
交通事故で障害年金はもらえる?
結論から申し上げますと、交通事故で障害が残った場合でも、障害年金を受給できる可能性があります。
ただし、交通事故の場合は、自賠責保険・任意保険・労災・損害賠償との関係や、第三者行為による支給調整など、通常の障害年金申請より確認すべき点が多くなります。
- 初診日の確認
- 保険料納付要件
- 損害賠償等との調整
- 後遺障害の状態と認定基準
この4点が重要で、同じ交通事故による後遺障害でも受給できる方とできない方に分かれます。
「交通事故で障害年金を申請したいが、もらえる金額はいくら?」
「交通事故による障害年金の受給例や、認定基準について知りたい。」
「自賠責保険や損害賠償を受けている場合、障害年金はどうなるのか?」
このような疑問をお持ちではありませんか。
交通事故による後遺障害でも、初診日・保険料納付要件・認定基準を満たせば、障害年金の対象になります。
このページでわかること
- 交通事故で障害年金を受給できる可能性
- 交通事故による障害年金の金額の目安
- 実際の受給例
- 自賠責・損害賠償等との調整
- 受給資格と認定基準
執筆者紹介|障害年金専門社労士 但田美奈子
はじめまして。
当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。
経験15年以上/累計相談件数4,193件(令和8年6月末現在)/受給率97.8%。
交通事故による後遺障害をはじめ、さまざまな傷病のご相談に対応してまいりました。
交通事故で障害年金は難しいのか
交通事故で障害が残った場合でも、障害年金を請求できる可能性があります。
一方で、交通事故による障害年金は、自賠責保険・任意保険・損害賠償・労災などとの関係が出てくるため、通常の申請より複雑になりやすい分野です。
交通事故だから障害年金の対象外ということはありませんが、損害賠償等との調整や初診日の証明、後遺障害の状態をどのように示すかが重要です。
交通事故の障害年金は金額調整あり

交通事故が原因で障害が残った場合、自賠責や任意加入の保険・仕事中の労災とは関係なく、障害年金の対象となります。
しかし、先に損害賠償等を受給した場合、国が損害賠償の範囲内で障害年金の支給を停止します。
※医療費や葬祭費など実際に支出した費用や、慰謝料については対象外となります。
この調整等があるため、交通事故での障害年金は複雑なところがあります。
- もらえる金額
- 受給事例
- 障害年金を受給できる条件
- 認定基準
交通事故で障害年金の金額はいくら?(制度別)

交通事故で障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?
実際、受給が決まっても「いくらもらえるのか」がご心配だと思います。
そこで、交通事故で受給できる等級ごとの金額や、加算される手当を解説していきます。
- 基礎:1級と2級
- 厚生:1級、2級、3級
このように、基礎と厚生が組み合わさって、2階建ての仕組み(3級は厚生年金のみ)になっています。
もらえる金額もこれに伴って説明していきます。
また、受給した後、国民年金保険料が免除になる制度がありますので、ご検討下さい。

交通事故の障害基礎年金額と子の加算
交通事故で、障害基礎年金の1級又は2級に認定されたときの金額を解説していきます。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級 | 1,059,125円/年 +子の加算 |
| 2級 | 847,300円/年 +子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
1年の金額を6等分して、偶数月に受け取ることになります。
初回は臨時で奇数もありえますが、以後必ず偶数月に2か月分まとめて受け取る形になります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。

18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。
| 子の人数 | 金額 |
| 1人目/2人目 | 1人につき 243,800円/年 |
| 3人目以降 | 1人につき 81,300円/年 |
交通事故の障害厚生年金額と配偶者加給年金
交通事故で、障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、障害基礎年金に加えて厚生年金が加算されます。
3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。
障害厚生年金の金額は、給与や勤めていた期間(年齢)に比例するため、人によりまったく違います。
例えば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に1.5倍の差が生じます。
| 障害厚生年金 | 金額 |
| 1級 | 報酬比例額加算×1.25 + 配偶者加給年金 |
| 2級 | 報酬比例額加算×1.0 + 配偶者加給年金 |
| 3級 | 635,500円/年 金額は一律 |
報酬比例部分に300月みなしあり
報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。
例えば、会社に入社後、それほどたたずして交通事故により障害が残り、障害年金の受給を開始した場合など。
最低25年は年金を納付したものとして、ある程度の額の厚生年金が受給できるようになっています。
また、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金の計算の基礎とはされません。
計算の基礎となるのは、障害認定日までに納付したものまでです。
配偶者加給年金

