「脳出血で障害年金を受給した例を知りたい。」
「今から障害年金を申請するが、もらえる金額や認定基準を知りたい。」
そのようなご相談に向けて解説致します。
はじめまして。
社会保険労務士の但田美奈子(ただみなこ)と申します。
東京日本橋にて、12年以上(累計約3,500件)「脳出血など障害年金申請のサポート」に携わってまいりました。
受給例や金額、認定基準を専門の女性社労士が解説します!
脳出血で障害年金の申請を忘れていませんか?
- 肢体障害
- 言語障害
- 認知障害
- 術後後遺症
- 高次脳機能障害 等
脳出血は突然何の前触れもなくやってきます。
ご本人様はもとよりご家族も大変なことです。
障害年金を受給できれば、少しでも経済的な負担を軽くすることができます。

具体的にどうすれば、脳出血で障害年金を受給できるのでしょうか?
以下の順でお話します。
- 受給事例
- もらえる金額
- 受給資格(認定基準)
脳出血は障害認定日の特例
脳出血や脳梗塞などの脳血管障害による「肢体疾患の機能障害」は、初診日から6か月経過した日以後、医学的観点からそれ以上の機能回復がほとんど望めないときは、その日が障害認定日となります。
つまり、主治医が認めた場合、初診から1年6か月を待たずに請求が可能となります。
通常、障害年金は初診日から1年6か月経過しないと請求できませんが、ご存じない方も沢山いらっしゃいます。
※詳細は脳出血の障害認定日の特例
受給事例
いろいろなケースがございますが、実際に受給した例は参考になると思います。
出産の脳出血で障害基礎年金1級
認定 | 障害基礎年金1級 認定日請求 |
相談者 | 30代女性 東京都墨田区 |
傷病 | 脳出血 |
受給額 | 約100万円 |
ご主人からお電話を頂き、夫婦揃ってご相談およびご依頼頂きました。
9カ月前、出産管理の為入院中に突然意識障害と左片麻痺が出現。
CT検査の結果脳出血と診断。
帝王切開と開頭血腫除去術を受けられ女の子を無事出産。
意識も回復されましたが、脳出血による左半身に思い麻痺と高次脳機能障害が残り、日常は車イスをお使いです。
出産は本当に喜ばしいのですが、まさかその最中に脳出血とは・・・。
同じ女性としてしみじみと出産時の負担は大変だなと痛感します。
初診から9カ月ですが、初診から6月経過後の症状固定日を脳出血の認定日とし、肢体疾患で障害基礎年金を請求。
脳出血と高次脳機能障害もございますので、障害年金が2級だった場合、原則の認定日を待って額改定請求をするつもりでした。
無事基礎年金1級に認定。請求から決定まで63日間。
お子さんと一緒に楽しく暮らせる日が一日でも早く訪れるといいですね。

お祈りしております。
左被殻出血で障害基礎年金1級
認定 | 障害基礎年金1級 認定日請求 |
相談者 | 女性 神奈川県中郡 |
傷病 | 脳出血 |
受給額 | 約100万円 |
ご主人様からのご相談・ご依頼。
1年半前、脳出血で右半身が麻痺されたとのこと。
自宅でも車イスを使用していらっしゃいます。
お話を伺うと原則の障害認定日(初診から1年6カ月経過)を待っていらっしゃったようです。
受診状況等証明書は昨年取得されていて、病院に診断書をお願いしたところ「1年6カ月経ってないから書けない」と言われたとのこと。
例外があり脳血管疾患による肢体障害等で、初診日から6月経過後の症状固定の場合、症状固定日が障害認定日の特例とされています。
そのことを私からの依頼書で説明し、診断書を書いて頂けました。
症状固定日は、初診から7か月後に。
無事、障害基礎年金1級に認定され、ご主人の故郷にバリアフリーのお家を新築されてお引っ越しされました。

微力ですが、お手伝いさせて頂けたことうれしい限りです。
障害共済年金2級(遡及請求5年)
認定 | 障害共済年金2級 遡及請求5年 |
相談者 | 男性 東京都練馬区 |
傷病 | うつ病 |
受給額 | 約80万円 遡及金額約460万円 |
発病日・初診日は平成11年。
脳出血で右片麻痺となられたのですが、在職中で障害年金の制度もご存じなかった為、現在まで請求をされていませんでした。
新聞で障害年金のことが取り上げられているのをご覧になり、自分も該当するのではとご相談頂きました。
身体障害者手帳を申請された時の意見書の症状固定日(初診から9か月後)を認定日とし、事前認定の請求(障害の程度のみ審査)。
認定日で2級に認められたと、共済組合から連絡を頂きました。
共済年金は在職の場合支給停止があります(※その後年金一元化の法改正があり現在は全額支給されます)。
2級の基礎年金部分のみの受給となりますが大きいです。
この後は受給のために決定請求を行います。
実際に受給されるまでは時間がかかりますが、等級は決定されているので安心です。
実は・・・共済組合ごとに申請の方法が違う(用紙も違う)ので、かなり骨が折れます。
仕事をしているとか収入があっても、受給することができる場合も多くあります。

