
重症筋無力症で障害年金はもらえる?
結論から申し上げますと、重症筋無力症でも障害年金を受給できる可能性があります。
ただし、重症筋無力症は症状の出方が人によって異なり、肢体・嚥下・眼・呼吸器など、どの障害として請求するかの整理がとても重要です。
- 初診日の確認
- 保険料納付要件
- どの診断書で請求するか
- 日常生活・就労への支障
この点を整理できるかどうかで、同じ重症筋無力症でも受給結果が変わることがあります。
「重症筋無力症で障害年金を申請したいが、もらえる金額はいくら?」
「重症筋無力症による障害年金の受給例や、認定基準について知りたい。」
「肢体・嚥下・眼・呼吸器など、どの診断書で申請すればよいかわからない。」
このような疑問に、わかりやすくお答えします。
このページでわかること
- 重症筋無力症で障害年金を受給できる可能性
- 実際の受給例と金額の目安
- 初診日・保険料納付要件・認定基準
- 診断書をどの障害で出すかの考え方
- 働きながら受給できるか
執筆者紹介|障害年金専門社労士 但田美奈子
はじめまして。
当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。
経験15年以上・累計相談件数4,193件(令和8年6月末現在)・受給率97.8%。
うつ病をはじめ、さまざまな傷病のご相談に対応してまいりました。
重症筋無力症で障害年金は難しいのか

重症筋無力症は、障害年金の対象となる可能性があります。
ただし、病名だけで等級が決まるわけではありません。
重症筋無力症は、筋力低下、疲れやすさ、嚥下障害、眼瞼下垂、複視、呼吸器症状など、症状の出方が人によって異なります。
そのため、どの症状が生活や仕事にどの程度影響しているかを、診断書と申立書で具体的に示すことが重要です。
また、肢体の障害、その他の障害、眼の障害、呼吸器の障害など、複数の診断書が関係することがあります。
診断書を多く出せばよいというものではなく、争点を整理し、認定につながる障害を的確に伝えることが大切です。
重症筋無力症の障害年金受給例

実際に重症筋無力症で障害年金を受給した例をご紹介します。
いろいろなケースがございますが、実際に受給した例は参考になると思います。
障害厚生年金3級(遡及請求)-340万円
| 認定 | 障害厚生年金3級 遡及請求3年 |
| 相談者 | 50代男性 埼玉県幸手市 |
| 傷病 | 重症筋無力症 |
| 金額 | 約100万円 遡及金額340万円 |

入院中にお問い合わせをいただき、その後病室で面談し、請求代行のご依頼を受けました。
相談者は胸腺腫を伴う重症筋無力症のため、仕事を休職し、入院治療を受けていました。
重症筋無力症に関する診断書は、症状によって「肢体の障害」と「その他の障害」など複数の種類が関係することがあります。
当初、病院からは「肢体の障害」の診断書のみが提出されましたが、内容が予想以上に軽かったため、「その他の障害」の診断書も追加で依頼しました。
その後、厚生年金の請求を行い、92日で決定。
結果、認定日と現在の両方において、重症筋無力症に基づき障害厚生年金3級の認定を受けました。
障害共済年金2級(遡及請求)-920万円
| 認定 | 障害共済年金2級 遡及請求5年 |
| 相談者 | 40代女性 神奈川県大和市 |
| 傷病 | 重症筋無力症 |
| 金額 | 約170万円 遡及金額約920万円 |
共済年金に加入していた期間に初診日があったケースです。
ご相談者は、重症筋無力症の影響で、肢体、嚥下、眼、呼吸器などに症状が現れていました。
診断書は肢体、嚥下機能、眼、呼吸器など4種類提出することも可能です。
しかし、障害が軽く、併合しても等級に影響がない場合は、重要な診断書だけを提出する方が効果的なことがあります。
これは、重症筋無力症の争点を整理し、確実に伝えるためです。
最終的に、認定日と現在の診断書を提出し、重症筋無力症により障害共済年金2級(5年遡及)の認定を受けました。
重症筋無力症で障害年金の金額はいくら?

重症筋無力症で障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
- 障害基礎年金:1級と2級
- 障害厚生年金:1級、2級、3級
3級は障害厚生年金のみです。初診日に加入していた年金制度によって、受け取れる年金の種類が変わります。

