
うつ病でも障害年金を受給できる可能性はあります
ただし、障害年金は「うつ病」という病名だけで決まるものではありません。
日常生活への支障、診断書の内容、病歴・就労状況等申立書との整合性が重要になります。
このようなお悩みはありませんか。
- うつ病で障害年金は難しいと聞いたが、自分はもらえるのか
- うつ病で実際に受給した例を知りたい
- うつ病でもらえる金額はどのくらいなのか
このようなお悩みをお持ちの方に向けて、うつ病と障害年金の考え方を解説します。
このページでわかること
- うつ病で障害年金を受給できるケース
- うつ病で障害年金が難しくなるケース
- うつ病の障害年金受給例
- うつ病でもらえる金額の目安
- 精神疾患の認定基準と等級の考え方
- 働きながらの受給が難しい理由
この記事の内容は以下からすぐ確認できます。
執筆者紹介|障害年金専門社労士 但田美奈子
はじめまして。
当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。
経験15年以上・累計相談件数4,250件(令和8年8月末現在)・受給率97.8%。
うつ病をはじめ、さまざまな傷病のご相談に対応してまいりました。
障害年金は、病気やケガで日常生活や仕事が難しくなったときに支給される大切な制度です。
この記事では、うつ病で障害年金を申請するときのポイント、受給例、金額、認定基準を解説します。
申請を迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
うつ病で障害年金は難しいのか

うつ病でも、日常生活や仕事に大きな支障があれば、障害年金を受給できる可能性があります。
ただし、初診日や保険料納付要件、障害認定基準など、障害年金の要件を満たしているかを確認する必要があります。
うつ病などの精神疾患は、症状の重さが外から分かりにくく、検査数値だけで状態を示しにくい面があります。
そのため、障害年金の審査では、病名そのものよりも、実際の日常生活や就労への支障がどこまであるかが重要になります。
テレビや新聞でも取り上げられているように、うつ病による障害年金の相談は増えています。
厚生労働白書でも、「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」として、こころの健康が取り上げられています。
うつ病で障害年金を受給できるケース
日常生活に継続的な支障がある場合は、受給の可能性を検討します。
家族の援助が必要な状態や、就労が大きく制限されている状態であれば、障害年金の対象になるかを確認します。
たとえば、次のような状態がある場合は、受給の可能性を検討します。
- 日常生活に継続的な支障がある
- 一人での生活が難しく、家族などの援助が必要である
- 就労が困難、または大きく制限されている
- 通院や服薬を継続している
重要なのは、「うつ病」という病名そのものではなく、日常生活や仕事にどの程度の支障が出ているかです。
うつ病で障害年金が難しいケース
フルタイム勤務が安定している場合は、審査が厳しくなることがあります。
また、診断書と実際の生活状況が合っていない場合も注意が必要です。
たとえば、次のような場合は注意が必要です。
- フルタイム勤務が安定して継続できている
- 日常生活に大きな支障がみられない
- 診断書の内容が実際の生活状況と一致していない
- 初診日の証明ができない
うつ病で障害年金が難しいと言われる理由の多くは、実際の生活状況や就労状況が診断書や申立書に正しく反映されていないことにあります。
特に、次の2点が重要です。
- 実際の障害状態と医師の診断書との整合性
- 診断書と病歴・就労状況等申立書の整合性
これらのポイントを押さえることで、受給の可能性は変わります。
このあと、実際の受給例、金額、認定基準について順に解説します。
うつ病の障害年金受給例

うつ病の障害年金は、初診日、診断書、申立書、就労状況などをもとに個別に判断されます。
実際の受給例を見ることで、どのような点が審査で問題になりやすいか、イメージしやすくなります。
再請求で障害基礎年金2級になった例
一度不支給になっても、再請求で認められる場合があります。
現在の状態を整理し、診断書や申立書の内容を改めて確認することが大切です。
| 認定 | 障害基礎年金2級 事後重症請求 |
| 相談者 | 50代男性 東京都江戸川区 |
| 傷病 | うつ病 |
| 金額 | 約80万円 |