脳出血での年金請求は、初診日から1年6か月待たずに申請できることが多いので、ぜひご相談ください。
受給事例集
脳出血で年金を申請した受給例が多くなってきたので別記事にしました。
脳出血で障害年金を申請し、無事受給した事例をいくつかご紹介いたします。
脳出血で障害年金の金額はいくら
脳出血で障害年金が無事受給できたあと、金額はいくらもらえるのでしょうか?
等級ごとの金額や加算される手当を解説していきます。
脳出血の障害基礎年金額
脳出血で障害年金が認定された後もらえる金額は、障害基礎年金か障害厚生年金かで異なります。
もし遡及請求できる場合、最大で5年間遡って受け取れます。
もちろん全員が該当するわけではないのですが、まだ障害年金を請求していないとき、最大5年分遡ることができるのです。これを遡及請求(そきゅうせいきゅう)といいます。
障害等級 | 金額 |
障害基礎年金
1級 |
993,750円/年
+子の加算 |
障害基礎年金
2級 |
795,000円/年
+子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
この金額を6等分して偶数月に受け取ります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。
子の加算
18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。

一般的には高校卒業までということです
子の人数 | 金額 |
1人目
2人目 |
1人につき 228,700円 |
3人目以降 | 1人につき 76,200円 |
脳出血の障害厚生年金額
脳出血で障害年金1級、2級に認定された場合、障害基礎年金に厚生年金が加算されます。
3級は厚生年金しかありません。
障害厚生年金の金額は、給与や厚生年金を納めていた期間(年齢)に比例するため、人により金額はまったく違います(給与30万円と45万円で1.5倍違います)。
障害基礎年金
1級 |
報酬比例額加算×1.25
+配偶者加給年金 |
障害基礎年金
2級 |
報酬比例額加算×1.0
+配偶者加給年金 |
障害厚生年金
3級 |
596,300円/年
金額は一律 |
配偶者加給年金
脳出血で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいるとき、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合、配偶者である夫についても加給年金が支給されます。
※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。
障害等級 | 金額 |
1級・2級
(3級はなし) |
228,700円 |
年金生活者支援給付金
脳出血の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
障害年金を受給した際「年金生活者支援給付金」が加算して支給されるようになりました。
年金生活者支援給付金は基礎年金も厚生年金も変わらず2級以上であれば支給されます。
金額は毎年変動します。
1級 | 月6,425円 |
2級 | 月5,140円 |
以上、もらえる金額には年収などにより、いろいろと例外もあります。
障害年金のもらえる金額はいくらなのか?に概要をまとめました。
障害年金の受給が無事決まった後、金額はいくらもらえるのでしょうか?
受給資格
受給資格を得るために以下の3つが大切になります。
初診日と保険料納付
- 初診日
- 保険料納付要件
- 認定基準
初診日と保険料納付要件まとめ。
障害年金をもらうために大切な3つの要件(初診日・保険料納付・認定基準)
認定基準
脳出血の後遺症として「体の麻痺等」が多く「肢体の障害」として障害年金を請求することが多くあります。
ただし、後遺症として眼の障害があったり、高次脳機能障害となるケースもございます。
上記のように「脳疾患の障害年金認定基準」は「肢体の障害」が多くなるため、肢体疾患の認定基準を掲載します。
※日本年金機構の脳出血(肢体障害)認定基準をわかりやすく加筆・修正。
手足など身体の状態・機能が労働や日常生活に、著しい制限や不便(不能)があることを認定基準にそって、整合性を取り主張する。
脳出血(肢体の機能の障害)の障害の程度は、身体機能を総合的に認定します。
- 関節可動域
- 筋力
- 巧緻性
- 速さ
- 耐久性を考慮
- 日常生活における動作の状態
受給資格を得るために大切なことは、脳疾患の障害年金認定基準に該当するかどうかを十分に理解することです。
脳出血をはじめとし、脳疾患で年金の対象となる病名は以下のようなものが対象となります。
脳出血の認定の場合、重要なのは関節可動域・筋力・日常生活動作の身体機能3つとなります。

具体的には以下のようになります。
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 身体の機能に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの |
(1)肢体疾患が上肢及び下肢などの広範囲にわたる場合。
※脳出血、脊髄損傷等の脊髄の器質障害、進行性筋ジストロフィー等。
本節
「第1 上肢」
「第2 下肢」
「第3 体幹・脊柱の機能」に示したそれぞれの認定基準と認定要領によらない。
「第4 肢体の機能障害」として認定する。
(2) 脳出血(肢体の機能の障害)の障害の程度の認定は最初に述べたとおりです。
なお、他動可動域による評価が適切ではないもの。
例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているものなどについては、
- 筋力
- 巧緻性
- 速さ
- 耐久性を考慮し
- 日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定する。
脳の気質障害
神経と精神疾患を区別して考えることは、その多岐にわたる臨床症状から不能。
原則としてそれらの諸症状を総合し全体像から総合的に判断して認定するかたち。
高次脳機能障害
脳損傷に起因する認知障害全般。日常生活又は社会生活に制約があるものが認定の対象となります。
主な症状として、失語、失行、失認のほか記憶、注意、遂行機能、社会的行動障害等。
脳出血の障害認定日の特例
脳血管疾患による肢体疾患等で、初診日から6ヶ月経過後。
医学的見地からそれ以上の機能回復がほとんど望めないと医師が判断した日(=症状固定日)を認定日として取り扱うとされています。
最初にお話したように、脳出血などは通常のように1年半待たなくても申請ができる場合があります。
ただし、肢体の状態は代償機能やリハビリテーションにより好転も見られますので、療養及び症状の経過を十分考慮する必要があります。
脳出血の障害年金申請はいろいろと複雑な点もあり、女性社労士が初回無料相談で受給判定と申請サポートを行っています。
肢体の機能の障害 認定基準 肢体の機能の障害については、次のとおりである。
引用元:日本年金機構国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第4 肢体の機能の障害
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