「緑内障・両眼網脈絡膜委縮・黄班変性症などで障害年金を申請したいが、もらえる金額はいくら?」
「眼の障害による障害年金の受給例や、認定基準について知りたい。」
このような疑問に、わかりやすくお答えします。
はじめまして。障害年金の専門社労士、但田美奈子(ただみなこ)と申します。
東京日本橋にて、13年以上にわたり累計約3,600件の「緑内障など障害年金の無料相談から申請サポート」に携わってまいりました。
眼の傷病で障害年金の申請を忘れていませんか?
目の障害を以下の順番で詳しく解説いたします。
- 金額はいくらもらえるのか
- 受給事例
- 受給資格
- 認定基準
目の疾患で障害年金の金額はいくら
緑内障・網脈絡膜萎縮・黄班変性症の障害年金でもらえる金額は、いくらになるのでしょうか?
実際、受給が決まっても「いくらもらえるのか」がご心配だと思います。
そこで、目の疾患で受給できる等級ごとの金額や、加算される手当を解説していきます。
- 基礎::1級と2級
- 厚生::1級、2級、3級
このように、基礎と厚生が組み合わさって、2階建ての仕組み(3級は厚生年金のみ)になっています。
もらえる金額もこれに伴って説明していきます。
目の疾患で障害基礎金額
目の疾患で、障害基礎年金の1級又は2級に認定されたときの金額を解説していきます。
もし遡及請求できる場合、最大で5年間遡って受け取れます。
障害等級 | 金額 |
障害厚生年金
1級 |
1,020,000円/年
+子の加算 |
障害基礎年金
2級 |
816,000円/年
+子の加算 |
受給権を得た後、翌月分から支給されます。
この金額を6等分して偶数月に受け取ることになります。
初回は臨時で奇数もありえますが、以後必ず偶数月に2か月分まとめて受け取る形になります。
※決定が早い場合など、初回のみは(奇数月分の)1か月分支給ということもあります。
子の加算
18歳の年度末までの、子供がいる場合に加算されます。
一般的には高校卒業までということです
子の人数 | 金額 |
1人目
2人目 |
1人につき 234,800円 |
3人目以降 | 1人につき 78,300円 |
目の疾患で障害厚生金額
目の疾患で、障害厚生年金1級又は2級に認定された場合、障害基礎年金に加えて厚生年金が加算されます。
3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。
障害厚生年金の金額は、給与や勤めていた期間(年齢)に比例するため、人によりまったく違います。
例えば、給与が30万円の方と45万円の方では、受給金額に1.5倍の差が生じます。
障害厚生年金
1級 |
報酬比例額加算×1.25
+配偶者加給年金 |
障害厚生年金
2級 |
報酬比例額加算×1.0
+配偶者加給年金 |
障害厚生年金
3級 |
612,000円/年
金額は一律 |
配偶者加給年金
目の疾患で1級又は2級に認定され、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が支給されます(配偶者の年収が850万円未満)。
よくご質問を受けますが、奥様が障害厚生年金2級以上を受給した場合どうなるでしょうか。
その場合、配偶者である夫についても加給年金が支給されます。
※配偶者自身が20年以上の加入期間の老齢厚生年金や、障害年金を受給していないこと(受給するまではもらえます)。
障害等級 | 金額 |
1級・2級
(3級はなし) |
234,800円 |
年金生活者支援給付金
目の疾患の障害年金は、年金生活者支援給付金という手当も加算されます。
年金生活者支援給付金は基礎も厚生も変わらず2級以上であれば支給されます。
金額は毎年変動します。
1級 | 月6,638円 |
2級 | 月5,310円 |
以上、もらえる金額には年収などにより、いろいろと例外もあります。
障害年金のもらえる金額はいくらなのか?に概要をまとめました。
緑内障・両眼網脈絡膜委縮・黄班変性症の受給例
緑内障・両眼網脈絡膜委縮・黄班変性症など眼の傷病により、障害年金を申請した事例を紹介します。
実際に受給した例をご紹介します。
いろいろなケースがありますので、ぜひご参考下さい。
緑内障(右足骨折の相談で判明)で障害厚生年金3級-60万円
認定 | 障害厚生年金3級 事後重症請求 |
相談者 | 50代男性 東京都大田区 |
傷病 | 緑内障 |
金額 | 約60万円 |
緑内障で申請したのですが、実は当初お問い合わせ頂いたのは右下腿骨骨折での障害年金請求についてのご相談でした。
骨折は2ヶ月ほど前に階段からの転落によるもので、切断離断されていたり、人工骨頭や人工股関節を挿入されていたりはないとのこと。
その場合障害認定日は初診日から1年6か月経過日となります。
また、今後の治療とリハビリで良くなる可能性が高い為、障害年金の受給の可能性は低いと思われることをお伝えしました。
