「拡張型心筋症で障害年金を申請したいが、もらえる金額はいくら?」
「拡張型心筋症による障害年金の受給例や、認定基準について知りたい。」
このような疑問に、わかりやすくお答えします。
はじめまして。障害年金の専門社労士、但田美奈子(ただみなこ)と申します。
東京日本橋にて、13年以上にわたり累計約3,600件の「拡張型心筋症など障害年金の無料相談から申請サポート」に携わってまいりました。
拡張型心筋症で障害年金の申請を忘れていませんか?
拡張型心筋症の障害年金で大切なこと
拡張型心筋症で障害年金を受給するために大切なのは「検査所見」「自覚症状」「他覚所見」をしっかり理解することです。
以下がおおむねの認定される級となります。
- 心臓移植や人工心臓を装着 障害等級1級
- CRT(心臓再同期医療機器)を装着 2級
- CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器)を装着 2級
- 心臓ペースメーカーを装着 3級
具体的に、どうすれば心筋症(拡張型・肥大型・拘束型)で障害年金を受給できるのでしょうか?
以下の順でお話します。
- もらえる金額
- 受給事例
- 受給資格
- 認定基準
拡張型心筋症で障害年金の金額はいくら
拡張型心筋症で障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?
実際、受給が決まっても「いくらもらえるのか」がご心配だと思います。
そこで、拡張型心筋症で受給できる等級ごとの金額や、加算される手当を解説していきます。
- 基礎::1級と2級
- 厚生::1級、2級、3級
このように、基礎と厚生が組み合わさって、2階建ての仕組み(3級は厚生年金のみ)になっています。
もらえる金額もこれに伴って説明していきます。
拡張型心筋症の障害基礎年金額
拡張型心筋症で障害基礎年金の、1級又は2級に認定されたときの金額を解説していきます。
もし遡及請求できる場合、最大で5年間遡って受け取れます。
障害等級 | 金額 |
障害厚生年金
1級 |
1,020,000円/年
+子の加算 |
障害基礎年金
2級 |
816,000円/年
+子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
この金額を6等分して偶数月に受け取ることになります。
初回は臨時で奇数もありえますが、以後必ず偶数月に2か月分まとめて受け取る形になります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。
子の加算
18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。
一般的には高校卒業までということです
子の人数 | 金額 |
1人目
2人目 |
1人につき 234,800円 |
3人目以降 | 1人につき 78,300円 |
拡張型心筋症の障害厚生年金額
拡張型心筋症で障害厚生年金1級、又は2級に認定された場合、障害基礎年金に加えて厚生年金が加算されます。
3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。
障害厚生年金の金額は、給与や勤めていた期間(年齢)に比例するため、人によりまったく違います。
例えば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に1.5倍の差が生じます。
障害厚生年金
1級 |
報酬比例額加算×1.25
+配偶者加給年金 |
障害厚生年金
2級 |
報酬比例額加算×1.0
+配偶者加給年金 |
障害厚生年金
3級 |
612,000円/年
金額は一律 |
配偶者加給年金
拡張型心筋症で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、どうなるでしょうか。
その場合、配偶者である夫についても加給年金が支給されます。
※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。
障害等級 | 金額 |
1級・2級
(3級はなし) |
234,800円 |
年金生活者支援給付金
拡張型心筋症の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
年金生活者支援給付金は基礎も厚生も変わらず2級以上であれば支給されます。
金額は毎年変動します。
1級 | 月6,638円 |
2級 | 月5,310円 |
以上、拡張型心筋症でもらえる金額には年収などにより、いろいろと例外もあります。
障害年金のもらえる金額はいくらなのか?に概要をまとめました。
拡張型心筋症の障害年金受給例
心筋症で実際に受給した例は参考になると思います。
いろいろなケースがございますので、ご参考ください。
特発性拡張型心筋症で障害厚生年金1級(5年遡及請求)
認定 | 障害厚生年金1級(遡及請求部分は3級) |
