感音性難聴の障害年金をもらい忘れていませんか?受給例や金額、認定基準を専門の女性社労士が解説!
感音性難聴も障害年金の対象です
受給するのは難しいという声も目立ちますが実際はどうなのでしょうか。
感音性難聴は以下の両方で審査されます。
- 純音の聴力レベル値(純音聴力レベル値)
- 語音の聴力検査値(語音明瞭度)
感音性難聴で障害年金をもらうために、具体的にどうすればいいのでしょうか?

以下の順でお話します。
- 受給事例
- もらえる金額
- 受給資格(認定基準)
感音性難聴の障害年金受給例紹介
いろいろなケースがございますが、実際に受給した例は参考になると思います。
中学生からの受診歴
認定 | 障害基礎年金1級 |
相談者 | 女性 東京都杉並区 |
傷病 | 感音性難聴 |
受給額 | 約100万円 |
中学生頃に受診歴がありますが、感音性難聴は治療法もないご病気の為、その後10年近く受診されていませんでした。
ご本人は厚生年金での認定を強くお望みでしたが、子供の頃から症状があります。
そのため長く受診されていないとしても、感音性難聴で厚生年金は認められない可能性が高いことをご説明。
最低限基礎年金は受給できるよう準備をし、感音性難聴で障害厚生年金として申請。
審査途中で照会が3回あり(想定内)ありました。
結果、残念ながら厚生年金での認定は認められず、障害基礎年金(20歳前傷病)で1級に認定となりました。
最初から障害基礎年金で請求をすれば、すぐに決定となったでしょう。
でも、ご本人は「もしかしたら厚生年金になったのでは。」と心にひっかかったままになります。

やるだけやっての結果です。
20歳前の傷病請求では症状が軽い
認定 | 障害基礎年金1級 |
相談者 | 女性 東京板橋区 |
傷病 | 感音性難聴 |
受給額 | 約100万円 |
ご相談をお受けしてから申請するまでご相談者の体調がおもわしくなく、診断書の為の受診まで少し時間がかかりました。
これはよくあることです。
特に精神疾患のご依頼者ですと、1年がかりになる場合もあります。
焦らずお待ちします。
子供の頃からの障害でしたので、感音性難聴による「20歳前の傷病で障害基礎年金の請求」。
障害基礎年金の請求のため、2級に該当する必要があります。
認定日である20歳頃は、障害者手帳の更新の状況からみて、2級には該当していなかったので事後重症で申請。
つまり、感音性難聴が後で重くなったということです。
無事、障害基礎年金1級に決定しました!
申請から決定通知が届くまではすんなりでした。
65歳より前の分を遡及請求し受給
認定 | 障害基礎年金1級 遡及請求5年 |
相談者 | 女性 東京墨田区 |
傷病 | 両側高度感音性難聴 |
受給額 | 約100万円 遡及請求500万円 |
ご依頼時に既に65歳でした。
そのため、事後重症ではなく障害認定日時点(診断書が平成8年で20年近く前のもの)の診断書を提出。
両側高度感音性難聴で請求してから決定まで、わずか41日。
障害基礎年金1級の認定で、無事遡及請求5年が認められました!
65歳になると老齢年金が支給されます。
ただ、65歳になる前すでに両側高度感音性難聴の障害状態にありました。
そこから認めて欲しいという請求をする形です。
老齢年金と障害年金は併給できませんし、65歳以上は基本的に老齢年金の受給となります(選択)。
しかし、初診日や病歴等によりその前の部分は認められることもあります。
両側高度感音性難聴で65歳までに受給できる状態にあったわけですから、その分はもらわないと凄く損をします。
年金はそれまでの給与や、納めてきた年数により金額が変わります。
結局どちらの金額が多いかということで、選択する形になります。

ちなみに、障害年金は税金がかかりません。
子供の頃(20歳前傷病)の請求
若いママのご相談もありました。
お伺いすると子供の頃からの障害という方がかなりいらっしゃいます。
子供の頃から耳が不自由とのことで、感音性難聴の障害基礎年金(20歳前傷病)の請求。
障害基礎年金は2級からしかありませんので、2級の認定基準に該当するかどうかの判断になります。
感音性難聴に限らず耳の障害(聴覚)は、数値で判断されます。
感音性難聴は、まったく音や声が聞こえないのは勿論対象となりますが、感音性難聴のように、その声や音が聞き取れないという場合も含まれます。

両耳でどの程度聞き取れるかの数値によって判断されます。
感音性難聴で障害年金の金額はいくら
障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?等級ごとの金額や加算される手当を解説していきます。
感音性難聴の障害基礎年金額
感音性難聴で障害年金が認定され、もらえる金額は障害基礎年金か障害厚生年金かで異なります。
もし遡及請求できる場合、最大で5年間遡って受け取れます。
もちろん全員が該当するわけではないのですが、まだ障害年金を請求していないとき、最大5年分遡ることができるのです。これを遡及請求(そきゅうせいきゅう)といいます。
障害等級 | 金額 |
障害基礎年金
1級 |
993,750円/年
+子の加算 |
障害基礎年金
2級 |
795,000円/年
+子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
この金額を6等分して偶数月に受け取ります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。
子の加算
18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。

