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この記事の目次

仕事や収入などは関係ない

人工透析の障害年金は、透析を行っている事実に基づいて受給が可能です。

 

ポイントを押さえて、スムーズに申請を進めましょう。

また、人工透析になったとき障害年金とあわせて手続したい公的補助制度はこちらにまとめています。

解説

以下の項目で、受給に関する詳細を解説いたします。

  1. 受給事例
  2. もらえる金額
  3. 受給資格
  4. 認定基準

人工透析の障害年金受給例

人工透析で障害年金。受給例を紹介します

実際に人工透析で障害年金を受給した例をご紹介します。

いろいろなケースがございますが、どのような症状で受給できたのか。ざっとご参考ください。

紫斑病性腎炎で障害厚生年金2級-140万円

認定 障害厚生年金2級 事後重症請求
相談者 40代男性 東京都大田区
傷病 慢性腎不全(人工透析)
金額 140万円

事後重症による請求

子供の頃に紫斑病性腎炎と診断され、入院および5年間の経過観察を受けた後、通院が不要となりました。

そのまま、しばらく自覚症状もなく医療機関の受診もありませんでした。

しかし、13年後に再発し再び治療を開始。

人工透析(腹膜透析)を行うようになった場合、初診日がいつになるのかを明確にする必要があります。

今後どの様に手続きをしていけばよいのか不安なので、手続きのサポートをして欲しいとのことでご依頼頂きました。

子供の頃からの初診日の場合

但田社労士より

人工透析の相談で多いのは、子供の頃に初診日がありその後通院がなくなる。

大人になってから再発というものです。このような場合、初診日はいつになるのでしょうか。

〇再発時の初診日

子供の頃の紫斑病性腎炎は、いったん治っていることから13年後に再発。

再発した時点での受診日を初診日として申請。

この場合、再発前の期間は治癒していたとみなされます。

病歴・就労状況等申立書には、子供の頃からの状況を詳細に記載。再発前の健康状態や治療歴を明確にします。

健康診断の結果票を添付し、再発初診日の2年前の数値が問題ないことを示します。

特に照会もなく無事に障害厚生年金2級(事後重症)が認定されました。

申請から決定まで44日。

もし、初診日が子供の頃と見なされた場合、障害基礎年金の請求となります。

この場合、所得制限があり、受け取る金額にも大きな差が出ます。

かし、以下のようなケースでは腎疾患が継続していると見なされることもあります。

社労士

初診日をいつにするかは大きな問題です。病院にどれくらの頻度でかかっていたのかなど、細かな検討が必要となります。

具体的な状況に応じて、適切な初診日を特定し、障害年金の申請を進めることが重要です。

糖尿病による腹膜透析で障害厚生年金2級-150万円

認定 障害厚生年金2級 事後重症請求
相談者 50代男性 東京都多摩市
傷病 糖尿病(腹膜透析)
金額 150万円

事後重症による請求

平成9年頃、職場の健康診断で血糖値の高さを指摘され、企業内の診療所で糖尿病と診断されました。

その後、食事療法や服薬治療を続けていましたが、徐々に腎機能が悪化。

1年前に人工透析(腹膜透析)を導入しました。

お仕事を続けていたため、障害年金には該当しないと思われていたようですが、少なくとも1年前の人工透析導入時点で障害年金2級に該当しています。

社労士が相談

もう少し早くご相談いただけるとよかったと思います。

病歴が20年以上に及ぶ場合

今回も初めて血糖値の異常を指摘されてから、20年の月日が経っています。

今回のケースでは、初めて血糖値の異常を指摘されてから20年が経過しています。

申請できなくなる一番多い原因は、病院自体が廃院されていることです。

当時の領収書や診断書などがあればよいのですが、そういった資料がなく申請が認められない場合もかなりあります。

幸い企業内の診療所だったため、カルテが保存されており、受診状況等証明書を無事取得できました。

病歴が長いため受診した病院数も多く、病歴・就労状況等申立書も2枚に及びましたが、なんとか完成しました。

社労士より

「申請から78日で障害厚生年金2級に決定しました。無事受給できてほっとしております。」

今回のケースでは、無事に障害厚生年金2級が認定され、受給が決定しました。

このように、長期間にわたる病歴がある場合でも、適切な資料を揃え、詳細な申立書を作成することで受給が認められることがあります。

日本年機構 上野年金事務所