奥さまからのご相談でした。ご本人が遡及請求を行った結果、障害認定日も現在の状態も不支給となりました。
提出済みの書類を確認したところ、診断書の「日常生活能力の判定」および「日常生活能力の程度」は、障害基礎年金2級に該当し得る内容でした。
一方で、コメント欄が就労状況の記載に偏っており、実際の生活状況が十分に伝わっていない可能性がありました。
審査請求とあわせて、現在の状態で新たに事後重症請求を行うことをご提案しました。
審査請求は認められませんでしたが、再請求では約4か月で障害基礎年金2級が認められました。
遡及請求で障害厚生年金2級になった例
障害認定日当時と現在の状態が認められれば、遡及請求ができる場合があります。
遡及請求では、障害認定日当時の診断書と、現在の診断書を確認しながら進めます。
| 認定 | 障害厚生年金2級 遡及請求5年 |
| 相談者 | 女性 東京都品川区 |
| 傷病 | うつ病 |
| 金額 | 約170万円 遡及請求約930万円 |

厚生年金に加入していた時期に、うつ病の初診日がありました。
初診日は約6年前で、発症後は休職を経て退職されています。
初診日は大阪でしたが、受診状況等証明書は問題なく取得できました。
認定日頃は現在のクリニックで受診されていたため、障害認定日頃と現在の2枚の診断書を提出して申請しました。
今回、パートナー様との関係証明に時間を要しました。長く入籍されていないことや、認定日頃に住民票が別だった時期があったためです。
追加書類として、当時の結婚式の証明書や請求書まで提出することになりました。
申請から決定までの期間は243日(約8か月)かかりましたが、無事に障害厚生年金2級が認められ、遡及も5年認められました。
うつ病の障害年金受給事例集
うつ病の障害年金は、事例ごとに確認すべきポイントが異なります。
地域、請求方法、初診日、診断書の内容などによって、進め方が変わることがあります。
受給事例が増えてきましたので、以下にまとめています。
| 東京 | 江戸川区 | 江東区 |
| 神奈川 | 埼玉 | 千葉 |
うつ病で障害年金の金額はいくら?

うつ病でもらえる金額は、年金の種類、等級、家族構成などで変わります。
- 障害基礎年金:1級と2級
- 障害厚生年金:1級、2級、3級
障害基礎年金と障害厚生年金が組み合わさる場合もあり、3級は障害厚生年金のみです。
受給後は、国民年金保険料が免除になる制度もあります。

うつ病の障害基礎年金額と子の加算
障害基礎年金は、1級・2級ごとに定額で決まります。
該当する子どもがいる場合は、子の加算が付きます。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級 | 1,059,125円/年 + 子の加算 |
| 2級 | 847,300円/年 + 子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
年金は、1年分を6回に分け、原則として偶数月に2か月分ずつ受け取ります。
初回は、決定時期により奇数月に支給されることや、1か月分のみ支給されることもあります。
障害基礎年金の子の加算

18歳の年度末までの子どもがいる場合などは、子の加算が付くことがあります。
一般的には、高校卒業までの子どもがいる場合と考えると分かりやすいです。
| 子の人数 | 金額 |
| 1人目/2人目 | 1人につき 243,800円/年 |
| 3人目以降 | 1人につき 81,300円/年 |
うつ病の障害厚生年金額と配偶者加給年金
障害厚生年金1級・2級では、障害基礎年金に厚生年金が上乗せされます。
3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。
障害厚生年金の金額は、給与や厚生年金に加入していた期間などにより、人によって異なります。
たとえば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に差が生じます。
| 障害厚生年金 | 金額 |
| 1級 | 報酬比例額加算×1.25 + 配偶者加給年金 |
| 2級 | 報酬比例額加算×1.0 + 配偶者加給年金 |
| 3級 | 635,500円/年 金額は一律 |
報酬比例部分に300月みなしあり
厚生年金期間が300月未満でも、300月として計算されます。
たとえば、会社に入社して間もない時期にうつ病になり障害年金を受給する場合でも、最低25年は年金を納付したものとして計算される仕組みです。
なお、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金額の計算の基礎にはされません。
計算の基礎となるのは、障害認定日までに納付したものまでです。
障害厚生年金の配偶者加給年金

