障害年金を受給するメリット・デメリット|税金・扶養・老後への影響【2026年度】

障害年金を受給するメリット・デメリット|税金・扶養・老後への影響【2026年度】

障害年金を受給するメリット・デメリットを女性社労士が解説するイラスト

障害年金の大きなメリットは、非課税の年金収入によって生活を支えられることです。

病気やけがで日常生活や仕事に制限があるとき、障害年金は経済的な支えになります。

一方、デメリットとして注意したいのは、ほかの制度への影響です。障害年金は非課税でも、健康保険の扶養判定では収入に含まれ、傷病手当金や生活保護の支給額が調整される場合があります。

大切なのは、障害年金を受給することで、ほかの制度にどのような影響があるのかを事前に知っておくことです。

このようなお悩みはありませんか。

  • 障害年金をもらうデメリットはなに?
  • 税金や健康保険の扶養はどうなるのか
  • 将来の老齢年金が減るのか
  • 働いていることへの影響や、ほかの給付金との関係は

この記事では、まず障害年金を受給するメリット・デメリットを整理し、税金、健康保険の扶養、傷病手当金、生活保護、国民年金保険料、65歳以降の老齢年金への影響を解説します。

障害年金を受給するメリット・デメリット

障害年金には生活を支えるメリットがありますが、ほかの制度の給付や扶養認定に影響する場合があります。

項目 受給した場合のポイント
収入・税金 継続的な年金収入を得られ、障害年金には所得税・住民税がかからない(非課税)
就労

働きながら受給できる場合がある。

ただし、障害状態や就労状況は審査の対象になる

国民年金保険料

対象となる方は法定免除を受けられる。

ただし、将来の老齢基礎年金額が減額になることは注意

健康保険の扶養 障害年金も収入に含まれるため、扶養から外れる場合がある
ほかの給付

傷病手当金・生活保護・労災保険給付などと調整される場合がある。

特に傷病手当は注意

受給後の手続き 有期認定の場合は診断書の提出が必要で、状態により減額・支給停止となることがある

なお、過去の年金を受け取れる場合や(遡及請求)、寡婦年金・死亡一時金の受給要件に影響する場合もあります。以下で詳しく説明します。

それぞれの内容を、具体的に見ていきましょう。

障害年金を受給する6つのメリット

障害年金を受給する6つのメリットを女性社労士が黒板で解説するイラスト

障害年金は生活費の補助になるだけでなく、税負担や国民年金保険料の面でもメリットがあります。

1.非課税の年金収入を受け取れる

障害年金は、所得税・住民税の課税対象になりません。老齢年金とは異なり、障害年金について所得税の源泉徴収も行われません。

非課税です。

障害年金だけを受給している場合、その年金を申告するための確定申告は原則として不要です。

ただし、給与や事業所得など、別の収入がある場合は、その収入について申告が必要となることがあります。

税金の扶養判定に用いる合計所得金額にも、非課税の障害年金は含まれません。ただし、後述する健康保険の扶養とは判定方法が異なります。

生活保護のように受け取った障害年金の使い道に、原則として特別な制限はありません。

生活費や医療費、通院費など、ご自身やご家族の生活に必要な支出に充てることができます。

2.病気やけがで働けない期間の家計を支えられる

病気やけがによって休職・退職した場合や、勤務時間を減らさざるを得ない場合、障害年金は生活を支える収入になります。

年金は原則として偶数月の15日に、前の2か月分がまとめて支払われます。

給与のような毎月払いではありませんが、継続的な収入として生活設計に役立ちます。

令和8年度(2026年4月分~2027年3月分)の基本的な障害年金額は次のとおりです。

年金・等級 年額 月額換算
障害基礎年金1級 1,059,125円 約88,260円
障害基礎年金2級 847,300円 約70,608円
障害厚生年金3級 635,500円(最低保障額) 約52,958円

※昭和31年4月2日以後生まれの方の金額です。障害厚生年金3級は最低保障額を示しており、実際の金額は報酬比例額などによって異なります。障害厚生年金1級・2級では、原則として障害基礎年金もあわせて受け取れます。

