人工透析で、障害年金をもらえる可能性があります!女性社労士が金額や認定基準の無料相談!受給事例も紹介。
はじめまして。東京で人工透析の障害年金申請サポートを行っている社労士の但田美奈子と申します。

人工透析の障害年金申請に関してよく頂く質問は、以下のようなものがあります。
どれも大切なことなので順番に解説していきます。
この記事の目次
人工透析の障害年金申請でよく頂く質問
- 病名は関係あるのか
- 収入がある
- 仕事をしている
- 子供の頃に腎臓が悪いと言われたのだが初診日はどこか
腎疾患(人工透析)も障害年金申請の対象になり、病名は慢性腎炎・ネフローゼ症候群・慢性糸球体腎炎などがあります。
原因となる病名は関係なく、人工透析をしている事実に対して障害年金が受給できます。
人工透析は、血液透析・腹膜透析・血液濾過がありますが、原則として障害年金申請すると2級に該当します。
どうすれば人工透析で障害年金を受給できるのでしょうか?受給事例、金額、認定基準の順にお話します。
- 受給事例
- 仕事との関係
- いくらもらえるのか(金額)
- 受給資格(認定基準)
人工透析の障害年金受給事例
いろいろな受給例がございますので、是非ご参考ください。
人工透析で障害厚生年金2級受給
- 相談者 40代男性 東京都大田区
- 傷病 慢性腎不全(人工透析)
- 認定 障害厚生年金2級 事後重症請求
- 年金額 140万円受給
子供の頃紫斑病性腎炎と診断され入院および5年程、経過観察の通院をされていました。その後もう通院は必要ないとの診断で、数年間自覚症状もなく医療機関の受診もありませんでした。
しかし、13年程経った後、紫斑病性腎炎が再発。服薬治療を再開されましたが、徐々に腎機能は低下していき慢性腎不全に移行、人工透析(腹膜透析)を開始。
障害年金の請求をしたいが、初診日がいつの時点になるのかわからない。
また、今後どの様に手続きをしていけばよいのか、不安なので手続きのサポートをして欲しいとのことでご依頼頂きました。
人工透析の相談で多いのは、子供の頃に初診日があり、その後通院なし。大人になってから再発というものです。
肝心の初診日です。子供の頃の紫斑病性腎炎は、一旦治っていることから13年後に再発、受診された時点を初診日として人工透析の障害厚生年金を申請しました。
当然、病歴・就労状況等申立書には、子供の頃からの状況を記載。添付した健康診断の結果票でも、再発初診日の2年前の数値は問題ありません。
請求後特に照会もなく、無事障害厚生年金2級(事後重症)。申請から決定まで44日。
子供の頃が初診日となった場合は、障害基礎年金の請求となり、所得制限もありますし受け取る年金額にも大きな差が出ます。
しかし、以下の場合など腎疾患が継続していると見られ、再発初診としては認められず、子供の頃が初診になる場合も多くあります。
- 子供の頃からの病気
- ずっと治療を継続している
- 再発までの期間が短い場合など
病院にどれくらの頻度でかかっていたのかなど、細かな検討が必要となります。

人工透析の障害年金を申請する場合、初診をいつにするかは大きな問題です。申請をお考えの場合一度ご相談ください。
糖尿病(腹膜透析)で障害厚生年金2級受給
お電話でご連絡頂き、事務所でご相談をお受けいたしました。
- 相談者 50代男性 東京都多摩市
- 傷病 糖尿病(腹膜透析)
- 認定 障害厚生年金2級 事後重症請求
- 年金額 約150万円受給
平成9年頃職場の健康診断で血糖値の高さの指摘があり、企業内の診療所で糖尿病と診断。その後ずっと食事療法、服薬治療を続けていらっしゃいましたが、徐々に腎機能が悪化。
その後、1年ほど前に人工透析(腹膜透析)を導入されたとのことでした。お仕事はずっと続けていらしたので、障害年金には該当しないと思われていたようです。
少なくとも、1年前人工透析導入された時点で障害年金2級に該当していますので、もう少し早くご相談頂けるとよかったと思います。
今回も初めて血糖値の異常を指摘されてから、20年の月日が経っています。申請できなくなる一番多い原因は病院自体が廃院されていることです。当時の領収書や診断書などがあればいいのですが、そういった資料がなく申請が認められない場合もかなりあります。
受診状況等証明書は、カルテが保存されており(企業内の診療所だったおかげです)無事取得できました。病歴が長い為受診された病院数も多く、病歴・就労状況等申立書も2枚に及び大変でしたが、なんとか完成。

