「脳梗塞で障害年金を受給した例を知りたい。」
「今から障害年金を申請するが、もらえる金額や認定基準を知りたい。」
そのようなご相談に向けてお話しします。
はじめまして。
社会保険労務士の但田美奈子(ただみなこ)と申します。
東京日本橋にて、10年以上「脳梗塞など障害年金申請のサポート」を行っております。
脳梗塞で障害年金の申請を忘れていませんか?
受給例やもらえる金額、認定基準を専門の女性社労士が解説します!

具体的にどうすれば、脳出血で障害年金を受給できるのでしょうか?
以下の順でお話します。
- 受給事例
- もらえる金額
- 受給資格(認定基準)
脳梗塞の後遺症も障害年金対象
脳梗塞の後遺症は、障害年金の対象となります。
- 肢体障害
- 言語障害
- 認知障害
- 術後後遺症
- 高次脳機能障害
脳梗塞などの脳血管障害による肢体疾患の機能障害で、初診日から6か月経過した日以後、医学的観点からそれ以上の機能回復がほとんど望めないとき、その日が障害認定日となります。
つまり、主治医が認めた場合、初診から1年6か月を待たずに請求が可能となります。
※詳細は脳梗塞の障害認定日の特例
脳梗塞の障害年金受給例
脳梗塞は日々の生活も大変なうえ、ご家族もさぞ辛いことと思います。
いろいろなケースがございますが、実際に受給した例は参考になると思います。
障害基礎年金1級(遡及請求3年)
認定 | 障害基礎年金1級 遡及請求3年 |
相談者 | 女性 東京都品川区 |
傷病 | 脳梗塞 |
受給額 | 約100万円 遡及金額300万円 |
当初ご自宅で右半身に違和感を感じ、それに伴ってだんだん意識が遠のく中、なんとか遠方に住むご家族に電話で助けを求め救急搬送。
脳梗塞は、自分では何もできなくなる(意識が遠のいてしまったり、麻痺したり)場合も多いので、ここは大変幸運でした。
搬送後、脳梗塞と診断され治療開始。
治療後、右半身の麻痺・感覚低下・軽い失語症が残りました。
主な後遺症は以下のようなものになります。
- 歩行時は右下肢補装具と杖が必要。
- 移動は殆どタクシー。
- 自宅では壁や家具で伝い歩き。
また右手が使えない為、日常生活の殆どの動作が非常に不自由な状態。
お話をお伺いしたところ、麻痺・感覚低下などが顕著でした
初診から半年程経過時を症状固定として、障害認定日と現在2枚の診断書を提出し脳梗塞の年金を遡及請求。
脳梗塞は、1年6か月経つ前の例外として症状固定している場合請求できます。
請求から65日で脳梗塞の基礎年金1級(遡及3年)に認定。
更新が5年になったことが大きいです(更新の最長期間)。その分精神的な負担はなくなります。
安心して療養して頂けることになって本当によかったです。

今回、更新5年というのがとても嬉しかったです。ゆっくりして頂けますので。
(うつ症状有)障害厚生年金2級
認定 | 障害厚生年金2級 |
相談者 | 男性 神奈川県横浜市 |
傷病 | 脳梗塞 |
受給額 | 約130万円 |
うつ病で休職されている間に脳梗塞を発症され、右半身に麻痺を負われました。
発症・初診日は1年7カ月程前。
脳梗塞で障害年金が受給できるかどうかご不安をお持ちのようでしたが、十分認定基準に該当する状況。
障害認定日から1年を経過しておりませんでしたので、認定日時点の診断書を提出し脳梗塞で障害厚生年金2級認定。
今回、肢体の診断書です。
うつ病での休職で健康保険の傷病手当金を受給されておりました。
支給開始後1年6カ月をとっくに超えていた為、現在は受給されておりませんでした。
今回傷病が違うので、脳梗塞で傷病手当金を申請できることもお伝え。
傷病手当金は時効が2年ですので、ご相談に来ていただくのが何カ月か遅かったら時効にかかってしまう分が出たかもしれません。
発症から1年6か月まで=傷病手当金→1年7カ月目から=障害年金と重なる部分も切れ間もなく、無駄のない結果になりました。

今回は損をすることもなく、本当よかったと思います。
(症状固定)障害基礎年金2級
認定 | 障害基礎年金2級 |
相談者 | 女性 東京都東久留米市 |
傷病 | 脳梗塞 |
受給額 | 約80万円受給 |
平成24年8月に発病され、左上肢が動かない状態に。
その後平成25年3月で症状固定=認定日として、脳梗塞の基礎年金の請求。
無事、症状固定が認められ受給決定。
脳梗塞の年金証書が届いたとのこと!
脳梗塞は障害認定日の特例があります。
初診日から1年6か月先ではなく、脳梗塞で症状固定した日(初診から6カ月以上経過)が特例の障害認定日となります。
申請時に気をつけないと通常の認定日での審査となります。