しかし、詳しくお話を伺うと、転落の原因は視力の低下であり、緑内障が関係していることが分かりました。
緑内障は40歳以上で5%、60歳以上では1割以上の患者がいます。
もしやと疑ったところ、やはり緑内障での障害年金請求について検討することとなりました。
一方向ではなく、いろいろな角度や可能性から受給の可能性を探ることが重要になります。
視力障害は数値で判定されます。
緑内障で右眼は矯正視力で0.1位とのこと(左眼は矯正視力で1.2)。
緑内障の初診日が厚生年金加入中であり、矯正視力で0.1以下の場合は障害手当金相当。
症状が固定していない場合は障害厚生年金3級に認定される可能性があります。
視力で申請の可能性を探る
検査をして、該当するようであれば医師に障害厚生年金の診断書を書いてもらうという方法にしました。
視力検査を行い、右眼の矯正視力が0.08であることを確認したので、医師に障害厚生年金の診断書を書いていただき、申請を進めました。
途中で他の眼に関する既往歴の確認がありましたが、最終的に障害厚生年金3級に無事認定されました。
申請から認定までにかかった期間は105日でした。
相談者からは「他の社労士さんに同じ相談をしましたが、『無理です』と冷たく断られました。
丁寧に答えてもらえたのは初めてでした」とおっしゃっていました。
複合的な視力障害で障害基礎年金2級~80万円
認定 | 障害基礎年金2級 事後重症請求 |
相談者 | 60代女性 埼玉県桶川市 |
傷病 | 両眼網脈絡膜委縮・黄班変性症・緑内障 |
金額 | 約80万円 |
病名は両眼網脈絡膜委縮・黄班変性症・緑内障です。
網膜脈絡膜萎縮は両目の網膜、脈絡膜が萎縮し著しい視力低下や視野の欠損(視界がまだらに見えたり、物がゆがんで見えたりする)症状が現れ、最悪の場合失明にいたる場合もあります。
原因不明と言われていますが、遺伝的な要素が強く難治性・進行性であるために、予後が不良であり難病にもしてされています。
両眼の視力が低下
相談者様は「両眼網脈絡膜委縮」「黄斑変性症」「緑内障」の3つの病名を抱えておりました。
これらの影響で両眼の視力が0.06まで低下し、この状態では日常生活に著しい支障が出るため、障害年金の申請をご依頼いただきました。
網膜脈絡膜萎縮
治療や視力矯正を行った状態での両目の和が0.08に満たない場合、日常生活に支障がある状態とみなされ、障害年金の対象となる可能性があります(眼鏡などをつけた矯正視力での視力)。
依頼者様からは、無事に障害基礎年金2級の決定通知書が届いたとのご連絡をいただきました。
この申請には、納付要件を満たすために、第3号被保険者(いわゆる専業主婦)のカラ期間を計算してみました。
これは、法改正の間で年金を納めていなかったが、納付期間としてカウントされる特例期間のことです。
昭和時代の専業主婦や学生の期間などが該当します。
手続きには証明書の準備などがありましたが、ご主人様のご協力もあり、スムーズに進めることができました。
年金加入期間にはさまざまな特例がありますので、あきらめずに挑戦することが大切です。
本当にありがとうございました。
額改定請求
上の事例のご依頼者様から、額改定請求の依頼をしたいとお電話を頂きました。
認定時、障害障害基礎年金2級でしたが、現在は1級に該当する数値となっていらっしゃるようです。
額改定請求は、認定時から病状が変化した場合に行うことができ、認められればその翌月分から金額が改定されます。
次の診断書提出が1年先であるため、今すぐにでも手続きを進める必要があります。
額改定請求を出し認められれば、その翌月分から改定になります。すぐに請求できるよう大急ぎで進めます。
眼の障害年金認定は視力などの数値で等級が決まりますが、数年前とは病状が変わることもあります。
今回のように、現在の病状に基づいて再度金額を見直すための額改定請求は非常に重要です。
何か疑問や不安を感じた場合は、すぐにご連絡いただくことが大切です。
今回はご依頼頂いてから1ヵ月程で、請求することができました。
ご家族(旦那様)がとても協力的で、スムーズに進み、本当に感謝しております。
ありがとうございました。
診断書作成依頼の際にお渡しする書類
当事務所では2ヵ月以内の請求を目指していますが、受診状況等証明書や診断書はお医者さまに書いていただくものなので、時間がかかる場合も多々あります。
お医者さまに診断書を依頼する際は、当事務所で1人1人に合わせて「障害年金の診断書作成のお願い」を作成し、一緒にお渡し頂いています。
ご依頼者さまの状況をお知らせすると共に、障害年金の診断書において間違えやすい箇所や必ずご記入いただく箇所等をお知らせ。
お医者さまのご負担を軽くするためでもあります。
特に精神の診断書は学歴や職歴まで記入が必要で、診断書作成も本当に大変だと思います。
申請が終わった後は、裁定請求受付控えと役所に提出した書類の写しを1冊のファイルにまとめ、ご依頼者さまに控えとしてお送りしています。
そのあとは、決定通知が届くのを待つのみです。
