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脳梗塞の障害年金を受給できる条件

脳梗塞の障害年金を受給できる条件

脳梗塞で障害年金を申請するために、絶対にはずせない3つの要件があります。

  1. 初診日~いつお医者さんに行ったか
  2. 保険料納付要件~保険料は納めていたか
  3. 認定基準

初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日に後で述べる「脳梗塞の認定基準に該当」すれば、障害年金の受給ができます。

脳梗塞はこれから述べる障害認定日の特例があります。

脳梗塞は障害認定日の特例あり

脳梗塞で障害年金を申請するために大切なこと

障害認定日は初診日から1年6か月経過した日となりますが、脳梗塞の場合特例として以下の扱いが認められます。

1.脳梗塞は初診日から6か月経過後

2.医学的見地からそれ以上の機能回復がほとんど望めないと医師が判断した日

これを症状固定日といい、障害認定日として取り扱うことができます。

これにより、※遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)などは、1年半を待たずに申請が可能な場合もあります。

※遷延性意識障害とは、高度の意識障害が起こり、意識があることを確認できない状態が継続する症状です。
一般的に「植物状態」とも呼ばれます。

ただし、肢体の状態が代償機能やリハビリテーションにより好転する可能性があるため、療養及び症状の経過を十分に考慮する必要があります。

但田社労士より

脳疾患は突然何の前触れもなくやってくるため、ご本人はもとよりご家族も大変な状況に置かれます。

障害年金を受給することで、少しでも経済的な負担を軽減することが可能です。

    後遺症も障害年金対象

    脳梗塞で以下のような障害が残った場合、申請できる可能性があります。

    解説

    具体的にどうすれば、脳梗塞で障害年金を受給できるのでしょうか?
    以下の順でお話します。

    1. もらえる金額
    2. 受給事例
    3. 認定基準

    脳梗塞で受け取れる障害年金の金額(制度別)

    脳梗塞で障害年金 金額はいくらもらえる

    脳梗塞で障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?

    実際、受給が決まっても「いくらもらえるのか」がご心配だと思います。

    そこで、脳梗塞で受給できる等級ごとの金額や、加算される手当を解説していきます。

    障害年金には、「基礎」と「厚生」の2つがあります。

    1. 基礎::1級と2級
    2. 厚生::1級、2級、3級

    このように、基礎と厚生が組み合わさって、2階建ての仕組み(3級は厚生年金のみ)になっています。

    もらえる金額もこれに伴って説明していきます。

    障害年金の額

    脳梗塞の障害基礎年金額と子の加算

    脳梗塞で、障害基礎年金の1級又は2級に認定されたときの金額を解説していきます。

    障害等級 金額
    1級 1,039,625円/年
    +子の加算
    2級 831,700円/年
    +子の加算

    受給権を得た後、翌月分から支給されます。

    1年の金額を6等分して、偶数月に受け取ることになります。

    初回は臨時で奇数もありえますが、以後必ず偶数月に2か月分まとめて受け取る形になります。

    ※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。

    子の加算

    18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。

    社労士より

    一般的には高校卒業までということです

    子の人数 金額
    1人目/2人目 1人につき 239,300円/年
    3人目以降 1人につき 79,800円/年

    脳梗塞 の障害厚生年金額と配偶者加給年金

    脳梗塞で、障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、障害基礎年金に加えて厚生年金が加算されます。

    3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。

    障害厚生年金の金額は、給与や勤めていた期間(年齢)に比例するため、人によりまったく違います。

    例えば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に1.5倍の差が生じます。

    障害厚生年金 金額
    1級 報酬比例額加算×1.25
    + 配偶者加給年金
    2級 報酬比例額加算×1.0
    + 配偶者加給年金
    3級 623,800円/年 金額は一律