※月額換算は年額を12で割った参考額です。子の加算や配偶者加給年金は含みません。

金額について詳しくは、障害年金はいくらもらえる?【令和8年度】をご覧ください。

障害基礎年金と障害厚生年金の違いは、障害年金の種類と仕組みでも説明しています。

3.条件を満たせば過去の年金をまとめて受け取れる場合がある

障害認定日当時に障害年金の受給要件を満たしていた場合、障害年金の遡及請求によって、過去にさかのぼった年金がまとめて支払われることがあります。

ただし、遡って受け取れる年金は、原則として時効により5年分が限度です。

障害認定日当時の障害状態や診断書などを確認する必要があり、請求すれば誰でも過去5年分を受け取れるわけではありません。

一方、事後重症請求の場合は、原則として請求した月の翌月分からの支給です。受給の開始時期は請求方法によって異なります。

4.働きながら受給できる場合がある

障害年金は、受給しても仕事をしてはいけない制度ではありません。

短時間勤務や職場での配慮を受けながら働いている場合でも、障害の状態によっては受給できる可能性があります。

ただし、通常又は通常に近い勤務を安定して続けられている場合には、障害の状態が軽いと判断されることも多々あります。

特に精神疾患では、勤務時間だけでなく、欠勤状況、仕事の内容、職場の配慮、帰宅後の生活状況などを確認する必要があります。

精神疾患で働きながら受給する際の判断については、うつ病の障害年金は働きながらもらえるのか?でも解説しています。

また、注意点として後述する20歳前の傷病による障害基礎年金には、本人の所得による支給制限があります。

5.国民年金保険料が法定免除になる場合がある

障害基礎年金1級・2級などの受給権があり、国民年金の第1号被保険者である方は、国民年金保険料の法定免除の対象になります。

保険料を納める経済的な負担が減ることは、大きなメリットです。ただし、会社員などで厚生年金に加入している場合、厚生年金保険料は免除されません。

また、法定免除期間が将来の老齢基礎年金額にどう反映されるかは、デメリットの項目で説明します。

詳しくは、障害年金を受給した場合の国民年金保険料の法定免除をご覧ください。

6.家族の加算や年金生活者支援給付金の対象になる場合がある

扶養手当のような意味合いになります。

障害基礎年金1級・2級では、対象となる子を生計維持している場合に「子の加算」がつくことがあります。

また、障害厚生年金1級・2級では、一定の要件を満たす65歳未満の配偶者がいる場合に、配偶者加給年金がつくことがあります。

さらに、障害基礎年金を受給し、前年所得などの要件を満たす方には、障害年金生活者支援給付金が支給される場合があります。

いずれも、対象要件と手続きを確認することが大切です。

障害年金を受給する場合のデメリット・注意点

障害年金を受給するデメリットと注意点を女性社労士が解説するイラスト

障害年金には多くのメリットがありますが、受給することで健康保険の扶養や傷病手当金、生活保護など、ほかの制度に影響する場合があります。

特に、すでに健康保険の扶養に入っている方や傷病手当金、生活保護などを受けている方は、事前の確認が必要です。

1.健康保険の扶養から外れる場合がある

障害年金は税金上非課税ですが、健康保険の被扶養者認定では収入として扱われます。

健康保険の扶養認定による年間収入基準は、一般に130万円未満です。ただし、60歳以上の方や、おおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害がある方などは180万円未満となります。

配偶者を除く19歳以上23歳未満の方には150万円未満の基準も設けられていますが、障害の程度によっては180万円未満の基準が適用されます。

たとえば、配偶者の健康保険の扶養に入っている方が障害年金を受け取ると、年金額と給与などの収入を合わせた見込額や生計維持の状況によっては、扶養から外れる可能性があります。

注意)税金の扶養と健康保険の扶養は別の制度です。

障害年金は所得税の扶養判定では非課税所得として除外されますが、健康保険の扶養判定では収入に含まれます。

180万円の基準も、障害年金を受けているすべての方に無条件で適用されるものではありません。

最終的な扶養認定は、加入している健康保険の保険者に確認してください。

2.傷病手当金と調整される場合がある

これは特に質問が多いところです。

お勤めになられている場合、通常当初は傷病手当金を受給、その後1年6か月経った時点で傷病手当金に切り替える場合が多くあります。

健康保険の傷病手当金を受けている方が、同一の傷病について障害厚生年金を受けられるようになった場合は、傷病手当金の支給額が調整されます。

障害厚生年金と、同じ支給事由による障害基礎年金の合算額を日額換算した金額が、傷病手当金の日額を下回る場合は、その差額が支給されます。

障害厚生年金をさかのぼって受給した場合、すでに受け取った傷病手当金について返還が必要になることもあります。

一方、障害基礎年金だけを受給する場合は、この障害厚生年金との調整には該当しません。傷病が異なる場合も取扱いが変わります。

傷病手当金を受給中の方は、請求前に健康保険の保険者へ確認しておくと安心です。

特に、障害年金の遡及請求では、過去の支給期間が重なることがあります。実際の調整については、脳出血の障害年金受給事例でも紹介しています。

3.生活保護費が減額される場合がある

生活保護を受けている場合、障害年金は原則として収入認定の対象になります。

生活保護費は最低生活費から認定された収入を差し引いて計算するため、障害年金の支給により生活保護費が減ることがあります。

ただし、障害年金を受給したからといって、必ず生活保護を受けられなくなるわけではありません。また、障害の状態などに応じて生活保護の障害者加算が認められる場合もあります。

