
糖尿病で障害年金はもらえる?
結論から申し上げますと、糖尿病でも障害年金を受給できる可能性があります。
1型・2型の違いではなく、治療を続けても血糖コントロールが難しいか、合併症により日常生活や仕事にどの程度支障が出ているかが重要です。
- 初診日の確認
- 保険料納付要件
- 糖尿病や合併症の認定基準
この3点が重要で、同じ糖尿病でも受給できる方とできない方に分かれます。
「糖尿病で障害年金は難しいと聞くが、私はもらえるのか?」
「実際に受給した例を知りたい」
「もらえる金額はどのくらいだろう」
このようなお悩みをお持ちの方に向けて、専門家の視点から詳しく解説します。
このページでわかること
- 糖尿病で障害年金を受給できるケース
- 実際の受給事例
- もらえる金額の目安
- 受給資格と初診日の考え方
- 糖尿病の認定基準
- 合併症がある場合の考え方
糖尿病でも、適切に準備すれば障害年金を受給できる可能性があります。
障害基礎年金2級に認定されれば、令和8年度では年額847,300円が支給されます。
障害厚生年金3級に認定される場合や、過去に遡って請求できるケースもあります。
この記事の内容は以下からすぐ確認できます。
執筆者紹介|障害年金専門社労士 但田美奈子
はじめまして。
当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。
経験15年以上・累計相談件数4,193件(令和8年6月末現在)・受給率97.8%。
糖尿病をはじめ、さまざまな傷病のご相談に対応してまいりました。
障害年金は、病気やケガで日常生活や仕事が難しくなったときに支給される大切な制度です。
この記事では、糖尿病で障害年金を受給するためのポイントや実際の事例、もらえる金額の目安を詳しく解説します。
申請を迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
糖尿病で障害年金は難しいのか

糖尿病は、状態によって障害年金の対象になります。
では、糖尿病で障害年金を受け取ることは難しいのでしょうか。
結論から申し上げますと、糖尿病でも障害年金を受給できる可能性があります。
ただし、糖尿病という病名だけで、すべての方が障害年金を受け取れるわけではありません。
治療を続けても血糖コントロールが困難か、糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病神経障害などの合併症により、日常生活や仕事にどの程度支障があるかが重要になります。
1型・2型糖尿病は両方障害年金の対象です
糖尿病では、糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害など、合併症が日常生活に影響することがあります。
- 1型・2型いずれも対象(認定基準上の違いはありません)
- 治療を行っても血糖コントロールが難しく、生活に支障が出ているかが判断の中心になります
治療で十分にコントロールできている場合は、対象外となることがあります(認定要領で詳述します)。
糖尿病で障害年金を受給できるケース
以下のような場合は、障害年金が認められる可能性があります。
- インスリン治療を継続しても血糖コントロールが困難である
- 糖尿病性網膜症により視力や視野に大きな支障がある
- 糖尿病性腎症により人工透析を受けている
- 糖尿病神経障害などにより歩行や日常生活に支障がある
- 初診日と保険料納付要件を満たしている
糖尿病で障害年金が難しいケース
一方で、次のような場合は審査が難しくなることがあります。
- 治療により血糖コントロールが十分にできている
- 日常生活や仕事への支障が書類上明確でない
- 初診日の証明ができない
- 診断書や病歴・就労状況等申立書の内容に不整合がある
- 合併症があるのに、適切な診断書が選ばれていない
重要なのは、糖尿病という病名そのものではなく、障害年金の認定基準に該当する状態かどうかを、書類上正確に伝えることです。
以下の2点が特に重要です。
- 初診日と相当因果関係の確認
- 糖尿病本体・合併症に応じた診断書と申立書の整合性
つまり、糖尿病で障害年金が難しいと言われる大きな理由は、病状そのものよりも、初診日や合併症の整理、診断書の選び方がうまく整っていないことにあります。
これらのポイントを押さえることで、受給の可能性は大きく変わります。
- 受給例
- 金額はいくらもらえるのか
- 受給資格
- 認定基準
糖尿病の障害年金受給例

ここでは、実際に糖尿病で障害年金を受給できた事例を紹介します。
糖尿病性網膜症で障害基礎年金2級-80万円
| 認定 | 障害基礎年金2級 事後重症請求 |
| 相談者 | 50代男性 神奈川県川崎市 |
| 傷病 | 糖尿病性網膜症 |
| 金額 | 約80万円 |

