ICDで障害年金はもらえる?受給例・金額・認定基準の特例【2026年度】

ICDで障害年金はもらえる?受給例・金額・認定基準の特例【2026年度】

ICD(植込み型除細動器)を装着した場合、障害厚生年金3級に該当する可能性があります。

心疾患の状態によっては、2級・1級が認められる場合もあります。ただし、ICDの装着だけですべての方が受給できるわけではありません。

特に、初診日、保険料納付要件、初診日に加入していた年金制度、ICDの装着日の確認が重要です。

ICDで障害年金の受給まとめ

このようなお悩みはありませんか。

  • ICDを装着したら、働いていても障害年金を受給できるのか
  • 実際の受給例や、もらえる金額を知りたい
  • 初診日が古くても、ICD装着日から申請できるのか

この記事では、ICDで障害年金を受給するための条件、実際の受給事例、金額、認定基準、障害認定日の特例を解説します。

ICDで障害年金は難しいのか

ICD装着による障害は原則として障害厚生年金3級の認定対象です。受給には初診日や保険料納付要件などを満たす必要があります。

ICDで障害年金を申請するために大切なこと

ICD(植込み型除細動器)を装着された方から、障害年金のご相談をいただくことがあります。

ただし、ICDを装着したことだけで、すべての方が同じ年金を受け取れるわけではありません。

初診日に加入していた年金制度、保険料納付要件等が重要になります。

ICDで障害年金を受給できるケース

以下のような場合は、障害年金が認められる可能性があります。

  • 初診日が厚生年金加入中にある
  • 保険料納付要件を満たしている
  • ICDを装着している
  • ICD装着日と障害認定日との関係を確認できる

特に、初診日が厚生年金加入中にある場合、障害厚生年金3級に該当する可能性があります。

ICDで障害年金が難しいケース

一方で、次のような場合は審査が難しくなることがあります。

  • 初診日が厚生年金加入中でない
  • 保険料納付要件を満たしていない
  • 初診日の証明ができない
  • 診断書や申立書の内容に不整合がある
  • ICD装着日や治療経過が書類上明確でない

