
ペースメーカーで障害年金はもらえる?
結論から申し上げますと、ペースメーカーを装着した場合、原則として障害厚生年金3級に該当します。
ただし、状態によってはそれ以上の等級に認定されることもあります。
- 一般状態区分
- 心機能の状態
- 日常生活への支障
これらが重要で、同じペースメーカーでも認定内容が変わることがあります。
「ペースメーカー(CRT)の障害年金を私はもらえるのか」
「実際に受給した例を知りたい」
「もらえる金額はどのくらいだろう」
このようなお悩みをお持ちの方に向けて、専門家の視点から詳しく解説します。
このページでわかること
- ペースメーカーで障害年金を受給できるケース
- 実際の受給事例
- もらえる金額の目安
- 認定基準と等級の考え方
- 申請時の重要ポイント
ペースメーカーでも、適切に準備すれば 障害年金を受給することは可能です。
実際に、年間60万円以上を受給している方も多くいらっしゃいます。
この記事の内容は以下からすぐ確認できます。
執筆者紹介|障害年金専門社労士 但田美奈子
はじめまして。
当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。
経験15年以上・累計相談件数4,079件(令和8年3月末現在)・受給率97.8%。
ペースメーカーをはじめ、さまざまな傷病のご相談に対応してまいりました。
障害年金は、病気やケガで日常生活や仕事が難しくなったときに支給される大切な制度です。
この記事では、受給のポイントや実際の事例、もらえる金額の目安を詳しく解説します。
申請を迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
ペースメーカーは障害認定日の特例

障害年金を請求できるのは原則として「初診から1年6か月を経過した日」です。
しかし、ペースメーカー・CRTは障害年金認定日に関して、重大な例外があります。
ペースメーカー・CRTを挿入置換した場合特例があり、1年6か月待たなくても、その日(手術を受けた日)から障害年金請求が可能です。
- もらえる金額
- 受給事例
- 障害年金を受給できる条件
- 認定基準
ペースメーカーで障害年金の金額はいくら?(制度別)

ペースメーカーで障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?
実際、受給が決まっても「いくらもらえるのか」がご心配だと思います。
そこでペースメーカーで受給できる等級ごとの金額や、加算される手当を解説していきます。
- 基礎:1級と2級
- 厚生:1級、2級、3級
このように、基礎と厚生が組み合わさって、2階建ての仕組み(3級は厚生年金のみ)になっています。
もらえる金額もこれに伴って説明していきます。
また、受給した後、国民年金保険料が免除になる制度がありますので、ご検討下さい。

ペースメーカーの障害基礎年金額と子の加算
ペースメーカーで、障害基礎年金の1級又は2級に認定されたときの金額を解説していきます。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級 | 1,059,125円/年 +子の加算 |
| 2級 | 847,300円/年 +子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
1年の金額を6等分して、偶数月に受け取ることになります。
初回は臨時で奇数もありえますが、以後必ず偶数月に2か月分まとめて受け取る形になります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。

18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。
| 子の人数 | 金額 |
| 1人目/2人目 | 1人につき 243,800円/年 |
| 3人目以降 | 1人につき 81,300円/年 |
ペースメーカーの障害厚生年金額と配偶者加給年金
ペースメーカーで、障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、基礎年金に厚生年金が加算されます。
3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。
金額は、給与や勤めていた期間(年齢)に比例するため、人によりまったく違います。
例えば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に1.5倍の差が生じます。
| 障害厚生年金 | 金額 |
| 1級 | 報酬比例額加算×1.25 + 配偶者加給年金 |
| 2級 | 報酬比例額加算×1.0 + 配偶者加給年金 |
| 3級 | 635,500円/年 金額は一律 |
報酬比例部分に300月みなしあり
報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。
例えば、会社に入社後、それほどたたずしてペースメーカーになり障害年金の受給を開始した場合など、最低25年は年金を納付したものとして、ある程度の額の厚生年金が受給できるようになっています。
また、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金の計算の基礎とはされません。
計算の基礎となるのは、障害認定日までに納付したものまでです。

ペースメーカーで1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、どうなるでしょうか。
※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級・2級 (3級はなし) | 243,800円/年 |
年金生活者支援給付金
ペースメーカーの障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
年金生活者支援給付金は、基礎も厚生も変わらず2級以上であれば支給されます。
金額は毎年変動します。
| 等級 | 金額 |
| 1級 | 7,025円/月 |
| 2級 | 5,620円/月 |
ペースメーカーの時効と遡及請求
残念ながらペースメーカーでの請求には時効があります。
申請しなければ、過去のものは最大5年間で消滅してしまいます。
もし遡って請求できる場合、最大で5年間遡って受け取れます。これを遡及請求といいます。
ペースメーカーで受け取れる年金額の目安
生涯を通じた給与とボーナスの平均(例:生涯をならした平均給与500万円)を基にした、おおよその受給額です。
あくまで目安としてご参考ください(令和8年度水準)。
| ケース | 年収モデル | 等級 | 年金の種類 | 受給額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① 自営業・主婦など(国民年金のみ) | ― | 2級 | 障害基礎年金 | 847,300円/年 (69,308円/月) |
定額、収入に関係なし |
| ② 自営業・主婦など | ― | 1級 | 障害基礎年金 | 1,059,125円/年 (86,635円/月) |
2級の1.25倍 |
| ③ 会社員・平均年収300万円 | 300万円 | 3級 | 障害厚生年金 | 635,500円/年 (51,983円/月) |
最低保障額(年収に関係なく) |
| ④ 会社員・平均年収300万円 | 300万円 | 2級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約1,440,000〜1,560,000円/年 (120,000〜130,000円/月) |
基礎年金+報酬比例約5〜6万円 |
| ⑤ 会社員・平均年収500万円 | 500万円 | 2級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約1,920,000〜2,040,000円/年 (160,000〜170,000円/月) |
基礎年金+報酬比例約10万円 |
| ⑥ 会社員・平均年収500万円 | 500万円 | 1級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約2,400,000〜2,520,000円/年 (200,000〜210,000円/月) |
2級の1.25倍 |
※年金額は日本年金機構の公表資料をもとに記載しています。出典:令和8年4月分からの年金額等について
以上、ペースメーカーでもらえる年金額の詳細は、障害年金はいくらもらえる?【2026年(令和8年度)】1級・2級・3級の金額目安と早見表で詳しく解説しています。
ペースメーカーの受給例

