発達障害で障害年金はもらえる?受給例・金額・認定基準【2026年度】

発達障害で障害年金はもらえる?受給例・金額・認定基準【2026年度】

発達障害で障害年金の受給まとめ

発達障害でも障害年金を受給できる可能性があります。

ただし、障害年金は「発達障害」という病名だけで決まるものではありません。

初診日や保険料納付要件を満たしていることに加え、日常生活や仕事への支障、職場での援助や配慮、診断書の内容などが重要になります。

このようなお悩みはありませんか。

  • 発達障害で障害年金は難しいと聞いたが、自分はもらえるのか
  • 発達障害で実際に受給した例を知りたい
  • 発達障害でもらえる金額や認定基準を確認したい

この記事では、発達障害で障害年金を受給できるケース、実際の受給事例、金額、認定基準、働きながら申請する場合の注意点を解説します。

発達障害で障害年金は難しいのか

発達障害で障害年金を申請するために大切なこと

発達障害でも、日常生活や仕事に大きな支障がある場合は、障害年金を受給できる可能性があります。

発達障害は近年認知が進んだため相談も多くありますが、「受給するのは難しいのではないか」という声も多く寄せられています。

発達障害は、症状や困難の現れ方に個人差があり、周囲から障害の状態が分かりにくい場合があります。

また、仕事をしていたり、日常生活の一部を自分で行えていたりしても、実際には家族や職場の援助によって生活が成り立っている方もいらっしゃいます。

そのため、発達障害の障害年金では、病名だけではなく、日常生活や就労にどの程度の支障があるかが重要になります。

発達障害で障害年金を受給できるケース

社会性やコミュニケーション能力などの障害によって、日常生活や仕事に継続的な支障がある場合は、障害年金の対象となる可能性があります。

たとえば、次のような状態です。

  • 対人関係やコミュニケーションが難しく、日常生活や仕事に大きな支障がある
  • 予定の変更や臨機応変な対応が難しく、仕事を継続できない
  • 仕事上のミスや対人関係のトラブルが繰り返され、就職と退職を繰り返している
  • 家事、金銭管理、買い物、通院などで家族の援助が必要である
  • 障害者雇用や就労支援を利用し、職場で継続的な援助や配慮を受けている

ただし、これらの状況に当てはまるだけで受給が決まるわけではありません。

実際の障害状態が認定基準に該当するかどうか、診断書や病歴・就労状況等申立書などに基づいて判断されます。

発達障害で障害年金が難しいケース

特別な配慮を受けずに安定して勤務でき、日常生活への支障も小さい場合は、障害年金の認定が難しくなることがあります。

たとえば、次のような場合は注意が必要です。

  • 特別な援助や配慮を受けずに、仕事を安定して継続できている
  • 日常生活をおおむね自立して行えている
  • 診断書に記載された生活状況と実際の障害状態が一致していない
  • 初診日の証明や保険料納付要件の確認ができない

