現在、相談が非常に多いのが精神疾患です。
子供の頃に初診日があり、病歴が非常に長い場合もあれば、お仕事でうつ病などを発症するケースも多くあります。
特に若い方の仕事上の精神疾患による労災認定も非常に増えてきております。
厚労省によると、精神障害に関する事案の労災補償状況として、請求件1,515 件で、前年度比59 件の増、うち未遂を含む自殺件数は前年度比14件減の199件であったとのこと。
こちらでは、精神障害での障害年金請求に関してよく質問を頂くお仕事との関係や、その他ご質問頂いたことなどをまとめてみました。
まず、よく頂く神経症での申請についてです。
この記事の目次
神経症と障害年金
自立神経失調症での障害年金の相談も多くあります。
相談事例を掲載してみました。
Q:2011年春に初めて診療内科に行きましたが、あまり通院しませんでした。
その後体調が悪化し2011年秋から半年間ほど休職しました。
サラリーマンです。2012年3月末で完治したかと思い受診をしなくなりました。
その後、会社に復帰していましたが、最近仕事や人間関係で体調が悪く病院へ行ったところ「自律神経失調症」と診断されました。
また1か月程度、休職をしようとしています。
障害厚生年金を受給できますか?
神経症の範疇かどうか
A:精神の障害の場合、「神経症」と言われる傷病のみでは障害年金の認定対象外になってしまいます。自律神経失調症は「神経症」の範疇です。
「神経症」であっても精神病の症状も出ている等がある場合は認められる場合もありますが、ハードルがかなり高いのが実情です。
ただ、会社への診断書には、医師が配慮して下さって「うつ病」とは書かず、「自律神経失調症」や「抑うつ状態」等と書かれることもよくありますので、病名は医師に確認なさったほうがいいと思いますよ。
上のような事情で会社向けの診断書などの場合、実際の病態と違うこともよくありますので。
障害年金は労働や日常生活に制限があり、それが少なくとも1年以上続くような状態の方に支給されるものです。

現実的には1か月の休職で、復帰できるようであれば、認定は難しいでしょう。参考になさってください。
神経症での申請
「パニック障害」「強迫性障害」「身体表現性障害」「適応障害」等の病名で神経症の方は原則障害年金の対象外です。
ただ、医師の書いた診断書に、精神病(統合失調症やうつ病等)の病態を示していると記載があり、精神病による症状だと判断されれば、障害年金を受給できる場合もあります。
障害年金の請求をお考えで、神経症と診断を受けていらっしゃる場合は、主治医に確認されるのもいいかもしれません。
抑うつ状態と障害年金
こちらは抑うつ状態のご質問でした。
10年前から抑うつ状態(うつとパニック障害)と診断され、現在、仕事を求職し傷病手当金を支給されながら生活しております。
このようなケースの場合、精神障害者年金の受給は可能なのでしょうか?
傷病名と申請の関係
大切なことなのですが、「抑うつ状態」というのは傷病名ではありません。
まず、主治医に傷病名を確認しましょう。
「うつ病」であれば大丈夫ですが、「神経症」と言われる傷病のみでは障害年金の認定対象外になってしまいます。
ただし、精神病の症状も出ている場合は認められる場合もあります。
仕事や収入の関係
TVや新聞でも取り上げられており、ご存知の方も多いと思いますが、最近うつ病や双極性障害での相談が大変増えております。
中でもよくご質問を頂くのがうつ病(双極性障害等)で、仕事をしていても障害年金の対象になるのか?ということです。
審査の基準で、1~3級の等級によっても異なりますが、基本的には「日常生活に著しい制限があるか」と「労働(仕事)の制限」により判断されます。
労働の制限に関しては、現在既に休職中(又は退職)か極端に短い短時間労働しかできない状態でないと、対象にならない可能性が高いと思われます。
労働の制限であり、収入がいくらという問題ではないので。
しかし、現実的にフルタイム就労ですとかなり厳しいですね。
特に平成28年9月にガイドラインができてからは、一層その傾向が強いと思います。
最終的には病歴の長さ(1年半程度なのか、5年程度なのかなど)や、日常生活にどれだけの制限があるのか。
現在の病状、回復の見込み(予後)などの総合的な判断にはなります。
認定基準では、仕事をしていたらダメとはされていませんが、所得保障という考え方がありますので、働いていると(仮に週数回や時短勤務でも)、やはり厳しい判断になってくるのも致し方のない部分もあります。
一番いいのは、楽しく張り合いをもってお仕事に復帰できることなのですが。あせらず、少しずつ。
精神障害のある方の就職に関してです。
平成30年4月から、企業が雇用する必要のある障害者雇用率が2.2%に引き上げられます(従業員45.5人以上の企業)。
それにともない、厚生労働省が「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を立ち上げました。
ハローワークからの精神障害者の就職件数
その資料によると、精神障害者の就職件数は、平成18年から平成28年にかけて10年間で約6.1倍(6,739件→41,367件)と大幅に増えています。
今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(厚生労働省資料より抜粋)
ハローワークを通じて就職した全障害者に占める精神障害者の割合も、同じく大幅に増加しています(15.3%→44.4%)
ちなみに全体的な就職状況は、身体障害者は57.9%→28.9%、知的障害者は26.0%→21.8%に減少しています。
離職率
平成30年4月から障害者雇用率の算出基礎対象に精神障害者も加わるため、この傾向はさらに進んでいくと思われますが、職場の定着という面では、精神障害については定着が困難な方が多い状況となっています。
1年後に49.3%が離職しています。つまり半数が離職してしまっているのです。
これは、今後の課題ですね。
就労と障害年金の審査
精神の障害の場合、就労しているかどうかも、審査の大きな要素です。
就労されていると障害年金の審査はかなり厳しいと言わざるを得ません。
特に正社員等で在職中だと、かなり難しくなります(もちろんお一人お1人状況は違いますので、一般論です)。
とはいえ、ご本人の為には、「就労出来ること」が一番だと思っています。

今後、精神障害の方も仕事が定着していくといいですね。
精神疾患の障害年金申請は、いろいろと複雑な点もあり、女性社労士が初回受給資格の無料相談と申請サポートしています。メールやお電話で問合せ下さい。