    報酬比例部分に300月みなしあり

    報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。

    例えば、会社に入社後、それほどたたずして脳梗塞になり障害年金の受給を開始した場合など。

    最低25年は年金を納付したものとして、ある程度の額の厚生年金が受給できるようになっています。

    また、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金の計算の基礎とはされません。

    但田社労士より解説

    年金制度自体は批判も多いのですが、なかなか手厚くなっています。

    計算の基礎となるのは、障害認定日までに納付したものまでです。

    配偶者加給年金

    脳梗塞で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。

    よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、どうなるでしょうか。

    その場合、配偶者である夫についても加給年金が支給されます。

    ※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。

    障害等級 金額
    1級・2級
    (3級はなし)
    239,300円/年

    年金生活者支援給付金

    脳梗塞の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。

    年金生活者支援給付金は基礎も厚生も変わらず2級以上であれば支給されます。

    金額は毎年変動します。

    等級 金額
    1級 6,813円/月
    2級 5,450円/月

    脳梗塞の時効と遡及請求

    残念ながら脳梗塞での請求には時効があります。

    申請しなければ、過去のものは最大5年間で消滅してしまいます。

    もし遡って請求できる場合、最大で5年間遡って受け取れます。

    これを遡及請求といいます。

    脳梗塞の障害年金額めやす

    生涯を通じた給与とボーナスの平均(例:生涯をならした平均給与500万円)を基にした、おおよその受給額です。

    あくまで目安としてご参考ください(令和7年度水準)。

    ケース 年収モデル 等級 年金の種類 受給額 備考
    ① 自営業・主婦など(国民年金のみ) 2級 障害基礎年金 831,700円/年(69,308円/月) 定額、収入に関係なし
    ② 自営業・主婦など 1級 障害基礎年金 1,039,625円/年(86,635円/月) 2級の1.25倍
    ③ 会社員・平均年収300万円 300万円 3級 障害厚生年金 623,800円/年(51,983円/月) 最低保障額(年収に関係なく)
    ④ 会社員・平均年収300万円 300万円 2級 障害基礎年金+障害厚生年金 約1,440,000〜1,560,000円/年(120,000〜130,000円/月) 基礎年金+報酬比例約5〜6万円
    ⑤ 会社員・平均年収500万円 500万円 2級 障害基礎年金+障害厚生年金 約1,920,000〜2,040,000円/年(160,000〜170,000円/月) 基礎年金+報酬比例約10万円
    ⑥ 会社員・平均年収500万円 500万円 1級 障害基礎年金+障害厚生年金 約2,400,000〜2,520,000円/年(200,000〜210,000円/月) 2級の1.25倍

