この記事では、受給のポイントや実際の事例、もらえる金額の目安を詳しく解説します。

申請を迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

解説

具体的にどうすれば、人工弁で障害年金を受給できるのでしょうか?以下の順でお話します。

  1. 申請するために大切なこと
  2. もらえる金額
  3. 受給事例
  4. 受給資格
  5. 認定基準

この記事の目次

人工弁で申請するために大切なこと

人工弁で障害年金を申請するために大切なこと

人工弁で障害年金を受給するために大切なところになります。

  1. 臨床所見の自覚症状
  2. 他覚所見かつ異常検査所見

以上をしっかり確認してください。

また初診日が数年前の健康診断で指摘されており、古い記録になることも多くあります。

病院自体やカルテが既に無いなどの問題があり、「初診日確定」のために、診断を受けた医療機関をまとめていきましょう。

人工弁で障害年金の金額はいくら

人工弁で障害年金 金額はいくら

人工弁で障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?

実際、受給が決まっても「いくらもらえるのか」がご心配だと思います。

そこで、人工弁で受給できる等級ごとの金額や、加算される手当を解説していきます。

障害年金には、「基礎」と「厚生」の2つがあります。

  1. 基礎::1級と2級
  2. 厚生::1級、2級、3級

このように、基礎と厚生が組み合わさって、2階建ての仕組み(3級は厚生年金のみ)になっています。

もらえる金額もこれに伴って説明していきます。

障害年金の額

人工弁の障害基礎年金額

人工弁で、障害基礎年金の1級又は2級に認定されたときの金額を解説していきます。

もし遡及請求できる場合、最大で5年間遡って受け取れます。

障害等級 金額
障害厚生年金

1級

1,039,625円/年

+子の加算

障害基礎年金

2級

831,700円/年

+子の加算

受給権を得た後、翌月分から支給されます。

1年の金額を6等分して、偶数月に受け取ることになります。初回は臨時で奇数もありえますが、以後必ず偶数月に2か月分まとめて受け取る形になります。

※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。

子の加算

18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。

社労士より

一般的には高校卒業までということです

子の人数 金額
1人目

2人目

1人につき 239,300円/年
3人目以降 1人につき 79,800円/年

年金手帳と通帳

人工弁の障害厚生年金額

人工弁で、障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、障害基礎年金に加えて厚生年金が加算されます。

3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。

障害厚生年金の金額は、給与や勤めていた期間(年齢)に比例するため、人によりまったく違います。

例えば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に1.5倍の差が生じます。

障害厚生年金

1級

報酬比例額加算×1.25

+配偶者加給年金

障害厚生年金

2級

報酬比例額加算×1.0

+配偶者加給年金

障害厚生年金

3級

623,800円/年

金額は一律

配偶者加給年金

人工弁で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。

よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、どうなるでしょうか。その場合、配偶者である夫についても加給年金が支給されます。

※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。

障害等級 金額
1級・2級

(3級はなし)

239,300円/年

障害年金の検討

年金生活者支援給付金

人工弁の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。

年金生活者支援給付金は基礎も厚生も変わらず2級以上であれば支給されます。

金額は毎年変動します。

1級 6,813円/月
2級 5,450円/月

以上、人工弁でもらえる金額の詳細は下記にまとめました。

障害年金のもらえる金額はいくらなのか?に概要をまとめました。

人工弁の障害年金受給例

人工弁で障害年金受給例を紹介します

実際に人工弁で障害年金を受給した例をご紹介します。

いろいろなケースがございますので、ご参考ください。

大動脈弁閉鎖不全症で障害厚生年金3級

認定 障害厚生年金3級 障害認定日請求
相談者 40代女性 埼玉県富士見市
傷病 大動脈弁閉鎖不全症
金額 約70万円

障害認定日による請求

1年程前にご依頼を受けた方(無事、障害厚生年金3級受給)からのご連絡。

奥様が会社の健康診断で心雑音を指摘され、精査の為受診。

精密検査で、中度から重度の大動脈弁閉鎖不全症と診断。

それ以前に指摘をうけたことはなく、又自覚症状も全くなかった為すごく驚かれたようです。

セカンドオピニオンで他院も受診。

手術適応の状態であるが、6か月の経過観察を指示。

しかし5か月後に「空咳、易疲労感、むくみ、しびれ」の症状が悪化し人工弁置換等の手術を受けることに。

初診日から1年6月を経過する前の「人工弁置換術」ですので、手術日を障害認定日とする特例で障害厚生年金を申請。

請求から決定まで77日間。

初診日が厚生年金加入中の方で、人工弁置換術を受けられた方は、就労されていても収入が高くても障害年金が受給できます。

まだまだ、人工弁で障害年金が申請できることをご存知ない方が多いと感じています。

社労士より

ご自分が対象になるかどうか、ご相談ください。

特に大動脈弁閉鎖不全症の相談が多いため、受給例をまとめました。

(感染性心内膜炎)僧帽弁人工弁置換で障害厚生年金3級

認定 障害厚生年金3級 事後重症請求
相談者 30代男性 東京都板橋区
傷病 感染性心内膜炎
金額 約60万円

事後重症による請求

人工弁に置換の為入院中に、メールで障害年金についてお問い合わせ。

その後日本橋の事務所にてご相談。

初診日が13年以上前でしたが、そのときは厚生年金加入中でした。

障害厚生年金の請求に向けて準備に。

カルテは13年以上前のため、初診の大きな病院では既に廃棄。

数日後に受診された、近所の内科クリニックに残っており、無事受診状況等証明書を取得することができました!