相談者 | 30代男性 東京都三鷹市 |
傷病 | 特発性拡張型心筋症 |
金額 | 約160万円 遡及金額415万円 |
ご紹介者からのご相談、ご依頼でした。
15年程前、会社に入社後の健康診断で心電図の異常を指摘。
その後、病院を受診。拡張型心筋症との診断。
息切れの症状があり、力仕事など心臓に負担をかける仕事は禁止されました。
ずっと同じ病院で経過観察および治療を続けていましたが、病状が悪化。
転院し、半年前に植え込み型補助人工心臓の手術を受診。
厚生年金に加入中に初診日がありますので、障害厚生年金の請求です。
人工心臓を装着した場合、術後1級認定となります(※)
(※)人工心臓の場合、「1~2年程度経過観察したうえで症状が安定しているときは、臨床症状、検査成績、一般状態区分表を勘案し、障害等級を再認定する。」
初診日から1年6か月経過した障害認定日頃も息切れ等あり、仕事の制限もみられました。
まだ人工心臓でない期間も3級認定の可能性もあったと考え、現在の診断書と障害認定日頃の診断書(手術後のもの)提出。
障害厚生年金の遡及請求。
結果、障害認定日は障害厚生年金3級(5年遡及)。
人工心臓装着時で額改定となり、障害厚生年金1級の認定でした。
一番いい結果となり、とても喜んで頂けました。
拡張型心筋症で障害厚生年金1級
認定 | 障害厚生年金1級 額改定 |
相談者 | 40代男性 茨城県日立市 |
傷病 | 拡張型心筋症(補助人工心臓) |
金額 | 約190万円 |
元々、拡張型心筋症で額改定請求のサポートをさせて頂いていたお客様と、病院で同室の方でした。
最初はメールでご相談を受け質問にお答えし、後日ご自身で額改定の請求をされました。
質問は、現在は障害厚生年金3級を受給中です。
拡張型心筋症の補助人工心臓(VAD)で額改定請求ができるかどうか?というものでした。
もちろんできます。
しかし年金事務所に障害年金の書類を提出されたところ、「診断書の現症日が古い」と、受け取ってもらえなかったとのこと。
これは手間隙かかり過ぎるということで、専門家に任せようと直接お電話でご相談頂き代理のご依頼を頂きました。
大学病院等では、診断書を依頼してから受け取るまで、大体1~2か月かかります。
しかし、額改定請求は1か月以内の診断書を提出しなくてはなりません。
間に合わなくなることも多く時間がかなりタイトです。
訂正をお願いし、拡張型心筋症の診断書が取得できたらすぐに提出できるよう、その他の必要書類は事前に準備。
無事額改定請求完了。
拡張型心筋症で障害厚生年金3級から1級に額改定認定。
よかった~。ご紹介のお客様が無事受給されてホッとしました!
補助人工心臓で障害厚生年金1級
認定 | 障害厚生年金1級 額改正請求 |
相談者 | 50代男性 東京都江戸川区 |
傷病 | 拡張型心筋症(補助人工心臓) |
金額 | 約180万円 |
当初、3年前に拡張型心筋症でICD(植込み型除細動器)の埋め込みをされました。
そのとき裁定請求のご依頼を頂き、障害厚生年金3級を受給。
何故か初診日が認められず、拡張型心筋症の初診日に対して審査請求をかけて、ようやく処分変更となった案件でした。
病状が悪化しCRT-D(除細胞器機能付き心臓再同期医療機器)をされるようになり、額改定請求のご依頼を。
近い将来、心臓移植を視野に、人工心臓になるだろうとのこと。
今回、額改定請求で厚生年金2級になり、その後人工心臓となった時点でまた額改定請求をする方向で進めました。
拡張型心筋症で額改定請求をする際は、請求日以前1か月以内の現症日で診断書が必要です。
大学病院等、診断書作成に時間がかかる場合、期限があることをしっかり説明して依頼しなくてはなりません。
それでも、かなり時間がかかり、遅くなってしまうことがあるのが現実です。
今回は問題なく請求できて、無事障害厚生年金2級に改定。
今までの流れです。
平成25年10月 裁定請求 拡張型心筋症ICD植込み (審査請求)障害厚生年金3級
審査請求の時の様子は、こちらの事例で記載しています。
平成27年11月 額改定請求 CRT-D植込み 障害厚生年金2級
平成28年05月 額改定請求(2回目) 補助人工心臓植込み 障害厚生年金1級
今回2回目の額改定請求を行い、無事障害厚生年金1級に認定。
実は、このあいだ大きな法改正がありました。
以前は障害年金を受ける権利が発生した日、又は障害の程度の診査を受けた日から1年を経過しないと額改定請求はできません。
ただし、障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として、厚生労働省令で定める場合は1年以内でも認められます。
手術などはっきりとした場合に限定されていますが、この額改定請求ができる障害の中に人工心臓を装着したものが対象となったのです。
そのため、前回の額改定請求日から半年足らずで2回目の請求。
今回のように、最初に相談いただけると法改正なども含めていろいろとアドバイスができます。
結果1級まで取得できて本当によかったです!