重要なのは、ICDを装着した事実だけでなく、障害年金の認定基準に該当する状態かどうかを、書類上正確に伝えることです。

以下の2点が特に重要です。

  1. 初診日と加入年金制度の確認
  2. 診断書・病歴就労状況等申立書・医療記録の整合性

ICDの装着による認定では、特に初診日や加入していた年金制度、装着日の確認が重要です。初診日の証明が難しい場合は、医療記録などの資料を整理する必要があります。

これらの事項を確認し、実際の事実に即した申請書類を整えることが大切です。

ICDの障害年金受給例

ICD装着後に初診日をめぐる審査請求で3級が認められた例や、装着日を認定日として遡及請求が認められた例があります。

ICDで障害年金を受給した事例

実際にICDで障害年金が認められたケースをご紹介いたします。

実際の受給例を見ることで、どのような場合に認定されるのか、イメージしやすくなります。

いろいろなケースがございますので、ご参考ください。

ICD装着で障害厚生年金3級-60万円

認定 障害厚生年金3級 審査請求
相談者 50代男性 東京都江戸川区
傷病 拡張型心筋症(ICD装着)
金額 約60万円

拡張型心筋症で、ICD(植込み型除細動器)を装着された方の事例です。

厚生年金加入期間中の初診日が認められないという理由で、不支給決定となりました。

審査途中で「初診日を国民年金加入期間である現在の病院の初診日に変更しますか?」という照会がありました。

しかし、厚生年金加入中の初診日と考えられる事情があったため、まずは不支給決定を受け、その後、審査請求で争う方針を取りました。

決定がなされていないと審査請求もできません。理論立てて、審査請求に臨みました。

審査請求へ

審査請求後、社会保険審査官から「保険者が処分を変更する(初診日を認める)」との連絡がありました。

1年がかりとなりましたが、無事に障害厚生年金3級を受給していただくことができました。

この後、病状が進み障害厚生年金1級になられました。

経過はこちらの拡張型心筋症の事例にも記載しています。

審査請求をしなければ、処分変更もなかった可能性があります。初診日の確認は非常に重要です。

サルコイドーシス(ICD)で障害厚生年金3級-160万円

認定 障害厚生年金3級 遡及請求1.5年
相談者 男性 東京都江東区
傷病 サルコイドーシス(ICD植込み)
金額 約100万円 遡及金額160万円

ICDの遡及請求

初診から5か月後に、会社で心肺停止状態となった方の事例です。

サルコイドーシスによりICD(植込み型除細動器)を装着されました。

初診時もその前も厚生年金に加入されており、保険料納付要件も問題ありませんでした。

心疾患の障害認定日の特例にあたるため、ICDを植え込んだ日が障害認定日となります。

遡及請求を行い、認定日時点も現在も3級認定になるだろうと判断しました。

現在の診断書1枚のみをお願いしましたが、受け取った時には、すでに診断書の現症日から3か月を少し経過していました。

そのため、請求時に「現症でも除細動器装着に該当することのみ審査を希望する申出書」を作成し、一緒に提出しました。

無事返戻されることなく、障害厚生年金3級に決定しました。

受給事例集

ICDや心疾患の受給事例が増えてきましたので、以下に関連ページをまとめました。

それぞれ異なる疾患や状況に対応しており、障害年金を受給するための参考として役立てていただければ幸いです。

心疾患 拡張型心筋症 心疾患の認定基準
遡及請求 審査請求 無料相談

ICDで障害年金の金額はいくら?

ICDでもらえる障害年金の金額は、年金の種類、等級、家族構成などによって異なります。

ICDの障害年金でもらえる金額の目安

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があります。

  • 障害基礎年金:1級・2級
  • 障害厚生年金:1級・2級・3級

障害厚生年金1級・2級では、原則として障害基礎年金もあわせて受け取ります。

受給後は、国民年金保険料の法定免除の対象になる場合もあります。

障害基礎年金と障害厚生年金の金額の仕組み

ICDの障害基礎年金額

障害基礎年金は、1級・2級ごとに基本となる年額が決まっています。

令和8年度(2026年4月分~2027年3月分)の金額は、次のとおりです。

等級 年額 月額換算
1級 1,059,125円 約88,260円
2級 847,300円 約70,608円

※昭和31年4月2日以後生まれの方の金額です。昭和31年4月1日以前生まれの方は金額が異なります。子の加算は含みません。

※月額換算は年額を12で割った参考額です。年金は原則として偶数月に2か月分ずつ支給されます。

障害基礎年金の子の加算

障害基礎年金1級・2級の受給者に、生計を維持している対象年齢の子がいる場合は、子の加算がつくことがあります。

対象となるのは、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子です。

子の人数 令和8年度の加算年額
1人目・2人目 1人につき243,800円
3人目以降 1人につき81,300円

障害基礎年金の子の加算についての説明

ICDの障害厚生年金額

障害厚生年金は、過去の標準報酬や厚生年金の加入期間などをもとに計算します。

そのため、障害基礎年金と異なり、金額は一律ではありません。

障害厚生年金 基本となる金額
1級 報酬比例額×1.25
2級 報酬比例額
3級 報酬比例額(最低保障あり)

1級・2級では、上記の障害厚生年金部分に、原則として同じ等級の障害基礎年金も加わります。

3級には障害基礎年金がつきませんが、最低保障があります。

令和8年度の障害厚生年金3級の最低保障額は、年635,500円です。

※昭和31年4月2日以後生まれの方の場合。昭和31年4月1日以前生まれの方は年633,700円です。

これは最低保障額であり、すべての方の金額が635,500円になるわけではありません。

報酬比例部分に300月みなしあり

厚生年金の被保険者期間が300月未満の場合は、原則として300月とみなして計算する仕組みがあります。

ただし、300月分の保険料を実際に納付したことになるわけではありません。

また、障害認定日の属する月より後の被保険者期間は、原則として障害厚生年金の計算の基礎には入りません。

障害厚生年金の配偶者加給年金

障害厚生年金1級・2級では、一定の要件を満たす65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金がつくことがあります。