人工弁の診断書も問題なくスムーズに準備が進み、障害厚生年金の申請。

請求から71日目で障害厚生年金3級受給。

心臓ペースメーカー、人工弁、ICD(植込み型除細動器)を装着されている方は、障害厚生年金3級に認定される可能性があります。

但田社労士より

人工弁の障害年金はお仕事をされていても申請可能ですので、ぜひご相談ください。

大動脈弁狭窄症で障害厚生年金3級(遡及請求5年)

認定 障害厚生年金3級 遡及請求5年
相談者 60代男性 東京都府中市
傷病 大動脈弁狭窄症
金額 約82万円 遡及金額450万円

遡及請求

初診日から3か月後に人工弁を装着。

人工弁装着日が障害認定日となる特例で、遡及請求が可能な事案でした。

人工弁装着が初診の1年6か月より後だった場合、事後重症の請求(初診日から1年6か月経った後の請求)になってしまいます。

遡及請求ができず、将来の分しか障害年金が受給できません。

それだけで人工弁置換術の障害年金の初回振り込み額に、数百万円の違いが出てきてしまいます。

今回、人工弁を装着していることだけでの請求(病状は安定していて、元気に働いていらっしゃいます)でした。

申出書を付け現症の診断書だけで遡及請求。

勿論、人工弁を装着するかどうかはご本人と医師の診断によります。

今回障害年金の5年遡及請求がかない、本当によかったです。

時効5年間により以前の分は、年金が遡及できず消滅してしまいました。

まだまだ人工弁で障害年金申請ができることを、ご存じない方がたくさんいらっしゃると思います。

無料相談中

ぜひご相談下さい。

心疾患の受給資格

人工弁の受給資格

受給資格を得るために以下の3つが大切になります。

初診日と保険料納付

心疾患で障害年金を申請するために、絶対にはずせない3つの要件があります。

  1. 初診日~いつお医者さんに行ったか
  2. 保険料納付要件~保険料は納めていたか
  3. 認定基準

初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日に次に述べる「心疾患の認定基準に該当」すれば、受給できます。

    心疾患の認定基準

    ※日本年金機構の「 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 11節 心疾患による障害」をわかりやすく加筆・修正。

    受給資格を得るために大切なことは、心疾患の障害年金認定基準に該当するかどうかを十分に理解することです。

    まず人工弁だけでなく、心疾患全体の障害年金認定基準です。

    心疾患の認定時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とし、症状が以下のものが対象となります。

    障害等級 障害の状態
    1級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
    2級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
    3級 身体の機能に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

    心疾患による障害の程度は、呼吸困難・心悸亢進・尿量減少・夜間多尿・チアノーゼ・浮腫等の臨床症状・X線・心電図等の検査成績・一般状態、治療及び病状の経過等により総合的に判断。

    人工弁も同じです。

    解説

    異常検査所見があるもの全てについて、それに該当する心電図等を提出する形になります。

    障害年金の支給日
    心疾患の生活状態などの区分表

    心疾患の一般状態区分表(生活の状態などを当てはめるもの)になります。

    区分 一 般 状 態
    無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
    軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 軽い家事、事務など
    歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
    身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
    心身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

    人工弁の認定基準

    人工弁で障害年金 認定基準とは

    続いて人工弁(弁疾患)の障害年金認定基準。

    障害等級 人工弁の障害状態
    1級 病状(障害)が重篤で安静時においても、心不全の症状(NYHA心機能分類クラスⅣ)を有し、かつ一般状態区分表のオに該当するもの
    2級 1.人工弁を装着術後、6か月以上経過しているが、なお病状をあらわす臨床所見が5つ以上、かつ異常検査所見が1つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

    2.異常検査所見のうち2つ以上の所見、かつ病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ一般状態区分表のウ又はエに該当するもの。

    3級 1.人工弁を装着したもの
    2.異常検査所見のうち1つ以上の所見、かつ病状をあらわす臨床所見が2つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

    (注1)複数の人工弁置換術を受けている者にあっても、原則3級相当。

    (注2)抗凝固薬使用による出血傾向については、重度のものを除き人工弁の認定対象としない。

    人工弁(弁疾患)で申請するにはいろいろと複雑な点もあり、初回無料相談を行っております。

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