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1型・2型糖尿病は両方障害年金の対象です

糖尿病では、糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害など、合併症が日常生活に影響することがあります。

重要なポイントは次の2つです。

治療で十分にコントロールできている場合は、対象外となることがあります(認定要領で詳述します)。

解説

では、以下の順で解説します。

  1. 糖尿病の受給例
  2. もらえる金額
  3. 障害年金を受給できる条件
  4. 認定基準

糖尿病でも、在職中の方や日常生活を続けている方が受給できたケースは少なくありません。ここでは、実際の受給例を紹介します。

糖尿病の障害年金受給例

糖尿病で障害年金の受給例

ここでは、実際に糖尿病で障害年金を受給できた事例を紹介します。

糖尿病性網膜症で障害基礎年金2級-80万円

認定 障害基礎年金2級 事後重症請求
相談者 50代男性 神奈川県川崎市
傷病 糖尿病性網膜症
金額 約80万円

事後重症による請求

左眼はほとんど見えず、右眼も視力が大きく低下しており、日常生活では手探りで行動する場面が多い状態でした。ご高齢のお母さまからご相談をいただき、代理で申請を進めることになりました。

糖尿病性網膜症は進行の程度によって症状が大きく変わり、障害年金では視力と視野の両方が重要な判断材料になります。障害者手帳取得時の数値では等級に届かない可能性がありましたが、診断書取得の結果、視野障害が確認されました。

この方の場合、最初に受診したのが眼科だったため、眼科が初診日として扱われました。糖尿病が原因でも、初診が眼科であっても問題ありません。

申請後49日で障害基礎年金2級が認定されました。

社労士より

ご本人だけでなく、お母さまにも大変喜んでいただけました。

障害厚生年金3級(遡及請求5年)-480万円

認定 障害厚生年金3級 遡及請求5年
相談者 40代男性 東京都江東区
傷病 糖尿病
金額 約90万円 遡及金額480万円

遡及請求

在職中でも受給|障害厚生年金3級+5年遡及の受給例(総額約480万円)

認定 障害厚生年金3級(遡及請求5年)
相談者 40代男性(東京都)
傷病 糖尿病
受給額 年額約90万円/遡及総額約480万円

遡及請求

この方は在職中で、治療を続けながら仕事を継続していました。初診は約10年前の総合病院で、現在も同じ病院で継続受診していました。

障害認定日当時から血糖コントロールが不良だったため遡及請求を選択しました。現在の診断書では血糖状態がやや改善していたため、足の変形障害の診断書も併せて提出しました。

その結果、障害認定日での受給が認められ、5年分の遡及支給が決定しました。

さらに年金証書受領後、診断書の提出間隔が1年から3年へ変更されました。

社労士より

更新間隔が延びることは、ご本人の負担を大きく軽減します。

糖尿病で障害年金の金額はいくら?

糖尿病の障害年金で受け取れる金額の目安

糖尿病で障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?