一般的には高校卒業までということです
子の人数 | 金額 |
1人目
2人目 |
1人につき 228,700円 |
3人目以降 | 1人につき 76,200円 |
感音性難聴の障害厚生年金額
感音性難聴で障害年金1級、2級に認定された場合、障害基礎年金に厚生年金が加算されます。
3級は厚生年金しかありません。
障害厚生年金の金額は、給与や厚生年金を納めていた期間(年齢)に比例するため、人により金額はまったく違います(給与30万円と45万円で1.5倍違います)。
障害基礎年金
1級 |
報酬比例額加算×1.25
+配偶者加給年金 |
障害基礎年金
2級 |
報酬比例額加算×1.0
+配偶者加給年金 |
障害厚生年金
3級 |
596,300円
金額は一律 |
配偶者加給年金
感音性難聴で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいるとき、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、配偶者である夫についても加給年金が支給されます。
※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。
障害等級 | 金額 |
1級・2級
(3級はなし) |
228,700円 |
年金生活者支援給付金
感音性難聴の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
障害年金を受給した際「年金生活者支援給付金」が加算して支給されるようになりました。
年金生活者支援給付金は基礎年金も厚生年金も変わらず2級以上であれば支給されます。
金額は毎年変動します。
2級 | 月5,140円 |
1級 | 月6,425円 |
以上、もらえる金額には年収などにより、いろいろと例外もあります。障害年金のもらえる金額はいくらなのか?に概要をまとめました。
障害年金の受給が無事決まった後、金額はいくらもらえるのでしょうか?
受給資格
受給資格を得るために以下の3つが大切です。
初診日と保険料納付
- 初診日
- 保険料納付要件
- 認定基準
初診日と保険料納付要件まとめ。
障害年金をもらうために大切な3つの要件(初診日・保険料納付・認定基準)
認定基準
感音性難聴で障害年金の受給資格を得るために大切なことは「感音性難聴の障害年金認定基準」に該当するかどうかを十分に理解することです。
※日本年金機構、聴覚障害の認定基準をもとにわかりやすく加筆・修正
感音性難聴などの病名よりも、聴力の判断となります。
感音性難聴における障害年金の認定基準は以下になりますが、かなり複雑です。

必ず事前にご相談下さい。
程度 | 感音性難聴の状態 |
1級 | 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの |
2級 | 次のいずれかに該当するもの 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの両耳の聴力レベル値が80デシベル以上で、かつ最良語音明瞭度が30%以下のもの |
3級 | 次のいずれかに該当するもの 両耳の聴力レベル値が70デシベル以上のもの両耳の聴力レベル値が50デシベル以上でかつ、最良語音明瞭度が50%以下のもの |
手当金 | 一耳の聴力レベル値が80デジベル以上のもので症状が固定しているもの(症状が固定していなければ3級) |
※一耳だけでみると症状が80db以上で固定していても、両耳が同一傷病である場合、もう一方の耳の症状が固定していないのであれば、症状が固定してないとされます。
1.純音聴力レベル値と語音明瞭度によって認定(純音聴力レベル値が90デシベル以上の場合に限り、最良語音明瞭度の評価が不要)。
2.聴力レベルはオージオメータによる測定。
ただし、感音性難聴の障害年金を受給していない者に対し、1級に該当する診断を行う場合
オージオメータによる検査に加えて、聴性脳幹反応検査等の他党的聴力検査又はそれに相当する検査を実施。
また、その結果(実施した検査方法及び検査所見)を診断書に記載し、記録データのコピー等を提出。
3.聴力レベルのデシベル値は、話声域
周波数500、1000、2000ヘルツにおける純音の各デジベル値をa,b,cとするとき、次の式により算出。
平均鈍音聴力レベル値=(a+2b+c)/4
なお、これが境界値に近い場合は、周波数4000ヘルツの音に対する純音聴力レベル値をdとして、次の式による値を参考とする。
(a+2b+2c+d)/6
4.最良語音明瞭度の算出は次のように行う。
検査は録音機またはマイク付オージオメータにより、通常の会話の強さで発生し、オージオメータの音量を適当に強めたり、弱めたりして最も適した状態で行う。
検査後は、語音弁別能力測定用語音集により、2~3秒に1語の割合で発生。
語音明瞭度を検査する。語音聴力表は、「57s式語表」または「67s式語表」とする。
語音明瞭度は次の式により算出し、語音明瞭度の最も高い値を最良語音明瞭度(語音弁別能)とする(正答語音数÷検査語数)×100(%)。
5.感音性難聴の障害年金を受給していない者の障害の状態が 1級に該当する場合
オージオメータによる検査結果のほか、聴性脳幹反応検査等の他党的聴力検査又はそれに相当する検査結果を把握して総合的に認定。
感音性難聴は補助器具や装置を使わない状態で測定を行うこととされています。しかし、補助器具を使用したまま測定し、診断書を取り直したこともありました。

必ず事前に医師とご確認下さい。
感音性難聴の障害年金申請を、女性社労士が初回無料相談中です。
メールやお電話で問合せ下さい。
聴覚の障害 聴覚の障害による障害の程度は、次により認定する。認定基準 聴覚の障害については、次のとおりである。
引用元:日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第2節 聴覚の障害
感音難聴:加齢性難聴や突発性難聴
引用元:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 難聴(なんちょう)
令和5年4月分からの年金額等について
障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法
障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法