
糖尿病は、状態によって障害年金の対象になります。
このページでは、糖尿病の認定基準・判断のポイントに加え、受給例や金額の目安も、できるだけ分かりやすく解説します。
本ページは、障害年金の申請支援を専門とする社会保険労務士が、実務経験に基づいて整理した解説です。
私は、社会保険労務士・但田美奈子です。
糖尿病を含む障害年金の申請サポートを専門に行っており、実務経験は15年以上、累計相談件数は4,079件(令和8年3月末現在)です。
執筆者よりご挨拶|障害年金専門社労士
簡単ではありますが、動画でもご挨拶しています。よろしければご覧ください。
障害年金は、病気やケガで日常生活や仕事が難しくなったときに支給される大切な制度です。
1型・2型糖尿病は両方障害年金の対象です
糖尿病では、糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害など、合併症が日常生活に影響することがあります。
- 1型・2型いずれも対象(認定基準上の違いはありません)
- 治療を行っても血糖コントロールが難しく、生活に支障が出ているかが判断の中心になります
治療で十分にコントロールできている場合は、対象外となることがあります(認定要領で詳述します)。
- 糖尿病の受給例
- もらえる金額
- 障害年金を受給できる条件
- 認定基準
糖尿病でも、在職中の方や日常生活を続けている方が受給できたケースは少なくありません。
ここでは、実際の受給例を紹介します。
糖尿病の障害年金受給例

ここでは、実際に糖尿病で障害年金を受給できた事例を紹介します。
糖尿病性網膜症で障害基礎年金2級-80万円
| 認定 | 障害基礎年金2級 事後重症請求 |
| 相談者 | 50代男性 神奈川県川崎市 |
| 傷病 | 糖尿病性網膜症 |
| 金額 | 約80万円 |

左眼はほとんど見えず、右眼も視力が大きく低下しており、日常生活では手探りで行動する場面が多い状態でした。
ご高齢のお母さまからご相談をいただき、代理で申請を進めることになりました。
糖尿病性網膜症は進行の程度によって症状が大きく変わり、障害年金では視力と視野の両方が重要な判断材料になります。
障害者手帳取得時の数値では等級に届かない可能性がありましたが、診断書取得の結果、視野障害が確認されました。
この方の場合、最初に受診したのが眼科だったため、眼科が初診日として扱われました。
糖尿病が原因でも、初診が眼科であっても問題ありません。
申請後49日で障害基礎年金2級が認定されました。
在職中でも受給|障害厚生年金3級+5年遡及の受給例(総額約480万円)
| 認定 | 障害厚生年金3級(遡及請求5年) |
| 相談者 | 40代男性(東京都江東区) |
| 傷病 | 糖尿病 |
| 受給額 | 年額約90万円/遡及総額約480万円 |

この方は在職中で、治療を続けながら仕事を継続していました。
初診は約10年前の総合病院で、現在も同じ病院で継続受診していました。
障害認定日当時から血糖コントロールが不良だったため遡及請求を選択しました。
現在の診断書では血糖状態がやや改善していたため、足の変形障害の診断書も併せて提出しました。
その結果、障害認定日での受給が認められ、5年分の遡及支給が決定しました。
さらに年金証書受領後、診断書の提出間隔が1年から3年へ変更されました。
糖尿病で障害年金の金額はいくら?

糖尿病で障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?
実際、受給が決まっても「いくらもらえるのか」がご心配だと思います。
そこで、糖尿病で受給できる等級ごとの金額や、加算される手当を解説していきます。
- 基礎:1級と2級
- 厚生:1級、2級、3級
このように、基礎と厚生が組み合わさって、2階建ての仕組み(3級は厚生年金のみ)になっています。
もらえる金額もこれに伴って説明していきます。
また、受給した後、国民年金保険料が免除になる制度がありますので、ご検討下さい。

糖尿病の障害基礎年金額と子の加算
糖尿病で、障害基礎年金の1級又は2級に認定されたときの金額を解説していきます。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級 | 1,059,125円/年 +子の加算 |
| 2級 | 847,300円/年 +子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。1年の金額を6等分して、偶数月に受け取ることになります。
初回は臨時で奇数もありえますが、以後必ず偶数月に2か月分まとめて受け取る形になります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。

