
血友病で障害年金はもらえる?
結論から申し上げますと、血友病でも障害年金を受給できる可能性があります。
ただし、血友病という病名だけで決まるのではなく、出血傾向、関節症状、補充療法の状況、検査数値、日常生活や仕事への支障を総合的に見られます。
- 初診日の確認
- 血液・造血器疾患の認定基準
- 日常生活や就労上の支障の程度
この3点が重要で、同じ血友病でも受給できる方とできない方に分かれます。
「血友病で障害年金は難しいと聞くが、私はもらえるのか」
「実際に受給した例を知りたい」
「もらえる金額はどのくらいだろう」
このようなお悩みをお持ちの方に向けて、専門家の視点から詳しく解説します。
このページでわかること
- 血友病で障害年金を受給できるケース
- 実際の受給事例
- もらえる金額の目安
- 受給資格と20歳前傷病の考え方
- 血液・造血器疾患の認定基準
- 申請するために大切なこと
血友病でも、適切に準備すれば障害年金を受給することは可能です。
実際に、年間最低60万円以上を受給している方も多くいらっしゃいます。
2級に認定されれば、障害基礎年金だけでも年額約84万円となるケースがあります。
この記事の内容は以下からすぐ確認できます。
執筆者紹介|障害年金専門社労士 但田美奈子
はじめまして。
当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。
経験15年以上・累計相談件数4,193件(令和8年6月末現在)・受給率97.8%。
血友病をはじめ、さまざまな傷病のご相談に対応してまいりました。
障害年金は、病気やケガで日常生活や仕事が難しくなったときに支給される大切な制度です。
この記事では、血友病での受給のポイントや実際の事例、もらえる金額の目安を詳しく解説します。
申請を迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
血友病で障害年金は難しいのか

血友病は、出血を止める要素のうち凝固因子と呼ばれる物質の働きが遺伝的に十分ではないために、出血が止まりにくくなる病気です。引用:血友病 (けつゆうびょう)とは | 済生会
血友病でも、適切に準備すれば障害年金を受給することは可能です。
実際に、年間最低60万円以上を受給している方も多くいらっしゃいます。
血友病で障害年金を申請するために大切なこと
血友病は、先天性の病気として20歳前傷病の請求になるケースが多くあります。
その場合、障害基礎年金の1級又は2級に該当する状態かどうかが重要です。
また、血友病の認定では、凝固因子活性などの検査数値だけでなく、出血傾向、関節症状、補充療法の頻度、治療経過、日常生活や就労上の支障が総合的に判断されます。
- 20歳前傷病として請求するのか、厚生年金加入中の初診日で請求するのか
- 出血傾向や関節症状がどの程度あるか
- 補充療法をどの程度行っているか
- 日常生活や仕事にどのような制限があるか
- 検査数値だけでなく、生活実態が診断書や申立書に反映されているか
特に、血友病は検査数値だけを並べるよりも、関節症状や出血への不安により、実際の生活や仕事がどの程度制限されているかを具体的に整理することが大切です。
- 受給事例
- 金額はいくらもらえるのか
- 障害年金を受給できる条件
- 認定基準
血友病の障害年金受給例

| 認定 | 障害基礎年金2級 |
| 相談者 | 男性 神奈川県横浜市 |
| 傷病 | 血友病A |
| 金額 | 約80万円 |
実際に血友病で障害年金を受給した例をご紹介します。
今回は、先天性血液凝固第Ⅷ因子障害(血友病A)のご相談を受けました。
ちなみに、血友病AとBで認定基準に差はありません。
血友病は先天性の病気ですが、これまで年金請求はされていませんでした。
先天性の病気であるため、子供の頃から治療を受けている場合、血友病の年金請求は基礎年金(20歳前)の請求となります。
この場合、受給するためには2級以上の認定が必要です。
今回のケースでは、請求から決定まで86日間かかりました。
血友病で障害年金の金額はいくら?

