人工透析の障害年金は働きながらもらえる?収入と審査基準を解説

人工透析の障害年金は働きながらもらえる?収入と審査基準を解説

人工透析の障害年金 認定基準の解説

人工透析の障害年金は、働きながらでももらえる?

結論から申し上げますと、人工透析で障害年金を請求する場合、仕事や収入があることだけを理由に不支給になるわけではありません。

人工透析療法を受けている事実、初診日、保険料納付要件、診断書の内容、日常生活や治療状況などを総合的に見て判断されます。

  • 働いていても人工透析で障害年金を受給できるのか
  • 収入がある場合に審査で見られるポイント
  • 受給後に仕事を続ける場合の注意点
  • 腎臓移植を受けた場合の扱い

このページでは、人工透析と仕事・収入の関係、認定基準、更新時の注意点をわかりやすく解説します。

「人工透析の障害年金は働きながら収入があっても、もらえるのか」

「働いていると、審査の基準は厳しくなるのか」

「受給できたあと、収入との調整はあるのか」

このようなお悩みをお持ちではありませんか。

このページでわかること

  • 人工透析で働きながら障害年金を受給できるか
  • 仕事や収入がある場合の考え方
  • 人工透析の受給資格
  • 人工透析の障害認定日の特例
  • 人工透析の認定基準
  • 腎臓移植を受けた場合の扱い

人工透析で障害年金をもらい忘れていませんか。仕事や収入があるからといって、すぐに諦める必要はありません。

人工透析の受給例や金額については、人工透析の障害年金の全体解説ページでも詳しく解説しています。

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執筆者紹介|障害年金専門社労士 但田美奈子

はじめまして。

当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。

経験15年以上・累計相談件数4,193件(令和8年6月末現在)・受給率97.8%。
人工透析をはじめ、さまざまな傷病のご相談に対応してまいりました。

人工透析の障害年金は、定められている認定基準に沿って審査されます。

ただし、人工透析をされている方からは、「働いていると不利になるのか」「収入があると止まるのか」といったご相談を多くいただきます。

このページでは、仕事や収入がある場合の考え方と、人工透析の障害年金の認定基準を整理して解説します。

仕事や収入があっても人工透析の障害年金は受給できる?

結論から申し上げますと、仕事や収入があるかどうかだけで、人工透析の障害年金が受給できないと判断されるわけではありません。

人工透析の障害年金は、人工透析療法を受けている事実と、障害年金の要件を満たしているかどうかが重要です。

  • 仕事や収入があることだけで、直ちに不支給になるわけではありません。
  • 人工透析療法を受けている事実があり、初診日・保険料納付要件を満たしているかを確認します。
  • 日常生活の状況、治療内容、合併症の有無、診断書の内容なども確認されます。

そのため、会社員として勤務している方、自営業を続けている方、パート勤務をしている方でも、人工透析で障害年金を受給できる可能性があります。

「働いているから無理だろう」と自己判断せず、まずは初診日や保険料納付状況を確認することが大切です。

人工透析で働いている場合に見られるポイント

人工透析で障害年金を申請するための重要ポイント

人工透析で働いている場合、審査で大切になるのは、単に「収入があるか」ではなく、仕事の内容や治療との両立状況です。

透析のために勤務時間や働き方に制限があるか

人工透析は、週に複数回、長時間の治療が必要になることが多く、勤務時間や勤務日数に影響が出ることがあります。

たとえば、透析日に早退している、夜間透析を利用している、残業や出張が難しい、体調により勤務内容を軽くしているなどの事情がある場合は、診断書や申立書で実態を整理することが重要です。