申請から78日で障害厚生年金2級に決定しました。無事受給できてほっとしております。仕事をしていてもご相談ください。
地域別人工透析の受給事例集
人工透析の障害年金受給例が多くなってきたので、地域ごとにまとめました。
人工透析で障害年金申請をする問題点
最近、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease・CKD)という言葉を聞きます。
現在、日本に約1,330万人のCKD患者がいるといわれ成人の1割超にあたりますが、人工透析対象者は26万人を超えており、毎年1万人ずつ増え続けているとのこと。国民病と言われつつあります。

慢性腎疾患から人工透析になり障害年金を受給する場合、申請時にいくつかの問題点があります。
腎不全は、発病して悪化するまで長い時間かかるので(その後人工透析になる)、初期症状がわかりにくいということが多くあります。
当初、人工透析ではなく体調不良などで何の病気かわからないため、通院する病院が多くなりがちです。
- 申請しようと考えても病院がない。
- 当時のカルテが無い。
- 初診の病院がわからない。
など最初から人工透析で病院に行くわけではないので、障害年金申請を困難にしております。

その場合、いろいろと客観的に初診日を証明できる資料をつける必要があります。
また、腎臓病の原因が糖尿病の場合が多く、その場合糖尿病と相当因果関係がありとして、糖尿病の初診日が腎臓病(人工透析)の初診日とされることが多くあります。
これも、初診日が何十年前などの場合が多く、最初に受診した病院ではカルテが廃棄されていたり、廃業等で初診日証明の取得が不可能になったりなることが多いのです。
人工透析と仕事の関係
実は、人口透析等の障害年金は就労をして収入(給与)があっても受給できます。
人工透析による障害年金はその事実があって、日常生活の不自由なレベルかどうかというのが焦点であり、仕事をしているかどうかは関係ありません。
下はよく頂く質問です。
Q.勤めていても人口透析で障害年金は受給できますか?
会社に配慮してもらい、勤めながら人工透析を受けています。障害年金は働いていても貰えるのでしょうか?
A.働いていても問題ありません。
人工透析を受けてらっしゃる場合、障害年金申請すると2級になります(病状等が重い場合はそれ以上の等級になる可能性もあります)。働いていらっしゃることで不利になることはありません。
障害認定日の例外
勘違いされている場合が多いのですが、障害認定日は原則初診日から1年6ヶ月経過後です。しかし、いろいろな例外があります。
Q. 慢性腎不全の場合
慢性腎不全で、人工透析を受けることになりました。人工透析の障害年金の場合、認定日が人工透析を開始してから3ヶ月後と聞きました。
先月から始めたので認定日は2ヶ月後となるのでしょうか?初診日は3年前です。
A.すぐに障害年金請求が可能です。
認定日が人工透析を開始してから3ヶ月後となる例外は、初診日から1年6カ月以内に人工透析を開始した場合です。
初診日が3年前ということですので、これにはあてはまらず、人工透析で障害年金が直ぐに申請できます。
人工透析開始日から2ヶ月ではなく、初診日からすでに1年6カ月経過しているからです。
既に人工透析を開始されているのであれば、障害年金を1日でも早く請求しましょう。
まとめると、障害の程度を認定する時期は、人工透析療法を初めて受けた日から起算して3カ月を経過した日(初診日から起算して1年6カ月以内の場合)となります。
もらえる年金額
人工透析で受給できる年金額は、いくらになるのでしょうか?
子供や配偶者加算もあり、年金生活者支援給付金も支給されます。
障害年金のもらえる金額にまとめました。
人工透析の受給資格
受給資格を得るために以下の3つが大切になります。
- 初診日
- 保険料納付要件
- 認定基準
人工透析の認定基準
※日本年金機構より引用し、わかりやすく加筆修正。
受給資格を得るために大切なことは人工透析の障害年金認定基準に該当するかどうかを十分に理解することです。
ざっと読むと、何となくどんな状態であれば申請できるのか、感覚はつかめると思います。
腎疾患による障害の程度は、自覚症状・他覚所見・検査成績・一般状態・治療及び病状の経過、人工透析療法の実施状況、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定。
障害等級 | 人工透析の状態 |
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 身体の機能に、労働が制限を受けるか、労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
人工透析の障害年金認定要領
1.腎疾患(人工透析の)による障害の認定の対象はそのほとんどが、慢性腎不全。
慢性腎不全とは、慢性腎疾患によって腎機能障害が持続的に徐々に進行し、生体が正常に維持できなくなった状態。
すべての腎疾患は、長期に経過すれば腎不全に陥る可能性をもっており、最も多いのは、慢性腎炎(ネフローゼを含む。)、腎硬化症、嚢胞腎、腎盂腎炎であるが、全身性疾患による腎障害、すなわち、糖尿病性腎症、膠原病、痛風腎、アミロイドーシス等も少なくないものである。
2.腎疾患の主要症状としては、悪心、嘔吐、疼痛等の自覚症状、尿の異常、浮腫、高血圧等の他覚所見がある。
3.検査成績としては、尿、血液生化学(血清尿素窒素・血清クレアチニン・血清電解質等)・動脈血ガス分析等がある。
4. 慢性腎不全及びネフローゼ症候群での項目及び異常値の一部を示す。
区分 | 検査項目 | 単位 | 軽度異常 | 中等度異常 | 高度異常 |