ただし、仕事をしていることだけで障害年金の対象外になるわけではありません。

職場でどのような援助や配慮を受けているのか、仕事内容や勤務時間、家庭での生活状況なども確認する必要があります。

労働と日常生活のバランス

発達障害では、「どこまで、どのように働くことができるのか」という点が重要です。

仕事をしているという理由で、受給が難しくなったり、不支給や支給停止につながったりする場合があります。

ただし、就労していることだけをもって、直ちに日常生活能力が向上したとは判断されません。

就労系障害福祉サービスや障害者雇用など、保護的な環境下での単純・反復的な業務である場合は、就労の実態を具体的に伝えることが大切です。

診断書と申立書の整合性が重要です

発達障害の障害年金では、実際の障害状態が診断書や申立書に正確に反映されていることが大切です。

特に、次の2点を確認します。

  1. 実際の日常生活・就労状況と医師の診断書との整合性
  2. 診断書と病歴・就労状況等申立書との整合性

発達障害では、幼少期からの特性や学校生活、就職後の経過なども重要になることがあります。

現在の状態だけでなく、これまでどのような困難があり、どのような援助を必要としてきたのかを整理することが大切です。

このあと、実際の受給例、金額、認定基準について順に解説します。

発達障害の障害年金受給例

発達障害で障害年金を受給した事例

実際に発達障害でご相談いただき、受給につながった事例を紹介します。

初診日が厚生年金加入中だった方、遡及請求が認められた方、20歳前傷病による障害基礎年金1級に認定された方など、申請の経過はさまざまです。

広汎性発達障害・注意欠陥多動性障害で障害厚生年金2級に認定された事例

仕事上のトラブルや転職を繰り返していた方が、障害厚生年金2級・年額約160万円に認定された事例です。

認定 障害厚生年金2級 事後重症請求
相談者 50代男性 千葉県松戸市
傷病 広汎性発達障害・注意欠陥多動性障害
金額 年額約160万円(認定当時)

20年ほど前、会社の異動により業務内容が変更になりました。

複雑で臨機応変な対応が必要となりましたが、新しい業務を覚えられず、対人関係やコミュニケーションにも問題が生じました。

その後、医療機関を受診し、パニック障害・うつ病と診断されました。

退職後も、再就職してはトラブルやミスが多く、短期間で就職と解雇を繰り返していました。

その後、広汎性発達障害と診断されました。

初診日が厚生年金加入中でしたので、障害厚生年金を請求しました。

病歴・就労状況等申立書は、出生時から記載したため3枚に及びました。

請求から72日で、障害厚生年金2級に認定されました。

アスペルガー症候群で障害厚生年金2級・4年遡及請求が認められた事例

成人後に受診した方が障害厚生年金2級に認定され、4年分・約480万円の遡及請求も認められた事例です。

認定 障害厚生年金2級 遡及請求4年
相談者 30代男性 埼玉県和光市在住
傷病 アスペルガー症候群
金額 年額約120万円 遡及金額約480万円

子どもの頃から、同一性保持の傾向や対人関係の苦手さがありました。

特に受診することはなく、4年制大学を卒業し就職しました。

社会人になってからうつ病の症状が出始め、受診し、アスペルガー症候群と診断されました。

当初はご本人が年金事務所で手続きを進めていましたが、難しいとのことでご相談を受けました。

障害厚生年金の遡及請求を行い、障害認定日と現在の両方で障害厚生年金2級に認定されました。

発達障害の場合、初診が大人になってからでも、幼少期からの病歴の申立書を求められることがあります。

自閉症・アスペルガー症候群で障害基礎年金1級に認定された事例

日常生活に常時援助が必要な状態にあり、障害基礎年金1級と1年分の遡及請求が認められた事例です。

認定 障害基礎年金1級 遡及請求1年
相談者 20代女性 東京都目黒区
傷病 自閉症・アスペルガー症候群
金額 年額約100万円 遡及金額約100万円

お母さまからのご依頼でした。

ご相談時、21歳の誕生日まであと2か月弱という時期でした。

20歳の誕生日前日が障害認定日になります。

しかし、1年を過ぎると診断書が2枚必要になるため、大急ぎで準備しました。

外出は一人では困難で、1人での留守番も2時間が限度とのことでした。

生後まもなくから触れられることを嫌がり、多動傾向で目が離せない状況が続いていました。

障害基礎年金1級に認められ、申請から決定までは41日でした。

※上記は、20歳前傷病で20歳到達日が障害認定日となる事例です。診断書の必要枚数や対象期間は、請求時期や個別事情によって異なります。

発達障害で障害年金の金額はいくら?