目の障害の受給資格
受給資格を得るために以下の3つが大切です。
初診日と保険料納付
眼の疾患で障害年金を申請するために、絶対にはずせない3つの要件があります。
初診日と保険料納付要件を満たしたうえで、障害認定日に「(眼の障害)認定基準」すれば、障害年金の受給ができます。
認定基準
視覚障害で障害年金を受給できるかどうかの認定基準をまとめました。
視力と視野の改正内容
視力の障害認定基準
「両眼の視力の和」から「良い方の眼の視力」による障害認定基準に変更されました。
視野の障害認定基準
- これまでのゴールドマン型視野計に基づく障害認定基準に加えて、現在広く普及している自動視野計に基づく障害認定基準を創設。
- 求心性視野狭窄や輪状暗点といった症状による限定をやめて、測定数値により障害等級を認定するよう変更。
- これまでの障害等級(2級・障害手当金)に加え、1級・3級の規定を追加します。
眼の障害で2級または3級の障害年金を受給されている方については、「眼の障害」の認定基準の改正(令和4年1月1日改正)により、障害等級が上がり、障害金額が増額となる可能性があります。
眼の障害年金認定基準
両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和が、それぞれ80度以下。
つまり、11度以上の方向があっても、合計で80度以内になれば該当する可能性がございます。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 両眼の視力がそれぞれ 0.03 以下のもの一眼の視力が 0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの |
ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ 80 度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が 28 度以下のもの自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が 70点以下かつ両眼中心視野視認点数が 20 点以下のもの | |
2級 | 両眼の視力がそれぞれ 0.07 以下のもの一眼の視力が 0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの |
ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ 80 度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が 56 度以下のもの自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が 70点以下かつ両眼中心視野視認点数が 40 点以下のもの
身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
|
厚生年金3級 | 両眼の視力がそれぞれ 0.1 以下に減じたものゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ 80 度以下に減じたもの
自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が 70点以下に減じたもの |
障害手当金 | 両眼の視力がそれぞれ 0.6 以下に減じたもの一眼の視力が0.1以下に減じたもの |
両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの両眼による視野が2分の1以上欠損したもの
ゴールドマン型視野計による測定の結果、I/2視標による両眼中心視野角度が 56 度以下に減じたもの 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が 100点以下に減じたもの 自動視野計による測定の結果、両眼中心視野視認点数が40 点以下に減じたもの 両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
緑内障・網脈絡膜萎縮・黄班変性症の年金申請はいろいろと複雑な点もあり、女性社労士が初回無料相談で受給判定と申請サポートを行っています。
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眼の障害による障害の程度は、次により認定する。
引用元:日本年金機構国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第1節 眼の障害
令和6年4月分からの年金額等について
緑内障は非常に多い病気で、40歳以上で5%、60歳以上では1割以上の患者がいます。残念ながら日本の失明原因一位となっています。