配偶者の性別は問いません。夫が対象になる場合もあります。

ただし、配偶者自身が一定の老齢厚生年金や障害年金の受給権を持つ場合などは、加給年金が支給停止となることがあります。

令和8年度の配偶者加給年金額は、年243,800円です。

障害厚生年金の配偶者加給年金についての説明

年金生活者支援給付金

障害年金生活者支援給付金は、障害基礎年金を受給している方のうち、前年所得などの要件を満たす方に支給される給付金です。

令和8年度の月額は、次のとおりです。

等級 給付金月額
1級 7,025円
2級 5,620円

障害基礎年金1級・2級の方すべてに自動的に支給されるものではありません。障害厚生年金3級のみを受給している方は対象外です。

ICDの時効と遡及請求

障害認定日当時に障害年金の要件を満たしていた場合は、過去にさかのぼって請求できることがあります。

ただし、遡って受け取れる年金は原則として時効により5年分が限度です。

必ず5年分を受け取れるわけではなく、障害認定日当時の障害状態や診断書などを確認する必要があります。

詳しくは、障害年金の遡及請求をご覧ください。

ICDで受け取れる年金額の目安|6つのモデルケース

同じICDでも、加入していた年金制度や等級、過去の標準報酬によって受給額は異なります。

障害年金の金額を、制度共通の6つのモデルケースで比較してみましょう。ICDを装着しただけで障害基礎年金1級・2級に認定されるという意味ではありません。

以下は令和8年度の障害基礎年金額と、障害厚生年金の報酬比例部分を組み合わせた簡易試算です。

会社員のモデルは、過去の平均標準報酬額(賞与を含む月額換算)を年収300万円・500万円相当と仮定しています。

比較しやすくするため、報酬比例部分は平成15年4月以降の計算式を用い、300月みなしを適用したモデルです。

※再評価率、平成15年3月以前の加入期間などは反映していません。実際の年金額とは異なる簡易的な計算例です。

ケース 年収モデル 等級 年金の種類 概算年額・月額換算 備考
① 自営業・専業主婦など ― 2級 障害基礎年金 847,300円/年
約70,608円/月
子の加算を除く基本額
② 自営業・専業主婦など ― 1級 障害基礎年金 1,059,125円/年
約88,260円/月
2級の1.25倍
③ 会社員 300万円相当 3級 障害厚生年金 635,500円/年
約52,958円/月
このモデルでは最低保障額を適用
④ 会社員 300万円相当 2級 障害基礎年金+障害厚生年金 約126万円/年
約10.5万円/月
基礎年金+報酬比例部分
⑤ 会社員 500万円相当 2級 障害基礎年金+障害厚生年金 約153万円/年
約12.8万円/月
基礎年金+報酬比例部分
⑥ 会社員 500万円相当 1級 障害基礎年金+障害厚生年金 約192万円/年
約16.0万円/月
1級の基礎年金+報酬比例部分の1.25倍

モデルケースを見るときの注意点

  • ①②③の金額は令和8年度の公表額・最低保障額を用いています。
  • ④⑤⑥は一定の前提を置いた簡易試算で、実際の年金見込額ではありません。
  • 年収モデルは現在の年収ではなく、過去の標準報酬を賞与込みで月額換算した仮定です。
  • 厚生年金の加入時期、加入期間、標準報酬、再評価率によって実際の年金額は異なります。
  • 配偶者加給年金、子の加算、年金生活者支援給付金は含めていません。
  • 昭和31年4月1日以前生まれの方は、基礎年金額や最低保障額が異なります。

このように、ICDに関連する心疾患で同じ2級に認定された場合でも、初診日に加入していた年金制度や、過去の給与・賞与などによって受給額は変わります。

ご自身の年金額について詳しく確認したい方は、 障害年金はいくらもらえる?【2026年(令和8年度)】1級・2級・3級の金額目安と早見表 で詳しく解説しています。

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ICDで障害年金を受け取る条件(受給資格)

ICDで障害年金を受け取るためには、初診日、保険料納付要件、障害の状態という3つの要件を確認します。

ICDの障害年金の受給資格

ICDで障害年金を申請するためには、次の3つの重要な要件があります。

  1. 初診日~いつお医者さんに行ったか
  2. 保険料納付要件~保険料は納めていたか
  3. 認定基準~ICDの状態が基準に該当するか

初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、後述する「ICDの認定基準」に該当するか確認します。初診日が厚生年金加入中であれば、ICD装着による3級の請求を検討できます。

特にICDの場合、初診日が厚生年金加入中かどうかが非常に重要です。

障害厚生年金3級は、厚生年金に加入していた方が対象となります。初診日が国民年金加入中の場合、原則として3級はありません。

ICDで3級に該当する場合でも、障害基礎年金には3級がありません。初診日の加入制度がとても大切です。

ICDの障害年金認定基準

ICD(植込み型除細動器)を装着した場合、認定基準上、原則として障害厚生年金3級に該当します。さらに重い心疾患の状態なら上位等級に該当する場合があります。

ICDの障害年金の認定基準

障害年金を受給できるかどうかは、心疾患の障害年金認定基準に該当するかどうかが大切です。

ICDの認定基準

植込み型除細動器(ICD)とは、命に関わる不整脈を治療するための体内植込み型装置です。

心疾患の障害年金認定基準はかなり量が多いため、ここではICDに関係する部分を中心に解説します。

難治性不整脈の認定要領では、ICDを装着したものが3級に該当する例として示されています。心疾患全体の状態により、上位等級が検討される場合もあります。

難治性不整脈

3級 1.ペースメーカー、ICDを装着したもの
2.異常検査所見のA、B、C、D、F、Gのうち1つ以上の所見及び病状をあらわす臨床所見が1つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの
ICDで3級に該当する場合、対象になるのは障害厚生年金です。障害基礎年金には3級がありません。