交通事故で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、どうなるでしょうか。
その場合、配偶者である夫についても加給年金が支給されます。
※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級・2級 (3級はなし) |
243,800円/年 |
年金生活者支援給付金
交通事故の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
年金生活者支援給付金は基礎も厚生も変わらず2級以上であれば支給されます。
金額は毎年変動します。
| 等級 | 金額 |
| 1級 | 7,025円/月 |
| 2級 | 5,620円/月 |
交通事故の時効と遡及請求
残念ながら交通事故での請求には時効があります。
申請しなければ、過去のものは最大5年間で消滅してしまいます。
これを遡及請求といいます。
交通事故で受け取れる年金額の目安
生涯を通じた給与とボーナスの平均(例:生涯をならした平均給与500万円)を基にした、おおよその受給額です。
あくまで目安としてご参考ください(令和8年度水準)。
| ケース | 年収モデル | 等級 | 年金の種類 | 受給額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① 自営業・主婦など(国民年金のみ) | ― | 2級 | 障害基礎年金 | 847,300円/年(69,308円/月) | 定額、収入に関係なし |
| ② 自営業・主婦など | ― | 1級 | 障害基礎年金 | 1,059,125円/年(86,635円/月) | 2級の1.25倍 |
| ③ 会社員・平均年収300万円 | 300万円 | 3級 | 障害厚生年金 | 635,500円/年(51,983円/月) | 最低保障額(年収に関係なく) |
| ④ 会社員・平均年収300万円 | 300万円 | 2級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約1,440,000〜1,560,000円/年(120,000〜130,000円/月) | 基礎年金+報酬比例約5〜6万円 |
| ⑤ 会社員・平均年収500万円 | 500万円 | 2級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約1,920,000〜2,040,000円/年(160,000〜170,000円/月) | 基礎年金+報酬比例約10万円 |
| ⑥ 会社員・平均年収500万円 | 500万円 | 1級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約2,400,000〜2,520,000円/年(200,000〜210,000円/月) | 2級の1.25倍 |
以上、交通事故でもらえる金額の詳細は障害年金のもらえる金額はいくらなのか?にまとめました。
交通事故での受給例

実際に交通事故で障害年金を受給した例をご紹介します。
いろいろなケースがございますので、ご参考ください。
下腿切断で障害基礎年金2級(遡及請求)-400万円
| 認定 | 障害基礎年金2級 遡及請求5年 |
| 相談者 | 女性 埼玉県朝霞市 |
| 傷病 | 交通事故 下腿切断 |
| 金額 | 約80万円 遡及金額400万円 |

4歳の時に交通事故で左下腿を切断された女性です。
お電話でお問い合わせ後、ご相談に来て頂きました。
実は若い頃役所に「交通事故は何かいただけるような制度はないでしょうか?」と聞かれたそうです。
しかし、「ない」と言われ・・・、その後30年以上、障害年金を請求できることをご存じなかったとのこと。
1年ほど前にかかった整形外科で、「交通事故で切断だと当然年金貰ってますよね」と聞かれて、気付かれたそうです。
本来なら、交通事故は20歳から基礎年金(当時は障害福祉年金)が受給できていたはずです。
受診されていない為障害認定日の診断書は取得できません。
しかし、切断というハッキリした状態である為客観的な資料を揃え障害認定日での請求をしました。
審査請求も視野にいれておりましたが、すんなり認定日で交通事故による障害基礎年金2級が認められました。
5年分遡及請求決定です。
失われた25年超の分が惜しまれます・・・誰が言ったかもわかりませんし・・・。
左上肢障害で障害厚生年金2級-180万円
| 認定 | 障害厚生年金2級 障害認定日請求 |
| 相談者 | 30代男性 東京都荒川区 |
| 傷病 | 交通事故 左上肢障害 |
| 金額 | 約180万円 |

