
脊柱管狭窄症で障害年金を受給するのは簡単ではありません
脊柱管狭窄症は、病名があるだけ、痛みがあるだけでは障害年金の対象になりにくい傷病です。
障害年金で重視されるのは、「痛いかどうか」ではなく、上肢・下肢・体幹などの機能障害により、日常生活や仕事にどの程度の制限があるかです。
歩行、立ち上がり、手足の動き、姿勢保持、身の回りの動作などに大きな支障があり、いわゆる「動けないレベル」に近い状態でなければ、受給は難しいケースが多いです。
「脊柱管狭窄症で障害年金は難しいと聞いたが、自分はもらえるのか」
「痛みが強いだけでは障害年金は難しいのか」
「実際に受給できる状態とはどの程度なのか」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
脊柱管狭窄症でも、状態によっては障害年金を受給できる可能性があります。
ただし、繰り返しになりますが、「脊柱管狭窄症という病名がある」「腰や足が痛い」「しびれがある」というだけで受給できるわけではありません。
実際に受給を目指す場合は、肢体の障害として、日常生活動作や就労への制限がどの程度あるかを具体的に整理する必要があります。
このページでわかること
- 脊柱管狭窄症で障害年金を受給するために大切なこと
- 病名だけ、痛みだけでは受給が難しい理由
- 受給できる可能性がある状態の目安
- 脊柱管狭窄症でもらえる金額の目安
- 実際の受給事例
- 障害年金を受給するための3つの要件
- 肢体障害としての認定基準の考え方
はじめまして。障害年金の専門社労士、但田美奈子(ただみなこ)と申します。
経験15年以上・累計相談件数4,193件(令和8年6月末現在)・受給率97.8%。
脊柱管狭窄症をはじめ、肢体障害の障害年金申請サポートに携わってまいりました。
この記事では、脊柱管狭窄症で障害年金を受給するための重要ポイント、実際の事例、金額の目安、認定基準を解説します。
申請を迷っている方は、まず「脊柱管狭窄症という診断名だけでは難しい」という点を前提にご確認ください。
この記事の内容は以下からすぐ確認できます。
脊柱管狭窄症で障害年金を受給するために大切なこと

脊柱管狭窄症で障害年金を考えるときに、もっとも大切なのは次の点です。
脊柱管狭窄症は、病名だけでは障害年金を受給できません。
また、「痛みがある」「しびれがある」「長く歩くとつらい」というだけでも、障害年金の認定は難しいことが多いです。
実際には、手足や体幹の機能障害により、日常生活動作が大きく制限されていることが重要です。
障害年金では、痛みのつらさそのものよりも、次のような具体的な支障が重視されます。
- 歩行が著しく困難である
- 杖、歩行器、車いすなどを使用している
- 立ち上がりや立位保持が難しい
- 階段の昇り降りが困難である
- 手足の筋力低下や麻痺がある
- 握力低下により物を持つ、つかむ動作が難しい
- 更衣、入浴、トイレ、食事などの日常生活動作に介助や大きな制限がある
- 通勤や就労が著しく制限されている
お問い合わせは多いのですが、実務上は「痛い」「しびれる」というレベルだけでは受給は難しく、かなり動作が制限されている状態であることが必要です。
そのため、診断書では、関節可動域、筋力、歩行能力、日常生活動作、補助具の使用状況などを正確に記載してもらうことが重要です。
脊柱管狭窄症で障害年金の金額はいくら?

脊柱管狭窄症で障害年金が認定された場合、金額は障害基礎年金か障害厚生年金かで変わります。
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2つがあります。
- 障害基礎年金:1級と2級
- 障害厚生年金:1級、2級、3級
障害基礎年金と障害厚生年金が組み合わさって、2階建ての仕組みになっています。
ただし、3級は障害厚生年金のみの等級です。

脊柱管狭窄症の障害基礎年金額と子の加算
脊柱管狭窄症で障害基礎年金1級又は2級に認定された場合の金額は次のとおりです。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級 | 1,059,125円/年 + 子の加算 |
| 2級 | 847,300円/年 + 子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
1年の金額を6等分して、原則として偶数月に2か月分ずつ受け取ります。
初回は臨時で奇数月に支給されることもあります。

18歳到達年度末までのお子さんがいる場合、子の加算がつくことがあります。
一般的には、高校卒業までのお子さんがいる場合の加算と考えるとわかりやすいです。
| 子の人数 | 金額 |
| 1人目・2人目 | 1人につき243,800円/年 |
| 3人目以降 | 1人につき81,300円/年 |
脊柱管狭窄症の障害厚生年金額と配偶者加給年金
脊柱管狭窄症で、障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、障害基礎年金に障害厚生年金が上乗せされます。
3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。
障害厚生年金の金額は、給与や厚生年金加入期間などによって変わります。
| 障害厚生年金 | 金額 |
| 1級 | 報酬比例額×1.25 + 配偶者加給年金 |
| 2級 | 報酬比例額 + 配偶者加給年金 |
| 3級 | 最低保障額635,500円/年 |
報酬比例部分には300月みなしがあります
報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。
なお、障害認定日の属する月以降の被保険者期間は、年金額の計算基礎に含まれません。

