
多系統萎縮症で障害年金はもらえる?
結論から申し上げますと、多系統萎縮症でも障害年金を受給できる可能性があります。
ただし、受給できるかどうかは病名だけでは決まりません。
- 初診日の確認
- 障害状態に合った診断書の選択
- 日常生活や就労上の支障の程度
この3点が重要で、同じ多系統萎縮症でも受給できる方とできない方に分かれます。
「私は多系統萎縮症の障害年金をもらえるのか」
「実際に受給した例を知りたい」
「もらえる金額はどのくらいだろう」
このようなお悩みをお持ちの方に向けて、専門家の視点から詳しく解説します。
このページでわかること
- 多系統萎縮症で障害年金を受給できるケース
- 実際の受給事例
- もらえる金額の目安
- 受給資格と初診日の考え方
- 認定基準と診断書の選び方
- 申請するために大切なこと
多系統萎縮症でも、適切に準備すれば障害年金を受給することは可能です。
実際に、年間最低60万円以上を受給している方も多くいらっしゃいます。
1級に認定されれば、年額約105万円〜となるケースもあります。
この記事の内容は以下からすぐ確認できます。
執筆者紹介|障害年金専門社労士 但田美奈子
はじめまして。
当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。
経験15年以上・累計相談件数4,193件(令和8年6月末現在)・受給率97.8%。
うつ病をはじめ、さまざまな傷病のご相談に対応してまいりました。
障害年金は、病気やケガで日常生活や仕事が難しくなったときに支給される大切な制度です。
この記事では、受給のポイントや実際の事例、もらえる金額の目安を詳しく解説します。
申請を迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
多系統萎縮症で障害年金は難しいのか

多系統萎縮症とは、神経系の複数の系統(小脳、大脳基底核、自律神経など)がおかされる疾患で、3つのタイプがあります。引用:多系統萎縮症 – 東京逓信病院
多系統萎縮症でも、適切に準備すれば障害年金を受給することは可能です。
実際に、年間最低60万円以上を受給している方も多くいらっしゃいます。
多系統萎縮症で障害年金を申請するために大切なこと
多系統萎縮症は、ふらつき、歩行障害、排尿障害、ろれつが回りにくい、手足の動かしにくさ、自律神経症状など、症状の出方が人により異なります。
初期には泌尿器科、整形外科、内科などを受診し、すぐに多系統萎縮症と診断されないこともあります。そのため、障害年金の申請では「いつから、どの症状で、どの医療機関を受診したか」を丁寧に整理することが大切です。
- 初診日がいつか
- 最初の症状と多系統萎縮症とのつながりを説明できるか
- 肢体の診断書など、症状に合った診断書を選べているか
- 歩行、立ち上がり、排尿、食事、着替えなど日常生活の支障が診断書に反映されているか
- 病歴・就労状況等申立書で、進行の経過や生活上の困難を補足できているか
特に、多系統萎縮症は進行性の病気であり、初診日の証明と現在の生活実態の伝え方で結果が変わることがあります。症状が進んでから慌てるのではなく、早めに資料を整理しておくことが重要です。
- もらえる金額
- 受給事例
- 障害年金を受給できる条件
- 認定基準
多系統萎縮症で障害年金の金額はいくら?

多系統萎縮症で障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?
実際、受給が決まっても「いくらもらえるのか」がご心配だと思います。
そこで、多系統萎縮症で受給できる等級ごとの金額や、加算される手当を解説していきます。
- 基礎:1級と2級
- 厚生:1級、2級、3級
このように、基礎と厚生が組み合わさって、2階建ての仕組み(3級は厚生年金のみ)になっています。
もらえる金額もこれに伴って説明していきます。
また、受給した後、国民年金保険料が免除になる制度がありますので、ご検討下さい。

多系統萎縮症の障害基礎年金額と子の加算
多系統萎縮症で、障害基礎年金の1級又は2級に認定されたときの金額を解説していきます。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級 | 1,059,125円/年 +子の加算 |
| 2級 | 847,300円/年 +子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
1年の金額を6等分して、偶数月に受け取ることになります。
初回は臨時で奇数もありえますが、以後必ず偶数月に2か月分まとめて受け取る形になります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。

18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。
| 子の人数 | 金額 |
| 1人目/2人目 | 1人につき 243,800円/年 |
| 3人目以降 | 1人につき 81,300円/年 |
多系統萎縮症 の障害厚生年金額と配偶者加給年金
多系統萎縮症で、障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、基礎年金に厚生年金が加算されます。
3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。
金額は、給与や勤めていた期間(年齢)に比例するため、人によりまったく違います。
例えば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に1.5倍の差が生じます。
| 障害厚生年金 | 金額 |
| 1級 | 報酬比例額加算×1.25 + 配偶者加給年金 |
| 2級 | 報酬比例額加算×1.0 + 配偶者加給年金 |
| 3級 | 635,500円/年 金額は一律 |
報酬比例部分に300月みなしあり
報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。
例えば、会社に入社後、それほどたたずして多系統萎縮症になり障害年金の受給を開始した場合など。
最低25年は年金を納付したものとして、ある程度の額の厚生年金が受給できるようになっています。
また、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金の計算の基礎とはされません。

