「人工関節で障害年金を受給した例を知りたい。」
「今から障害年金を申請するが、もらえる金額や認定基準を知りたい。」
そのようなご相談に向けてお話しします。
はじめまして。
社会保険労務士の但田美奈子(ただみなこ)と申します。
東京日本橋にて、10年以上「人工関節や人工骨頭など障害年金申請のサポート」を行っております。
受給例や金額、仕事・収入との関係など認定基準を専門の女性社労士が解説!
人工関節・人口骨頭は障害認定日の特例
障害年金を請求できるのは原則として「初診から1年6か月を経過した日」です。
しかし、人工骨頭又は人工関節を挿入置換した場合特例があり、その日(手術を受けた日)です。
つまり、1年6か月待たなくても障害年金の請求が可能です。
※詳細は人工関節の障害認定日の特例
人工関節・人工骨頭で障害年金の申請を忘れていませんか?
専門の女性社労士が、受給例や金額、認定基準を解説します!

具体的にどうすれば、人工関節で障害年金を受給できるのでしょうか?
以下の順でお話します。
- 受給事例
- もらえる金額
- 受給資格(認定基準)
人工関節の障害年金受給例
永久認定やカルテが破棄されたものなど、いろいろなケースがございますが、実際に受給した例は参考になると思います。
障害厚生年金3級永久認定(遡及請求2年)
認定 | 障害厚生年金3級 遡及請求2年 |
相談者 | 女性 東京都江戸川区 |
傷病 | 変形性股関節症(人工関節) |
受給額 | 約60万円 遡及金額120万円 |
子どもの頃、骨端軟骨異形成症と診断。
その後就職し厚生年金加入後、股関節の痛みで受診され1年経たずして右人工股関節置換に。
人工関節や人工骨頭に置換されている場合、障害厚生年金3級に認定されることはご存じでした。
当初はご自分で手続きをされる段取り。
しかし、障害厚生年金の初診が認められるかどうか不安をお感じになり、当事務所にご依頼。
障害厚生年金の初診を認めてもらえるよう手を尽くし、結果人工関節で障害厚生年金3級。
しかも遡及認定あり、永久認定という最良の形で決定。
人工関節は子供の頃からの障害の場合、障害基礎年金(先天性の働く前のため)での認定になる可能性もあります。
この場合、障害厚生年金しか3級がないので結局認められません。
本当理不尽なことではありますが、現在の法制したではどうしようもありません。
ご本人もとても喜んでくださり、遡及した障害厚生年金を弟さんの学費の足しにしたいとおっしゃっていました。

なんてすごい!自分のためにも使ってくださいね。

カルテ破棄で障害厚生年金3級
認定 | 障害厚生年金3級 事後重症請求 |
相談者 | 女性 東京都江戸川区 |
傷病 | 変形性股関節症(人工関節) |
受給額 | 約60万円 |
股関節の痛みが出始め、受診されたのは20年程前(厚生年金加入時)。
もう20年も前のお話です。
こういう場合、初診の証明取得が最重要課題。
病院に当たったところ、初診の大学病院のカルテは既に破棄とのこと・・・。
しかし、ご本人が当時の診察予約票をお持ちになっていました。
その写しと第三者証明(第三者に証明してもらう)2通で初診を証明する方向で準備。
そんな中、生命保険会社に記録が残っていないか確認。
なんと!「先生が一生懸命やってくださっているので、駄目モトで保険会社に記録が残ってないか探してくれるよう頼んだところ、ありました!」とご本人さまから連絡が。
内容を確認したところハッキリ初診日の記載もあり、人工関節に十分な裏付けの書類。
駄目もと・・・いいんです。おっしゃってください。なにかの鍵になるかも。
障害厚生年金を請求し、62日(審査途中の照会なし)で人工関節障害厚生年金3級に認定。

初診日の証明、諦めずに探せば糸口が見つかりますよ。
地域別受給例
受給事例を地域別にしています。
人工関節・人口骨頭で障害年金の金額はいくら?
人工関節(人工骨頭)の障害年金でもらえる金額は、いくらになるのでしょうか?
人工関節の障害基礎年金額
人工関節・人工骨頭で障害年金が認定され、もらえる金額は障害基礎年金か障害厚生年金かで異なります。
もし遡及請求できる場合、最大で5年間遡って受け取れます。
もちろん全員が該当するわけではないのですが、まだ障害年金を請求していないとき、最大5年分遡ることができるのです。これを遡及請求(そきゅうせいきゅう)といいます。
障害等級 | 金額 |
障害基礎年金
1級 |
993,750円/年
+子の加算 |
障害基礎年金
2級 |
795,000円/年
+子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
この金額を6等分して偶数月に受け取ります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。
子の加算
18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。