発達障害の障害年金でもらえる金額の目安

発達障害でもらえる障害年金の金額は、初診日に加入していた年金制度、障害等級、家族構成などによって異なります。

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があります。

  • 障害基礎年金:1級・2級
  • 障害厚生年金:1級・2級・3級

初診日が国民年金加入中や20歳前の年金未加入期間などにある場合は、障害基礎年金の対象になります。

初診日が厚生年金加入中にある場合は、障害厚生年金の対象となり、1級・2級では原則として障害基礎年金もあわせて受給します。

発達障害は通常低年齢で発症する疾患ですが、知的障害を伴わず、20歳以降に初めて受診した場合は、その受診日を初診日として扱うことがあります。

そのため、発達障害であっても、障害厚生年金の対象になる場合があります。

発達障害の障害基礎年金額

障害基礎年金は、1級・2級ごとに基本となる年額が決まっています。

令和8年度(2026年4月分~2027年3月分)の金額は、次のとおりです。

等級 年額 月額換算
1級 1,059,125円 約88,260円
2級 847,300円 約70,608円

※昭和31年4月2日以後生まれの方の金額です。昭和31年4月1日以前生まれの方は金額が異なります。子の加算は含みません。

※月額換算は年額を12で割った参考額です。年金は原則として偶数月に2か月分ずつ支給されます。

障害基礎年金の子の加算

障害基礎年金1級・2級の受給者に、生計を維持している対象年齢の子がいる場合は、子の加算がつくことがあります。

対象となるのは、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子です。

子の人数 令和8年度の加算年額
1人目・2人目 1人につき243,800円
3人目以降 1人につき81,300円

障害基礎年金の子の加算についての説明

発達障害の障害厚生年金額

障害厚生年金は、過去の標準報酬や厚生年金の加入期間などをもとに計算します。

そのため、障害基礎年金と異なり、金額は一律ではありません。

障害厚生年金 基本となる金額
1級 報酬比例額×1.25
2級 報酬比例額
3級 報酬比例額(最低保障あり)

障害厚生年金1級・2級では、上記の障害厚生年金部分に、原則として同じ等級の障害基礎年金が加わります。

3級には障害基礎年金がつきませんが、最低保障があります。

令和8年度の障害厚生年金3級の最低保障額は、年635,500円です。

※昭和31年4月2日以後生まれの方の場合。昭和31年4月1日以前生まれの方は年633,700円です。

これは最低保障額であり、すべての方の年金額が635,500円になるわけではありません。

報酬比例部分に300月みなしあり

厚生年金の被保険者期間が300月未満の場合は、原則として300月とみなして計算する仕組みがあります。

ただし、300月分の保険料を実際に納付したことになるわけではありません。

また、障害認定日の属する月より後の被保険者期間は、原則として障害厚生年金の計算の基礎には入りません。

障害厚生年金の配偶者加給年金

障害厚生年金1級・2級では、一定の要件を満たす65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金がつくことがあります。