    以上、脳梗塞でもらえる金額の詳細は障害年金のもらえる金額はいくらなのか?に概要をまとめました。

    脳梗塞の障害年金受給例

    脳疾患で障害年金の受給例を解説する社労士の説明バナー

    実際に脳梗塞で受給した例です。

    いろいろなケースがございますが、どのような症状で受給できたのか参考ください。

    障害基礎年金1級(遡及請求3年)~300万円

    認定 障害基礎年金1級 遡及請求3年
    相談者 女性 東京都品川区
    傷病 脳梗塞
    金額 約100万円 遡及金額300万円

    遡及請求

    当初ご自宅で右半身に違和感を感じ、それに伴ってだんだん意識が遠のく中、なんとか遠方に住むご家族に電話で助けを求め救急搬送。

    脳梗塞は、自分では何もできなくなる(意識が遠のいてしまったり、麻痺したり)場合も多いので、ここは大変幸運でした。

    搬送後、脳梗塞と診断され治療開始。

    治療後、右半身の麻痺・感覚低下・軽い失語症が残りました。

    主な後遺症は以下のようなものになります。

    1. 歩行時は右下肢補装具と杖が必要。
    2. 移動は殆どタクシー。
    3. 自宅では壁や家具で伝い歩き。

    また右手が使えない為、日常生活の殆どの動作が非常に不自由な状態。

    お話をお伺いしたところ、麻痺・感覚低下などが顕著でした

    初診から半年程経過時を症状固定として、障害認定日と現在2枚の診断書を提出し脳梗塞の年金を遡及請求。

    脳梗塞は、1年6か月経つ前の例外として症状固定している場合請求できます。

    請求から65日で脳梗塞の基礎年金1級(遡及3年)に認定。

    更新が5年になったことが大きいです(更新の最長期間)。その分精神的な負担はなくなります。

    安心して療養していただけることになって本当によかったです。

    社労士

    今回、更新5年というのがとても嬉しかったです。ゆっくりして頂けますので。

    (うつ症状有)障害厚生年金2級~130万円

    認定 障害厚生年金2級 障害認定日請求
    相談者 男性 神奈川県横浜市
    傷病 脳梗塞
    金額 約130万円

    障害認定日による請求

    うつ病で休職されている間に脳梗塞を発症され、右半身に麻痺を負われました。

    発症・初診日は1年7カ月程前。

    脳梗塞で障害年金が受給できるかどうかご不安をお持ちのようでしたが、十分認定基準に該当する状況。

    障害認定日から1年を経過しておりませんでしたので、認定日時点の診断書を提出し脳梗塞で障害厚生年金2級認定。

    今回、肢体の診断書です。

    うつ病での休職で健康保険の傷病手当金を受給されておりました。

    支給開始後1年6カ月をとっくに超えていた為、現在は受給されておりませんでした。

    今回傷病が違うので、脳梗塞で傷病手当金を申請できることもお伝え。

    傷病手当金は時効が2年ですので、ご相談に来ていただくのが何カ月か遅かったら時効にかかってしまう分が出たかもしれません。

    発症から1年6か月まで=傷病手当金→1年7カ月目から=障害年金と重なる部分も切れ間もなく、無駄のない結果になりました。

    社労士より

    今回は損をすることもなく、本当よかったと思います。

    年金の相談

    (症状固定)障害基礎年金2級~80万円

    認定 障害基礎年金2級 障害認定日請求
    相談者 女性 東京都東久留米市
    傷病 脳梗塞
    金額 約80万円受給

    平成24年8月に発病され、左上肢が動かない状態に。

    その後平成25年3月で症状固定=認定日として、脳梗塞の基礎年金の請求。

    無事、症状固定が認められ受給決定。

    脳梗塞の年金証書が届いたとのこと!

    脳梗塞は障害認定日の特例があります。

    初診日から1年6か月先ではなく、脳梗塞で症状固定した日(初診から6カ月以上経過)が特例の障害認定日となります。

    申請時に気をつけないと通常の認定日での審査となります。

    社労士より

    なんとおおよそ1年分の年金が消えてしまうということもあります。

    認定基準

    脳梗塞で障害年金 認定基準とは

    ※以下、日本年金機構、脳梗塞の 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第4 肢体の機能の障害をもとに加筆修正。

    続いて、脳梗塞の障害年金認定基準です。

    大切なことは、脳梗塞の障害年金認定基準に該当するかどうかを十分に理解することです。

    脳梗塞の後遺症として「体の麻痺」などが多く見られ、「肢体の障害」として障害年金を請求することがよくあります。

    ただし、後遺症として眼の障害があったり、高次脳機能障害が生じるケースもございます。

    このように、「脳疾患の障害年金認定基準」は「肢体の障害」が多くなるため、以下に肢体障害の認定基準を掲載します。

    手足など身体の状態や機能が労働や日常生活において、著しい制限や不便(不能)がある場合に、認定基準に従って整合性を取り主張します。

    脳梗塞(肢体の機能の障害)の障害の程度は、身体機能を総合的に認定します。

    障害年金を受給できる条件を得るためには、脳疾患の障害年金認定基準に該当するかどうかを十分に理解することが重要です。

    脳梗塞をはじめとする脳疾患で年金の対象となる病名には、以下のようなものが含まれます。

    脳梗塞の認定において重要なのは、

    1. 関節可動域
    2. 筋力
    3. 日常生活動作

    の身体機能3つです。

    また、ときどきご相談をいただくのですが、視力に問題がなくても視野が認定基準に該当していれば、脳梗塞の障害年金の受給が可能な場合があります。

    社労士

    具体的には以下のようになります。

    1級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態。

    かつ、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

    2級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態。

    かつ、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

    3級 身体の機能に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの

    脳梗塞の認定要領

    年金通帳と電卓

    (1)肢体疾患が上肢及び下肢などの広範囲にわたる場合。

    ※脳出血、脊髄損傷等の脊髄の器質障害、進行性筋ジストロフィー等。

    本節「上肢」「下肢」「体幹・脊柱の機能」に示したそれぞれの認定基準と認定要領によらないで「肢体の機能障害」として認定する。

    (2) 脳梗塞(肢体の機能の障害)の程度の認定は以下から総合的に判断します。

    1. 関節可動域
    2. 筋力
    3. 巧緻性
    4. 速さ
    5. 耐久性を考慮し
    6. 日常生活における動作の状態

    なお、他動可動域による評価が適切ではないもの。

    例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているものなどについて。

    筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定します。

    〇脳の気質障害

    神経と精神疾患を区別して考えることは、その多岐にわたる臨床症状から不能。

    原則としてそれらの諸症状を総合し全体像から総合的に判断して認定する。

    〇高次脳機能障害

    脳損傷に起因する認知障害全般。日常生活又は社会生活に制約があるものが認定の対象となります。

    主な症状として、失語、失行、失認のほか記憶、注意、遂行機能、社会的行動障害等。

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    令和7年4月分からの年金額等について

    肢体の機能の障害については、次のとおりである。

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    この記事を書いている人

    社会保険労務士 但田美奈子

    社会保険労務士 但田美奈子

    障害年金専門である東京の社労士。 障害年金申請サポートの経験15年以上、相談累計3,945件(令和7年9月末現在)、受給率は97.8%です。 東京の事務所で、年約300件のご相談に対応しています。 ご相談はこちら(無料相談)から。

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