障害厚生年金1級・2級では、配偶者加給年金が付く場合があります。
生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいるかなどを確認します。
配偶者の年収が850万円未満であることなどの確認が必要です。
奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合でも、要件を満たせば配偶者である夫について加給年金が支給されます。
ただし、配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないことなどが必要です。
| 障害等級 | 金額 |
| 1級・2級 (3級はなし) | 243,800円/年 |
年金生活者支援給付金
障害基礎年金1級・2級を受給している場合、給付金が上乗せされることがあります。
年金生活者支援給付金は、障害基礎年金を受給している方のうち、一定の要件を満たす方に支給される給付金です。
金額は毎年変動します。
| 等級 | 金額 |
| 1級 | 7,025円/月 |
| 2級 | 5,620円/月 |
うつ病の時効と遡及請求
障害認定日当時の状態が認められれば、最大5年分をさかのぼれる場合があります。
障害年金は、請求しなければ過去分が最大5年間で時効により消滅してしまいます。
遡及請求ができる場合は、障害認定日当時の診断書などを確認して進めます。
うつ病で受け取れる年金額の目安
年金額は、加入していた年金制度や等級によって変わります。
以下は、生涯を通じた給与とボーナスの平均をもとにした、おおよその受給額です。
あくまで目安としてご参考ください(令和8年度水準)。
| ケース | 年収モデル | 等級 | 年金の種類 | 受給額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① 自営業・主婦など(国民年金のみ) | ― | 2級 | 障害基礎年金 | 847,300円/年 (69,308円/月) |
定額、収入に関係なし |
| ② 自営業・主婦など | ― | 1級 | 障害基礎年金 | 1,059,125円/年 (86,635円/月) |
2級の1.25倍 |
| ③ 会社員・平均年収300万円 | 300万円 | 3級 | 障害厚生年金 | 635,500円/年 (51,983円/月) |
最低保障額(年収に関係なく) |
| ④ 会社員・平均年収300万円 | 300万円 | 2級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約1,440,000〜1,560,000円/年 (120,000〜130,000円/月) |
基礎年金+報酬比例約5〜6万円 |
| ⑤ 会社員・平均年収500万円 | 500万円 | 2級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約1,920,000〜2,040,000円/年 (160,000〜170,000円/月) |
基礎年金+報酬比例約10万円 |
| ⑥ 会社員・平均年収500万円 | 500万円 | 1級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 | 約2,400,000〜2,520,000円/年 (200,000〜210,000円/月) |
2級の1.25倍 |
※年金額は日本年金機構の公表資料をもとに記載しています。出典:令和8年4月分からの年金額等について
うつ病でもらえる年金額の詳細は、障害年金はいくらもらえる?でも詳しく解説しています。
お客様の声
実際に受給された方の声は、これから申請する方の参考になります。
多くの方から温かいお言葉をいただいております。それらの声が、私の何よりの励みです。いつも本当にありがとうございます。
うつ病で障害年金を受け取れる条件(受給資格)

うつ病で障害年金を受け取るには、3つの要件を確認します。
初診日、保険料納付要件、障害認定基準の3つです。
初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日にうつ病の認定基準に該当すれば、障害年金を受給できる可能性があります。
障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。
精神疾患の障害年金認定基準

精神疾患では、日常生活状況や治療経過などを総合的に見て判断されます。
精神疾患全体の基準は、等級について次のように規定しています。
| 障害の程度 | 障害の状態 |
| 1級 |
精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの →身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできない又は行えない程度 |
| 2級 |
精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの →家庭内の軽食・最低限の洗濯等はできるが、それ以上の活動はできない程度 |
| 3級 |
精神に、労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの 精神に、労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの →労働することはできるが、健常者と同等に労働することはできない程度 |
精神疾患は、原因、症状、治療、病状の経過、具体的な日常生活状況などにより総合的に認定されます。
うつ病で障害年金が難しくなる大きな理由は、病歴、治療経過、仕事や日常生活の状況が診断書に十分反映されていないことがあるためです。
そのため、主治医に日常生活の状況や就労状況を適切に伝えることが大切です。
うつ病の障害年金認定要領