実際、受給が決まっても「いくらもらえるのか」がご心配だと思います。

そこで、糖尿病で受給できる等級ごとの金額や、加算される手当を解説していきます。

障害年金には、「基礎」と「厚生」の2つがあります。

  1. 基礎:1級と2級
  2. 厚生:1級、2級、3級

このように、基礎と厚生が組み合わさって、2階建ての仕組み(3級は厚生年金のみ)になっています。

もらえる金額もこれに伴って説明していきます。

また、受給した後、国民年金保険料が免除になる制度がありますので、ご検討下さい。

糖尿病の障害年金の額

糖尿病の障害基礎年金額と子の加算

糖尿病で、障害基礎年金の1級又は2級に認定されたときの金額を解説していきます。

障害等級 金額
1級 1,039,625円/年
+子の加算
2級 831,700円/年
+子の加算

受給権を得た後、翌月分から支給されます。

1年の金額を6等分して、偶数月に受け取ることになります。

初回は臨時で奇数もありえますが、以後必ず偶数月に2か月分まとめて受け取る形になります。

※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。

糖尿病の子の加算

18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。

社労士より

一般的には高校卒業までということです

子の人数 金額
1人目/2人目 1人につき 239,300円/年
3人目以降 1人につき 79,800円/年

糖尿病 の障害厚生年金額と配偶者加給年金

糖尿病で、障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、基礎年金に厚生年金が加算されます。

3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。

金額は、給与や勤めていた期間(年齢)に比例するため、人によりまったく違います。

例えば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に1.5倍の差が生じます。

障害厚生年金 金額
1級 報酬比例額加算×1.25
+ 配偶者加給年金
2級 報酬比例額加算×1.0
+ 配偶者加給年金
3級 623,800円/年 金額は一律

報酬比例部分に300月みなしあり

報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。

例えば、会社に入社後、それほどたたずして、糖尿病性の障害になり年金の受給を開始した場合など。

最低25年は年金を納付したものとして、ある程度の額の厚生年金が受給できるようになっています。

また、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金の計算の基礎とはされません。

但田社労士より解説

年金制度自体は批判も多いのですが、なかなか手厚くなっています。

計算の基礎となるのは、障害認定日までに納付したものまでです。

糖尿病の配偶者加給年金

糖尿病で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。

よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合どうなるでしょうか。

但田社労士より

その場合、配偶者である夫についても加給年金※が支給されます。

※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。

障害等級 金額
1級・2級
(3級はなし)
239,300円/年

年金生活者支援給付金

糖尿病の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。

年金生活者支援給付金は、基礎も厚生も変わらず2級以上であれば支給されます。

金額は毎年変動します。

等級 金額
1級 6,813円/月
2級 5,450円/月

糖尿病で受け取れる年金額の目安

生涯を通じた給与とボーナスの平均(例:生涯をならした平均給与500万円)を基にした、おおよその受給額です。

あくまで目安としてご参考ください(令和7年度水準)。

ケース 年収モデル 等級 年金の種類 受給額 備考
① 自営業・主婦など(国民年金のみ) 2級 障害基礎年金 831,700円/年(69,308円/月) 定額、収入に関係なし
② 自営業・主婦など 1級 障害基礎年金 1,039,625円/年(86,635円/月) 2級の1.25倍
③ 会社員・平均年収300万円 300万円 3級 障害厚生年金 623,800円/年(51,983円/月) 最低保障額(年収に関係なく)
④ 会社員・平均年収300万円 300万円 2級 障害基礎年金+障害厚生年金 約1,440,000〜1,560,000円/年(120,000〜130,000円/月) 基礎年金+報酬比例約5〜6万円
⑤ 会社員・平均年収500万円 500万円 2級 障害基礎年金+障害厚生年金 約1,920,000〜2,040,000円/年(160,000〜170,000円/月) 基礎年金+報酬比例約10万円
⑥ 会社員・平均年収500万円 500万円 1級 障害基礎年金+障害厚生年金 約2,400,000〜2,520,000円/年(200,000〜210,000円/月) 2級の1.25倍

糖尿病の時効と遡及請求

糖尿病の障害年金には時効があります。

申請をしないまま時間が経つと、本来受け取れるはずだった年金のうち、最大で5年分が消滅してしまう可能性があります。

ただし、条件を満たせば最大5年分まで遡って受給できる場合があります。

これを遡及請求といいます。

糖尿病は進行がゆるやかなケースも多く、「もっと早く申請していればよかった」というご相談も少なくありません。

金額の目安や具体的な受給例については、糖尿病の障害年金でもらえる金額はいくら?のページで詳しく解説しています。

障害年金を受給できる条件

糖尿病の障害年金の受給資格

糖尿病で障害年金を申請するためには、次の3つの重要な要件があります。

  1. 初診日~いつお医者さんに行ったか
  2. 保険料納付要件~保険料は納めていたか
  3. 認定基準

そのうえで、障害認定日に、障害認定日に後で述べる「糖尿病の認定基準に該当」すれば受給できます。

初診日の確定

糖尿病で障害年金を申請する際の重要なポイント(但田社労士による解説)

糖尿病は初診日の確定が難しいケースが多く、相当因果関係を正しく判断できるかが重要になります。

例えば次のようなケースです。

自営業で国民年金に加入している時に糖尿病で受診し、その後会社員になりました。さらに数年後、脳梗塞で倒れた場合です。

このとき、障害年金の初診日は糖尿病でしょうか。それとも脳梗塞でしょうか。

解説

障害年金では、「障害の原因となった傷病」と前の病気との間に相当因果関係があるかどうかで判断します。

この例では、認定基準上、脳梗塞は糖尿病との相当因果関係がないとされています。

そのため、脳梗塞を原因とする障害年金の申請では、脳梗塞の初診日が基準になります。

なお、糖尿病から人工透析に至るケースも多いため、人工透析の障害年金についてもご参照ください。

相当因果関係と初診日

✔ 糖尿病と相当因果関係があるもの

  1. 糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症
  2. 糖尿病性神経障害
  3. 糖尿病性動脈閉塞症等

✖ 糖尿病と相当因果関係がないもの

糖尿病の障害年金では、初診日をどの傷病で扱うか(相当因果関係の判断)が受給の可否に直結します。

認定基準

糖尿病で障害年金 認定基準とは

※日本年金機構の国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第15節 代謝疾患による障害をもとに、実務上のポイントを整理しています。