年金制度自体は批判も多いのですが、なかなか手厚くなっています。
計算の基礎となるのは、障害認定日までに納付したものまでです。

多系統萎縮症で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、どうなるでしょうか。
※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級・2級 (3級はなし) |
243,800円/年 |
年金生活者支援給付金
多系統萎縮症の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
年金生活者支援給付金は、基礎も厚生も変わらず2級以上であれば支給されます。
金額は毎年変動します。
| 等級 | 金額 |
| 1級 | 7,025円/月 |
| 2級 | 5,620円/月 |
多系統萎縮症の時効と遡及請求
残念ながら多系統萎縮症での請求には時効があります。
申請しなければ、過去のものは最大5年間で消滅してしまいます。
これを遡及請求といいます。
多系統萎縮症で受け取れる年金額の目安
生涯を通じた給与とボーナスの平均(例:生涯をならした平均給与500万円)を基にした、おおよその受給額です。
あくまで目安としてご参考ください(令和8年度水準)。
| ケース | 年収モデル | 等級 | 年金の種類 | 受給額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① 自営業・主婦など(国民年金のみ) | ― | 2級 | 障害基礎年金 | 847,300円/年(69,308円/月) | 定額、収入に関係なし |
| ② 自営業・主婦など | ― | 1級 | 障害基礎年金 | 1,059,125円/年(86,635円/月) | 2級の1.25倍 |
| ③ 会社員・平均年収300万円 | 300万円 | 3級 | 障害厚生年金 | 635,500円/年(51,983円/月) | 最低保障額(年収に関係なく) |
| ④ 会社員・平均年収300万円 | 300万円 | 2級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約1,440,000〜1,560,000円/年(120,000〜130,000円/月) | 基礎年金+報酬比例約5〜6万円 |
| ⑤ 会社員・平均年収500万円 | 500万円 | 2級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約1,920,000〜2,040,000円/年(160,000〜170,000円/月) | 基礎年金+報酬比例約10万円 |
| ⑥ 会社員・平均年収500万円 | 500万円 | 1級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約2,400,000〜2,520,000円/年(200,000〜210,000円/月) | 2級の1.25倍 |
以上、多系統萎縮症でもらえる年金額の詳細は、 障害年金はいくらもらえる?【2026年(令和8年度)】1級・2級・3級の金額目安と早見表 で詳しく解説しています。
受給例:多系統萎縮症で障害厚生年金2級-120万円

| 認定 | 障害厚生年金2級 認定日請求 |
| 相談者 | 男性 千葉県浦安市 |
| 傷病 | 多系統萎縮症 |
| 金額 | 約120万円 |

実際に多系統萎縮症で障害年金を受給した例をご紹介します。
ご相談者は、頻尿や排尿困難といった症状があり、最初は総合病院の泌尿器科を受診しました。
しかし、ふらつきも見られたため、同じ病院の神経内科も受診。
腰部MRIを撮影しましたが、原因は特定できず、当時は前立腺肥大症と診断され薬が処方されました。
その後、別の神経内科クリニックを受診し、頭部エックス線、CT、MRI検査の結果、小脳の萎縮が確認され、大学病院へ紹介。
最終的に、頻尿や排尿困難などの症状は多系統萎縮症によるものであると診断されました。
最初の泌尿器科の受診日を多系統萎縮症の初診日として、障害厚生年金の請求。
審査の過程で、半年後に受診した神経内科クリニックの受診状況等証明書の提出を求められましたが、それに加えて以下の書類も提出しました。
- 最初の病院の神経内科の受診状況等証明書
- 病気の特性が記載された文献
- 初診日についての申立書
多系統萎縮症は、初期段階で病名がつかないことが多いため、初診日の確定が困難な場合があります。
そのため、初診日が認められなかった場合には、審査請求および再審査請求も視野に入れていました。
障害年金を受給できる条件

多系統萎縮症で障害年金を申請するためには、次の3つの重要な要件があります。
初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日に「多系統萎縮症の認定基準に該当」すれば、受給できます。
障害認定日は初診日から1年6か月経過したところになります。
認定基準

障害年金を受給できる条件を得るために大切なことは、多系統萎縮症が障害年金の認定基準に該当するかどうかを十分に理解することです。
【参考資料】国民年金・厚生年金保険障害認定基準「肢体の機能の障害」
| 障害等級 | 多系統萎縮症の状態 |
| 1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
| 2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
| 3級 | 身体の機能に、労働が制限を受けるか、労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
多系統萎縮症は、体の様々な箇所に症状がでます。
認定基準や診断書は「その症状にあわせて」選択します。
よくあるご質問
多系統萎縮症でも障害年金を受給できますか?
多系統萎縮症でも、初診日、保険料納付要件、障害の状態の3つを満たせば、障害年金を受給できる可能性があります。
多系統萎縮症では、どの診断書を使いますか?
症状により異なります。歩行障害や手足の動かしにくさが中心であれば肢体の診断書、自律神経症状やその他の全身状態が強い場合は、症状に合った診断書を検討します。
多系統萎縮症の申請で初診日は重要ですか?
重要です。多系統萎縮症は、初期に頻尿、排尿困難、ふらつきなど別の症状から受診することがあり、最初に医師の診療を受けた日を丁寧に整理する必要があります。
申請で特に大切なことは何ですか?
病名だけでなく、歩行、立ち上がり、排尿、ふらつき、手足の動作、日常生活や仕事への支障を、診断書と病歴・就労状況等申立書で具体的に伝えることが大切です。
多系統萎縮症で障害年金を検討中の方へ
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肢体の機能の障害 認定基準 肢体の機能の障害については、次のとおりである。
引用元:日本年金機構国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第4 肢体の機能の障害
多系統萎縮症とは、神経系の複数の系統(小脳、大脳基底核、自律神経など)がおかされる疾患で、3つのタイプがあります。
引用元: 多系統萎縮症 – 東京逓信病院
令和8年4月分からの年金額等について