脊柱管狭窄症で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されることがあります。
配偶者の年収が850万円未満であることなど、一定の要件があります。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級・2級 (3級はなし) |
243,800円/年 |
年金生活者支援給付金
脊柱管狭窄症で障害基礎年金1級又は2級を受給できる場合、年金生活者支援給付金の対象となることがあります。
年金生活者支援給付金は、所得要件などを満たす場合に支給されます。
金額は毎年変動します。
| 等級 | 金額 |
| 1級 | 7,025円/月 |
| 2級 | 5,620円/月 |
受給例|頸部脊柱管狭窄症で障害厚生年金2級・約120万円

| 認定 | 障害厚生年金2級 |
| 相談者 | 男性 埼玉県川越市 |
| 傷病 | 頸部脊柱管狭窄症 |
| 金額 | 約120万円 |
左半身、特に左手にしびれを感じるようになり、次第に悪化されました。
その後、右手にも力が入らなくなり、首を動かすことも困難になって受診されました。
当初は仕事の疲れだと言われ、痛み止めを処方されていたのみでした。
その後、大学病院で、すぐに手術が必要と診断されたとのことです。
手術後も症状は改善せず、握力は左右とも一桁台に低下していました。
お子さんを抱っこすることもできない状態でした。
この事例のように、単なる痛みではなく、手足の機能低下や日常生活動作への大きな支障がある場合に、障害年金の対象となる可能性があります。
初診日は厚生年金加入中だったため、障害厚生年金として請求しました。
認定日の診断書が取得できる状況でしたが、ご本人の希望もあり、今回は事後重症請求で進めました。
申請から83日で、無事に障害厚生年金2級に認定されました。
障害年金を受給できる条件

脊柱管狭窄症で障害年金を申請するためには、次の3つの要件があります。
- 初診日:いつ初めて医療機関を受診したか
- 保険料納付要件:保険料を納めていたか
- 認定基準:肢体障害として基準に該当するか
初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日に脊柱管狭窄症による肢体障害の状態が認定基準に該当すれば、受給できる可能性があります。
障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。
脊柱管狭窄症の認定基準

脊柱管狭窄症の障害年金を受給できる条件(認定基準)は、障害が残っている部位により異なります。
上肢、下肢、体幹・脊柱、肢体の機能障害など、どの部位にどの程度の障害があるかを確認します。
脊柱管狭窄症での申請は、痛みの強さだけでは判断されません。
障害年金では、歩ける距離、杖や車いすの使用、立ち上がり、階段昇降、手足の筋力、日常生活動作、就労の可否などを総合的に見ます。
「痛いが何とか動ける」という状態では、認定は難しいことが多いです。
よくあるご質問
Q. 脊柱管狭窄症という病名だけで障害年金は受給できますか?
いいえ。脊柱管狭窄症という病名だけで障害年金を受給できるわけではありません。手足や体幹の機能障害により、日常生活や仕事に大きな制限があるかが重要です。
Q. 腰や足が痛いだけでも障害年金は受給できますか?
痛みがあるだけでは、受給は難しいことが多いです。歩行、立ち上がり、階段昇降、手足の動き、日常生活動作などに大きな支障があるかが確認されます。
Q. 脊柱管狭窄症で受給できる可能性があるのはどのような状態ですか?
杖、歩行器、車いすを使用している、歩行や立位保持が著しく困難、手足の筋力低下や麻痺がある、入浴・更衣・トイレなどの日常生活動作に大きな制限がある場合などは、受給を検討できる可能性があります。
Q. 脊柱管狭窄症で3級に認定されることはありますか?
初診日に厚生年金に加入しており、肢体障害として3級の状態に該当する場合は、障害厚生年金3級に認定される可能性があります。ただし、症状や生活状況によって判断されます。
Q. 脊柱管狭窄症で障害年金を申請するとき、何を準備すればよいですか?
初診日の確認、保険料納付要件の確認、診断書の内容、関節可動域や筋力、歩行能力、日常生活動作、補助具の使用状況などを整理することが大切です。
脊柱管狭窄症で障害年金を検討中の方へ
脊柱管狭窄症の障害年金は、病名や痛みの強さだけで判断されるものではありません。
実際にどの程度動けないのか、手足や体幹の機能障害がどの程度あるのか、日常生活や仕事にどのような支障があるのかが重要です。
脊柱管狭窄症で申請できるか不安な方は、まずは現在の状態を整理したうえでご相談ください。
参考資料
第1 上肢の障害 1 認定基準 上肢の障害については、次のとおりである。
引用元:日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第1 上肢の障害
第2 下肢の障害 1 認定基準 下肢の障害については、次のとおりである。
引用元:日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第2 下肢の障害
第3 体幹・脊柱の機能の障害 1 認定基準 体幹・脊柱の機能の障害については、次のとおりである。
引用元:日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第3 体幹・脊柱の機能の障害
第4 肢体の機能の障害 1 認定基準 肢体の機能の障害については、次のとおりである。
引用元:日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第4 肢体の機能の障害