障害基礎年金の金額
| 障害等級 | 金額 |
| 1級 | 1,059,125円/年 + 子の加算 |
| 2級 | 847,300円/年 + 子の加算 |
18歳の年度末までの子がいる場合は、子の加算がつくことがあります。
障害厚生年金の金額
| 障害厚生年金 | 金額 |
| 1級 | 報酬比例額×1.25 + 配偶者加給年金 |
| 2級 | 報酬比例額 + 配偶者加給年金 |
| 3級 | 635,500円/年(最低保障額) |
障害厚生年金は、給与や厚生年金の加入期間により金額が異なります。
重症筋無力症で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されることがあります。
年金生活者支援給付金
重症筋無力症で障害年金1級又は2級に認定された場合、要件を満たすと年金生活者支援給付金も加算されます。
| 等級 | 金額 |
| 1級 | 7,025円/月 |
| 2級 | 5,620円/月 |
時効と遡及請求
重症筋無力症の障害年金には時効があります。
申請しなければ、過去のものは最大5年間で消滅してしまいます。
障害認定日時点の診断書が取得でき、当時も認定基準に該当していた場合、最大5年間遡って受け取れる可能性があります。
これを遡及請求といいます。
以上、重症筋無力症でもらえる年金額の詳細は、障害年金はいくらもらえる?【2026年(令和8年度)】1級・2級・3級の金額目安と早見表で詳しく解説しています。
受給されたお客様の声
重症筋無力症は、症状が日によって変わりやすく、見た目ではつらさが伝わりにくいことがあります。
「どの診断書を出せばよいかわからない」「認定日と現在で症状が違う」「働いているが、欠勤や休職が多い」など、申請前に悩まれる方も多くいらっしゃいます。
受給された方からは、複数の症状を整理し、必要な診断書を選んで進めたことで、安心して請求できたという声をいただいています。
障害年金を受給できる条件

重症筋無力症で障害年金を申請するためには、次の3つの要件が重要です。
- 初診日~いつお医者さんに行ったか
- 保険料納付要件~保険料は納めていたか
- 認定基準に該当すること
初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日に「重症筋無力症の認定基準に該当」すれば、障害年金を受給できる可能性があります。
初診日の特定について
重症筋無力症は初診日を特定することが難しい場合があります。
原因がはっきりしないまま、内科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、神経内科など複数の医療機関を受診していることがあるためです。
通常、重症筋無力症を自分で最初から疑うことは少なく、最初は「疲れやすい」「まぶたが下がる」「飲み込みにくい」「手足に力が入らない」などの症状で受診することが多いと思います。
障害年金では、重症筋無力症と確定診断された日ではなく、原則として、その症状で最初に医療機関を受診した日が初診日になります。
そのため、確定診断までに時間がかかっている場合は、通院歴を丁寧に整理することが大切です。
認定基準

大切なことは、重症筋無力症が障害年金の認定基準に該当するかどうかを十分に理解することです。
重症筋無力症は、肢体機能障害、嚥下機能障害、眼の障害、呼吸器障害など、症状に応じて複数の認定基準が関係します。
ここでは、肢体機能障害を中心に概要を掲載します。
※日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第7節 肢体の障害 第4 肢体の機能の障害をわかりやすく加筆修正。
| 等級 | 重症筋無力症の状態 |
| 1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
| 2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、制限を加えることを必要とする程度のもの |
| 3級 | 身体の機能に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
重症筋無力症の状態が、両上肢、一上肢、両下肢、一下肢、体幹及び脊柱の範囲内に限られている場合には、それぞれの認定基準と認定要領によります。
また、上肢及び下肢の広範囲にわたり、上肢と下肢の状態が相違する場合は、重い方の肢で判断されることがあります。
働きながら重症筋無力症で障害年金を受給できる?
働いているだけで、重症筋無力症の障害年金が必ず不支給になるわけではありません。
ただし、就労状況は審査で重要な事情の一つになります。
重症筋無力症では、疲れやすさ、筋力低下、嚥下障害、眼症状などにより、勤務時間の短縮、休職、欠勤、配置転換、家族や職場の配慮が必要になることがあります。
働いている場合でも、どのような配慮を受けているか、どの業務ができないか、帰宅後や休日にどの程度休まなければならないかを具体的に伝えることが大切です。
よくあるご質問
重症筋無力症と診断されたら必ず障害年金をもらえますか?
必ずではありません。病名だけで判断されるのではなく、初診日、保険料納付要件、認定基準に該当するかどうかを確認する必要があります。
重症筋無力症ではどの診断書を出せばよいですか?
症状によって異なります。肢体の障害、その他の障害、眼の障害、呼吸器の障害などが関係することがあります。すべてを出せばよいとは限らず、争点を整理することが重要です。
重症筋無力症で障害厚生年金3級になることはありますか?
初診日が厚生年金加入中にあり、労働に制限を受ける程度の障害状態と認められれば、障害厚生年金3級に該当する可能性があります。
重症筋無力症で2級になることはありますか?
日常生活が著しい制限を受ける程度の状態であれば、2級に該当する可能性があります。肢体だけでなく、嚥下、眼、呼吸器などの症状も含めて検討することがあります。
働いていても重症筋無力症で障害年金を受給できますか?
働いているだけで受給できないわけではありません。ただし、勤務内容、勤務時間、欠勤・休職、職場の配慮、日常生活への影響などを具体的に確認する必要があります。
重症筋無力症で障害年金を検討中の方へ
重症筋無力症の障害年金では、初診日、保険料納付要件、診断書の種類、認定基準、日常生活や就労への支障が重要になります。
特に、重症筋無力症は病名だけで判断されるのではなく、肢体・嚥下・眼・呼吸器など、どの症状が生活や仕事に影響しているかを正確に伝えることが大切です。
「自分は対象になるのか」「どの診断書を出せばよいのか」「過去に遡れるのか」など、判断に迷う方も多いと思います。
重症筋無力症で障害年金を検討されている方は、まずはお気軽にご相談ください。
