
自分のためにも使ってくださいね。
障害厚生年金3級-60万円
| 認定 | 障害厚生年金3級 事後重症請求 |
| 相談者 | 女性 東京都江戸川区 |
| 傷病 | 変形性股関節症(人工関節) |
| 金額 | 約60万円 |

ご依頼者様が股関節の痛みを感じ、受診されたのは20年ほど前のことでした。
この当時、ご依頼者様は厚生年金に加入しており、その初診日の証明が最も重要な課題となりました。
しかし、初診の大学病院に問い合わせたところ、カルテはすでに破棄されていることが判明。
こうした場合、初診証明の取得は非常に困難になります。
しかし、ご本人様が当時の診察予約票を保管しており、その写しと第三者証明を2通準備することで、初診日を証明する方向で進めることになりました。
さらに、念のために生命保険会社に記録が残っていないかを確認したところ、驚くべきことに、記録が見つかりました!
ご本人様から「先生が一生懸命やってくださっているので、駄目モトで保険会社に記録が残ってないか頼んだところ、ありました!」との連絡が。
その記録には初診日が明確に記載されており、人工関節の障害年金申請に十分な裏付けとなる書類が揃いました。このように、ダメ元であっても可能性を探ることが大切です。
その後、障害厚生年金を申請し、62日という短期間で審査が完了。
照会もなく、無事に人工関節による障害厚生年金3級の認定を受けました。
人工関節の受給事例集
受給事例が増えてきたため、一覧としてまとめました。
- 人工関節置換術後の具体的な受給例は、人工関節の障害年金 受給事例のページで詳しく紹介しています。
人工関節・人工骨頭で障害年金の金額はいくら?

人工関節(人工骨頭)で障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらになるのでしょうか?
実際、受給が決まっても「いくらもらえるのか」がご心配だと思います。
そこで、人工関節(人工骨頭)で受給できる等級ごとの金額や、加算される手当を解説していきます。
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- 基礎:1級と2級
- 厚生:1級、2級、3級
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このように、基礎と厚生が組み合わさって、2階建ての仕組み(3級は厚生年金のみ)になっています。
もらえる金額もこれに伴って説明していきます。

人工関節の障害基礎年金額と子の加算
人工関節・人工骨頭で、障害基礎年金の1級又は2級に認定されたときの金額を解説していきます。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級 | 1,059,125円/年 +子の加算 |
| 2級 | 847,300円/年 +子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
1年の金額を6等分して、偶数月に受け取ることになります。
初回は臨時で奇数もありえますが、以後必ず偶数月に2か月分まとめて受け取る形になります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。

18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。
| 子の人数 | 金額 |
| 1人目/2人目 | 1人につき 243,800円/年 |
| 3人目以降 | 1人につき 81,300円/年 |
人工関節の障害厚生年金額と配偶者加給年金
人工関節・人工骨頭で、障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、障害基礎年金に加えて厚生年金が加算されます。
3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。
障害厚生年金の金額は、給与や勤めていた期間(年齢)に比例するため、人によりまったく違います。
例えば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に1.5倍の差が生じます。
| 障害厚生年金 | 金額 |
| 1級 | 報酬比例額加算×1.25 + 配偶者加給年金 |
| 2級 | 報酬比例額加算×1.0 + 配偶者加給年金 |
| 3級 | 635,500円/年 金額は一律 |
報酬比例部分に300月みなしあり
報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。
例えば、会社に入社後、それほどたたずして障害年金の受給を開始した場合など。
最低25年は年金を納付したものとして、ある程度の額の厚生年金が受給できるようになっています。
また、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金の計算の基礎とはされません。

年金制度自体は批判も多いのですが、なかなか手厚くなっています。
計算の基礎となるのは、障害認定日までに納付したものまでです。

人工関節・人工骨頭で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、どうなるでしょうか。
※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級・2級 (3級はなし) |
243,800円/年 |
年金生活者支援給付金
人工関節・人工骨頭の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
年金生活者支援給付金は基礎も厚生も変わらず2級以上であれば支給されます。
金額は毎年変動します。
| 等級 | 金額 |
| 1級 | 7,025円/月 |
| 2級 | 5,620円/月 |
以上、人工関節・人工骨頭でもらえる金額の詳細は下記にまとめました。
障害年金のもらえる金額はいくらなのか?に概要をまとめました。
受給されたお客様の声
多くの方から温かいお言葉を頂いております。いつも本当にありがとうございます。
人工関節・人工骨頭で障害年金の対象になるか気になる方は、無料相談をご利用ください。
障害年金を受給できる条件

人工関節で障害年金を申請するためには、次の3つの重要な要件があります。
初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日に「人工関節の認定基準に該当」すれば、受給できます。
認定基準

障害年金の障害年金を受給できる条件を得るためには、人工関節や人工骨頭が認定基準に該当するかを十分に理解することが重要です。
〇人工関節とは
関節の機能に障害が出た場合、人工の材料を用いてその関節に置換するものです。
以下の手術があります。
- 人工股関節置換術
- 肩関節置換術
- 肘関節置換術
- 膝関節置換術
〇人工骨頭とは
大腿骨の骨頭を人工材料を用いて置き換えたものです。
この場合、骨盤側の軟骨は置き換えず、大腿骨の方だけを置換します。
認定基準は、国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第7節 肢体の障害 第2 下肢の障害|日本年金機構に基づきます。
これは下肢を例にしていますが、上肢も同様の基準が適用されます
一下肢の3大関節中1関節以上に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したもの。
及び、両下肢の3大関節中1関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは3級と認定する。
ただし、そう入置換の例外もあります。
一下肢については「一下肢の用を全く廃したもの」程度以上に該当するとき。
挿入置換すれば3級に該当するのか