18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。
| 子の人数 | 金額 |
| 1人目/2人目 | 1人につき 243,800円/年 |
| 3人目以降 | 1人につき 81,300円/年 |
糖尿病 の障害厚生年金額と配偶者加給年金
糖尿病で、障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、基礎年金に厚生年金が加算されます。
3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。
金額は、給与や勤めていた期間(年齢)に比例するため、人によりまったく違います。
例えば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に1.5倍の差が生じます。
| 障害厚生年金 | 金額 |
| 1級 | 報酬比例額加算×1.25 + 配偶者加給年金 |
| 2級 | 報酬比例額加算×1.0 + 配偶者加給年金 |
| 3級 | 635,500円/年(最低保障額) |
報酬比例部分に300月みなしあり
報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。
例えば、会社に入社後ほどなくして糖尿病性の障害になり受給を開始した場合など、最低25年は年金を納付したものとして計算されます。

糖尿病で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級・2級 (3級はなし) | 243,800円/年 |
年金生活者支援給付金
糖尿病の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
2級以上であれば支給され、金額は毎年変動します。
| 等級 | 金額 |
| 1級 | 7,025円/月 |
| 2級 | 5,620円/月 |
糖尿病で受け取れる年金額の目安
生涯を通じた給与とボーナスの平均(令和8年度水準)を基にした、おおよその受給額目安です。
| ケース | 年収モデル | 等級 | 年金の種類 | 受給額 |
|---|---|---|---|---|
| ① 自営業・主婦など | ― | 2級 | 障害基礎年金 | 847,300円/年 |
| ② 会社員・平均年収300万 | 300万円 | 3級 | 障害厚生年金 | 635,500円/年 |
| ③ 会社員・平均年収500万 | 500万円 | 2級 | 基礎+厚生 | 約192〜204万円/年 |
糖尿病の時効と遡及請求
糖尿病の障害年金には時効があります。
申請をしないまま時間が経つと、最大で5年分が消滅してしまう可能性があります。
ただし、条件を満たせば最大5年分まで遡って受給できる場合があります。
これを遡及請求といいます。
糖尿病は進行がゆるやかなケースも多く、「もっと早く申請していればよかった」というご相談も少なくありません。
※出典:令和8年4月分からの年金額等について(日本年金機構)
受給されたお客様の声
多くの方から温かいお言葉を頂いております。いつも本当にありがとうございます。
糖尿病で障害年金の対象になるか気になる方は、無料相談をご利用ください。
障害年金を受給できる条件

糖尿病で障害年金を申請するためには、次の3つの重要な要件があります。
初診日の確定

糖尿病は初診日の確定が難しいケースが多く、相当因果関係を正しく判断できるかが重要になります。
例えば、糖尿病から人工透析に至るケースなどは因果関係が認められます。詳細は人工透析の障害年金もご参照ください。
相当因果関係と初診日
- 糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症
- 糖尿病性神経障害
- 糖尿病性動脈閉塞症等
- 脳内出血
- 脳梗塞
認定基準

糖尿病の障害年金は、単に病名だけで判断されるわけではありません。
合併症の状態や日常生活への影響を含めて、総合的に判断されます。
糖尿病の障害年金認定要領
糖尿病の障害年金は、日本年金機構の認定基準に基づき、次の考え方で判断されます。
- 糖尿病は、インスリン作用の不足による高血糖を中心とした代謝異常
- 合併症・血糖コントロール・治療経過・日常生活への影響を総合的に判断
糖尿病の一般状態区分表(抜粋)
| 区分 | 一般状態 |
| ア | 無症状で社会活動に制限がない |
| イ | 軽度の症状があり軽作業は可能 |
| ウ | 軽労働不可、日中の半分以上は起居 |
インスリン治療を行っても血糖コントロールが困難な場合、次の条件で3級の対象となります。
- 検査前90日以上、継続してインスリン治療を実施している
- Cペプチド値0.3ng/ml未満 + 一般状態イまたはウ、など
合併症がある場合

| 糖尿病性網膜症 | 眼の障害の認定基準 |
| 糖尿病性腎症 | 腎疾患による障害の認定基準 |
診断書の選び方とよくある失敗例
糖尿病そのものだけでなく、日常生活に最も影響している合併症を中心に診断書を選びます。
- 失敗例①:検査数値だけで判断される書き方になっている
- 失敗例②:日常生活の支障(倦怠感、外出困難など)が具体的に書かれていない
- 失敗例③:医師に任せきりにしてしまい、実態が反映されない
診断書は「医師と一緒に作る書類」という意識が大切です。
糖尿病で障害年金を検討中の方へ
参考資料
「代謝疾患(糖尿病)による障害」の認定基準を一部改正します
引用元: 日本年金機構