配偶者の性別は問いません。夫が対象になる場合もあります。

ただし、配偶者自身が一定の老齢厚生年金や障害年金の受給権を持つ場合などは、加給年金が支給停止となることがあります。

令和8年度の配偶者加給年金額は、年243,800円です。

障害厚生年金の配偶者加給年金についての説明

年金生活者支援給付金

障害年金生活者支援給付金は、障害基礎年金を受給している方のうち、前年所得などの要件を満たす方に支給される給付金です。

令和8年度の月額は、次のとおりです。

等級 給付金月額
1級 7,025円
2級 5,620円

障害基礎年金1級・2級の方すべてに自動的に支給されるものではありません。障害厚生年金3級のみを受給している方は対象外です。

発達障害の時効と遡及請求

障害認定日当時に障害年金の要件を満たしていた場合は、過去にさかのぼって請求できることがあります。

ただし、遡って受け取れる年金は原則として時効により5年分が限度です。

障害認定日当時の障害状態を確認できる診断書などが必要となり、必ず過去5年分を受け取れるわけではありません。

先ほどのアスペルガー症候群の受給事例では、障害厚生年金2級について4年間の遡及請求が認められ、約480万円を受給されました。

詳しくは、障害年金の遡及請求をご覧ください。

発達障害で受け取れる年金額の目安|6つのモデルケース

同じ発達障害でも、初診日に加入していた年金制度や障害等級、過去の標準報酬によって受給額は異なります。

実際にどのくらいの障害年金を受け取れるのか、6つのモデルケースで比較してみましょう。

以下は令和8年度の障害基礎年金額と、障害厚生年金の報酬比例部分を組み合わせた簡易試算です。

会社員のモデルは、過去の平均標準報酬額(賞与を含む月額換算)を年収300万円・500万円相当と仮定しています。

比較しやすくするため、報酬比例部分は平成15年4月以降の計算式を用い、300月みなしを適用したモデルです。

※再評価率、平成15年3月以前の加入期間などは反映していません。実際の年金額とは異なる簡易的な計算例です。

ケース 年収モデル 等級 年金の種類 概算年額・月額換算
① 自営業など ― 2級 障害基礎年金 847,300円/年
約70,608円/月
② 自営業など ― 1級 障害基礎年金 1,059,125円/年
約88,260円/月
③ 会社員 300万円相当 3級 障害厚生年金 635,500円/年
約52,958円/月
④ 会社員 300万円相当 2級 障害基礎年金+障害厚生年金 約126万円/年
約10.5万円/月
⑤ 会社員 500万円相当 2級 障害基礎年金+障害厚生年金 約153万円/年
約12.8万円/月
⑥ 会社員 500万円相当 1級 障害基礎年金+障害厚生年金 約192万円/年
約16.0万円/月

モデルケースを見るときの注意点

  • ①②③の金額は令和8年度の公表額・最低保障額を用いています。
  • ④⑤⑥は一定の前提を置いた簡易試算で、実際の年金見込額ではありません。
  • 年収モデルは現在の年収ではなく、過去の標準報酬を賞与込みで月額換算した仮定です。
  • 厚生年金の加入時期、加入期間、標準報酬、再評価率などによって実際の金額は異なります。
  • 配偶者加給年金、子の加算、年金生活者支援給付金は含めていません。
  • 昭和31年4月1日以前生まれの方は、基礎年金額や最低保障額が異なります。

このように、発達障害で同じ2級に認定された場合でも、初診日に加入していた年金制度や過去の給与・賞与などによって受給額は変わります。

年金額について詳しく知りたい方は、障害年金はいくらもらえる?【2026年度】1級・2級・3級の金額目安と早見表をご覧ください。

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発達障害で障害年金を受け取る条件(受給資格)

