「学生時代に初診日がある場合の障害年金は?」
「学生時代年金保険料を払っていなかったが、障害年金をもらえるのか?」
このような疑問に、わかりやすくお答えします。
はじめまして。障害年金の専門社労士、但田美奈子(ただみなこ)と申します。
東京日本橋で13年以上にわたり、累計3,600件以上の「障害年金申請の相談」に応じてきました。
目や腎臓の疾患など非常に長い時間(年月)をかけて悪くなっていく傷病や精神疾患なども、初診日がかなり古く学生時代だったということがよくあります。
もしかして、その障害の初診日は学生期間中でしょうか?
在学中に負った怪我などは典型的なものですし、精神疾患の発症が学生の頃だったとのお話などもよくお伺いします。
この場合、障害年金が受け取れない場合も多くあるのです。
学生時代の障害年金取り扱い
年金制度は法改正を繰り返していますので、どの年代に学生だったかにより大きな違いがでます。
元の法律を随時改正していくため、いたし方のない部分もあるのですが、専門家でもわからないレベルになってきています。
年金制度はもはや複雑すぎて、よくわからないことになっています・・・。
任意加入の時期
1959年から1991年3月
(昭和34年から平成3年) |
大学生、高校生の昼間学生のみ |
1959年(昭和34年)に国民年金が成立したとき、昼間学生は任意加入でした。
任意で加入してもいいですよということですから、逆にいうとほぼ未加入だったと思います。
1989年(平成元年)法改正
(施行1991年4月・平成3年) |
学生を含む20歳以上は強制加入 |
よって、1991年3月(平成3年)以前の初診日で病気や事故で障害を負ってしまった場合、任意加入して保険料を納めていないと障害基礎年金は支給されません。
1989年ごろの加入率は1%程度という資料もありますので、ほぼ加入していないということです。
任意加入なので納めていない場合「未納」ではなく、老齢年金の期間計算にのみ適用されます(合算対象期間や、カラ期間という)。
そこで現在、救済案として特別障害給付金が支給されることになっています。
しかし、夜間や通信制の学生だった場合学生の定義ではなかったため、この期間は納めていないと未納という形になり対象となりません。
制度のはざまですので、何とかしてほしいものですが。
学生免除特例
1991年4月から2000年3月
(平成3年から12年) |
大学生・専修学校の昼間学生のみ |
強制加入となった、1991年4月以降2000年3月以前は、学生免除という制度が存在していました。
この制度は、年金の一部を納めたことになる現在の全額免除(申請免除)と同様の効果がありましたが、現在、「学生納付特例」の成立により制度として消滅しました。
これも、免除(又は納付するか)の申請をしていないと対象になりません。
申請をしていない場合「未納」ですが、免除をしていなくて「学生は納めなくてもよいのだ」という前からの認識の方が多い時代です。
ちょうどバブル世代のあたりで改正があったということですね。
今の50歳前後の方達は、学生のころ未納となっている方も多いかと思います。
学生納付特例制度
2000年4月(平成12年)から現在まで | 昼間・夜間・通信制を含む学生 |
2000年4月(平成12年)から学生納付特例制度が導入されました。
また、2002年4月(平成14年)からはそれまで対象外であった定時制・通信制課程の学生にも対象が拡大されたのです。
これも承認の申請は必要となります。
学生納付特例が承認された場合の効果
- 納付特例期間中の障害・事故に対しても、納付していた場合と同様に満額の障害基礎年金・遺族基礎年金が受給できます。
- 納付特例期間は年金の受給資格期間に算入される(合算対象期間となる)が、老齢金額計算には算入できないので老齢金額は変わりません(10年以内であれば追納が可能)。
要するに、社会人となるなど保険料を納められるだけの収入ができるまで、支払いを先延ばしにすることができます。
何かあった場合満額の障害基礎年金(遺族基礎年金の場合も)が受け取れるという点が大きいのです。
なお、特例の申請は最大で申請年度の4月から3月のため、毎年申請を行う必要があります。
学生納付特例制度の効果一覧表
年金の受給資格期間に反映されますが、金額には反映されません。
老齢基礎年金 | 障害基礎年金 遺族基礎年金 |
||
受給資格期間への参入 | 金額への反映 | 受給資格期間への参入 | |
納付 | ○ | ○ | ○ |
学生納付特例 | ○ | × | 〇 |
未納 | × | × | × |
障害年金専門の社労士 経験13年、相談累計3,668件(令和6年8月末現在) 受給率97.8%。
Googleのクチコミにも多く声を頂いております!本当にありがとうございます。
日本国内に住むすべての人は、20歳になった時から国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられていますが、学生については、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。
引用元:日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度