受給事例集

人工透析の障害年金受給例が多くなってきたので、地域ごとにまとめました。

東京 江戸川区 千葉
埼玉 神奈川

人工透析で障害年金の金額はいくら?

人工透析で障害年金 金額はいくらもらえる

人工透析で障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?

実際、受給が決まっても「いくらもらえるのか」がご心配だと思います。

そこで、人工透析で受給できる等級ごとの金額や、加算される手当を解説していきます。

障害年金には、「基礎」と「厚生」の2つがあります。

  1. 基礎::1級と2級
  2. 厚生::1級、2級、3級

このように、基礎と厚生が組み合わさって、2階建ての仕組み(3級は厚生年金のみ)になっています。

もらえる金額もこれに伴って説明していきます。

また、受給した後、国民年金保険料が免除になる制度がありますので、ご検討下さい。

障害年金の額

人工透析の障害基礎年金額

人工透析で、障害基礎年金の1級又は2級に認定されたときの金額を解説していきます。

障害基礎年金の等級 金額
1級 1,020,000円/年
+子の加算
2級 816,000円/年
+子の加算

受給権を得た後、翌月分から支給されます。

この金額を6等分して偶数月に受け取ることになります。

初回は臨時で奇数もありえますが、以後必ず偶数月に2か月分まとめて受け取る形になります。

※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。

子の加算

18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。

社労士より

一般的には高校卒業までということです

子の人数 金額
1人目/2人目 1人につき 234,800円
3人目以降 1人につき 78,300円

年金の相談

人工透析の障害厚生年金額

人工透析で、障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、基礎年金に厚生年金が加算されます。

3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。

障害厚生年金の金額は、給与や勤めていた期間(年齢)に比例するため、人によりまったく違います。

例えば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に1.5倍の差が生じます。

障害厚生年金 金額
1級 報酬比例額加算×1.25
+ 配偶者加給年金
2級 報酬比例額加算×1.0
+ 配偶者加給年金
3級 612,000円/年 金額は一律

報酬比例部分は300月みなしあり

報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。

例えば、会社に入社後間もなく人工透析を開始し、障害年金の受給を開始した場合などでも、最低25年分の年金を納付したものとみなされます。

ある程度の厚生年金を受給することができるのです。

なお、障害認定日の属する月以降の被保険者期間は、年金額の計算基礎に含まれません。

但田社労士より解説

年金制度には批判もありますが、かなり手厚い部分もあります。

計算の基礎となるのは、障害認定日までに納付された期間だけです。

配偶者加給年金

人工透析で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。

よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、どうなるでしょうか。

その場合、配偶者である夫についても加給年金が支給されます。

※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。

障害等級 金額
1級・2級
(3級はなし)
234,800円

年金生活者支援給付金

人工透析の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。

年金生活者支援給付金は基礎も厚生も変わらず2級以上であれば支給されます。

金額は毎年変動します。

等級 金額
1級 月6,638円
2級 月5,310円

以上、人工透析でもらえる金額の詳細は下記にまとめました。

人工透析の障害年金でもらえる金額はいくら?に概要をまとめました。

人工透析で障害年金を申請するために大切なこと

人工透析で障害年金を申請するために大切なこと!