発達障害で障害年金を受け取るには、主に初診日、保険料納付要件、障害の状態の3つを確認します。

  1. 初診日
  2. 保険料納付要件
  3. 障害の状態・認定基準

発達障害では、特に初診日の考え方が重要です。

発達障害の初診日はいつになるのか

発達障害は通常低年齢で症状が現れる疾患ですが、初診日が必ず出生時になるわけではありません。

知的障害を伴わない発達障害では、発達障害の症状により初めて医師の診療を受けた日が初診日となります。

そのため、成人してから初めて受診した場合には、その受診日が初診日として認められることがあります。

たとえば、子どもの頃から対人関係などに困難があっても、医療機関を受診せずに就職し、成人後に初めて精神科を受診した方などです。

ただし、現在の発達障害と、過去に別の診断名で受診した傷病との関係も確認する必要があります。

一方、生まれながらの知的障害を伴う場合は、初診日の取扱いが異なることがあります。

詳しくは、障害年金の初診日についてをご覧ください。

発達障害の保険料納付要件

障害年金を受給するには、原則として初診日の前日時点で、一定の保険料納付要件を満たしている必要があります。

ただし、初診日が20歳前の年金未加入期間にある場合などは、保険料納付要件を問われないことがあります。

20歳前傷病による障害基礎年金には、本人の前年所得による支給制限があります。

詳しくは、障害年金の保険料納付要件をご覧ください。

発達障害の障害認定日

障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。

初診日が20歳前の年金未加入期間にあり、初診日から1年6か月を経過した日が20歳前になる場合は、20歳に達した日が障害認定日となります。

障害認定日に認定基準に該当していれば、障害認定日による請求を検討します。

その時点では認定基準に該当していなくても、その後症状や障害の状態が重くなった場合には、事後重症請求を検討できることがあります。

病歴・就労状況等申立書の注意点

発達障害では、幼少期からの特性や、学校生活、就労に至るまでの経過を確認することが重要です。

たとえば、次のような内容を整理します。

  • 幼少期の発達や行動の特徴
  • 小学校・中学校・高校での集団生活や対人関係
  • 進学や就職後に困難になったこと
  • 仕事上のミス、対人関係の問題、転職や退職の経緯
  • 日常生活で家族などから受けている援助
  • 現在の通院状況や就労状況

先ほどの松戸市の受給事例でも、出生時からの経過を整理した結果、病歴・就労状況等申立書は3枚に及びました。

発達障害では、初診日が成人後であっても、幼少期からの病歴について説明を求められることがあります。

発達障害の障害年金の受給資格

精神疾患の障害年金認定基準

発達障害は、障害年金の認定上、「精神の障害」の認定基準によって判断されます。

精神の障害では、症状の程度、日常生活への支障、治療経過、就労状況などを総合的に確認します。

発達障害では、特に社会性、コミュニケーション能力、対人関係、日常生活への適応、就労状況などが重要です。

精神疾患の障害年金認定基準

発達障害の障害年金認定要領

発達障害の障害年金の認定基準

発達障害では、知能指数が高くても、社会性やコミュニケーション能力の障害によって日常生活に大きな制限がある場合は、障害年金の認定対象となります。

代表的な発達障害には、次のようなものがあります。

  • 自閉スペクトラム症(ASD)
  • 注意欠如・多動症(ADHD)
  • 限局性学習症(SLD・学習障害)

以前は、広汎性発達障害、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害などの診断名も広く使われていました。

本記事の受給事例では、認定当時の診断名をそのまま使用しています。

障害年金の認定基準では、発達障害について次のような障害状態が例示されています。

等級 発達障害の状態
1級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
2級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
3級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの

※上記は障害認定基準に示された障害状態の例示です。実際の等級は、日常生活や就労の状況などを総合的に判断します。

※3級は障害厚生年金の等級です。障害基礎年金には3級はありません。

知能指数が高くても障害年金の対象になるのか

発達障害では、知能指数が高くても、社会性やコミュニケーション能力などの障害により、日常生活に著しい制限を受けることがあります。

たとえば、学業成績が良く大学を卒業していても、就職後の対人関係や仕事の進め方で大きな困難を抱える場合があります。

実際に、先ほどのアスペルガー症候群の事例では、4年制大学を卒業して就職されていましたが、障害厚生年金2級と4年間の遡及請求が認められました。

大切なのは、学歴や知能指数だけではなく、日常生活や社会生活にどの程度の支障があるのかということです。

うつ病などの精神疾患を併発している場合

発達障害の方が、うつ病など別の精神疾患を併発している場合があります。

障害年金の認定基準では、発達障害とほかの認定対象となる精神疾患が併存している場合、原則として障害を単純に足し合わせて等級を決めるのではなく、諸症状を総合的に判断します。

また、初診日の考え方については、受診歴や診断名の経過を確認する必要があります。

精神の障害に係る等級判定ガイドライン

発達障害の障害年金では、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」も踏まえて、日常生活能力などが確認されます。

発達障害など、精神の障害の審査では、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が運用されています。

このガイドラインは、精神の障害に関する等級判定の地域差を減らし、認定事務の統一を図るために設けられたものです。

診断書に記載された「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」を組み合わせ、障害等級の目安を確認します。