診断書取得に時間がかかり、年金事務所へ請求するまで4か月かかりました。
それから2回の照会があり、この後却下になり審査請求、再審査請求にすすむ可能性もあるかと思っておりました。
交通事故に関して、いろいろと追加して提出する書類があります。
交通事故は自賠責や第三者行為障害(自損でない限り、必ず相手方がいます)との調整が必要なのです。
最近事故が行ったような新しいものならともかく、古い事故になるとどこまで記録を集められるかですね。
左全型腕神経そう麻痺で障害厚生年金2級
| 認定 | 障害厚生年金2級 障害認定日請求 |
| 相談者 | 40代男性 千葉県松戸市 |
| 傷病 | 交通事故 左全型腕神経そう麻痺 |
| 金額 | 約120万円 |
交通事故で左腕は麻痺されています。
事故は平成2年、障害年金が受給できることをご存じなかったそうです。
事故証明書も受診状況等証明書も取れませんでした。
しかし、身体障害者手帳の診断書の発病日を初診日として認めてもらえました。
今の審査ではこれがなければ、たぶん初診日の認定は無理だったでしょう。
とりあえず、事後重症で受給権は確保。
永久認定でなので更新の必要もなし。
あとは、交通事故の診断書がない為認められなかった「障害認定日での受給権を認めてもらうため」、審査請求をがんばるのみです!
障害認定日での審査請求
現症は障害厚生年金2級。遡及請求は、交通事故の認定日時点の診断書が提出されない為、却下という決定。
結果から申し上げます。審査請求は棄却されました。
納得がいかずさらに再審査請求をして、6か月後公開審理を来週に控えたところで、厚生労働省年金局から電話がありました。
「処分変更します」と・・・その前にいろいろおっしゃっていたのですが、処分変更しか耳に入りませんでした(笑)
処分変更される=交通事故の認定日時点で障害厚生年金2級と認定されたということ。
PS:そのあと、ご依頼者さまが来所されました。ご相談を受けたのが2年前・・・。お会いするのも2年ぶりです。
とっても喜んで頂けて、本当にありがとうございましたと言って頂き、終始笑顔での再会となりました。
私も「本当によかったですね」と何回言ったでしょうか。
お菓子を頂きました。ありがとうございます。ごちそうさまでした!

障害年金を受給できる条件

障害年金を受給できる条件を得るために以下の3つが大切になります。
初診日と保険料
交通事故で障害年金を申請するためには、次の3つの重要な要件があります。
初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日に「交通事故の認定基準に該当」すれば、受給できます。
認定基準

大切なことは認定基準に該当するかどうかを十分に理解することです。
肢体疾患による障害年金1級から3級の認定基準の目安等詳細は、量が多いため別記事にしました。
交通事故の認定基準は、事故を負った肢体の部位により異なります。
また、参考までに交通事故により障害が残ったことによって、障害年金をはじめとして経済的に困難を抱える場合、重度後遺障害者・家族を支援する制度があります。
交通事故の障害年金は個別事情によって判断が分かれます。少しでも気になる点があれば、まずは無料でご相談ください。
よくあるご質問
交通事故でも障害年金はもらえますか?
はい。交通事故で障害が残った場合でも、初診日、保険料納付要件、認定基準を満たせば、障害年金を受給できる可能性があります。
自賠責保険や損害賠償を受けていても障害年金は請求できますか?
請求自体は可能です。ただし、損害賠償等を受けている場合は、障害年金の支給調整が行われることがあります。医療費や慰謝料など、調整対象にならないものもあります。
昔の交通事故でも障害年金を請求できますか?
可能性はあります。ただし、初診日や当時の障害状態を確認できる資料が必要になるため、事故証明書、身体障害者手帳の診断書、当時の医療記録などを確認します。
交通事故で切断した場合も障害年金の対象になりますか?
切断の部位や状態により、障害年金の対象になる可能性があります。下腿切断や上肢障害など、肢体の障害として認定基準に該当するかを確認します。
仕事をしていても交通事故による障害年金は受給できますか?
働いていても直ちに受給できないわけではありません。障害の状態、仕事上の制限、職場の配慮、日常生活の支障などを総合的に見て判断されます。
交通事故で障害年金を検討中の方へ
交通事故による障害年金は、通常の障害年金申請に加えて、自賠責保険、任意保険、損害賠償、労災、第三者行為との関係を整理する必要があります。
また、古い交通事故では、事故証明書や受診状況等証明書が取得できないこともあり、身体障害者手帳の診断書や当時の資料などから初診日や障害状態を確認していくことが重要です。
「交通事故でも障害年金を請求できるのか」「損害賠償との調整が心配」という方は、まずは無料相談をご利用ください。