日常生活にどの程度の支障があるか

人工透析を受けながら働いている場合でも、透析後の倦怠感、血圧低下、食事・水分制限、合併症などにより、日常生活に支障が出ていることがあります。

診断書では、検査数値だけでなく、一般状態や日常生活状況も確認されます。

診断書と申立書の内容が合っているか

「仕事をしている」という事実だけが強く見えると、日常生活や治療上の制限が伝わりにくいことがあります。

そのため、診断書の内容、病歴・就労状況等申立書、実際の勤務状況に矛盾がないように整理することが大切です。

人工透析で障害年金を申請するための疑問点

人工透析で障害年金を申請する際には、仕事や収入以外にも、病名や初診日についてよくご相談をいただきます。

病名は審査に関係あるのか

腎疾患(人工透析)の病名には、主に以下のようなものがあります。

  • 慢性腎炎
  • ネフローゼ症候群
  • 慢性糸球体腎炎
  • IgA腎症
  • 糖尿病性腎症
  • 多発性嚢胞腎

原因となる病名そのものよりも、人工透析をしている事実が重要です。

人工透析には、血液透析、腹膜透析、血液濾過などがあり、これらの治療を受けていることにより障害年金の対象となります。

原則として、人工透析をしている場合は2級に該当し、病状や合併症の程度によっては、それ以上の等級になる可能性もあります。

初診日の確定

慢性腎疾患から人工透析になり障害年金を受給する場合、初診日の特定が大きな問題になることがあります。

腎不全は、初期症状がわかりにくく、発病してから悪化するまでに長い時間がかかることがあります。

  • 最初の受診が何十年も前である
  • 通院先が複数ある
  • 病院が廃院している
  • 当時のカルテが残っていない
  • 初診の病院がわからない

このような場合は、受診状況等証明書だけでなく、健康診断結果、紹介状、診察券、領収書、お薬手帳など、客観的に初診日を確認できる資料を検討する必要があります。

仕事や収入がある場合

仕事をしている、収入があるという理由で、申請を諦めてしまう方もいらっしゃいます。

しかし、人工透析の障害年金では、仕事や収入があることだけで受給できないわけではありません。

むしろ、人工透析をしながらどのように働いているのか、どのような制限や配慮を受けているのかを、具体的に整理することが大切です。

障害年金を受給できる条件

人工透析の障害年金の受給資格

人工透析で障害年金を申請するためには、次の3つの重要な要件があります。

  1. 初診日~いつお医者さんに行ったか
  2. 保険料納付要件~保険料は納めていたか
  3. 認定基準に該当していること

初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日に人工透析の認定基準に該当していれば、障害年金を受給できる可能性があります。

障害認定日の特例

人工透析における障害認定日の特例(透析開始から3か月で認定)の解説図

障害認定日は、原則として初診日から1年6か月経過したところになります。

ただし、人工透析を行った場合は例外があり、人工透析療法を初めて受けた日から起算して3か月を経過した日が障害認定日となる場合があります。

これは、初診日から1年6か月以内に人工透析を開始した場合に問題となる特例です。

慢性腎不全で人工透析を受けることになり、初診日から1年6か月以内に透析を開始した場合は、透析開始から3か月を経過した日が障害認定日となります。

一方、初診日からすでに1年6か月を経過してから人工透析を開始した場合は、すぐに請求を検討できることがあります。

既に人工透析を開始されている場合は、障害年金を1日でも早く請求できるか確認することが大切です。

認定基準

人工透析の障害年金 認定基準の解説

腎疾患による障害の程度は、以下の要素を総合的に評価して認定されます。

  1. 自覚症状
  2. 他覚所見
  3. 検査成績
  4. 一般状態
  5. 治療及び病状の経過
  6. 人工透析療法の実施状況
  7. 具体的な日常生活状況

自覚症状や検査結果だけでなく、日常生活の状況や治療の経過も重要な評価基準となります。

障害等級 障害の状態
1級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められ、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級 日常生活が著しい制限を受ける、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級 労働が制限を受ける、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

人工透析療法施行中の取り扱い

人工透析療法を施行中の方は、原則として2級と認定されます。

ただし、次の要素に基づいて、さらに上位等級に認定されることもあります。

  • 主要症状
  • 検査成績
  • 合併症の有無とその程度
  • 日常生活状況

働いている場合でも、人工透析の実施状況や合併症、日常生活の制限が重要になります。

受給後に働き続ける場合の注意点

人工透析で障害年金を受給したあとも、働き続けること自体は可能です。

ただし、更新時には、現在の病状、治療状況、日常生活、就労状況などが確認されます。

そのため、次の点を整理しておくと安心です。

  • 透析の頻度や治療時間
  • 透析後の体調不良や倦怠感
  • 勤務時間・勤務日数・業務内容
  • 会社から受けている配慮
  • 残業・出張・肉体労働などの制限
  • 合併症や通院状況

仕事をしている場合は、「働けている」という事実だけでなく、「どのような制限の中で働いているのか」を伝えることが大切です。

腎臓移植を受けた場合

腎臓移植を受けた場合は、術後症状、治療経過、検査成績、予後などを総合的に考慮して認定されます。

障害年金を受給している方が腎臓移植を受けた場合、臓器が生着し安定的に機能するまでの間は、術後1年間は従前の等級が適用されます。

障害等級が3級の場合は、2年間の経過観察が行われます。

よくあるご質問

人工透析で働いていても障害年金はもらえますか?

はい。仕事や収入があることだけで、人工透析の障害年金が受給できないわけではありません。人工透析療法を受けている事実、初診日、保険料納付要件、診断書の内容などを確認します。

収入が多いと障害年金は止まりますか?

障害年金は、原則として収入だけで直ちに停止されるものではありません。ただし、20歳前傷病による障害基礎年金など、所得制限が問題となるケースがあります。また、更新時には就労状況や日常生活状況も確認されます。

会社員として働いている場合でも、人工透析で2級になりますか?

人工透析療法を施行中の方は、原則として2級と認定されます。ただし、初診日や保険料納付要件、診断書の内容などを確認する必要があります。

透析をしながら仕事を続ける場合、診断書で注意することはありますか?

透析の頻度、治療時間、透析後の体調、日常生活の制限、勤務上の配慮などが正確に反映されているかが重要です。実際の生活状況が診断書に十分反映されていないと、状態が軽く見えてしまうことがあります。

腎臓移植を受けたら障害年金はどうなりますか?

腎臓移植を受けた場合は、術後の症状、治療経過、検査成績、予後などを総合的に考慮して判断されます。障害年金を受給している方が腎臓移植を受けた場合、臓器が生着し安定的に機能するまでの間、術後1年間は従前の等級が適用されます。

人工透析で働きながら障害年金を検討中の方へ

人工透析の障害年金は、仕事や収入があるかどうかだけで判断されるものではありません。

一方で、初診日が古い、病院が廃院している、診断書に生活実態が反映されていない、働いていることで状態が軽く見えてしまうなど、申請時に注意すべき点もあります。

「働いているから無理」と思い込まず、まずは受給できる可能性を確認することが大切です。

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参考資料

国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第12節 腎疾患による障害

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