「重症筋無力症で障害年金を受給した例を知りたい」
「今から障害年金を申請したいが、もらえる金額や認定基準を知りたい」
そのようなご相談に向けてお話しします。
はじめまして。
東京日本橋にて「障害年金申請のサポート」を行っている、社会保険労務士の但田美奈子(ただみなこ)と申します。
重症筋無力症で障害年金の申請を忘れていませんか?
どうすれば重症筋無力症で障害年金を受給できるのでしょうか?
受給例の紹介。金額、認定基準を専門の女性社労士が解説します!

以下の順でお話します。まず参考に受給例をご覧ください。
- 受給事例
- もらえる金額
- 受給資格(認定基準)
重症筋無力症の障害年金受給例
いろいろなケースがございます。参考下さい。
障害厚生年金3級(遡及請求3年)
認定 | 障害厚生年金3級 遡及請求3年 |
相談者 | 50代男性 埼玉県幸手市 |
傷病 | 重症筋無力症 |
受給額 | 約100万円 遡及金額340万円 |
入院中にお問い合わせのお電話を頂きその後病室で面談、請求代行のご依頼を頂きました。
胸腺腫を伴う重症筋無力症で、現在はお仕事を休職され入院治療中。
重症筋無力症の診断書は2種類を認定日・現在それぞれお願い。
「肢体の障害」
「その他の障害」
いずれも入院中の病院へ依頼。
最初は書いて頂けたのが「肢体の障害」の診断書だけだったのですが、予想以上に軽かった為「その他の障害」の診断書も書いていただくようお願いしました。
厚生年金を請求し92日で決定。
認定日、現在共重症筋無力症で障害厚生年金3級という認定。
重症筋無力症の認定日については納得です。

現在の認定については額改定請求を検討します。
障害共済年金2級(遡及請求5年)
認定 | 障害共済年金2級 遡及請求5年 |
相談者 | 40代女性 神奈川県大和市 |
傷病 | 重症筋無力症 |
受給額 | 約170万円 遡及金額約920万円 |
共済年金に加入時に初診日がありました。
重症筋無力症で、肢体・嚥下・眼・呼吸器などに症状が出ていらっしゃいます。
ご相談時、重症筋無力症の年金を申請するかどうか迷われていたのですが、後日、ご依頼の連絡を頂きました。
初診は平成18年頃。
いろいろとお話をお伺いしたうえで、今回は肢体と嚥下のみの診断書を提出することになりました。
重症筋無力症の争点を整理し伝えるためです。
※肢体・嚥下機能・眼・呼吸器など4種類の診断書を出してもいいのですが、障害が軽く併合しても等級に変わりがないと思われる場合、確実な診断書だけを提出しています。

診断書代もタダではありませんし、重要なのは争点がボケてしまうことです。
あれもこれもと言われる相談者がいらっしゃいます。
お気持ちは非常にわかるのですが、やはり争点になるところはしぼった方がわかりやすいし伝わりやすくなります。
認定日と現症の診断書を提出し、重症筋無力症で障害共済年金2級(5年遡及)に認定。

正直、重症筋無力症は認定日の診断書で2級に届かない可能性が大きいと思っていたので、うれしい誤算でした。
重症筋無力症で障害年金の金額はいくら
重症筋無力症の障害年金でもらえる金額は、いくらになるのでしょうか?
重症筋無力症の障害基礎年金額
重症筋無力症で障害年金が認定された後もらえる金額は、障害基礎年金か障害厚生年金かで異なります。
もし遡及請求できる場合、最大で5年間遡って受け取れます。
もちろん全員が該当するわけではないのですが、まだ障害年金を請求していないとき、最大5年分遡ることができるのです。これを遡及請求(そきゅうせいきゅう)といいます。
障害等級 | 金額 |
障害基礎年金
1級 |
993,750円/年
+子の加算 |
障害基礎年金
2級 |
795,000円/年
+子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
この金額を6等分して偶数月に受け取ります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。
子の加算
18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。

一般的には高校卒業までということです
子の人数 | 金額 |
1人目
2人目 |
1人につき 228,700円 |
3人目以降 | 1人につき 76,200円 |
重症筋無力症の障害厚生年金額
重症筋無力症で障害年金1級、2級に認定された場合、障害基礎年金に厚生年金が加算されます。
3級は厚生年金しかありません。
障害厚生年金の金額は、給与や厚生年金を納めていた期間(年齢)に比例するため、人により金額はまったく違います(給与30万円と45万円で1.5倍違います)。
障害基礎年金
1級 |
報酬比例額加算×1.25
+配偶者加給年金 |
障害基礎年金
2級 |
報酬比例額加算×1.0
+配偶者加給年金 |
障害厚生年金
3級 |
596,300円/年
金額は一律 |
配偶者加給年金
重症筋無力症で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいるとき、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、配偶者である夫についても加給年金が支給されます。
※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。
障害等級 | 金額 |
1級・2級
(3級はなし) |
228,700円 |
年金生活者支援給付金
重症筋無力症の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
障害年金を受給した際「年金生活者支援給付金」が加算して支給されるようになりました。
年金生活者支援給付金は基礎年金も厚生年金も変わらず2級以上であれば支給されます。
金額は毎年変動します。
1級 | 月6,425円 |
2級 | 月5,140円 |
以上、もらえる金額には年収などにより、いろいろと例外もあります。
障害年金のもらえる金額はいくらなのか?に概要をまとめました。
障害年金の受給が無事決まった後、金額はいくらもらえるのでしょうか?
受給資格
受給資格を得るために以下の3つが大切になります。
初診日と保険料納付
- 初診日
- 保険料納付要件
- 認定基準
初診日と保険料納付要件まとめ。
障害年金をもらうために大切な3つの要件(初診日・保険料納付・認定基準)
認定基準
大切なことは重症筋無力症が障害年金の認定基準に該当するかどうかを、十分に理解することです。
重症筋無力症の認定基準は次のようになります(一部抜粋掲載)。
※国民年金・厚生年金保険肢体の機能障害認定基準をわかりやすく加筆修正。

ここでは、重症筋無力症の肢体機能障害の認定基準を示します。
申請する際、嚥下機能や眼・呼吸器など様々な認定基準の確認が必要です。
等 級 | 重症筋無力症の状態 |
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 身体の機能に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
(注)重症筋無力症の状態が両上肢、一上肢、両下肢、一下肢、体幹及び脊柱の範囲内に限られている場合には、それぞれの認定基準と認定要領による。
なお、重症筋無力症が上肢及び下肢の広範囲にわたり、上肢と下肢の状態が相違する場合、重い方の肢で判断し、認定すること。
重症筋無力症の障害年金申請はいろいろと複雑な点もあり、女性社労士が初回無料相談中です。メールやお電話で問合せ下さい。
肢体の機能の障害 認定基準 肢体の機能の障害については、次のとおりである。
引用元:日本年金機構国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第7節 肢体の障害 第4 肢体の機能の障害