左眼はほとんど見えず、右眼も視力が大きく低下しており、日常生活では手探りで行動する場面が多い状態でした。
ご高齢のお母さまからご相談をいただき、代理で申請を進めることになりました。
糖尿病性網膜症は進行の程度によって症状が大きく変わり、障害年金では視力と視野の両方が重要な判断材料になります。
障害者手帳取得時の数値では等級に届かない可能性がありましたが、診断書取得の結果、視野障害が確認されました。
この方の場合、最初に受診したのが眼科だったため、眼科が初診日として扱われました。
糖尿病が原因でも、初診が眼科であっても問題ありません。
申請後49日で障害基礎年金2級が認定されました。
在職中でも受給|障害厚生年金3級+5年遡及の受給例(総額約480万円)
| 認定 | 障害厚生年金3級(遡及請求5年) |
| 相談者 | 40代男性(東京都江東区) |
| 傷病 | 糖尿病 |
| 受給額 | 年額約90万円/遡及総額約480万円 |

この方は在職中で、治療を続けながら仕事を継続していました。
初診は約10年前の総合病院で、現在も同じ病院で継続受診していました。
障害認定日当時から血糖コントロールが不良だったため遡及請求を選択しました。
現在の診断書では血糖状態がやや改善していたため、足の変形障害の診断書も併せて提出しました。
その結果、障害認定日での受給が認められ、5年分の遡及支給が決定しました。
さらに年金証書受領後、診断書の提出間隔が1年から3年へ変更されました。
糖尿病で障害年金の金額はいくら?

糖尿病で障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?
実際、受給が決まっても「いくらもらえるのか」がご心配だと思います。
そこで、糖尿病で受給できる等級ごとの金額や、加算される手当を解説していきます。
- 基礎:1級と2級
- 厚生:1級、2級、3級
このように、基礎と厚生が組み合わさって、2階建ての仕組み(3級は厚生年金のみ)になっています。
もらえる金額もこれに伴って説明していきます。
また、受給した後、国民年金保険料が免除になる制度がありますので、ご検討下さい。

糖尿病の障害基礎年金額と子の加算
糖尿病で、障害基礎年金の1級又は2級に認定されたときの金額を解説していきます。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級 | 1,059,125円/年 +子の加算 |
| 2級 | 847,300円/年 +子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。1年の金額を6等分して、偶数月に受け取ることになります。
初回は臨時で奇数もありえますが、以後必ず偶数月に2か月分まとめて受け取る形になります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。

18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。
| 子の人数 | 金額 |
| 1人目/2人目 | 1人につき 243,800円/年 |
| 3人目以降 | 1人につき 81,300円/年 |
糖尿病の障害厚生年金額と配偶者加給年金
糖尿病で、障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、基礎年金に厚生年金が加算されます。
3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。
金額は、給与や勤めていた期間(年齢)に比例するため、人によりまったく違います。
例えば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に1.5倍の差が生じます。
| 障害厚生年金 | 金額 |
| 1級 | 報酬比例額加算×1.25 + 配偶者加給年金 |
| 2級 | 報酬比例額加算×1.0 + 配偶者加給年金 |
| 3級 | 635,500円/年(最低保障額) |
報酬比例部分に300月みなしあり
報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。
例えば、会社に入社後ほどなくして糖尿病性の障害になり受給を開始した場合など、最低25年は年金を納付したものとして計算されます。

糖尿病で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級・2級 (3級はなし) | 243,800円/年 |
年金生活者支援給付金
糖尿病の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
2級以上であれば支給され、金額は毎年変動します。
| 等級 | 金額 |
| 1級 | 7,025円/月 |
| 2級 | 5,620円/月 |
糖尿病で受け取れる年金額の目安
生涯を通じた給与とボーナスの平均(令和8年度水準)を基にした、おおよその受給額目安です。
| ケース | 年収モデル | 等級 | 年金の種類 | 受給額 |
|---|---|---|---|---|
| ① 自営業・主婦など | ― | 2級 | 障害基礎年金 | 847,300円/年 |
| ② 会社員・平均年収300万 | 300万円 | 3級 | 障害厚生年金 | 635,500円/年 |
| ③ 会社員・平均年収500万 | 500万円 | 2級 | 基礎+厚生 | 約192〜204万円/年 |
糖尿病の時効と遡及請求
糖尿病の障害年金には時効があります。
申請をしないまま時間が経つと、最大で5年分が消滅してしまう可能性があります。
ただし、条件を満たせば最大5年分まで遡って受給できる場合があります。
これを遡及請求といいます。
糖尿病は進行がゆるやかなケースも多く、「もっと早く申請していればよかった」というご相談も少なくありません。
※出典:令和8年4月分からの年金額等について(日本年金機構)
受給されたお客様の声
多くの方から温かいお言葉を頂いております。それらの声が、私の何よりの励みです。いつも本当にありがとうございます。
糖尿病で障害年金の対象になるか気になる方は、無料相談をご利用ください。
糖尿病で障害年金を受け取れる条件(受給資格)

糖尿病で障害年金を申請するためには、次の3つの重要な要件があります。
初診日の確定

糖尿病は初診日の確定が難しいケースが多く、相当因果関係を正しく判断できるかが重要になります。
例えば、糖尿病から人工透析に至るケースなどは因果関係が認められます。詳細は人工透析の障害年金もご参照ください。
相当因果関係と初診日
- 糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症
- 糖尿病性神経障害
- 糖尿病性動脈閉塞症等
- 脳内出血
- 脳梗塞
糖尿病の障害年金認定基準

