統合失調症で障害年金を申請するのは難しいのでしょうか?受給するために、審査の認定基準を専門の女性社労士が解説!
特に、診断書の「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」の記載内容が重要です。
この記事の目次
統合失調症も障害年金はもらえるのか
私は統合失調症と診断されたので、障害年金を貰えますよね?と相談されることがあります。
病名のみで受給できる訳ではないのです。

統合失調症で障害年金を受給するために大切なポイントです。
- 初診日の特定(特に病歴が長くなりがち)
- 陽性症状と陰性症状が、日常生活能力の判定欄と程度欄にどの程度影響があるのか、診断書に整合性が取れて記載されている。
- 病歴・就労等申立書と診断書に整合性がある。
具体的に審査はどのような基準なのかを解説します。
統合失調症の障害年金受給例・もらえる金額もご参考下さい。
受給例の紹介と、金額はいくらもらえるなど専門の女性社労士が解説!
受給資格
受給資格を得るために以下の3つが大切になります。
初診日と保険料納付要件はそれぞれご確認下さい。
認定基準を解説していきます。
※以下、日本年金機構に掲載されている認定基準を元にわかりやすく加筆修正。
精神疾患の認定基準
精神疾患全体の認定基準は精神疾患で障害年金をもらえる状態とはを参照下さい。
精神疾患で障害年金をもらうために大切なことは、どのような状態であれば精神疾患で障害年金の認定基準に該当するのかです。
統合失調症の認定基準
大切なことは統合失調症という病名ではなく、障害年金の認定基準に該当するかどうかを十分に理解することです。
(1)各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおり。
等級 | 障害の状態 |
1 級 | 高度の残遺状態又は病状があるため高度の人格変化、思考障害その他もう想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の介護が必要なもの。 |
2級 | 残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他もう想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの。 |
3級 | 残遺状態又は病状があり人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他もう想・幻覚等に異常体験があり、労働が制限を受けるもの。 |
(2)統合失調症の認定にあたっては、次の点を考慮のうえ慎重に行う。
※統合失調症は予後不良の場合もあり、国年令別表・厚年令別表第1に定める障害の状態に該当すると認められるものが多い。
しかし、罹病後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり、その反面急激に増悪し、その状態を持続することもある。
したがって、統合失調症として障害年金の認定を行うものに対しては、発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する。
(3)統合失調症の日常生活能力等の判定にあたっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。
現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えない。
その他以下の療養状況を考慮
- 仕事の種類
- 内容
- 就労状況
- 仕事場で受けている援助の内容
- 他の従業員との意思疎通の状況等を十分考慮
- 日常生活能力を判断

仕事をしていても状態により対象になると記載されています。
(4)人格障害は、原則として統合失調症の障害年金認定の対象とならない。
(5)神経症にあっては、その症状が長期間持続し一見重症なものであっても、原則として障害年金認定の対象とならない。
ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取扱う。
詳しくは、神経症で障害年金の申請はできるのか?に記載しています。
障害年金の中でも相談が非常に多いのが精神疾患です。主に精神病と神経症があります。神経症は障害年金の対象となるのでしょうか。専門の社労士が解説。
日常の生活能力について
最初に記載したように、診断書の「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」の記載内容が重要です。
軽快したり増悪したりするものです。
また、人によって症状も様々です。
認定は、入院の有無や経過ももちろん重要な要素ですが、やはり日常生活能力によるところが大きいです。

お医者さんに、日常生活の状態をよく伝え理解してもらい、適切な診断書を作成して頂くことが必要です。
幻聴や妄想
統合失調症で障害年金を受給できる場合の代表的な症状としては、幻聴や妄想があります。
では、受給の必須条件かというと、そんなことはありません。
初期の頃は、幻聴や妄想は出ていたが今は殆どみられず、暴言や破壊行為を繰り返している。又は陰性症状で、無気力・無表情で何事にも鈍磨になっている。
これらの症状も審査では評価されますので障害年金の申請は出来ます。
病職がないとき
統合失調症の方は病識がない場合も多く、基本的に日常がその状態のため慣れが生じてしまうのです。
自己判断で受診を中断されているケースも多いので、認定日当時の診断書が取れず、やむを得ず事後重症請求になることもあります。
また、カルテがなかったり医院が廃業したりと、統合失調症の障害年金申請は病状が長くなると初診の証明が困難を極めることもあります。
統合失調症は初診日が特定できない場合が多く、不支給となることも(かなり多く)ありますので、申請の準備は慎重にしましょう。
このあたりは複雑になってくるので、無料相談で行っています。是非ご利用ださい。
等級判定ガイドライン
統合失調症の障害年金審査にガイドラインがございます。
統合失調症の障害年金審査における地域格差をなくすためのものです。
審査の地域格差をなくすためのものであり下にまとめました。
精神疾患(うつ病、双極性障害、統合失調症、発達障害等)での、障害年金の審査が等級判定ガイドラインにより大きく変わりました。専門の女性社労士が解説。
薬で治まっている状態は
ある質問を頂きました。
Q.家族が、数年前に統合失調症と診断され、現在も心療内科に通院しています。
現在、薬で被害妄想などはなんとか治まっていますが、働くことはおろか、無気力状態で家の中の家事等は一切できない状態です。
障害年金の対象になるでしょうか。
A.お仕事ができる状態ではなく、日常生活にもかなりの支障が出てらっしゃるようですので、対象になると思われます。

勿論初診日や納付の要件を満たしていることが前提となります。
働いている場合
仕事をして働いていたり収入がある場合も審査判断はわかれます。
フルタイムに近いほど、やはり審査は難しい傾向があります。
仕事をしていると日常の生活能力があると見られやすいですし、障害の状態も軽いと判断されやすくなります(特にフルタイムに近いほど)
仕事や収入があると精神疾患で障害年金の申請はできないのかに詳しくまとめました。
よくご質問を頂くのが、精神疾患で仕事をしていたり、収入があったりしても障害年金の対象になるのか?ということです。障害年金の認定基準は、日常生活に著しい制限があるのか?労働(仕事)の制限はあるのか?により判断されます。
統合失調症の障害年金申請はいろいろと複雑な点もあり、女性社労士が初回無料相談で受給判定や申請サポートをしています。
精神の障害による障害の程度は、次により認定する。
「統合失調症」とは