血友病で障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?
実際、受給が決まっても「いくらもらえるのか」がご心配だと思います。
そこで、血友病で受給できる等級ごとの金額や、加算される手当を解説していきます。
- 基礎:1級と2級
- 厚生:1級、2級、3級
このように、基礎と厚生が組み合わさって、2階建ての仕組み(3級は厚生年金のみ)になっています。
もらえる金額もこれに伴って説明していきます。
また受給した後、国民年金保険料が免除になる制度がありますので、ご検討下さい。

血友病の障害基礎年金額と子の加算
血友病で、障害基礎年金の1級又は2級に認定されたときの金額を解説していきます。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級 | 1,059,125円/年 +子の加算 |
| 2級 | 847,300円/年 +子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
1年の金額を6等分して、偶数月に受け取ることになります。
初回は臨時で奇数もありえますが、以後必ず偶数月に2か月分まとめて受け取る形になります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。

18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。
| 子の人数 | 金額 |
| 1人目/2人目 | 1人につき 243,800円/年 |
| 3人目以降 | 1人につき 81,300円/年 |
血友病の障害厚生年金額と配偶者加給年金
血友病で、障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、基礎年金に厚生年金が加算されます。
3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。
障害厚生年金の金額は、給与や勤めていた期間(年齢)に比例するため、人によりまったく違います。
例えば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に1.5倍の差が生じます。
| 障害厚生年金 | 金額 |
| 1級 | 報酬比例額加算×1.25 + 配偶者加給年金 |
| 2級 | 報酬比例額加算×1.0 + 配偶者加給年金 |
| 3級 | 635,500円/年 金額は一律 |
報酬比例部分に300月みなしあり
報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。
例えば、会社に入社後、それほどたたずして血友病になり障害年金の受給を開始した場合など。
最低25年は年金を納付したものとして、ある程度の額の厚生年金が受給できるようになっています。
また、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金の計算の基礎とはされません。
計算の基礎となるのは、障害認定日までに納付したものまでです。

血友病で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、どうなるでしょうか。
その場合、配偶者である夫についても加給年金が支給されます。
※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級・2級 (3級はなし) |
243,800円/年 |
年金生活者支援給付金
血友病の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
年金生活者支援給付金は基礎も厚生も変わらず2級以上であれば支給されます。
金額は毎年変動します。
| 等級 | 金額 |
| 1級 | 7,025円/月 |
| 2級 | 5,620円/月 |
血友病の時効と遡及請求
残念ながら血友病での請求には時効があります。
申請しなければ、過去のものは最大5年間で消滅してしまいます。
これを遡及請求といいます。
血友病で受け取れる年金額の目安
生涯を通じた給与とボーナスの平均(例:生涯をならした平均給与500万円)を基にした、おおよその受給額です。
あくまで目安としてご参考ください(令和8年度水準)。
| ケース | 年収モデル | 等級 | 年金の種類 | 受給額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① 自営業・主婦など(国民年金のみ) | ― | 2級 | 障害基礎年金 | 847,300円/年(69,308円/月) | 定額、収入に関係なし |
| ② 自営業・主婦など | ― | 1級 | 障害基礎年金 | 1,059,125円/年(86,635円/月) | 2級の1.25倍 |
| ③ 会社員・平均年収300万円 | 300万円 | 3級 | 障害厚生年金 | 635,500円/年(51,983円/月) | 最低保障額(年収に関係なく) |
| ④ 会社員・平均年収300万円 | 300万円 | 2級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約1,440,000〜1,560,000円/年(120,000〜130,000円/月) | 基礎年金+報酬比例約5〜6万円 |
| ⑤ 会社員・平均年収500万円 | 500万円 | 2級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約1,920,000〜2,040,000円/年(160,000〜170,000円/月) | 基礎年金+報酬比例約10万円 |
| ⑥ 会社員・平均年収500万円 | 500万円 | 1級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約2,400,000〜2,520,000円/年(200,000〜210,000円/月) | 2級の1.25倍 |
以上、血友病でもらえる年金額の詳細は、 障害年金はいくらもらえる?【2026年(令和8年度)】1級・2級・3級の金額目安と早見表 で詳しく解説しています。
障害年金を受給できる条件

血友病で障害年金を申請するためには、次の3つの重要な要件があります。
初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日に「血友病の認定基準に該当」すれば、受給できます。
障害認定日は初診日から1年6か月経過したところになります。
大切なことは「血友病という名称ではなく、病状がどのような状態であれば、認定基準に該当するのか」十分に理解することです。
血液・造血器疾患による障害の認定基準