なお、心疾患の状態がより重い場合には、3級より上位の等級に認定される可能性もあります。

心疾患全体の認定基準については、心疾患の障害年金認定基準で詳しく解説しています。

ICDと障害認定日の特例

ICDの装着日が初診日から1年6か月以内であれば、原則としてその装着日が障害認定日となります。

心疾患の障害年金における障害認定日の特例(例外)

障害年金では、原則として初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日です。

ICD(植込み型除細動器)を初診日から1年6か月以内に装着した場合は、装着日が障害認定日となります。

一方、装着した日が初診日から1年6か月を過ぎている場合、装着日を障害認定日とする特例は適用されません。通常の障害認定日や事後重症請求を含め、請求方法を確認する必要があります。

ただし、実際の請求では、初診日、ICD装着日、診断書の現症日、請求方法の整理が必要です。

特に、初診日からの経過期間と装着日、診断書の現症日を確認することが大切です。詳しくは、日本年金機構の障害認定日の説明もご参照ください。

働きながらの受給は難しいのか

ICDを装着して働いていても、直ちに障害年金の対象外になるわけではありません。特にICD装着による3級は、装着という事実が認定上の重要な基準です。

ICDを装着していても、働いている方はいらっしゃいます。

働いていることだけで、直ちに障害年金が受給できないとは限りません。

ただし、心疾患の状態、就労内容、勤務時間、職場での配慮、通院状況などは審査で確認されることがあります。

ICDを装着した場合は、認定基準で原則3級とされています。ただし、実際の年金受給には初診日と保険料納付要件などを満たす必要があります。

仕事をしている場合でも、業務内容や勤務上の制限、体調悪化時の対応などを、診断書や申立書で適切に伝えることが重要です。

よくあるご質問

ICDを入れたら必ず障害年金をもらえますか?

必ずではありません。初診日、保険料納付要件、加入していた年金制度、認定基準への該当性を確認する必要があります。

ICDで障害厚生年金3級になることはありますか?

あります。ICDを装着した場合、障害厚生年金3級に該当する可能性があります。ただし、初診日が厚生年金加入中であることが重要です。

国民年金だけの場合、ICDで3級はありますか?

原則としてありません。障害基礎年金は1級・2級のみです。3級は障害厚生年金の制度です。

初診日が分からない場合でも請求できますか?

すぐに諦める必要はありません。医療機関の記録、紹介状、健康診断結果、他の資料などから初診日を確認できる場合があります。

執筆者紹介:障害年金専門社労士 但田美奈子

はじめまして。

当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。

経験15年以上・累計相談件数4,250件(令和8年8月末現在)・受給率97.8%。
ICD(植込み型除細動器)をはじめ、心疾患やさまざまな傷病のご相談に対応してまいりました。

ICDの障害年金では、装着した事実に加えて、初診日がどの年金制度の加入期間にあるか、保険料納付要件を満たしているか、装着日がいつかを確認することが大切です。

心疾患は、治療開始からICD装着までに長期間を要する場合もあり、過去の医療機関の受診記録を確認しなければならないことがあります。

これまでには、初診日が認められず不支給となった後、審査請求を経て障害厚生年金3級に認定された事例や、ICD装着日を障害認定日として遡及請求が認められた事例もあります。

ご本人やご家族のお話を丁寧に伺い、受診の経過と医療記録、診断書、申立書の内容を一つひとつ確認し、実際の状態が申請書類に正確に反映されるようサポートしてまいります。

ICDで障害年金を検討中の方へ

ICDの障害年金では、初診日、保険料納付要件、日常生活・就労状況、診断書などを総合的に確認する必要があります。

初回のメール・電話相談は無料です

東京・神奈川・埼玉・千葉など首都圏にお住まいで、障害年金の新規申請をお考えの方はご相談ください。

「自分が受給できるか分からない」という段階でも、現在の症状や通院の経過、仕事の状況などをお聞かせください。

※無料相談は65歳未満の方が対象です。

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参考資料

ICDの障害認定基準、障害認定日、装置の仕組み、年金額については、次の資料をご参照ください。

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