一般的には高校卒業までということです
子の人数 | 金額 |
1人目
2人目 |
1人につき 228,700円 |
3人目以降 | 1人につき 76,200円 |
人工関節の障害厚生年金額
人工関節・人工骨頭で障害年金1級、2級に認定された場合、障害基礎年金に厚生年金が加算されます。
3級は厚生年金しかありません。
障害厚生年金の金額は、給与や厚生年金を納めていた期間(年齢)に比例するため、人により金額はまったく違います(給与30万円と45万円で1.5倍違います)。
障害基礎年金
1級 |
報酬比例額加算×1.25
+配偶者加給年金 |
障害基礎年金
2級 |
報酬比例額加算×1.0
+配偶者加給年金 |
障害厚生年金
3級 |
596,300円
金額は一律 |
配偶者加給年金
人工関節・人工骨頭で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいるとき、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、配偶者である夫についても加給年金が支給されます。
※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。
障害等級 | 金額 |
1級・2級
(3級はなし) |
228,700円 |
年金生活者支援給付金
人工関節・人工骨頭の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
障害年金を受給した際「年金生活者支援給付金」が加算して支給されるようになりました。
年金生活者支援給付金は基礎年金も厚生年金も変わらず2級以上であれば支給されます。
金額は毎年変動します。
2級 月5,140円
1級 月6,425円
以上、もらえる金額には年収などにより、いろいろと例外もあります。
障害年金の受給が無事決まった後、金額はいくらもらえるのでしょうか?
受給資格
人工骨頭又は人工関節による障害年金の受給資格を得るためには、以下の3つが大切になります。
初診日と保険料納付
- 初診日
- 保険料納付要件
- 認定基準
初診日と保険料納付要件まとめ。
障害年金をもらうために大切な3つの要件(初診日・保険料納付・認定基準)
人工関節の障害認定日の特例
障害認定日のよくある勘違いです。

最初に記載しましたが、大事なのでもう一度お話します。
障害の程度を認定する日は、人工骨頭又は人工関節を挿入置換した日です(初診日から起算して1 年6月以内の日に限る)。
通常、障害年金は初診日から1年6か月経過した日が認定日です。
しかし、人工骨頭又は人工関節を挿入置換したものに関しては特例で挿入置換日が認定日となります。
初診日から1年6か月を経過していなくても、申請できるのです。
ただし、1年6か月経過後に装着する場合、認定日は原則通り1年6か月経過時点です。
先天性股関節脱臼の初診日
最後に、先天性股関節脱臼から変形性股関節症を発症された場合の考え方です。
赤ちゃんの時に治療をし、その後通常の生活を送っていました。
大人になってから股関節に痛みを生じて受診された場合。
社会的治癒とみなし、大人になってからの受診日が初診日となる場合もあります。
つまり働きだしてからが初診日であれば、障害厚生年金の申請が可能な場合もあります。
ただし、股関節が変形したままの状態で成人され、体育の授業も見学していた等の場合。
障害が続いていたとみなされて障害基礎年金(20歳前傷病)の請求になります。
この場合、日常生活が著しく制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものに該当する場合。
人工関節・人工骨頭の認定基準で2級となり、基礎年金でも受給できる可能性はあるのです。
また、子供の頃からの先天性の場合、社会的治癒があったとみなされて、厚生年金の対象となる場合もありえます。
認定基準
人工関節又は人工骨頭で障害年金の受給資格を得るために大切なのは、認定基準に該当するかどうかを十分に理解することです。
人工関節とは
関節の機能に障害が出た場合、人工の材料を用いてその関節に置換するもの。
- 人工股関節置換術
- 肩関節置換術
- 肘関節置換術
- 膝関節置換術
人工骨頭とは
大腿骨の骨頭を人工材料を用いてその骨頭に置き換えたもの。
骨盤側の軟骨を人工のものに置き換えず大腿骨の方だけの置換。
認定基準は、人工骨頭又は人工関節を挿入置換したものについては、次により取扱。
※日本年金機構の認定基準より加筆・修正
下肢を例にとりますが上肢も同様の基準です。
一下肢の3大関節中1関節以上に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したもの。
及び、両下肢の3大関節中1関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは3級と認定する。
ただし、そう入置換の例外もあります。
一下肢については「一下肢の用を全く廃したもの」程度以上に該当するとき。
挿入置換すれば3級に該当か
原則的には、人工関節や人工骨頭は障害等級3級に該当するとされています。

ということは・・・もしかすると3級がない障害基礎年金では受給できないと思っていらっしゃらないですか?解説していきます。
両下肢については「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの程度以上に該当するとき」は、さらに上位等級に認定するとあります。
上位等級、つまり2級になる可能性もあるのです。
人工関節・人工骨頭の障害厚生年金は3級からですが、障害基礎年金は2級からとなります。
厚生年金が初診であれば3級を受給できますが、基礎年金が初診は2級がありません。
人工関節・人工骨頭をそう入置換しただけでは原則として障害年金は受給できません。
そのことから人工関節・人工骨頭だけでは障害年金が貰えないと言われることがあります。
つまり、原則としては人工骨頭、人工関節は3級のない障害基礎年金では受給できないが、例外があるということになります。
まとめます。人工関節・人工骨頭で等級は原則3級です。
しかし、手術後の経過が非常に悪かったりして、肢体の運動機能が著しく制限される場合2級になる場合もありえます。
非常に複雑になりますので、申請をお考えの場合ぜひご相談ください。

どうでしょうか?かなり複雑になります。
人工関節・人工骨頭の障害年金申請はいろいろと複雑な点もあり、女性社労士が初回受給資格の無料相談と申請サポートしています。
第2 下肢の障害1 認定基準 下肢の障害については、次のとおりである。
股関節症の主な症状は、関節の痛みと機能障害です。
特発性大腿骨頭壊死症の症状は、比較的急に始まる股関節痛と跛行です。
令和5年4月分からの年金額等について
障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法
障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法