この記事の目次

てんかんで障害年金は難しいのか

てんかんで障害年金 申請するために大切なこと

大切なことは「てんかんという名称ではなく、病状がどのような状態であれば、認定基準に該当するのか」十分に理解することです。

テレビや新聞でも話題になっているように、精神疾患による障害年金の申請に関する相談が急増しています。

厚生労働白書としても「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」と題し、初めて、こころの健康について論じています。

「てんかん」は近年認知が進んだため相談も多くありますが、受給するのは難しいのでは?との声も多く寄せられています。

解説

具体的にどうすれば、てんかんで障害年金を受給できるのでしょうか?

以下の順番で詳しく解説いたします。

  1. もらえる金額
  2. 受給事例
  3. 受給資格
  4. 認定基準

てんかんで障害年金の金額はいくら

てんかんで障害年金 金額はいくらもらえる?

てんかんで障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?

実際、受給が決まっても「いくらもらえるのか」がご心配だと思います。

そこで、てんかんで受給できる等級ごとの金額や、加算される手当を解説していきます。

障害年金には、「基礎」と「厚生」の2つがあります。

  1. 基礎::1級と2級
  2. 厚生::1級、2級、3級

このように、基礎と厚生が組み合わさって、2階建ての仕組み(3級は厚生年金のみ)になっています。

もらえる金額もこれに伴って説明していきます。

また、受給した後、国民年金保険料が免除になる制度がありますので、ご検討下さい。

てんかんの障害年金の額

てんかんの障害基礎年金額

てんかんで、障害基礎年金の1級又は2級に認定されたときの金額を解説していきます。

障害等級 金額
1級 1,039,625円/年
+子の加算
2級 831,700円/年
+子の加算

受給権を得た後、翌月分から支給されます。

1年の金額を6等分して、偶数月に受け取ることになります。

初回は臨時で奇数もありえますが、以後必ず偶数月に2か月分まとめて受け取る形になります。

※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。

子の加算

てんかんの子の加算

18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。

社労士より

一般的には高校卒業までということです

子の人数 金額
1人目/2人目 1人につき 239,300円/年
3人目以降 1人につき 79,800円/年

てんかんの障害厚生年金額

てんかんで、障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、基礎年金に厚生年金が加算されます。

3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。

金額は、給与や勤めていた期間(年齢)に比例するため、人によりまったく違います。

例えば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に1.5倍の差が生じます。

障害厚生年金 金額
1級 報酬比例額加算×1.25
+ 配偶者加給年金
2級 報酬比例額加算×1.0
+ 配偶者加給年金
3級 623,800円/年 金額は一律

報酬比例部分に300月みなしあり

報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。

例えば、会社に入社後、それほどたたずして障害年金の受給を開始した場合など。

最低25年は年金を納付したものとして、ある程度の額の厚生年金が受給できるようになっています。

また、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金の計算の基礎とはされません。

但田社労士より解説

年金制度自体は批判も多いのですが、なかなか手厚くなっています。

計算の基礎となるのは、障害認定日までに納付したものまでです。

配偶者加給年金

てんかんの配偶者加給年金
てんかんで1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。

よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、どうなるでしょうか。

但田社労士より

その場合、配偶者である夫についても加給年金※が支給されます。

※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。

障害等級 金額
1級・2級
(3級はなし)
239,300円/年

年金生活者支援給付金

てんかんの障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。

年金生活者支援給付金は、基礎も厚生も変わらず2級以上であれば支給されます。

金額は毎年変動します。

等級 金額
1級 6,813円/月
2級 5,450円/月