受給資格
受給資格を得るために以下の3つが大切になります。
初診日と保険料納付
脳出血で障害年金を申請するために、絶対にはずせない3つの要件があります。
初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日にこの後述べる「拡張型心筋症の認定基準に該当」すれば、受給できます。
認定基準
引用元:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 11節 心疾患による障害|日本年金機構をもとに加筆修正。
受給資格を得るために大切なことは、心筋症の障害年金認定基準に該当するかどうかを十分に理解することです。
拡張型心筋症は、病気の特徴として心室と共にしばしば心房の内腔容積増加を伴う心拡大と、収縮機能障害を特徴とする心筋の病気です。
不整脈による突然死と心不全をもたらしますが、原因はまだ判明していません。
ウイルス感染、遺伝子異常、免疫系の異常、アルコールの過剰摂取等で心筋が損傷をうけ、心筋が弱くなり心臓が拡張し様々な障害が生じます。
拡張型心筋症では、症状が慢性的に進行しますが、進行すると心機能が低下して安静にしていても呼吸困難を呈すようになります。
特に悪化すると少し動いただけでも息切れ、呼吸困難などが生じ外出が困難となります。
その場合、心機能が低下して安静にしていても常に呼吸の管理やケアが必要になります。
心筋症(拡張型・肥大型・拘束型)で障害年金の対象となる、おおむねの認定基準の目安は以下のとおり。
1級 | 心筋症で1年以上の療養が必要で長期に渡る安静により日常生活に相当な制限がある |
2級 | 心筋症でCRT(心臓再同期療法)、CRT-D(除細胞器機能付き心臓再同期医療機器)装着の場合 |
心筋症で日常生活に著しい制限(外出できない党) | |
3級 | 労働が制限されているか制限を加える必要がある |
ペースメーカー装着 |
拡張型心筋症の臨床所見や自覚症状
拡張型心筋症の障害年金認定基準は次の3つを中心的に確認します。
検査所見
拡張型心筋症の検査には、心電図・ホルター心電図・胸部X線・心カテーテル、エコーなどがあります。
拡張型心筋症の重症度は、心電図・心エコー図・カテーテル検査、動脈血ガス分析値も参考としてください。
自覚症状
動悸、呼吸困難、失神、チアノーゼ、浮腫、尿量減少、器質雑音などの症状や所見です。
拡張型心筋症で入退院を繰り返していたことなども判断材料となります。
拡張型心筋症の主要症状としては、胸痛、動悸、呼吸困難、息切れ、咳、痰、失神等の自覚症状等の他覚所見があります。
他覚所見
他覚所見は医師の診察により得られた客観的症状なので、常に自覚症状と連動しているか否かに留意する必要があります。
心筋症の障害年金等級
心筋症の障害年金各等級の認定基準を以下のように示しています。
障害の程度 | 心筋症障害の状態 |
1級 | 心筋症で身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
2級 | 心筋症で身体の機能に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
3級 | 心筋症で身体の機能に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
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