糖尿病の障害年金は、単に病名だけで判断されるわけではありません。
合併症の状態や日常生活への影響を含めて、総合的に判断されます。
糖尿病の障害年金認定要領
糖尿病の障害年金は、日本年金機構の認定基準に基づき、次の考え方で判断されます。
- 糖尿病は、インスリン作用の不足による高血糖を中心とした代謝異常
- 合併症・血糖コントロール・治療経過・日常生活への影響を総合的に判断
糖尿病の一般状態区分表(抜粋)
| 区分 | 一般状態 |
| ア | 無症状で社会活動に制限がない |
| イ | 軽度の症状があり軽作業は可能 |
| ウ | 軽労働不可、日中の半分以上は起居 |
インスリン治療を行っても血糖コントロールが困難な場合、次の条件で3級の対象となります。
- 検査前90日以上、継続してインスリン治療を実施している
- Cペプチド値0.3ng/ml未満 + 一般状態イまたはウ、など
合併症がある場合

| 糖尿病性網膜症 | 眼の障害の認定基準 |
| 糖尿病性腎症 | 腎疾患による障害の認定基準 |
診断書の選び方とよくある失敗例
糖尿病そのものだけでなく、日常生活に最も影響している合併症を中心に診断書を選びます。
- 失敗例①:検査数値だけで判断される書き方になっている
- 失敗例②:日常生活の支障(倦怠感、外出困難など)が具体的に書かれていない
- 失敗例③:医師に任せきりにしてしまい、実態が反映されない
診断書は「医師と一緒に作る書類」という意識が大切です。
糖尿病の障害認定日の考え方
障害年金では、原則として初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日です。
糖尿病の場合も、原則は初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日になります。
ただし、糖尿病性腎症による人工透析など、合併症の状態によっては認定日の考え方や請求方法を整理する必要があります。
また、糖尿病は初診から長期間経過してから合併症が進行することも多いため、初診日と現在の障害状態との関係を丁寧に確認することが大切です。
働きながらの受給は難しいのか
糖尿病で治療を続けながら働いている方はいらっしゃいます。
働いていることだけで、直ちに障害年金が受給できないとは限りません。
実際に、在職中でも糖尿病で障害厚生年金3級が認められた事例があります。
ただし、就労内容、勤務時間、通院状況、低血糖発作の有無、合併症による支障、職場での配慮などは審査で確認されることがあります。
糖尿病であっても、診断書や申立書の内容が実際の生活・就労状況と合っていることが大切です。
よくあるご質問
Q. 糖尿病だけで障害年金をもらえますか?
糖尿病という病名だけで必ず受給できるわけではありません。
治療を行っても血糖コントロールが困難な状態や、糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病神経障害などの合併症により、日常生活や仕事に支障があるかが重要です。
Q. 1型糖尿病と2型糖尿病で認定基準は違いますか?
認定基準上、1型・2型という病型そのものだけで判断が変わるわけではありません。
インスリン治療の状況、血糖コントロール、合併症、一般状態、日常生活への支障などを総合的に見て判断されます。
Q. 糖尿病性網膜症や糖尿病性腎症がある場合はどうなりますか?
糖尿病性網膜症がある場合は眼の障害、糖尿病性腎症がある場合は腎疾患の障害として判断されることがあります。
糖尿病本体だけでなく、日常生活に最も影響している合併症に応じて、適切な診断書を選ぶことが大切です。
Q. 働いていても糖尿病で障害年金を受給できますか?
働いていることだけで直ちに受給できないわけではありません。
ただし、就労状況、職場での配慮、通院状況、合併症による支障などが審査で確認されることがあります。実際の状態を診断書や申立書に正確に反映させることが重要です。
Q. 初診日が分からない場合でも請求できますか?
すぐに諦める必要はありません。
医療機関の記録、紹介状、健康診断結果、お薬手帳、領収書などから初診日を確認できる場合があります。
糖尿病の障害年金では初診日や相当因果関係が重要になるため、まずは確認できる資料を整理することが大切です。
糖尿病で障害年金を検討中の方へ
糖尿病の障害年金では、初診日、保険料納付要件、血糖コントロール、合併症、診断書の内容が重要になります。
特に、糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病神経障害などがある場合は、どの診断書を使うかによって結果が変わることもあります。
「自分は対象になるのか」「どの合併症で請求すればよいのか」「過去に遡れるのか」など、判断に迷う方も多いと思います。
糖尿病で障害年金を検討されている方は、まずはお気軽にご相談ください。
参考資料
糖尿病の障害年金は個別事情によって判断が分かれます。少しでも気になる点があれば、まずは無料でご相談ください。
「代謝疾患(糖尿病)による障害」の認定基準を一部改正します
引用元: 日本年金機構