統合失調症の時効と遡及請求

残念ながら、てんかんの障害年金には時効があります。

申請しなければ、過去のものは最大5年間で消滅してしまいます。

もし遡って請求できる場合、最大で5年間遡って受け取れます。

これを遡及請求といいます。

てんかんの障害年金額めやす

生涯を通じた給与とボーナスの平均(例:生涯をならした平均給与500万円)を基にした、おおよその受給額です。

あくまで目安としてご参考ください(令和7年度水準)。

ケース 年収モデル 等級 年金の種類 受給額 備考
① 自営業・主婦など(国民年金のみ) 2級 障害基礎年金 831,700円/年(69,308円/月) 定額、収入に関係なし
② 自営業・主婦など 1級 障害基礎年金 1,039,625円/年(86,635円/月) 2級の1.25倍
③ 会社員・平均年収300万円 300万円 3級 障害厚生年金 623,800円/年(51,983円/月) 最低保障額(年収に関係なく)
④ 会社員・平均年収300万円 300万円 2級 障害基礎年金+障害厚生年金 約1,440,000〜1,560,000円/年(120,000〜130,000円/月) 基礎年金+報酬比例約5〜6万円
⑤ 会社員・平均年収500万円 500万円 2級 障害基礎年金+障害厚生年金 約1,920,000〜2,040,000円/年(160,000〜170,000円/月) 基礎年金+報酬比例約10万円
⑥ 会社員・平均年収500万円 500万円 1級 障害基礎年金+障害厚生年金 約2,400,000〜2,520,000円/年(200,000〜210,000円/月) 2級の1.25倍

以上、てんかんでもらえる金額の詳細は障害年金のもらえる金額はいくらなのか?にまとめました。

受給例ー障害厚生年金3級60万円

認定 障害厚生年金3級 事後重症請求
相談者 女性 神奈川県川崎市
傷病 てんかん
金額 約60万円

てんかんの事後重症による請求
てんかんの発作が起こっていない時の日常生活に、特に問題がないとのこと。

何年か前に、精神障害者保健福祉手帳の申請をしたが認められなかったそうです。

そのため、「障害年金を申請しても認められないのでは?」と迷っていらっしゃいました。

てんかんの為、お仕事に就くのも制限があるのは事実です。

総合的にお話しをお伺いした結果、厚生年金3級に認定される可能性をお話しをして、代理請求。

無事、障害厚生年金3級に認定。

ご本人様「やってみるもんですね!」

ただ社労士

その通りです。てんかんで障害年金が認められることもあるのです。

受給資格

てんかんの受給資格

てんかんで障害年金を申請するために、絶対にはずせない3つの要件があります。

  1. 初診日~いつお医者さんに行ったか
  2. 保険料納付要件~保険料は納めていたか
  3. 認定基準

初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日に「てんかんの認定基準に該当」すれば、障害年金の受給ができます。

障害認定日は初診日から1年6か月経過したところになります。

精神疾患の障害年金認定基準

精神疾患で障害年金 認定基準とは?

まず、精神疾患全体の認定基準は共通のため、以下参照下さい。

精神疾患全体の基準は、等級について次のように規定しています。

障害の程度 障害の状態
1級 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの

身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできない又は行えない程度

2級 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの

家庭内の軽食・最低限の洗濯等はできるが、それ以上の活動はできない程度

3級 精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

労働することはできるが、健常者と同等に労働することはできない程度。

実際、この表を見てもいまいちピンとこないと思いますが、以下の文章が重要になります。

精神の疾患の程度は、その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとする。

精神疾患は、多種であり、かつその症状は同一原因であっても多様である。

したがって、認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断するとともに、その原因及び経過を考慮する。

但田社労士より

この内容が精神疾患の障害年金を請求する場合特有のもので、病歴や仕事、日常生活の状況により審査されるということになります。

てんかんがどの程度重いのかうまくお医者さんとコミュニケーションが取れていないことも多く、診断書の内容が症状にあっていない場合が多くあります。

てんかんで障害年金が難しい大きな理由です。

解説

病歴、治療の経過、仕事や日常生活の状況などを主治医にうまく伝えることが大事です。

日常生活の用が不能 → 著しい制限 →労働に著しい制限という感覚がわかりますでしょうか。

てんかんの障害年金認定要領

てんかんで障害年金 認定基準とは?