糖尿病の障害年金は、単に病名だけで判断されるわけではありません。

合併症の状態や日常生活への影響を含めて、総合的に判断されます。

糖尿病の認定で重視されるポイント

糖尿病の障害年金認定要領

糖尿病の障害年金は、日本年金機構の認定基準に基づき、次の考え方で判断されます。

  1. 代謝疾患の中では、糖尿病による申請が最も多い
  2. 糖尿病は、インスリン作用の不足による高血糖を中心とした代謝異常
  3. 合併症・血糖コントロール・治療経過・日常生活への影響を総合的に判断
解説

つまり、検査数値だけではなく、日常生活にどれだけ影響しているかが重要になります。

糖尿病の一般状態区分表

区分 一般状態
無症状で社会活動に制限がない
軽度の症状があり、肉体労働は困難だが軽作業は可能
軽労働はできず、日中の半分以上は起きて生活
しばしば介助が必要で、外出はほぼ困難
常時介助が必要で、ほぼ終日就床

インスリン治療を行っても血糖コントロールが困難な場合、次の条件で3級の対象となります。

  1. 検査前90日以上、継続してインスリン治療を実施している
  2. 次のいずれかに該当

これらに加え、症状や日常生活の制限が強い場合は、さらに上位等級が検討されます。

軽度の症状があり軽作業は可能
軽労働不可、日中の半分以上は起居
相談中

実務では、診断書の書き方ひとつで評価が大きく変わることもあります。ここが専門家のサポートが重要な部分です。

糖尿病の認定は、検査数値だけでなく、合併症・治療経過・日常生活への影響を含めて総合的に判断されます。

合併症がある場合

日本年金機構 上野年金事務所

糖尿病による障害年金は、合併症の内容によって適用される認定基準が異なります。主な整理は次のとおりです。

合併症 適用される認定基準
糖尿病性網膜症を合併した場合 眼の障害の認定基準
糖尿病性神経障害(激しい痛み・著明な感覚障害・重度の自律神経症状など) 神経系統/肢体の障害の認定基準
糖尿病性腎症(人工透析を含む) 腎疾患による障害の認定基準

単なるしびれや軽い感覚異常だけでは、原則として受給対象になりません。

診断書の選び方(糖尿病の障害年金)

糖尿病で障害年金を申請する際は、どの診断書を使うかが非常に重要です。合併症の内容によって、提出する診断書の種類が変わります。

診断書の選択を誤ると、本来の障害状態が正しく評価されないことがあります。

基本的な考え方

糖尿病そのものだけでなく、日常生活に最も影響している合併症を中心に診断書を選びます。

主な状態 使用する診断書
血糖コントロール不良が中心 代謝疾患用の診断書
糖尿病性網膜症 眼の障害用の診断書
糖尿病性腎症(人工透析) 腎疾患用の診断書
糖尿病性神経障害 肢体の障害/神経系統の診断書

複数の合併症がある場合

合併症が複数ある場合は、状態に応じて複数の診断書を提出することもあります。

例えば、視力障害と人工透析がある場合、それぞれ別の認定基準で評価されます。

どの障害を中心に申請するかで、結果が大きく変わることがあります。

診断書でよくある失敗例

糖尿病の障害年金では、診断書の書き方ひとつで結果が変わることがあります。実際の申請でよく見かける失敗例を挙げます。

① 検査数値だけで判断される書き方になっている

血糖値やHbA1cなどの数値は重要ですが、それだけでは障害の程度は判断されません。

日常生活でどの程度の支障があるのかが十分に書かれていないと、本来の状態より軽く評価されることがあります。

② 日常生活の支障が具体的に書かれていない

例えば、

といった具体的な生活上の困難が記載されていないと、審査側に実態が伝わりにくくなります。

③ 合併症を十分に反映していない

糖尿病は合併症が重要な判断材料になります。

しかし、診断書に合併症の影響が十分に書かれていないために、本来より軽い評価になるケースがあります。

④ 治療経過が整理されていない

インスリン治療の期間や、コントロール不良の経過が不明確だと、認定基準との照合が難しくなります。

継続的な治療歴がはっきり分かることが重要です。

⑤ 医師に任せきりにしてしまう

医師は治療の専門家ですが、障害年金制度の専門家ではありません。

患者側から日常生活の実情を伝えないと、診断書に十分反映されないことがあります。

診断書は「医師と一緒に作る書類」という意識が大切です。


糖尿病の障害年金では、診断書の質が結果に直結します。

不安な場合は、作成前に専門家へ相談することで、適切な方向性を整理できます。

糖尿病の障害年金では、提出する診断書の種類と記載内容が認定結果に大きく影響します。

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「代謝疾患(糖尿病)による障害」の認定基準を一部改正します

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この記事を書いている人

社会保険労務士 但田美奈子

社会保険労務士 但田美奈子

障害年金専門である東京の社労士。 障害年金申請サポートの経験15年以上、累計相談件数4,013件(令和7年12月末現在)、受給率は97.8%です。 東京の事務所で、年約300件のご相談に対応しています。 ご相談はこちら(無料相談)から。
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