障害年金を請求したときや受給決定を受けたときは、担当する福祉事務所に確認してください。

4.法定免除期間は将来の老齢基礎年金額に影響する

国民年金保険料が法定免除となった期間は、老齢基礎年金の受給資格期間には含まれますが、全額納付と同じ金額にはなりません。

平成21年4月以降の全額免除期間は、老齢基礎年金の年金額を計算するとき、保険料を全額納めた場合の2分の1として反映されます。

そのため、障害年金が将来支給停止となり、老齢基礎年金を受給する場合、法定免除期間が年金額に影響します。

法定免除期間については、一定の要件のもとで保険料を追納したり、納付を申し出たりする制度があります。

追納や納付によって増えるのは将来の老齢基礎年金であり、現在受け取っている障害基礎年金が増えるわけではありません。

今後も障害基礎年金を受け続けるのか、将来老齢基礎年金を選択する可能性があるのかによって判断は変わります。

有期認定か永久認定かにより大きくことなります。

保険料の納付を決める前に、年金事務所で年金見込額を確認することをおすすめします。

5.更新で年金が減額・支給停止となることがある

障害年金は、一度認定されれば必ず一生同じ額を受給できるものではありません。

更新のない永久認定と有期認定がございます。

有期認定の場合は、指定された時期に「障害状態確認届(診断書)」を提出し、引き続き障害等級に該当するかどうか確認を受けます。

医師に診断書の作成を依頼する手間や、医療機関ごとに定められた診断書作成費用も生じます。また、初回請求時にも受診歴の確認や書類の準備が必要です。

障害の状態が軽くなったと判断された場合は、等級が下がったり、支給停止となったりすることがあります。

一方、障害の程度が重くなれば増額改定の対象となる場合もあります。更新の手続きと診断書の内容は、受給後も重要です。

詳しくは、障害年金の更新もご確認ください。

6.20歳前の傷病による障害基礎年金のみ所得制限がある

通常の障害年金については、働いていることや収入があるという理由で一律に支給停止とはなりません。

ただし、20歳前の傷病による障害基礎年金のみ、本人の前年所得による支給制限があります。

令和8年10月現在、扶養親族がいない場合の基準は、前年所得が3,858,000円を超えると2分の1支給停止、4,918,000円を超えると全額支給停止です。扶養親族がいる場合などは基準額が変わります。

すべての障害年金に同じ所得制限があるわけではないため、ご自身の受給している年金の種類を確認することが大切です。

詳しくは、20歳前傷病の障害基礎年金|所得制限と支給停止をご覧ください。

7.65歳以降は老齢年金との受け取り方を検討する必要がある

年金は1人1年金という原則があります。

65歳以降に障害年金と老齢年金の両方の受給権がある場合でも、すべての年金を自由に重ねて受け取れるわけではありません。

一定の条件では「障害基礎年金+老齢厚生年金」などの厚生年金+基礎年金の組み合わせが認められますが、「障害基礎年金+老齢基礎年金」のように、2つの基礎年金を同時に受け取ることはできません。

「障害厚生年金+老齢厚生年金」の厚生年金も同様に同時に受け取ることはできません。

選択できる組み合わせや年金額は加入歴などによって異なります。65歳が近づいたら、どの受け取り方がよいか比較しておくことが大切です。

8.労災保険の年金などと調整される場合がある

仕事中の事故や業務上の病気など、同一の事由によって障害年金と労災保険の年金を受ける場合には、労災保険側の給付額が調整(減額)されることがあります。

労災年金などの金額は調整される場合があるため、両方の制度の受給見込額を確認する必要があります。

なお、20歳前傷病による障害基礎年金のみ、労災保険の年金等の受給によって障害基礎年金側が支給調整される場合があります。

9.寡婦年金や死亡一時金の対象に影響する場合がある

国民年金の寡婦年金や死亡一時金には、亡くなった方が障害基礎年金を受けていないことなど、独自の支給要件があります。

そのため、障害基礎年金を受けたことがある場合、一定の要件のもとで遺族が受け取る寡婦年金や死亡一時金の対象とならないことがあります。

ただし、障害年金を受給したら遺族年金がすべて受け取れなくなる、という意味ではありません。

遺族基礎年金・遺族厚生年金は別の受給要件によって判断されます。家族の状況に応じて確認しましょう。

障害年金のデメリットと誤解されやすいこと

障害年金のデメリットと誤解されやすいことを女性社労士が説明するイラスト

障害年金を受け取ると、仕事を辞めなければならない、障害者手帳を取得しなければならない、といった決まりはありません。

障害年金をもらうと仕事を辞めなければなりませんか?