てんかんで受給資格を得るために大切なことは、障害年金の認定基準に該当するかどうかを十分に理解することです。

てんかん発作は、部分・全般・未分類などに分類されますが、具体的に出現する臨床症状は多彩です。

(1)頻度に関しても、薬物療法によって完全に消失するものから、難治性てんかんと呼ばれる発作の抑制できないものまで様々となります。

てんかんは、その重症度や頻度以外に発作間欠期においても、それに起因する様々な程度の精神神経や認知症状などが、稀ならず出現することに留意する必要があります。

(2)各等級等に相当すると認められるものを一部例示

解説

下のオレンジ色の部分でなんとなく感覚がつかめますでしょうか。

障害の程度 障害の状態
1級 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月に1回以上あり、かつ常時の介護が必要なもの
2級 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月に1回以上ある。

かつ常時の介護が必要なもの2級十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回以上、もしくは、C又はDが月に1回以上あり、かつ日常生活が著しい制限を受けるもの

3級 分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回未満、もしくは、C又はDが月に1回未満あり、かつ労働が制限を受けるもの

(注1)発作のタイプは以下の通り
A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す

B:意識障害の有無を問わず、転倒する

C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない

D:意識障害はないが、随意運動が失われる

(注2)発作と精神神経症状及び認知が相まって出現することに留意が必要。また、「症状性を含む器質性精神障害」に準じて認定。

(3)認定に当たっては、重症度(意識障害の有無、生命の危険性や社会生活での危険性の有無など)や頻度に加え、間欠期の精神神経症状や認知症状の結果、日常生活動作がどの程度損なわれ、そのためにどのような社会的不利益を被っているのかという、社会的活動能力の損減を重視した観点から認定。

様々なタイプのてんかん発作が出現し、間欠期に精神神経症状や認知症状を有する場合、治療及び病状の経過日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定。

また、抑うつ状態やうつ病の病態を示していて、関連がある症状と診断されれば、てんかん性精神障害で年金を申請可能な場合があります。

相談中

発作や日常生活の状態により認定される可能性はあります。詳しくはお問い合わせ下さい。

精神の障害に係る等級判定ガイドライン

てんかんの精神の障害に係る等級判定ガイドライン~障害等級の目安

てんかんなど、精神疾患の審査に「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が運用されています。

審査で不支給と決定された割合が「都道府県間で異なる」ため、認定事務の実態を調査したところ、地域差があることがわかったためです。

地域差をなくし、統一する趣旨になり「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」で、等級を判定します。

てんかんに関する等級判定ガイドラインの具体的な等級や運用状況については、精神の障害に係る等級判定ガイドライン~精神疾患の審査は厳しいのかにまとめました。

参考引用:日本年金機構『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』等

薬や外科的治療による抑制

悩む相談者

てんかんでのお問い合わせ自体は多いのですが、私は障害年金申請の対象にならないのではないか?と言われる場合が多くあります。

それは、抗てんかん薬の服用や外科的治療によって抑制される場合、原則として認定の対象にならないためです。

障害年金対象になるのは以下のものです。

  1. 難治性てんかん 発作が抗てんかん薬の服用で抑制できずに慢性化するもの。
  2. てんかん性精神病 てんかん発作は治まったがその後精神病様状態として、幻覚がみえる・妄想的になるなどの症状があるもの。

確かに、審査で難しい面はございますが、てんかん自体が障害年金の申請対象にならないという意味ではありません。

医師の診断書の内容や、上記2つの実際の症状によるということです。

つまり、薬により抑えきれないもの又は治まった後、精神病的な症状が続くものが障害年金の対象になります。

てんかんで申請するにはいろいろと複雑な点もあり、初回無料相談を行っております。

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てんかん発作は、部分発作、全般発作、未分類てんかん発作などに分類されるが、具体的に出現する臨床症状は多彩である。また、発作頻度に関しても、薬物療法によって完全に消失するものから、難治性てんかんと呼ばれる発作の抑制できないものまで様々である。

令和7年4月分からの年金額等について

令和6年版厚生労働白書-こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に-(本文)|厚生労働省

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