実際にペースメーカー・CRTで受給した例です。 いろいろなケースがございますので、ご参考ください。
完全房室ブロック(ペースメーカー)で障害厚生年金3級-85万円
| 認定 | 障害厚生年金3級 事後重症 |
| 相談者 | 30代男性 東京都多摩市 |
| 傷病 | 完全房室ブロック。ペースメーカー装着 |
| 金額 | 約85万円 |
ご相談はペースメーカー装着前でしたので、事前に初診の証明の準備。
カルテがなかった為、受診状況等証明書が取れない理由書をつけ認められました。
手術後すぐに診断書を取得し申請という流れでした。
審査中、特に照会もなくいたってスムーズに進みました。
働いていらしても、ペースメーカーを装着されている場合は障害厚生年金の3級に認定されます。
初診日から1年6カ月を過ぎている場合、請求した翌月分からの支給となりますのですぐに請求しましょう!
ペースメーカーの障害年金を受給できる条件

ペースメーカー・CRTで障害年金を申請するために、絶対にはずせない3つの要件があります。
初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日にこの後述べる「ペースメーカー・CRTの認定基準に該当」すれば受給できます。
障害認定日は初診日から1年6か月経過したところになりますが、冒頭に述べたような例外があります。
認定基準

障害年金を受給できる条件を得るために大切なことは、心疾患の障害年金認定基準に該当するかどうかです。
ペースメーカーの認定基準
〇ペースメーカーとは 発振器(電池と電気回路を組み合わせたもの)、とこれに接続した細い電線(リード線)で構成されたものです。
(引用:ペースマーカーとは|大阪医科大学 外科学講座 胸部外科学教室) ペースメーカーは難治性不整脈であり下記のように3級に認定されます。
〇難治性不整脈
| 3級 |
1.ペースメーカー、ICDを装着したもの 2.異常検査所見のA、B、C、D、F、Gのうち1 つ以上の所見及び病状をあらわす臨床所見が1つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの |
|---|
つまり、障害基礎(国民年金)では認定されないことになります。
CRT・CRT-Dの認定基準
〇心臓再同期療法(Cardiac Resynchronization Therapy, CRT)とは 重症心不全に対する新しいペースメーカー療法で、ペースメーカーを使って心臓のポンプ機能の改善をはかる治療方法です。
(引用:CRTとは|大阪医科大学 外科学講座 胸部外科学教室) 重症心不全に分類されます。
CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器) 2級
CRT、CRT-Dを装着すれば障害等級2級に認定となります。
心疾患の障害年金認定基準は量が多いためまとめました。
詳しい基準は心疾患の認定基準まとめ をご覧ください。
よくある質問(ペースメーカーと障害年金)
ペースメーカー・CRTでの障害年金について、よくいただくご質問をまとめました。
ペースメーカーの障害年金に関するよくあるご質問
Q. ペースメーカーを入れれば障害年金は必ずもらえますか?
A. 原則として障害厚生年金3級に該当します。
ペースメーカーやICDを装着している場合、制度上は原則として3級に該当します。
ただし、状態によっては2級以上に認定されることもあります。
Q. ペースメーカーで2級以上になることはありますか?
A. はい、あります。
一般状態区分や日常生活への制限が強い場合は、2級以上に該当する可能性があります。
Q. 働いていても障害年金はもらえますか?
A. はい、働いていても受給可能です。
ペースメーカーの場合、就労していても3級に認定されるケースが多くあります。
Q. ペースメーカーはいつから申請できますか?
A. 手術日から申請可能です。
通常は初診日から1年6か月後ですが、ペースメーカーは例外で装着日が障害認定日となります。
Q. ペースメーカーの障害年金はいくらもらえますか?
A. 3級の場合は年間約60万円台が目安です。
厚生年金加入者の場合、3級は一律の最低保障額があり、2級以上の場合は基礎年金も加算されます。
Q. 診断書で重要なポイントは何ですか?
A. 一般状態区分と日常生活の制限です。
特に2級以上を目指す場合は、生活制限の実態が正しく反映されていることが重要です。
ペースメーカーで障害年金を検討中の方へ
ペースメーカーの障害年金は、個別事情によって判断が分かれます。特に、
- 自分が受給できる状態か分からない方
- 診断書の内容に不安がある方
このような方は、早めにご相談いただくことで見通しが立てやすくなります。
少しでも気になる点があれば、まずは無料でご相談ください。
参考資料
認定基準の詳細は、以下の公的資料をご参照ください。
ペースメーカーは、発振器(電池と電気回路を組み合わせたもの)、とこれに接続した細い電線(リード線)で構成されたものです。
心臓再同期療法(Cardiac Resynchronization Therapy, CRT)とは重症心不全に対する新しいペースメーカー療法で、ペースメーカーを使って心臓のポンプ機能の改善をはかる治療方法です。
令和8年4月分からの年金額等について