申請するために大切なことをお話していきます。

解説

以下のような質問をよく頂きますので、順番にお話ししていきます。

  1. 病名は関係あるのか
  2. 子供の頃に腎臓が悪いと言われたのだが(初診日はいつか)
  3. 収入がある、仕事をしているが大丈夫か。

腎疾患の病名は審査に関係あるのか

腎疾患(人工透析)の病名には、主に以下のものがあります。

障害年金の解説

慢性糸球体腎炎とは単一の腎疾患の名前ではなく、IgA腎症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎など、様々な病気の総称として使われています。

原因となる病名は関係なく、人工透析をしている事実が重要です。

人工透析は血液透析、腹膜透析、血液濾過などがあり、これらの治療を受けていることにより障害年金の対象となります。

原則として、人工透析をしている場合は2級に該当し、病状等が重い場合はそれ以上の等級になる可能性もあります。

初診日の確定

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease・CKD)という言葉を聞きます。

現在、日本に約1,330万人のCKD患者がいると言われており、これは成人の1割超に当たります。

人工透析対象者は26万人を超え、毎年1万人ずつ増加し続けており、国民病とも言われています。

慢性腎疾患から人工透析になり障害年金を受給する場合、申請時にいくつかの問題点があります。

  1. 腎不全の初期症状のわかりにくさ:発病してから悪化するまでに長い時間がかかり、初期症状がわかりにくい。
  2. 通院先の多さ:当初は体調不良などで何の病気かわからず、通院する病院が多くなりがち。
  3. 資料の欠如

これらの問題により、障害年金の申請が困難になることがあります。

ただ社労士

その場合、いろいろと客観的に初診日を証明できる資料を検討する必要があります。

年金手帳と通帳

糖尿病と人工透析

腎臓病の原因が糖尿病である場合が多く、その場合、糖尿病の初診日が腎臓病(人工透析)の初診日とされることがあります。

しかし、これも何十年も前のことが多く、最初に受診した病院でカルテが廃棄されていたり、病院が廃業していることがあります。

  1. 腎疾患の初診日は非常に古い場合が多いため、初診日の特定が大切。
  2. 腎疾患はその原因が多岐に渡るため、診断書に整合性を取って記載する。
  3. 非常に長期間にわたる治療が必要なため、カルテが破棄されている場合があり、カルテの保存状況を確認することが必要。

糖尿病は、糖尿病で障害年金を申請する。もらえる金額と受給例・認定基準とはにまとめました。

受給資格

人工透析の受給資格

障害年金を申請するために、絶対にはずせない3つの重要な要件があります。

  1. 初診日~いつお医者さんに行ったか
  2. 保険料納付要件~保険料は納めていたか
  3. 認定基準

初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日に「人工透析の認定基準に該当」すれば、受給できます。

障害認定日の特例

障害年金で考える

障害認定日は、原則として初診日から1年6か月経過したところになります。

しかし例外があり、人工透析を行った日から起算して3か月を経過した日以降に申請できます。

つまり、1年6か月待たなくても障害年金の請求が可能です。

これは、「初診日から起算して1年6か月以内に人工透析を開始した場合」に適用されます。

わかりにくいので、Q&Aでお答えします。

Q. 慢性腎不全で、人工透析を受けることになりました。

人工透析の障害年金の場合、認定日が人工透析を開始してから3か月後と聞きました。

先月から始めたので認定日は2か月後となるのでしょうか?初診日は3年前です。

但田社労士より大事なポイント

A.すぐに請求が可能です。

認定日が人工透析を開始してから3か月後となる特例は、初診日から1年6か月以内に人工透析を開始した場合です。

今回のケースでは、初診日が3年前ということですので、この特例には当てはまりません。

初診日からすでに1年6か月経過しているため、すぐに人工透析による障害年金の申請が可能です。

つまり、既に人工透析を開始されている場合、障害年金を1日でも早く請求することが重要です。

認定基準

人工透析で障害年金 認定基準とは?

