障害年金をもらうために大切な3つの受給要件のうち、障害状態要件(認定基準)を解説していきます。
はじめまして。東京で障害年金申請サポートを行っている社労士の但田美奈子と申します。
この記事の目次
障害年金の受給資格3要件
受給資格を得るため必要な要件は、次の3つ。
- 初診日(初めてお医者さんに掛かった日)
- 保険料納付(年金保険料を納めているか)
- 障害状態要件(認定基準に当っているか)

障害状態要件をお話して、最後に障害基礎年金と障害厚生年金のまとめをお話します。他2つは以下を参照ください。
障害状態要件(認定基準)
怪我・病気により障害年金がもらえるかどうかの認定基準が定めてあります。
障害状態要件とは、怪我や病気等がどのような状態であれば障害年金を受給できるかの認定基準です。
国で定めているものを、個人別に当てはめて検討する必要があります(同じ病名でも病態は人それぞれのため)。認定基準は、傷病や障害の種類ごとに細かく定められています。
障害認定日とその例外
障害認定日に認定基準に該当する状態にあれば請求できます。障害認定日とは初診日から1年6ヶ月が経過した日か、その前に症状が固定し、それ以上治療の効果が期待できない状態となった日です。
以下は障害認定日の例外です。1年6ヶ月待つ必要はなく請求できます。
- 人工透析療法を行っている場合。透析を受け始めてから3ヶ月を経過した日
- 人工骨頭又は人工関節をそう入置換した場合。そう入置換した日
- 心臓ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)又は人工弁を装着した場合。装着した日
人工肛門や新膀胱の造設、尿路変更術を施術した場合。造設又は手術を施した日 - 切断、又は離断による肢体の障害。原則として切断又は離断をした日(障害手当金の場合は、創面が治ゆした日)
- 喉頭全摘出の場合。全摘出した日
- 在宅酸素療法を行っている場合。在宅酸素療法を開始した日
- 神経系の障害により次のア、イのいずれかの状態を呈している場合。初診日から6ヶ月経過した日以後の日
ア 脳血管障害により機能障害を残しているときは、医学的観点からそれ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるとき。
イ 現在の医学では、根本的治療方法がない疾病であり、今後の回復が期待できず、気管切開下で人工呼吸器(レスピレーター)使用、胃ろう等の恒久的な措置が行われており、日常の用を弁ずることができない状態であると認められるとき。
認定基準の目安
認定基準は、本当にわかりやすくお話しすると以下のとおりです。
- 1級:機能の障害又は長期にわたる病状により、常時の介護を必要とする程度
- 2級:機能の障害又は長期にわたる病状により、日常生活が著しい制限を受ける程度
- 3級:労働が著しい制限を受けるか、著しい制限を加えることを必要とする程度
常時介護>日常生活が著しい制限>労働が著しい制限という文言で大体の感じをつかんで頂ければと思います。
例えば、うつ病だから障害年金がもらえるのではなく、実際に仕事や日常生活にどれくらい影響があるのか?という判断で審査されます。特に精神疾患は状態が一定ではなく、いいとき悪いときの差も激しいため、診断書や申立書の内容が大事になります。
障害基礎年金の受給要件まとめ
障害基礎年金と障害厚生年金の受給要件をまとめてみます。
初診日
国民年金の加入期間中(又は20歳前の年金に未加入である期間中)に初診日がある病気や怪我によって障害の状態になったこと。
又は国民年金に加入したことがある方が、60歳~65歳未満の間に初診日のある病気や怪我によって障害の状態になったこと。
障害認定日
障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過した日又はそれ以前の治った日)において、1級又は2級の障害状態にあること。
納付要件
初診日において、一定の保険料納付要件(滞納がないこと)を満たしていること。
ただし、年金に未加入である20歳前の病気やケガにより障害の状態になった方については問われません。もともと納付期間がないからです。
障害厚生年金の受給要件まとめ
初診日
厚生年金加入中に(勤めている時)初診日がある病気や怪我によって障害の状態になったこと。もし、18歳から働いている場合などは、障害厚生年金となります(会社で加入している場合)。
最初、病院にかかった後で病状が悪化し退社しても、初診日にどの年金だったかで判断しますので厚生年金対象です。これは、結構重要です!
体調が悪いとき、在職中にお医者様に行ったかどうかで、その後、基礎年金になるか厚生年金になるか決まってしまうのです。
お医者さん嫌いな方も多いですが、体に異変を感じたらまずお医者様にかかりましょう。在職中の健康診断で異常が見つかったら、かならず検査はしてください。
障害認定日
障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過した日又はそれ以前の治った日)において、1級~3級の障害状態にあること。
納付要件
初診日において、一定の保険料納付要件(滞納がないこと)を満たしていること。厚生年金に加入している期間、ほぼ年金の滞納はないはずです。
基礎年金と比べると、納付期間など全体的に問題がないことが多いですが、入社してから間がなく職歴が短いときなど、会社の入社前に納めていたかどうかも判断対象になる場合があります(入社1年未満など)。

障害厚生年金は3級がありますので、障害基礎年金に比べると認定される可能性は高くなります。特に精神疾患などは3級の認定になることも多くあります。



障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法
引用元:日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法
障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法
引用元:日本年金機構 障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法