なんとおおよそ1年分の年金が消えてしまうということもあります。
脳梗塞で障害年金の金額はいくら
脳梗塞の障害年金でもらえる金額は、いくらになるのでしょうか?
脳梗塞の障害基礎年金額
脳梗塞で障害年金が認定された後もらえる金額は、障害基礎年金か障害厚生年金かで異なります。
もし遡及請求できる場合、最大で5年間遡って受け取れます。
もちろん全員が該当するわけではないのですが、まだ障害年金を請求していないとき、最大5年分遡ることができるのです。これを遡及請求(そきゅうせいきゅう)といいます。
障害等級 | 金額 |
障害基礎年金
1級 |
993,750円/年
+子の加算 |
障害基礎年金
2級 |
795,000円/年
+子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
この金額を6等分して偶数月に受け取ります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。
子の加算
18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。

一般的には高校卒業までということです
子の人数 | 金額 |
1人目
2人目 |
1人につき 228,700円 |
3人目以降 | 1人につき 76,200円 |
脳梗塞の障害厚生年金額
脳梗塞で障害年金1級、2級に認定された場合、障害基礎年金に厚生年金が加算されます。
3級は厚生年金しかありません。
障害厚生年金の金額は、給与や厚生年金を納めていた期間(年齢)に比例するため、人により金額はまったく違います(給与30万円と45万円で1.5倍違います)。
障害基礎年金
1級 |
報酬比例額加算×1.25
+配偶者加給年金 |
障害基礎年金
2級 |
報酬比例額加算×1.0
+配偶者加給年金 |
障害厚生年金
3級 |
596,300円/年
金額は一律 |
配偶者加給年金
脳梗塞で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいるとき、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、配偶者である夫についても加給年金が支給されます。
※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。
障害等級 | 金額 |
1級・2級
(3級はなし) |
228,700円 |
年金生活者支援給付金
脳梗塞の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
障害年金を受給した際「年金生活者支援給付金」が加算して支給されるようになりました。
年金生活者支援給付金は基礎年金も厚生年金も変わらず2級以上であれば支給されます。
金額は毎年変動します。
1級 | 月6,425円 |
2級 | 月5,140円 |
以上、もらえる金額には年収などにより、いろいろと例外もあります。
障害年金の受給が無事決まった後、金額はいくらもらえるのでしょうか?
受給資格
初診日と保険料納付
受給資格を得るために以下の3つが大切になります。
- 初診日
- 保険料納付要件
- 認定基準
特に聞かれることが多いのですが、老齢基礎年金の受給開始年齢が65歳であり、65歳からは老齢基礎年金を受給する形となります。
ですので初診日が65歳を超えると障害年金は請求することができません(例外もございますが、原則は65歳までに初診日があることです)。
初診日と保険料納付要件まとめ。
障害年金をもらうために大切な3つの要件(初診日・保険料納付・認定基準)
認定基準
※以下、日本年金機構、脳梗塞の障害年金認定基準をもとに加筆修正。
続いて脳梗塞の障害年金認定基準です。
大切なことは、脳梗塞の障害年金認定基準に該当するかどうかを十分に理解することです。
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
また、ときどきご相談をいただくのですが、視力に問題がなくても視野が認定基準に該当していれば、脳梗塞の障害年金の受給が可能な場合があります。
脳梗塞の障害認定日の特例
脳梗塞は初診日から6ヶ月経過後、医学的見地からそれ以上の機能回復がほとんど望めないと医師が判断した日(=症状固定日)を、障害認定日として取り扱うとされています。
ただし、脳梗塞の障害状態は代償機能やリハビリテーションにより好転も見られますので、療養及び症状の経過を十分考慮していくことが重要です。
つまり、脳梗塞は通常の障害年金のように1年6か月待たなくても申請ができる場合があります。
ただし、肢体の状態は代償機能やリハビリテーションにより好転も見られますので、療養及び症状の経過を十分考慮する必要があります。
脳梗塞の障害年金申請はいろいろと複雑な点もあり、女性社労士が初回無料相談で受給判定と申請サポートを行っています。
メールやお電話で問合せ下さい。
肢体の機能の障害 認定基準 肢体の機能の障害については、次のとおりである。
引用元:日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第4 肢体の機能の障害
令和5年4月分からの年金額等について
障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法
障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法