ただし、この目安だけで機械的に等級が決まるわけではありません。

実際の生活状況や就労状況、受けている援助の内容なども含めて総合的に判断されます。

詳しくは、精神の障害に係る等級判定ガイドライン~精神疾患の審査は厳しいのかをご覧ください。

発達障害の障害年金における日常生活能力と等級判定ガイドライン

働きながらの受給は難しいのか

発達障害で働いている場合でも、仕事をしているという理由だけで障害年金の対象外になるわけではありません。

ただし、通常の仕事を特別な配慮なく安定して継続できる場合は、障害の程度が軽いと判断されることがあります。

一方、就労支援施設や障害者雇用などで援助や配慮を受けながら働いている場合は、就労の実態を丁寧に確認する必要があります。

発達障害では、特に次のような点が重要です。

  • 勤務時間や勤務日数
  • 仕事の種類や仕事内容
  • 業務を覚えるために必要な援助
  • 職場で受けている配慮や支援
  • ほかの従業員との意思疎通
  • 対人関係のトラブルや仕事上のミス
  • 欠勤、休職、転職、退職の状況
  • 仕事をした後の日常生活への影響

先ほどの千葉県松戸市の受給事例では、仕事内容の変更に対応できず、その後も就職と解雇を繰り返していました。

このような場合、単に働いていたという事実だけでなく、どのような困難があり、なぜ仕事を続けられなかったのかを整理することが大切です。

「働いているかどうか」だけでなく、「どのような配慮や支援のもとで働いているか」を具体的に伝えることが重要です。

よくあるご質問

発達障害でも障害年金はもらえますか?

発達障害でも、日常生活や就労に支障があり、認定基準に該当する場合は、障害年金を受給できる可能性があります。

発達障害の初診日はいつになりますか?

発達障害は通常低年齢で症状が現れますが、知的障害を伴わず、成人後に発達障害の症状で初めて受診した場合は、その受診日を初診日として扱うことがあります。過去に別の診断名で受診していた場合は、受診歴との関係を確認する必要があります。

発達障害で障害厚生年金を受けられることはありますか?

あります。初診日が厚生年金加入中にあると判断され、認定基準に該当する場合は、障害厚生年金の対象になる可能性があります。

働いていると発達障害の障害年金は難しいですか?

働いていることだけで直ちに不支給になるわけではありません。ただし、仕事内容、職場での配慮、援助の内容、対人関係、勤務継続の状況などが確認されます。

発達障害で障害年金2級になることはありますか?

発達障害でも、社会性やコミュニケーション能力などの障害によって日常生活への適応に援助が必要な状態であれば、2級に認定される可能性があります。実際の生活状況や援助の必要性などを総合的に確認します。

発達障害で遡及請求はできますか?

障害認定日当時の障害状態が認定基準に該当しており、その状態を確認できる診断書などがある場合は、遡及請求を検討できます。過去に受け取れる年金は、原則として時効により5年分が限度です。

執筆者紹介:障害年金専門社労士 但田美奈子

はじめまして。

当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。

経験15年以上・累計相談件数4,250件(令和8年8月末現在)・受給率97.8%。
発達障害をはじめ、さまざまな傷病のご相談に対応してまいりました。

発達障害の障害年金では、病名や症状の程度だけでなく、日常生活や仕事への支障、診断書や病歴・就労状況等申立書の内容を確認することが大切です。

特に、成人後に初めて受診した方や、働きながら申請される方の場合は、初診日やこれまでの就労状況を丁寧に整理する必要があります。

これまでの経験を活かし、お一人おひとりの状況を大切にしながら、障害年金の受給につながるよう丁寧にサポートしてまいります。

発達障害で障害年金を検討中の方へ

発達障害の障害年金では、初診日、保険料納付要件、日常生活や就労への支障、診断書などを総合的に確認する必要があります。

特に、働いている場合、障害者雇用や就労支援を利用している場合、対人関係やコミュニケーションの困難がある場合などは、実際の生活や就労の状況を整理することが大切です。

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「自分が受給できるか分からない」という段階でも、現在の症状や通院の経過、日常生活や仕事の状況などをお聞かせください。

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参考資料

発達障害の認定基準、初診日の取扱い、年金額については、以下の公的資料をご参照ください。

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