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease・CKD)という言葉を聞きます。

現在、日本に約1,330万人のCKD患者がいると言われており、これは成人の1割超に当たります。

人工透析対象者は26万人を超え、毎年1万人ずつ増加し続けており、国民病とも言われています。

受給資格を得るためには、人工透析による障害年金認定基準に該当するかどうかを十分に理解することが重要です。

以下の重要点を把握しておくと、申請の際に必要な条件や基準を把握しやすくなります。

腎疾患による障害の程度は、以下の要素を総合的に評価して認定されます:

  1. 自覚症状:患者自身が感じる症状や不調の程度。
  2. 他覚所見:医師が確認できる症状や状態。
  3. 検査成績:血液検査や尿検査などの結果。
  4. 一般状態:患者の全体的な健康状態や体力。
  5. 治療及び病状の経過:治療の内容と病状の変化。
  6. 人工透析療法の実施状況:透析の頻度や方式、治療の進行状況。
  7. 具体的な日常生活状況:日常生活にどの程度支障があるか。

自覚症状や検査結果だけでなく、日常生活の状況や治療の経過も重要な評価基準となります。

障害等級 障害の状態
1級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態。

日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級 1級と同じで、日常生活が著しい制限を受ける。

又は著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級 身体の機能に、労働が制限を受ける。

又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

認定要領

1.人工透析による障害年金の認定対象は、主に慢性腎不全です。

慢性腎不全とは、慢性腎疾患によって腎機能が持続的に障害され、体が正常に機能できなくなった状態を指します。

腎疾患は長期にわたって進行し、最終的には腎不全に至る可能性があります。

主な腎疾患には以下が含まれます:

また、全身性疾患による腎障害もあります:

2.腎疾患の主要症状には以下があります:

3.腎疾患の診断には、以下の検査が重要です:

年金手帳

4.慢性腎不全及びネフローゼ症候群での項目及び異常値の一部を示す。

区分 検査項目 単位 軽度異常 中等度異常 高度異常
内因性クレアチニンクリアランス ml/分 20以上30未満 10以上20未満 10未満
血清クレアチニン濃度 mg/dl 3以上5未満 3以上5未満 8以上
1日尿蛋白量 g/日 3.5g以上を持続する
血清アルブミン g/dl かつ、3.0g以下
血清総蛋白 g/dl 又は、6.0g以下

腎疾患による障害の程度一般状態区分表

一般状態区分表

区分 一般状態
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

6. 腎疾患(人工透析)の障害年金各等級に相当すると認められるものを一部例示

障害の程度 障害の状態
1級 慢性腎不全の検査成績が高度異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
2級 1.慢性腎不全の検査成績が中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの
2.人工透析療法施行中のもの
3級 1.慢性腎不全の検査成績が軽度、中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
2.慢性腎不全の検査成績のうちアが異常を示し、かつ、イ又はウのいずれかが異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

人工透析療法施行中の取り扱い

ア.認定等級

人工透析療法を施行中の方は、原則として2級と認定されます。

ただし、次の要素に基づいて、さらに上位等級に認定されることもあります:

イ.障害の程度を認定する時期は、人工透析療法を初めて受けた日から起算して3か月を経過した日です。

ただし、初診日から1年6か月を超える場合は、初診日から1年6か月経過後が基準となります。

1.検査成績は変動しやすいため、腎疾患の経過中で最も病状を正確に反映していると思われる検査結果に基づいて認定が行われます。

2.糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を含む)、腎硬化症、多発性嚢胞腎、腎盂腎炎などによって慢性腎不全が生じた場合、病歴が長いものであっても相当因果関係が認められることがあります。

3.腎疾患は多様な原因によって様々な臨床所見や検査所見が見られます。

認定に際しては、以下の要素も参考にして総合的に評価します:

4.腎臓移植の取り扱い

腎臓移植を受けた場合、以下の要素を総合的に考慮して認定します:

5.障害年金の継続

障害年金を支給されている者が腎臓移植を受けた場合、臓器が生着し安定的に機能するまでの間、術後1年間は従前の等級が適用されます。

障害等級が3級の場合は、2年間の経過観察が行われます。

人工透析で申請するにはいろいろと複雑な点もあり、初回無料相談を行っております。

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国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第12節 腎疾患による障害

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