過重労働や働き方改革などでTVや新聞でも取り上げられており、ご存知の方も多いと思いますが、最近うつ病や双極性障害での相談が大変増えております。
子供の頃に初診日があり病歴が非常に長い場合もあれば、お仕事でうつ病などを発症するケースも多くあります。
特に若い方の仕事上の精神疾患による労災認定も、非常に増えてきています。
厚労省によると精神障害に関する事案の労災補償状況(令和元年度)は以下になります。
- 請求件数2,060件 前年度比240件の増
- うち未遂を含む自殺件数 前年度比2件減202件
よくご質問を頂くのが、精神疾患で仕事をしていても障害年金の対象になるのか?ということです。
仕事や収入と障害年金審査
1~3級など等級によっても異なりますが、認定基準は日常生活に著しい制限があるかと労働(仕事)の制限により判断されます。
労働の制限に関して、現在既に休職中(又は退職)か極端に短い短時間労働しかできない状態でないと、対象にならない可能性が高いと思われます。
労働の制限があるかどうかであり、仕事や収入がいくらという問題ではないのですが・・・。
現実的にフルタイム就労ですとかなり厳しいのが現実です。
特に平成28年9月に等級判定ガイドラインができてからは、一層その傾向が強いと思います。
- 病歴の長さ(1年半程度なのか、5年程度なのかなど)
- 日常生活にどれだけの制限があるのか。
- 現在の病状
- 回復の見込み(予後)など
最終的に上記のような総合的な判断になります。
認定基準では仕事をしていたらダメとはされていませんが、所得保障という考え方があります。
働いていると(仮に週数回や時短勤務でも)、やはり厳しい判断になってくるのも致し方のない部分もあります。
一番いいのは、楽しく張り合いをもってお仕事に復帰できることなのですが・・・。
Q.統合失調症でも質問がありました。
家族が統合失調症を長く患っており、症状は日常生活に著しい制約をうける状態です。
最近家族の経営の会社で社会保険に加入しているようです。このような状況で、請求可能ですか?
A. 就労されていて厚生年金(社会保険)に加入中であっても、統合失調症で障害年金申請は可能です。
実際の就労の状況、日常生活の状況、お医者様の見解等で判断は変わってきます。
ただ、最近はフルタイム就労では難しく、障害者雇用などで認定される例が多くなってきました。
精神障害者の就職件数
精神疾患のある方の仕事に関してです。
企業が雇用する必要のある障害者雇用率が2.3%に引き上げられました(従業員43.5人以上の企業)。
厚生労働省が「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を立ち上げました。
その資料によると、精神障害者の就職件数は、平成18年から平成28年にかけて10年間で約6.1倍(6,739件→41,367件)と大幅に増えています。
今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(厚生労働省資料より抜粋)
ハローワークを通じて就職した全障害者に占める精神障害者の割合も、同じく大幅に増加しています(15.3%→44.4%)
ちなみに全体的な就職状況
身体障害者は57.9%→28.9%。
知的障害者は26.0%→21.8%
に減少しています。
平成30年4月から障害者雇用率の算出基礎対象に精神障害者も加わるため、いわゆるうつ病や統合失調症の雇用が増えました。
今後、この傾向はさらに進んでいくと思われます。
職場の定着という面では、精神障害については定着が困難な方が多い状況となっています。
1年後に49.3%が離職しています。
つまり半数が離職してしまっているのですが今後の課題です。
就労と障害年金の審査まとめ
精神の障害の場合、就労しているかどうかも審査の大きな要素です。
就労されていると障害年金の審査はかなり厳しいと言わざるを得ません。
特に正社員等で在職中だと、かなり難しくなります(もちろんお1人お1人状況は違いますので、一般論です)。
とはいえ、ご本人の為には「就労出来ること」が一番だと思っています。

今後、精神障害の方も仕事が定着していくことを願っています。
よくご質問を頂く神経症をまとめてみました。
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今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会
障害のあるなしに関わらず、誰もがその能力と適性に応じた雇用の場に就き、地域で自立した生活を送ることができるような社会の実現を目指し、障害のある人の雇用対策を総合的に推進しています。
引用元: 障害者雇用対策 |厚生労働省