血友病は、障害年金では主に「血液・造血器疾患による障害」の認定基準をもとに審査されます。
血友病で大切なのは、病名そのものではなく、出血傾向、関節症状、補充療法の頻度、検査成績、日常生活や就労上の支障を総合的に見てもらうことです。
血友病で特に見られやすいポイント
| 確認される項目 | 血友病での見られ方 |
|---|---|
| 出血傾向 | 出血しやすい、止まりにくい、内出血を繰り返すなど |
| 関節症状 | 関節内出血による痛み、可動域制限、歩行や作業への支障など |
| 補充療法 | 凝固因子製剤などの補充療法をどの程度行っているか |
| 検査成績 | APTT、PT、血小板数、凝固因子活性など |
| 生活・仕事への影響 | 通勤、外出、立ち仕事、重い物を持つ作業、家事、入浴などへの制限 |
等級の目安
血友病を含む血液・造血器疾患では、検査数値だけで機械的に決まるのではなく、一般状態や日常生活への支障も含めて総合的に判断されます。
| 等級 | 状態の目安 |
|---|---|
| 1級 | 日常生活の用を弁ずることができない程度。身のまわりのことにも常に介助を要するような状態。 |
| 2級 | 日常生活に著しい制限がある程度。歩行、外出、家事、身のまわりの動作に大きな支障がある状態。 |
| 3級 | 労働に著しい制限がある程度。仕事の内容、勤務時間、通勤、立ち仕事などに制限がある状態。 |
血友病で中心となる「血栓・止血疾患」の見方
血友病は、認定基準上は「血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症等」の区分で検討されることが多いです。
| 区分 | 臨床所見の例 | 検査所見の例 |
|---|---|---|
| Ⅰ | 高度の出血傾向、血栓傾向又は関節症状。補充療法をひんぱんに行っている。 | APTT又はPTが基準値の3倍以上、凝固因子活性1%未満など。 |
| Ⅱ | 中度の出血傾向、血栓傾向又は関節症状。補充療法を時々行っている。 | APTT又はPTが基準値の2倍以上3倍未満、凝固因子活性1%以上5%未満など。 |
| Ⅲ | 軽度の出血傾向、血栓傾向又は関節症状。補充療法を必要に応じて行っている。 | APTT又はPTが基準値の1.5倍以上2倍未満、凝固因子活性5%以上40%未満など。 |
ただし、インヒビターが出現している場合などは、検査所見だけではなく、臨床所見、治療経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮して総合的に認定されます。
血友病の認定基準で特に注意したいこと
- 血友病Aと血友病Bで、障害年金の認定基準そのものに大きな違いはありません。
- 20歳前からの病気として請求する場合、障害基礎年金は2級以上に該当する必要があります。
- 検査数値がある程度あっても、日常生活や就労上の支障が診断書に十分反映されていないと、実態が伝わりにくくなります。
- 関節症状が強い場合は、血液の状態だけでなく、肢体の障害としての評価が関係することもあります。
血友病の障害年金は、検査数値、治療内容、関節症状、生活上の支障を整理して申請することが大切です。
不明点がある場合は、早めにご相談ください。
よくあるご質問
血友病Aと血友病Bで認定基準は違いますか?
障害年金の認定基準としては、血友病Aと血友病Bで大きな違いはありません。重要なのは、出血傾向、関節症状、補充療法の状況、検査成績、日常生活や就労上の支障です。
血友病は20歳前傷病になりますか?
先天性の血友病で、子供の頃から治療を受けている場合は、20歳前傷病として障害基礎年金で請求することが多くなります。この場合、原則として2級以上に該当する必要があります。
検査数値だけで障害年金の等級は決まりますか?
検査数値だけで決まるわけではありません。臨床所見、治療内容、関節症状、具体的な日常生活状況などを含めて総合的に判断されます。
血友病で障害年金を検討中の方へ
血友病の障害年金は、20歳前傷病、初診日、検査成績、補充療法、関節症状、日常生活や就労上の支障など、確認すべき点が多い申請です。
ご自身の状態で障害年金の対象になるか迷われている方は、まずはお気軽にご相談ください。