いいえ。障害年金を受給しているという理由だけで、退職が必要になるわけではありません。

ただし、特に精神疾患の場合、実際の就労状況は障害状態の審査に関係します。

障害年金を受給すると勤務先に知られますか?

障害年金の受給について、勤務先に一律に届け出なければならない制度ではありません。

非課税のため、原則的には職場に知られることはないと思います。

障害年金をもらうと障害者手帳が必要になりますか?

いいえ。障害年金と障害者手帳は別の制度です。障害者手帳がなくても障害年金を受給できる場合があり、障害年金を受給しただけで障害者手帳が自動的に交付されるわけでもありません。

詳しくは、障害年金と障害者手帳の違いをご覧ください。

障害年金をもらうと障害者控除も自動的に受けられますか?

いいえ。障害年金が非課税であることと、所得税の障害者控除を受けられることは別の話です。障害者控除は税法上の要件によって判断されます。

また、障害年金を受給したというだけで、健康保険料や住民税がすべて免除されるわけではありません。

障害年金自体に税金はかかりませんが、他に収入があればそれに応じて税等はかかります。

障害年金を請求する前に確認したいこと

障害年金を受給する前に確認したいポイントを女性社労士が黒板で説明するイラスト

障害年金の受給によって不利益が生じないか心配な方は、次の点を整理しておくと判断しやすくなります。

  1. 現在、健康保険の扶養に入っているか
  2. 傷病手当金、生活保護、労災保険給付などを受けているか
  3. 国民年金の加入状況と、法定免除の対象になるか
  4. 20歳前の傷病かどうか、65歳以降の老齢年金との関係はどうか
  5. 診断書の取得費用、必要書類、更新手続きの負担はどうか

これらの事情は人によって異なります。「障害年金の受給は得か損か」と一律に判断するのではなく、受給できる金額とほかの制度への影響をあわせて考えることが大切です。

また、受給できるかどうかは、初診日、保険料納付要件、障害の状態などによって判断されます。詳しくは、障害年金の初診日、保険料納付要件、障害年金の認定基準をご覧ください。

具体的な申請手続きについては、障害年金の請求方法で紹介しています。

よくあるご質問

障害年金を受給すると税金が高くなりますか?

いいえ。障害年金そのものは所得税・住民税の課税対象ではありません。ただし、給与などほかの課税所得がある場合は、その所得に応じた税金がかかります。

障害年金をもらうと家族の健康保険の扶養から外れますか?

必ず外れるわけではありません。障害年金を含めた年間収入の見込額や障害の状態、生計維持の要件などによって判断されます。加入している健康保険の保険者に確認してください。

障害年金をもらうと将来の老齢年金が減りますか?

受給するだけで老齢年金が減るわけではありません。ただし、国民年金保険料の法定免除を受けた期間は、全額納付した期間より老齢基礎年金への反映が少なくなります。追納や納付申出を検討できる場合もあります。

障害年金と傷病手当金は両方もらえますか?

同一の傷病で障害厚生年金を受ける場合、傷病手当金は調整され、差額のみの支給となる場合があります。障害基礎年金のみの場合は、この調整の対象ではありません。

働き始めたら障害年金は止まりますか?

働き始めたという理由だけで一律に止まるものではありません。ただし、就労状況や障害の状態によって更新時などの判断が変わる場合があります。また、20歳前の傷病による障害基礎年金には本人所得による支給制限があります。

執筆者紹介:障害年金専門社労士 但田美奈子

はじめまして。

当事務所で障害年金の申請サポートを担当しております、但田美奈子です。

経験15年以上・累計相談件数4,250件(令和8年8月末現在)・受給率97.8%。
さまざまな傷病による障害年金のご相談に対応してまいりました。

障害年金では、受給できるかどうかだけでなく、受給後の生活やほかの制度との関係も大切です。この記事では、申請を検討する方が知っておきたいメリットと注意点を整理しました。

障害年金の申請を検討中の方へ

障害年金のメリット・デメリットは、現在の働き方、加入している健康保険、受給中の給付金、将来の年金の受け取り方によって変わります。

制度上の要件を確認したうえで、ご自身の状況に合わせて判断することが大切です。当事務所で受給された方のご感想は、お客様の声でご覧いただけます。

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参考資料

制度の取扱いについては、以下の公的資料を確認しています。

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