ア | 内因性クレアチニンクリアランス | ml/分 | 20以上30未満 | 10以上20未満 | 10未満 |
イ | 血清クレアチニン濃度 | mg/dl | 3以上5未満 | 3以上5未満 | 8以上 |
ウ | 1日尿蛋白量 | g/日 | 3.5g以上を持続する | ||
血清アルブミン | g/dl | かつ、3.0g以下 | |||
血清総蛋白 | g/dl | 又は、6.0g以下 |
注)「ウ」の場合①かつ②又は①かつ③の状態を「異常」という。
5.腎疾患(人工透析)による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。
一般状態区分表
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 前記(4)1の検査成績が高度異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの |
2級 | 1.前記(4)1の検査成績が中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの 2.人工透析療法施行中のもの |
3級 | 1.前記(4)1の検査成績が軽度、中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの 2.前期(4)2の検査成績のうちアが異常を示し、かつ、イ又はウのいずれかが異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの |
6. 腎疾患(人工透析)の障害年金各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 前記(4)1の検査成績が高度異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの |
2級 | 1.前記(4)1の検査成績が中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの 2.人工透析療法施行中のもの |
3級 | 1.前記(4)1の検査成績が軽度、中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの 2.前期(4)2の検査成績のうちアが異常を示し、かつ、イ又はウのいずれかが異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの |
7. 人工透析療法施行中のものについては、原則として次により取り扱う。
ア.人工透析療法施行中のものは2級と認定する。
なお、主要症状、人工透析療法施行中の検査成績、長期透析による合併症の有無とその程度、具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。
イ.障害の程度を認定する時期は、人工透析療法を初めて受けた日から起算して3月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
8.検査成績は、その性質上変動しやすいものであるので、腎疾患の経過中において最も適切に病状をあらわしていると思われるものに基づいて行うものとする。
9.糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を含む。)、腎硬化症、多発性嚢胞腎、腎孟腎炎に罹患し、その後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係があるものと認められる。
10.腎疾患は、その原因疾患が多岐にわたり、それによって生じる臨床所見、検査所見も、また様々なので、前記 4 の成績によるほか、合併症の有無とその程度、他の一般及び特殊検査の成績、治療及び病状の経過等も参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。
11. 腎臓移植の取り扱い
ア.腎臓移植を受けたものに係る障害認定に当たっては、術後症状、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定する。
イ.障害年金を支給されている者が腎臓移植を受けた場合は、臓器が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮して術後1年間は従前の等級とする。なお、障害等級が3級の場合は、2年間の経過観察を行う。

人工透析の障害年金申請は、いろいろと複雑な点もあり、初回無料相談と申請のサポートを行っています。メールやお電話で問合せ下さい。
慢性糸球体腎炎と人工透析
慢性糸球体腎炎とは、単一の腎疾患の名前ではありません。
IgA腎症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎など様々な病気で腎疾患の総称として使われています。
基本的には食事と薬によって治療していきますが、症状がひどくなった場合、人工透析治療が必要になります。
人工透析を実施した場合、障害等級2級の障害年金に認定される可能性があり、日常生活の状況や症状から上位の1級などの等級に認定されることもありえます。
国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第12節 腎疾患による障害
引用元:日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第12節 腎疾患による障害