うつ病は、認定上「気分(感情)障害」として判断されます。
症状の経過や日常生活の状態を踏まえて、等級が検討されます。
うつ病の等級は、常時援助、日常生活の著しい制限、労働制限という流れで考えると分かりやすいです。
| 等級 | 状態 |
| 1級 | 高度の気分、意欲・行動及び高度の思考障害の病相期があり、かつこれが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの |
| 2級 | 気分、意欲・行動及び思考障害の病相期があり、かつこれが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの |
| 3級 | 気分、意欲・行動及び思考障害の病相期があり、その症状は著しくないがこれが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの |
うつ病は、本来、症状の著明な時期と症状が消失する時期を繰り返すとされています。
そのため、現症だけでなく、症状の経過や日常生活活動等の状態を十分考慮して認定されます。
また、うつ病とその他の精神疾患が併存している場合は、併合認定ではなく、諸症状を総合的に判断します。
日常生活能力等の判定では、身体的機能および精神的機能を考慮し、社会的な適応性の程度によって判断するよう努めるとされています。
仕事をしていることだけで、直ちに対象外とは判断されません。
療養状況、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等も考慮されます。
なお、人格障害は原則として認定の対象になりません。
神経症についても、症状が長期間持続し、一見重症であっても、原則として認定の対象になりません。
ただし、精神病の病態を示しているものは、統合失調症または気分(感情)障害に準じて取り扱われることがあります。
詳しくは、神経症・パーソナル障害と障害年金をご覧ください。
精神の障害に係る等級判定ガイドライン

精神疾患では、等級判定ガイドラインも踏まえて審査されます。
このガイドラインは、地域差をなくし、認定事務を統一する趣旨で運用されています。
審査では、診断書に記載される「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」が重要になります。
うつ病に関する等級判定ガイドラインの具体的な等級や運用状況については、精神の障害に係る等級判定ガイドラインにまとめています。
参考引用:日本年金機構『精神の障害に係る等級判定ガイドライン』等
働きながらの受給は難しいのか
働いているだけで対象外ではありませんが、安定勤務の場合は審査が厳しくなります。
障害年金は、主に生活の所得保障を目的とする制度です。
そのため、通常の仕事が安定してできるほど回復していると判断される場合は、審査が厳しくなる傾向があります。
一方で、パートタイムの短時間勤務や、職場で大きな配慮を受けている場合などは、就労状況の中身を丁寧に確認する必要があります。
働きながらの受給については、うつ病の障害年金は働きながらもらえるのか?でも概要をまとめています。
よくあるご質問
一度不支給になった場合
一度不支給になっても、再請求できる場合があります。
実際に、一度不支給となった後に書類を整え直し、事後重症請求などで認定されたケースもあります。
不支給になった場合は、理由を確認し、診断書や申立書の内容を検討することが重要です。
診断書の重要性
うつ病の障害年金では、診断書が非常に重要です。
精神疾患は、数値だけで病状を測ることが難しいため、診断書の内容が非常に大きな判断材料になります。
実際の日常生活や就労状況が医師に正しく伝わっていないと、不当に軽い等級になったり、不支給になったりするおそれがあります。
うつ病で障害年金2級になるケース
日常生活に著しい制限があれば、2級に認定される可能性があります。
一人暮らしが困難で家族の援助を受けている場合や、外出、食事、清潔保持、金銭管理などに支障がある場合は、診断書や申立書で具体的に伝えることが大切です。
初診日が分からない場合
カルテがない場合でも、他の資料から初診日を検討できることがあります。
受診状況等証明書やカルテがない場合でも、紹介状、お薬手帳、当時の領収書、第三者の証明などから検討できることがあります。
初診日の証明に不安がある場合は、早めに確認することが大切です。
うつ病で障害年金を検討中の方へ
うつ病の障害年金は、日常生活・就労状況・診断書などを総合的に確認します。
自分が受給できる状態か分からない方、診断書の内容に不安がある方は、早めにご相談いただくことで見通しが立てやすくなります。
少しでも気になる点があれば、まずは無料でご相談ください。
参考資料
認定基準や年金額の詳細は、以下の公的資料をご参照ください。
精神の障害による障害の程度は、次により認定する。
令和8年4月分からの年金額等について
引用元:令和8年4月分からの年金額
精神の障害に係る等級判定ガイドライン