原則的には、人工関節や人工骨頭は障害等級3級に該当するとされています。
両下肢については「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの程度以上に該当するとき」は、さらに上位等級に認定されることがあります。
上位等級、つまり2級になる可能性もあるのです。
障害厚生年金は3級からですが、障害基礎年金は2級からとなります。
つまり、厚生年金の初診日がある場合は3級を受給できます。
しかし、基礎年金の初診日の場合は2級がありません。
人工関節・人工骨頭をそう入置換しただけでは原則として障害年金は受給できません。
そのことから人工関節・人工骨頭を挿入置換しただけでは、障害年金が貰えないと言われることがあります。
つまり、原則としては3級のない障害基礎年金では受給できないが、例外があるということになります。
まとめます。
- 原則:人工関節・人工骨頭の等級は3級。
- 例外:手術後の経過が悪く、肢体の運動機能が著しく制限される場合は2級になることもある。
人工関節の障害認定日の特例

もう一度説明しますが、障害年金を請求できるのは原則として「初診から1年6か月を経過した日」です。
しかし、人工骨頭又は人工関節を挿入置換した場合は特例があり、請求できるのはその日(手術を受けた日)となります。
つまり、1年6か月待たなくても障害年金の請求が可能です。
障害認定日のよくある勘違いですが、障害の程度を認定する日は「人工骨頭又は人工関節を挿入置換した日」です。
初診日から1年6か月を経過していなくても、申請できるのです。
先天性股関節脱臼の初診日について
最後に、先天性股関節脱臼から変形性股関節症を発症した場合について説明します。
赤ちゃんの時に治療を受け、その後通常の生活を送っていた場合、大人になってから股関節に痛みが生じた際の受診日が初診日となることがあります。
この場合、社会的治癒とみなされるため、大人になってからの初診日を基準に障害厚生年金の申請が可能となることがあります。
一方、股関節が変形したまま成人し、体育の授業を見学していたなどの場合は、障害が続いていると見なされることがあります。
この場合、20歳前に発症したとして障害基礎年金の請求が可能です。
日常生活に著しい制限がある場合や、人工関節・人工骨頭の認定基準で2級に該当する場合は、基礎年金でも受給できる可能性があります。
また、子供の頃から先天性の股関節脱臼があった場合でも、社会的治癒が認められることにより、厚生年金の対象となる場合があります。
人工関節・人工骨頭は働きながらでも受給できるのか
人工関節・人工骨頭で障害厚生年金3級に該当する場合、働いていることだけを理由に直ちに不支給となるわけではありません。
実際に、手術後に仕事を続けながら障害厚生年金3級を受給された事例もあります。
ただし、障害の状態、仕事内容、通勤状況、勤務上の配慮、痛みや可動域制限の程度などは、診断書や申立書で確認されます。
就労している場合でも、人工関節・人工骨頭の挿入置換日、初診日、厚生年金加入状況を正確に整理することが大切です。
よくあるご質問
人工関節・人工骨頭を入れたら必ず障害年金をもらえますか?
必ずではありません。初診日、保険料納付要件、加入していた年金制度、認定基準に該当するかどうかを確認する必要があります。
人工関節・人工骨頭で障害厚生年金3級になることはありますか?
あります。初診日が厚生年金加入中にあり、人工関節又は人工骨頭を挿入置換した場合、障害厚生年金3級に該当する可能性があります。
国民年金だけの場合、人工関節・人工骨頭で3級はありますか?
原則としてありません。障害基礎年金は1級・2級のみで、3級は障害厚生年金の制度です。ただし、手術後の状態が重く、2級以上に該当する場合は障害基礎年金の対象となる可能性があります。
人工関節・人工骨頭の手術日が障害認定日になりますか?
人工骨頭又は人工関節を挿入置換した場合は、手術日が障害認定日となることがあります。初診日から1年6か月を待たずに請求できる可能性があります。
先天性股関節脱臼でも障害厚生年金を請求できますか?
ケースによります。子どもの頃の症状がいったん治まり、成人後に社会生活を送った後で改めて受診した場合は、社会的治癒が検討されることがあります。初診日の整理が非常に重要です。
人工関節・人工骨頭で障害年金を検討中の方へ
人工関節・人工骨頭の障害年金では、初診日、保険料納付要件、加入していた年金制度、手術日、診断書の内容が重要になります。
特に、人工関節・人工骨頭は原則として障害厚生年金3級に該当するため、初診日が厚生年金加入中にあるかどうかが大きなポイントになります。
「自分は対象になるのか」「初診日が古くても証明できるのか」「先天性股関節脱臼の場合はどうなるのか」「過去に遡れるのか」など、判断に迷う方も多いと思います。
人工関節・人工骨頭で障害年金を検討されている方は、まずはお気軽にご相談ください。
参考資料
令和8年4月分からの年金額等について
人工関節とは
引用元: 日本人工関節学会:人工関節手術は、変形性関節症や関節リウマチ、あるいは外傷によって傷んで変形した関節の表面を取り除き、人工の関節に置き換えて関節の痛みを軽減する手術です。
